バーボン、ストレート、ノーチェイサー

◆◆FOR BOURBON LOVERS ONLY◆◆ バーボンの製品情報、テイスティング・コメント、レーティング、思考、ブランドの歴史や背景などを紹介するバーボン好きによるアンフィルタード・レヴュー。バーボンをより好きになるため、より楽しむための初心者から中級者向けのブログ。

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Mellow Corn BOTTLED IN BOND 100 Proof
コーンウィスキーの代表的な銘柄メロウコーン。コーンウィスキーらしい癖がハッキリと感じられるハイプルーフ、しかも安いとあって、アメリカではかなり人気があります。昔はメドレー蒸留所のブランドでしたが、現在ではヘヴンヒル蒸留所のブランドになっており、ラベルにその名残が見られます。こちらはボトルドインボンド規格ですから、おそらく熟成年数は最低限の4年でしょう。またコーンウィスキーの規定から、熟成樽は古樽もしくはチャーしてない新樽になります。そのためか、バーボンに比べ円やかさに欠ける嫌いがあるし、深みや奥行のある芳香もないし、コーンウィスキー臭さも残ってますが、100プルーフ(50度)あるので満足度は高いです。
Rating:79/100

さて、問題はここからです。ラベルに注目してください。ボトルドインボンド規格のスピリッツには、蒸留した施設のDSPナンバーと、ボトリングした施設のDSPナンバーも記載せねばなりません。ラベルから読み取れるのは、蒸留はDSP-KY-354、ボトリングはDSP-KY-31です。「354」はブラウン・フォーマンが所有するアーリータイムズを作っているプラントを表し、「31」はヘヴンヒル所有のバーズタウンにあるボトリング工場を表します。ヘヴンヒルの蒸留施設は元々バーズタウンにあったのですが、96年の大火災により蒸留施設は全焼し、現在はボトリング工場と熟成庫のみとなっています。そして99年にルイヴィルのバーンハイム蒸留所を購入して蒸留を再開し、現在に至るのですが、この蒸留所がなかった期間はブラウン・フォーマンやジムビームが蒸留を代行していたと言います。
で、このボトルは推定2013年ボトリングと思われます(瓶底判定)。熟成期間の4年を引くと蒸留は2009年。はて? とっくに自社蒸留に切り替わっている頃なのではないでしょうか? 残り物のラベルを使用している可能性もなくはないと思いますが、だとしたら余りにも残り過ぎな気がします。いや、第一厳格なボトルドインボンド規格を謳いながら、残り物など使っていたら駄目でしょう。

ここからは私の推理なので話し半分に聞いて(読んで)下さい。ヘヴンヒルからリリースされているライウィスキーにリッテンハウス ライ ボトルドインボンドという銘柄があります。ボトルドインボンド規格ということもあり大変人気のあるブランドです。有名な話なのですが、火災後このリッテンハウスライはブラウン=フォーマンが契約蒸留をしていました。ボトルドインボンド規格ですからラベルに「DSP-KY-354」の記載があり、ある年のものから「DSP-KY-1」(バーンハイム蒸留所の番号)に変わりました。調べてみると、どうやらその契約が2008年までだったようなのです。ごく単純に計算して、2008年蒸留に熟成期間の4年をプラスすると2012年となり、このメロウコーンのボトリング2013年との誤差が一年のみになります。一年の誤差ならなんとでもなる差です。あまり語られることのないメローコーンの裏話だけに、情報が少なくて混乱しましたが、おそらくメロウコーンも2008年までブラウン・フォーマンが契約蒸留していたのではないでしょうか? だとしたらラベルの謎も合点がいくのですが…。ここら辺の事情に詳しい方がいらっしゃいましたら、是非とも情報提供をお願いしたいです。

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JIM BEAM RYE PRE-PROHIBITION STYLE 80 Proof
ジムビームライと言えば黄色!と言うイメージだったのですが、2015年に長年親しまれたイエローラベルからパッケージがリニューアルされました。アメリカンウィスキー業界全般に「ライは緑」みたいな流れがあるので、それに従っただけかも知れませんし、同社のノブクリークライも緑ラベルですから統一したのかも知れません。そのリニューアルに際し、ラベルには「PRE-PROHIBITION STYLE」と書かれるようになりました。このプリプロヒビションスタイルというのは、禁酒法以前のスタイルに立ち戻った、という意味でしょう。まあ、マーケティング手法の一つですが。
で、飲んでみると、凄くフルーティーでさっぱりとした飲み口が美味しいです。青リンゴの香りとか。昔のイエローラベルより美味しくなった気がします。よりライウィスキーらしくなった印象です。まさかマッシュビルに変更があったのでしょうか? それとも単なる生産年違いの風味違いに過ぎないのでしょうか? ビームの広報によると、ビーム家に伝わるレシピの中でも最も古い物を使っているとかなんとか言ってるのですが、それがどのレシピを指しているのか判然としません。熟成年数は最低4年であろうと思われますが、もしかするとイエローラベルより熟成年数の長い原酒が混ぜられているのでは?と想像します。それならばマッシュビルの変更はなくてもアップグレードに相応しいですからね。ともかくも美味しく感じるし、ボトルデザインもいい感じだし、今回のリニューアルは大歓迎です。
アメリカではボトルの形状が違う45度の物が一般的みたいで、そちらのほうがより飲み応えがあるのは間違いないですが、これはこれで軽ろやかな飲み物として成立してます。なにより1500円でこの旨さは常備酒にぴったり。
Rating:82/100


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【C】

Cask─カスク
樽のこと。キャスクと表記したほうが発音記号に近い。バーボンにはバレルが用いられることが殆ど。希にクォーターカスクというバレルの4分の1容量の小さい樽が製品意図として用いられることも。

Cask Strength─カスクストレングス
バーボン用語ではバレルプルーフ、もしくはバレルストレングスの方がより普及した言い方。メーカーズマークのバレルプルーフバーボンはカスクストレングスを名乗っている。意味は「Barrel Proof」の項を参照。

Cats and Dogs─キャッツアンドドッグス
成長の可能性が殆どなく、小口で低利益率の非プレミアムでマイナーなブランドを指す業界​​用語。

CEHT
「Colonel E. H. Taylor」の略。「EHT」の項を参照。

CGF
「Cheesy Gold Foil」の略。日本においてワイルドターキー12年ゴールドラベルと言われる物を欧米ではこう呼ぶ。WT12年の中でも人気があり、セカンダリーマーケットで価格が高騰している。チーズィーとは「安っぽい、陳腐な」の意。
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Char(Charred, Charring)─チャー(チャード、チャーリング)
樽の内側を高温で焦がし炭化させること。
チャコール(Charcoal=木炭)の「チャ」に当たる。チャーの加減には時間によって4段階のレベルがあり、以下のようになる。
No.1:15秒
No.2:30秒
No.3:45秒
No.4:55秒
このうちNo.4のみ、焦がし終えた木の質感がワニの表皮を想わせることから、別名アリゲーターチャーと呼ばれる。バーボン業界でNo.1とNo.2が選ばれることは殆どない。焼き時間を調整してNo.3〜No.4の中間にすることも。また、実験的ながら最強レヴェルのNo.7もあるらしい。

Charcoal Filtered─チャコールフィルタード
活性炭濾過されているの意。バーボンのラベルにはこう明記されていることが多い。 そう記載されてなくても一般的なバーボンは殆どされていると思われる。テネシーウィスキーのチャコール・メローイングとは違い、熟成の後、ボトリングの前に行われる。

Charcoal Mellowing─チャコールメロウイング
テネシーウィスキーの特徴的な行程の一つで、樽熟成の前にスピリットをサトウカエデの木炭で濾過すること。不要な油脂分や雑味を取り除き、テクスチャーを滑らかにし、甘味などの何かしらの風味を加えると言われる。「リンカーン・カウンティ・プロセス」とも知られる。また単に「リーチング」とも言う。それらの項も参照。
テネシーウィスキーの代表格に挙げられるジャックダニエル蒸留所の場合、以下のような感じ。まずテネシー産のサトウカエデ(シュガーメープル)の丸太を2インチ×2インチに切断し、出来た角材を井桁に組んで積み上げ、約2〜3週間かけて乾燥させる。それに蒸留したての140プルーフの原酒を撒き、火の粉を防ぐため大型フードの下で点火。およそ二時間かけて焼き、完全燃焼を防ぐため水が噴霧される。次に出来上がった木炭を粉砕機に通して細かく砕き、底にウールを敷いた深さ10フィート(約3m)のヴァットに詰める。そこへパイプから一滴一滴ジャックダニエルズの原酒が垂らされ、濾過は数日かけて行われると言う(現在では一滴一滴ではなくシャワーという説もあった)。この後、125プルーフに希釈されエイジングプロセスを経てJDの完成。

Chaser─チェイサー
後を追うものの意で、一旦ストレートでウィスキーを飲んだ後から、追跡するように飲む水や炭酸水などのこと。ウィスキーよりアルコール度数が低ければチェイサーとして成立するため、ワインやビールをチェイサーにする強者も居るという。

Chill Filtration(Chill Filtering, Chill Filtered)─チルフィルトレーション(チルフィルタリング、チルフィルタード)
冷却濾過。ウィスキーの原材料や蒸留プロセス及び樽熟成期間に自然発生する香味成分の中には、脂肪酸・タンパク質・エステル等の低温になると析出してウイスキーを白濁させたり澱を発生させる成分が含まれている。それらの成分をボトリング前に予め-4℃~0℃に冷却しながら濾過して除去する操作のこと。ロックや加水して飲む際に見た目が濁ってしまったり、内容物に澱があると見た目が悪く、消費者に悪い印象を与えかねないというのが主な理由。
聞くところによるとその行程は、一旦冷却された原酒を一連のしっかりしたニットや金属メッシュまたは紙フィルターに圧力をかけて通過させるらしい。収集される残留物の量は、フィルターの数、使用される圧力、及び速度に依存するという。このプロセス中に沈殿物や樽からの不純物も除去される。
冷却濾過で失われる成分には、香りや風味の基となるものが含まれているとされ、自然で有機的な製品を求める消費者やウィスキーマニアはノンチルチィルタード(非冷却濾過)の商品を珍重する。一方で、全ての濾過が悪い訳ではなく、外観の明瞭さを増し、いくつかの不快な味を取り除き、他の味を輝かせるとの主張もあり、現実には同一条件下の原酒のチルフィルタードとノンチルフィルタードがリリースされないと比較するのは難しい。

Christmas Rye(Xmas Rye)─クリスマスライ
古いワイルドターキー・ライは赤と緑のラベルのため、クリスマスを連想させることからこう呼ばれる。
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Column Still─コラムスティル
連続式蒸留機のこと。「カラム」と表記されることも多い。英語の発音が「カ」と「コ」の中間の音だからだろう。コラムは円柱や列を意味する言葉で、その形状を指しての名称。蒸留塔とも。コンティニュアス・スティルの項を参照。

Condenser─コンデンサー
蒸溜工程で出来た蒸気を冷やして液体に戻す装置。冷却装置とか凝縮器と訳される。外観は太い円筒状の形が一般的で、中には冷水が流れる細長いパイプを大量に備えている。多くは銅製。

Congeners─コンジェナース
化学的専門的に使わない限り、一般的にはアルコール飲料に含まれるアルコールと水以外の諸成分、との意味で使われる。ラテン語の「共に」を意味する「con-」と 「血統」や「種族」を意味する「genus, gener-」に由来するため、日本語では(あまり馴染んではいないが)同族体と訳される。発酵・蒸留・および熟成中に生ずる化学物質で、何百種類とあるうちの一部は毒性を持つか酷い味がする一方、スピリッツの香りを左右する芳香成分でもある。
低いプルーフで蒸留されたスピリッツは、コンジェナースをより多く保存するとされ、逆に高いプルーフで蒸留された場合はマッシュのコンジェナースを殆ど取り除き、純粋なエタノールに非常に近い製品を作り出す(ニュートラル・スピリッツやウォッカ)。バーボンは最高のコンジェナース含有量を有​​するウィスキーであり、シングルモルトスコッチが後に続き、カナディアンやスコッチのグレインウィスキーは同族体の含有量が少ない傾向があるとされる。エステル(Ester)、アシッド(Acids)、サルファー(Sulphur) 、アルデヒド(Aldehydes)、ジアセチル(Diacetyl)、高級アルコールおよびフューゼル油(High alcohols and fusel oils)等。

Continuous Still─コンティニュアススティル
連続式蒸留機と訳される。従来のどこか牧歌的なイメージのする古典的な単式ポットスティルと違い、工業的なイメージの漂う蒸留装置。蒸留の行程を連続的に行えることからの、つまり機能面からの名称。パテントスティル、コフィスティル、コラムスティル、ビアスティルとも言われ、厳密には違うのかも知れないが大概同じ物を指していることが多い。バーボン業界ではビアスティルかコラムスティルの名称が頻繁に使われている。スコットランド人のロバート・スタインが開発し、アイルランド人のイーニアス・コフィーが完成させたと言う。パワフルな連続的蒸留により、調整次第で、ほぼ純粋なエタノールである190プルーフ以上のスピリットを産出できるが、バーボンではフレイヴァーを残すため160プルーフ以下で蒸留しなければならないし、多くの蒸留所ではよりフレイヴァーを残すため更に低いプルーフで蒸留する。

Cooker─クッカー
粉砕した穀物と水を混ぜてマッシュを造り、糖化作業をするための金属製の大きな桶・鍋。グレインクッカー、またマッシュタブとも言う。日本語では糖化槽。内部には加熱用のスチームパイプと冷却用のクーリングパイプがあり、加熱と冷却が出来るようになっている。
ミルで別々に挽かれた穀物は、クッカーにコーン、ライ、モルテッドバーリーの順に分けて入れる。各穀物を投入する際の温度は異なり、一例を挙げるとコーン…220°F(114°C)・ライ…170°F(77°C)・モルテッドバーリー…150°F(66°C)のような感じ。過圧の具合や温度で前後するが、通常約30分程度かかる。この工程にバックセットを入れ、pHを安定させるのがサワーマッシュ製法。調理が終わると発酵槽へ移されるが、その前にマッシュは冷まされる。

Cooper(Cooperage)─クーパー(クーパレッジ)
樽を造ったり、樽を修理したりする職人。クーパレッジは樽を製造する施設、またはその仕事。

Copper─カッパー
銅。蒸留装置のどこかしらに銅が使われる理由は、蒸溜されたスピリッツと反応して硫黄化合物を銅が吸収し、硫黄臭やゴム臭、腐った野菜のような不快臭を取り除くためだと言う。

Corn─コーン
トウモロコシ。バーボンでは主に「イエロー・デント No.2」という品種が使われる。他の品種に比べて優れたフレーバーと多くのアルコールを産生するのだとか。コーンの殆どはケンタッキーやノースダコタから供給され、二次的にはサウスダコタやインディアナの物も使われていると言う。

Corn Patch and Cabin Rights Act─コーンパッチアンドキャビンライツアクト
ケンタッキーがまだバージニア州の一部だった頃、バージニア州議会は西部の土地を秩序立てようと1776年に「コーンパッチおよびキャビン権利法」と知られる法律を発行した。それは1778年1月1日以前にケンタッキー区域にキャビンを建て、トウモロコシを植えた場合、入植者は400エーカー(約160ヘクタール)の土地を請求することが出来るというもの。これが功を奏し、大量のトウモロコシが収穫されるようになると、酒造家たちはトウモロコシをベースとしたウィスキーのレシピを用いるようになり、後のケンタッキーバーボンの誕生を促したと言う。しかし、この法律はキャビンの大きさや構造、またはコーンパッチの大きさについて何も言及しなかった。そこで入植者は3〜4種のトウモロコシの種を植え、土地を受け取ることを期待して、数枚の木材で小さなキャビンを造った。このような手際の悪く機能しない法律のため、少数の蒸留一家の助けにはなったかも知れないが、バーボンに殆ど影響を与えなかった可能性が高いとも言われる。

Corn Whiskey─コーンウィスキー
コーンウィスキーは、少なくとも80%のコーンが含まれたマッシュから造られ、160プルーフを越えずに蒸留し、未成熟でもよいが、 樽に入れる場合は125プルーフ以下で入れ、なおかつ樽は古樽もしくはチャーされてない新しいオークの樽を使わねばならない。コーンリカー、ホワイトライトニングと呼ばれることもある。 

CS
「Cask Strength」の略。カスクストレングスを参照。

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【B】

Backset(Setback)─バックセット(セットバック)
日本語では蒸留残液または蒸留廃液と訳される。蒸留後のスチーム底部に残っているマッシュの薄い液体部分。スペントビア、スペントマッシュ、スティレージ、サワーマッシュとも言う。それにはアルコールは含まれていないが栄養素を持ち、新しいマッシュよりも酸性なため、次回のマッシング時にマッシュタブ(クッカー)もしくはファーメンターに加えることで酵母が働きやすい酸性環境を調え、菌の繁殖や野生酵母の侵入を防ぐ。バックセットと新しいマッシュの比率は概ね1:3〜1:4だと言われる。バックセットやセットバックという言い方は、ウィスキースラングとしてでなければ「逆戻り」や「退行」の意で、つまりはそういった命名なのだろう。サワーマッシュの項を参照。

Barley─バーリー
大麦。一般的にバーボンではマッシュに大麦麦芽が5〜15%ほど使われる。

Barley Malt─バーリーモルト
大麦麦芽。モルテッドバーリーと同じ。「Malted Barley」の項を参照。

Barrel─バレル
単純な理解としては「樽」のことと思っておいて事足りる。しかし、厳密な理解を求める場合には、樽はカスク(キャスク)と言い、バレルはサイズを表すとされる。バーボンバレル(ASB=アメリカン・スタンダード・バレル)一樽の容量は約200ℓ。しっかり乾燥させたアメリカンホワイトオークから主に造られ、内側を高熱で焼いた新樽を使うのがバーボンの縛り。新樽の使用は1938年にクーパー(樽職人)やロガー(木こり)の生活保護を目的として定められた。ただし、高品質なバーボン生産者はそもそも新樽を使っていた。使用済みのバーボンバレルはスコッチウィスキーやジャパニーズウィスキー等のメーカーに売却される。新樽は約160ドル、古樽は60〜70ドルが相場だとか。

Barrel Entry Proof─バレルエントリープルーフ
蒸留が終わった原酒を樽に入れる際のプルーフが何プルーフかということ。バーボンでは125プルーフ以上で入れてはいけない。

Barrel Proof(Barrel Strength)─バレルプルーフ(バレルストレングス)
加水調整せずに樽から出したままのアルコール度数でボトリングしたバーボンをバレルプルーフバーボンと言う。ブッカーズやジョージTスタッグ、ウィレットのファミリーエステートが有名。水で薄めないということは、一樽から取れるボトルの本数が少なくなるため贅沢な仕様であり高価になる。バレルストレングスも同じ意味で、樽から出したままの強度。またカスクストレングスも同じ。

Batch(Batching)─バッチ(バッチング)
1回分、1度分など、ひとかたまりの数量を意味する言葉。一束、一群、一団。一回の生産単位。ボトリングの前に、複数のバレルからひとつのグループを形成し、樽から出した原酒を一緒に纏める作業をバッチングと言い、それに付与される管理番号をバッチナンバーと言う。シングルバレルの場合なら一樽がそのままバッチナンバーとなる。「バッチング」という用語はそもそもブラウン=フォーマン社が「ブレンディング」という言葉に含まれるネガティヴな含みを回避するために造ったとされ、ほぼ同等の意味合い。現在ではバーボン業界では一般的な言葉となっている。

BD
「Beyond Duplication」の略。複製不可能の意。80年代初頭から85年頃まで発売されていた(輸出用は80年代後半まで)ワイルドターキー12年のラベルには比較的大きくそう書かれているため、そう呼ばれる。
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Beer─ビア
もしくは「Distillers Beer(ディスティラーズビア)」とも言う。マッシュにイーストを加えると、糖分がアルコールへと変化し、アルコール度数9%前後のビールに似た液体が得られる、それのこと。これがビアスティルに送られ蒸留が始まる。スコッチ界ではウォッシュと呼び、日本の酒造文化では醪(モロミ)と言う。習慣上、日本語でビアまたはビアーと表記されることが多いが、あの飲料用のビール(Beer)と同じ英語。ビアの香りは将来のウィスキーについて多くを語ると言われ、芳香性であることが望ましいとされる。香りの減少は酵母が汚染されていることを示し、新しい酵母株が次のバッチに使用される。

Beer Still─ビアスティル
バーボンの第一蒸留に使用される蒸留機、蒸留塔。クラフトディスティラリーが使う比較的コンパクトな物から、大手の生産工場が使う巨大な物まである。コンティニュアス・スティルともコラム・スティルとも呼ばれる。これで生産されるスピリットをロウワインと呼ぶ。

BF
「Brown Forman」の略。オールドフォレスター、アーリータイムズ、ウッドフォードリザーヴ、ジャックダニエルズ等を所有する有名な会社。
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BHC
「Bourbon Heritage Collection」の略。90年代前半(一説には94年)にユナイテッド・ディスティラーズ&ヴィントナーズ(後のディアジオ)から発売された長期熟成酒5本のコレクション。その内訳は、
・VERY SPECIAL Old Fitzgelard 12y 90p
・W.L. Weller CENTENNIAL 10y 100p
・I.W. HARPER 15y 80p
・OLD CHARTER Proprietor's Reserve 13y 90p
・George Dickel SPECIAL BARREL RESERVE 10y 86p
と、なっている。これらの中で人気の高いのは伝説のスティツェル=ウェラー蒸留所産であるヴェリー・スペシャル・オールド・フィッツジェラルドとW.L.ウェラー・センテニアルの二つ。また、このコレクションにはフルボトルの他にミニボトルもある。
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BIB
「Bottled in Bond」の略。ボトルドインボンドの項を参照。

Big Four─ビッグフォー
禁酒法解禁後に業界を支配した超強力な四社のこと。ナショナル・ディスティラーズ、シェンリー、ハイラム・ウォーカー、シーグラムの四社。

Blended Whiskey─ブレンデッドウィスキー
少なくとも20%のストレートウィスキーを含み、残りはウィスキーまたはグレイン・ニュートラル・スピリッツで構成されるウィスキーのこと。ごく簡単に言うと、20%のストレートウィスキーと80%のウォッカを想像すると分りやすく、「ブラウンウォッカ」ないしは「ウィスキー風味のウォッカ」が近い。概ね安価であり、そこが魅力。

BMH
「Black Maple Hill」の略。カリフォルニア州サンカルロスに本社を置くインポーター「CVIブランズ」(NDP)のブランド。ブラック・メイプル・ヒルはアメリカでバーボンが爆発的な高需要になる以前の2000年に発売された。その初期のリリースは、ジュリアン・ヴァン・ウィンクル三世によるスティツェル=ウェラーの小麦バーボンであるとされ、セカンダリーマーケットでも高値がつく伝説のバーボンの一つ。その後ボトリングの担当はKBDになり、使用されたウィスキーはヘヴンヒルから来たと噂される。元々はケンタッキーに眠る長期熟成古酒をソースとして販売するブランドだったが、バーボンブームが沸き起こるとそれらの入手は困難になり、遂に2014年からはオレゴン州のマイクロディスティラリーを供給源とした新しいブラック・メイプル・ヒルとなった。それはラベルデザインは同じながら、ボトルの形状が異なっている。
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Bonded(Bonded Act, Bonded Bourbon)─ボンデッド(ボンデッドアクト、ボンデッドバーボン)
ボンドされていること、すなわちボトルド・イン・ボンドの状態であること。納税済み。代表的な銘柄にはビーム・ボンデッドやオールド・グランダッド・ボンデッド、オールド・フォレスター・ボンデッド等がある。「Bottled in Bond」を参照のこと。

Bootlegger─ブートレッガー
酒の密輸、密売、密造などをする人のこと。禁酒法時代に酒瓶をブーツの中に隠して持ち運んだことからそう言われるようになったと言う。

Bottled in Bond(Bottled in Bond Act)─ボトルドインボンド(ボトルドインボンドアクト)
現代バーボンの父として、バーボンの歴史にその名を刻むエドモンド・H・テイラー・ジュニアの尽力により、1897年に制定された主に商標と税に関わる法律。単一の蒸留所に於いて単一の年かつ単一のシーズンに蒸留され、政府管理の連邦保税倉庫で最低4年以上熟成し、100プルーフ(50度)でボトリングされたスピリットのみ、そう称することが許される。またラベルには蒸留所の連邦許可番号(DSPナンバー)の記載が義務づけられ、ボトリング施設も記載しなければならない。上の条件を満たした物は、時の財務長官ジョン・カーライルの肖像を擁した緑の証紙で封がされ、謂わばその証紙が消費者にとって品質の目印となる。紛い物やラベルの虚偽表示が横行していた時代にあって、ラベルには真実を書かねばないとするアメリカ初の消費者保護法で、結果的に蒸留酒の品質を政府が保証してしまうという画期的な法案だった。現在では廃止された法律だが、バーボン業界では商売上の慣習と品質基準のイメージを活かして、一部の製品がその名残を使っている。エヴァン・ウィリアムスやヘンリー・マッケンナ、ヴェリー・オールド・バートン等が代表例。

Bottom Shelf─ボトムシェルフ
品質の低い物を指す言葉。一般的に高級な品物は棚の上方へ置き(トップシェルフ)、低級な品物を棚の下方へ置くことから。ボトムシェルフ・バーボン、ボトムシェルフ・ブランド、と言えば安価なバーボンや大量生産されるブランドのことだが、一概に低価格イコール低品質とは言い切れず、お買い得なバーボンのことを意味することもある。類義語、バジェットバーボン。

Bourbon Whiskey─バーボンウィスキー
この世に存在する蒸留酒の中で最も美味しい、と私が思っているもの。それは甘美な言葉、それは誘惑する香り、それは魅了する味わい、それはアメリカへの憧憬。
バーボンの規定は、アメリカ合衆国内で製造され、少なくとも51%のコーンを含むマッシュを用いて、160プルーフ以下で蒸留し、チャーした新しいオークのコンテナーに125プルーフ以下で入れ、80プルーフ以上でボトリングしなければならない。

BP
「Barrel Proof」の略。バレルプルーフの項をを参照。

BT
「Buffalo Trace」の略。バッファロートレース蒸留所の名前そのものがついたバーボン。もしくは蒸留所自体。親会社はサゼラック。大変歴史ある蒸留所で、リーズタウン蒸留所、オールド・ファイヤー・カッパー蒸留所、ジョージ T スタッグ蒸留所、ブラントン蒸留所、エンシェントエイジ蒸留所とも知られる。
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BTAC
「Buffalo Trace Antique Collection」の略。バッファロートレース蒸留所が毎年秋にリリースする長期熟成を軸とした数量限定のプレミアムラインナップ。銘柄は、
・GEORGE T. STAGG
・Eagle Rare 17 Year Old
・William Larue Weller
・Sazerac Rye 18 Year Old
・THOMAS H. HANDY Sazerac Rye
の5本で、ロウ・ライ・レシピが2本、ウィーテッド・バーボンが1本、ライウイスキーが2本、という内訳。
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このアンティークコレクションは、レシピに発酵や蒸留、どの熟成庫の何階で熟成したか、蒸発率はどのくらいか等、その素性を詳細に明かしてくれるのがマニアには面白いところ。一例として、ジョージTスタッグ2017は下記のようになっている(バッファロートレース蒸留所公式ホームページより)。
Age Profile
・Year of Distillation: Spring of 2002
・Release: Fall of 2017
・Release Brand Name: George T. Stagg Kentucky Straight Bourbon Whiskey
・Proof for release: 129.2 proof
Recipe
・Large Grain: Kentucky Corn; Distillers Grade #1 and #2
・Small Grain: Minnesota Rye
・Finish Grain: North Dakota Malted Barley
Cooking / Fermentation
・Milling Screen: #10
・Cook Temperature: 240 degrees Fahrenheit
・Water: Kentucky limestone with reverse osmosis
・Fermentation: Carbon steel / black iron fermenter
・Mash: Sour
Distillation & Aging
・Distillation: Double distilled; beer still and doubler
・Proof off still: 135 proof
・Barrel: New, white oak; #4 char; charred for 55 seconds
・Barrel Maker: Independent Stave; Lebanon, KY
・Barrel Entry Proof: 125 proof
・Barrel Size: 53 liquid gallons; 66.25 original proof gallons
・Warehouse: Warehouses C, K, M, & Q
・Floor: 1, 2, 3 and 6
・Evaporation loss: 54.03% of the original whiskey lost to evaporation
Bottling
・Barrel Selection: 309 hand selected barrels
・Filtration: None
・Product Age: 15 years and 3 months old at bottling
・Tasting comment: “Espresso, chocolate fudge, and tobacco”        

BTEC
「Buffalo Trace Experimental Collection」の略。ケンタッキー州でも屈指の老舗であるバッファロートレース蒸留所では、伝統に寄り掛からず進取の気風に富み、伝統的なバーボンを造る以外にも様々な実験が試みられている。それはバーボン製造工程のどこかを変更し、そうすることによって最終的なフレイヴァーにどのような影響を及ぼすか確かめる作業。原料に非伝統的な穀物を使ったり、樽材を変更したり、樽のサイズを変えてみたり、赤外線でトーストしてみたり、#7のチャーを施してみたり、1本の木の上部と根に近い部分の木材で別々の樽を作って比較したり、樽への自然光の影響を探ってみたり、バレルエントリープルーフを変えたり、とにかく色々やる。実験専用の倉庫「Warehouse X」が有名。そうして出来上がったバーボンは完全な失敗作を除き、いくつかは「エクスペリメンタル・コレクション」として販売される。バーボンオタクにとって科学的実験の成果を味わえる興味深いシリーズ。
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Budget Bourbon─バジェットバーボン
バジェットは予算・経費を意味する言葉で、形容詞として使うと「お買い得の、格安の」を意味する。日本語で言うと、お値打ち価格の安バーボン。

Bulk─バルク
大量、一括、嵩などを意味する言葉。バルクウィスキー、バルクマーケットなどのタームがある。自社でスピリットを蒸留せずとも、大手の蒸留所もしくは中間業者から樽やコンテナー単位でスピリットを購入し、それにオリジナルラベルを貼り付けて販売するビジネスがあり、売り手側からするとバルク販売、買い手側からするとバルク買い、と言う。バーボン界ではヘヴンヒル蒸留所がこのビジネスモデルの王者として有名。バルクウィスキーと言うと、どことなくロマンスに欠けるイメージから、自家蒸留のものに較べて品質の劣ったものと錯覚しやすいが、確かに最高峰のクオリティではなくとも、大手蒸留所が造るだけに低品質な訳ではない。

Bung─バング
バングホールを塞ぐ栓。バレルを密封するストッパー。

Bung Flogger─バングフロガー
樽を叩いてバングを緩めるための木槌。

Bunghole─バングホール
バレルの側面中央部にあるウィスキーの出入口。ここから中身を出し入れしたり、シーフを挿したりする。

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Blaton's Gold Edition
Dumped on 9-2-97
Barrel No.62
Warehouse H on Rick No.11
103 Proof
ブラントンズ・ゴールドはアメリカ国内では一般流通しておらず、免税店と輸出向けの製品です。こちらはプチ・オールドボトルということもあるかも知れませんが、妙にとろりとした酒質とリッチなフレイヴァーはスタンダードを遥かに凌駕していました。
Rating:90/100

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■はじめに
バーボンが好き。だから飲む。小難しい能書きなんて要らない。それが全てだと思う。けれども、好きな物事についてもっと知りたい、というのも人間の欲。

せっかくバーボンに興味があって当ブログへ辿り着いたものの、カタカナ言葉や専門用語の連発によく意味がわからない、という初心者の方もいるでしょう。また、ウィスキー全般の用語集は見かけますが、バーボンに特化したものはあまりないように思えます。そこで便宜のためバーボン用語集を作成してみました。バーボンに対する理解の一助となれば幸いです。

項目の採択は基本を押さえつつ初級〜中級者の方を対象にしています。ネット時代・SNS全盛の世の中に対応するため、項目には略語も取り入れてみました。ネットの世界では入力の簡易化のためか、頻繁に略語が使われ、一瞬何のことか分からないことがありますから。

なるべく正確を期したつもりですが、なにぶん一人で執筆してるので、不備もあるかと思います。間違いの指摘は大歓迎ですのでコメントしてもらえると助かります。それではバーボンの旅(知識編)を共に始めましょう。

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【A】

◆AA
「Ancient Age」の略。エンシェントエイジは現在バッファロートレース蒸留所の造るエントリーレヴェルのバーボン。マッシュビルはブラントンズと同じ#2で造られる。元はシェンリーが創始した名ブランド。
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AAA
「Ancient Ancient Age」の略。エンシェントエイジより熟成年数の長い上位レヴェルのバーボン。主に6年より上の熟成の物に付けられる名称。
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ABV
「Alcohol by Volume」の略。アルコール度数。或るアルコール飲料のエタノールの体積濃度をパーセントで示したもの。プルーフの半分。バーボンのラベル上でここまで省略されることは希で、概ね「100 PROOF(50% Alc/Vol)」のように表記される。

AE
「Angel’s Envy」の略。元ブラウン=フォーマンの伝説のマスターディスティラーで、ウッドフォード・リザーヴやジェントルマン・ジャックの商品開発に寄与したリンカーン・ヘンダーソンと、その息子のウェス・ヘンダーソンが中心となって立ち上げたルイヴィル・ディスティリング・カンパニーのブランド。現在、親会社はバカルディとなっている。ポートワインの樽で仕上げたバーボン等で名高い。エンジェルズ・エンヴィは「天使の羨望」と訳され、その由来は、ウィスキーが熟成中に蒸発する現象を「エンジェルズ・シェア(天使の分け前)」と言うが、それを天使が飲んだと見做すと、残ったお酒つまり熟成されたお酒の方が美味しい筈で、そうなると天使は天国で飲めなかったお酒に嫉妬しているだろう、といった意味合いかと。
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After(Aftertaste)─アフター(アフターテイスト)
ウィスキーを飲み込んだ後に、口内や鼻孔に残る香りや、食道からの戻り香。余韻。どちらかと言えば「フィニッシュ」の方がより使われている。

Age(Aged)─エイジ(エイジド)
熟成年数のこと。熟成とは樽に入っていた期間であり、瓶に入っている期間は含まれない。また熟成を止めるためステンレスタンク等にバーボンを容れることがあるが、これも熟成期間にはカウントされない。

Age Statement─エイジステイトメント
ラベル上の熟成年数の提示。ラベルに記載する年数表記は、異なる熟成年数の原酒が混ぜられている場合、その最も若い原酒の年数を記載しなければならない。例、6年・8年・10年のブレンドなら「Aged 6 years」とする。また4年以上熟成させた製品のラベルには年数表記の義務はないが、4年以下の場合には必ず熟成年数を記載しなければならない。
熟成年数の提示は、その製品を造る会社の在庫と販売戦略によって容易く左右される。例えば、或る時期過剰生産して在庫に余裕があり、尚且つその10年後に販売数が伸び悩む状況があれば、長期熟成を謳ったブランドを発売するという具合に。逆に、或る時期販売数が激減していたので生産を縮小し、その10年後急に販売数が激増して在庫が逼迫する状況があれば、それまであった熟成年数の提示を止める。「NAS」の項も参照。

Aging─エイジング
熟成のプロセス、またそうすること。マチュレーション。

AHH
「A. H. Hirsch」の略。1974年にペンシルべニア州シェーファーズタウン近くのPennco蒸留所(以前はボンバーガー蒸留所として知られ、後にミクターズ蒸留所となった)にて蒸留された伝説のバーボン。元シェンリーの役員だったアドルフ・H・ハーシュ氏の名前を冠している。
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Alligator Char─アリゲーターチャー
バーボン樽の内側を焦がす際に選べるチャーリング・レベルのうち#4 チャーのことをこう呼ぶ。焦がし終え炭化したバレルの内部が、ワニ皮の粗く光沢のあるテクスチャーに似ているため。「チャー」の項を参照。
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Amylase─アミラーゼ
澱粉やグリコーゲンを加水分解してマルトース(麦芽糖)やグルコース(ブドウ糖)を生成する酵素の総称。ウィスキーの原料の穀物に含まれる澱粉はそのままの状態では発酵できないため、酵素を用いて糖に分解させなければならない(マッシングプロセス)。α-アミラーゼは直ちにデンプンを糖に分解するパワーとなり、β-アミラーゼはそれらを酵母のために発酵可能な糖へと更に分解する。

Angel's Share─エンジェルズシェア
日本語では「天使の分け前」と訳される。また「天使の取り分」とも。木で出来た樽は多孔質の特性上、液体が漏れるほどではないが気体は通す。そのため熟成の過程で樽から蒸発して失われる酒量を天国へのお供え物に準えてそう呼ぶ。ボトリングまでの間にその容積の約30〜40%は平均して失われるという。造り手からすると損失ではあるのだが、天使がよく飲んだほうが美味しいバーボンになるのだとか。ビーム社の「デヴィルズカット」という製品では、謂わばこのエンジェルズシェアの逆を行こうと、中身を出したあとの樽に水を入れ撹拌し、樽に染み込んだバーボンの成分を取り戻そうとする。悪魔の効果のほどは不明。
天使が飲んでしまう量は、樽の大きさや環境条件、熟成期間等によって大きく異なる。以下、主だった事由を挙げてみる。
①樽のサイズ
小さな樽では液体が樽材に接触する表面積の割合が増えるため、バレルが小さければ小さいほど蒸発の進行が速い。これは熟成の速さも同様。
②気候
スコットランドの天使に較べ、ケンタッキー州の天使は貪欲と言われる。スコットランドのエンジェルズシェアが年平均約2%に対し、ケンタッキー州では年平均約4%と倍近い。両者間での気温の差は蒸発率と成熟率の違いの大きな要因となっている。夏の平均最高気温は、スコットランド約19℃(66°F)、ケンタッキー州約32℃(89°F)。また同じくらい湿度も重要で、湿度が低く温度が高いと水分の蒸発が多くなり、アルコール含量が上がる(プルーフアップ)。逆に湿度が高く温度が低いと、水分よりもアルコールの方が蒸発し、アルコール含量が下がる(プルーフダウン)。もしかすると夏と冬の寒暖差も影響があるかも知れない。
③熟成庫のスタイル
煉瓦や石造りの倉庫か、スレート造りの倉庫かの違い。前者の方が庫内は涼しいと予想される。また、熟成庫には窓が付いているが、倉庫内の気流も大いに関係するだろう。
④熟成庫内のロケーション
ケンタッキーの伝統的な蒸留所は7〜9階建ての熟成庫が多い。倉庫の上層階は非常に暑く乾燥し、逆に下層階は涼しく湿っぽい。これは謂わば②と同じ状況が一つの建物内の上下で起こっているようなもの。そのためバレルを置く位置で蒸発率はかなり変わる。それはバレル間の風味プロファイルも変わることを含意する。
⑤熟成期間
初年度が最も蒸発し、徐々に蒸発のスピードは緩やかになるが、長ければ長いほど減ってゆく。これが長期熟成ウィスキーの値段が高いベーシックな理由。一例として言うと、バッファロートレース蒸留所のマスターディスティラーであるハーレン・ウィートリーによれば、初年度が10%、次からの8年間は4%、その後は3%の蒸発率だとか。
⑥バレルエントリープルーフ
125プルーフと110プルーフとでは容量中のアルコール対水の比率が違うので、この差が蒸発率に影響を与える可能性もある。

Anki─アンキ
愛知県名古屋市にある老舗のバーボンバー。希少なオールドボトルの品揃えは日本屈指で、バーボンの桃源郷。近年はオーナーの息子さんもカウンターに立っているらしい。

Aroma─アロマ
芳香、香りのこと。バーボンではどちらかと言えば「ノーズ」の方が使われる。テイスティングノート等に於いて「香り/アロマ/ノーズ」とあれば、どれも鼻で感じる芳香成分のことを指している。

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ワイルドターキー8年とライ、ラベルを遡って一言レビュー。

ワイルドターキー新ラベル2
WILD TURKEY 8 Years 101 Proof
モノクロ チラ見ラベル
2015年から現在。昔のものよりフルーティな味わい。
Rating:85.5/100


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WILD TURKEY 8 Years 101 Proof
セピアトーン 横向きラベル
2011年から2015年。現行と同じほぼ風味プロファイル。
Rating:85.5/100


ワイルドターキーライ2
WILD TURKEY RYE 81 Proof
セピアトーン 横向きラベル
アルコール度数が低すぎて少々退屈な味わいに。
Rating:78.5/100


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WILD TURKEY 8 Years 101 Proof
フルカラー 横向き
1999年から2011年。最近のものよりヴァニラフレイヴァーが強かったような気がする。
Rating:86.5/100


ワイルドターキーライ旧2
WILD TURKEY RYE 101 Proof
フルカラー 横向き
スパイシーでパンチも充分。旨い。けれどもライウイスキー感をあまり感じない。ブラインドテイスティングで提供されたら、当てる自信がない。
Rating:85/100


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WILD TURKEY 8 Years 101 Proof
正面ターキー
〜1999年。アロマ、フレーバー、アフター、全てストロング。味わいが現行品より立体的に感じる。
Rating:88/100


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WILD TURKEY RYE 101 Proof
クリスマスライ 正面ターキー
未開栓。
採点なし

※レアブリードのラベルの変遷はこちらこちらをご参照下さい。

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JACK DANIEL'S MASTER DISTILLER 90 Proof
現在では43度でボトリングされ、歴代のマスターディスティラーがフューチャーされている「マスターディスティラーシリーズ」の祖先的な?元祖的な?やつです。1993年に日本限定で発売され、2001年に終売となりました。
蒸留所のマスターディスティラーは熟成庫を隅々まで知り尽くしており、どの場所が原酒にとって最良であるか知っているし、どれが特別な樽であるかも知っている。そして、それを自らの親しい友人のみに振る舞ったとか。そういう逸話を基に造られたのがこの限定版テネシーウイスキーでしょう。ブラントンやフォアローゼスブラックでも似たような逸話で語られていますね。下に付属品の小冊子の文章を、短いので全文掲載しておきます。

「創始者ジャック・ダニエルが、かつて親しい友人に贈るためにえらびだしていた、とっておきのテネシーウイスキー。それは、ジャック・ダニエル・ウイスキーの中でも、ある貯蔵庫の特定の場所で熟成し、より深い色と豊かなコクをまとった逸品でした。このウイスキーは大切に保存され、彼自身のサイン入りで、限られた人々にだけ贈られていました。今日でも、この『ジャック・ダニエル・マスター・ディスティラー』は、創始者が発見したその貯蔵庫の同じ場所から、熟練の手で選び出されているウイスキーです。たとえようもなくスムーズで、いちだんと深い味わい。ジャック・ダニエル・ウイスキーのすばらしさを愛する人々にとって、これ以上の贈りものはありません。」

現実的に考えると、おそらく熟成庫の上層部から選ばれた樽のスモールバッチではないかと予想します。発売年代から考えてジミー・ベッドフォードがマスターディスティラーの時代の物でしょう。

本ボトルは推定98年のボトリング。アロマ・パレート・フィニッシュ全てにおいて、スタンダードなOld No.7は言うに及ばず、物によっては47度のシングルバレルより香り高いし、旨みも強い気がします。他のバッチはどうか知りませんが、このボトルには結晶のような澱(オリ)が発生していました。大概のウイスキーは澱があるほうが美味しい気がします。
Rating:86/100

ジャックMD2

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Four Roses Yellow Label 80 Proof
昔のフォアローゼズ イエローラベル。多分90年代後期流通の物かと思います。所謂オールドボトルとして購入したので、匂いはカビっぽさが少々しますけど、口の中では気になりません。スパイシー、ドライな感じで現行の物より甘味が少ない印象を受けました。なにより自分にとってはこのラベルこそフォアローゼスって感じがします。
Rating:80/100

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JIM BEAM White Label 80 Proof
2012年ボトリング。キャラメル、焼きたてパン、フレッシュフルーツ(強いて言うとマスカット)、樽香、どれもが弱々しく香る程度。でもバランスは良い。売れてる本数から言っても味の採点基準にちょうどいいかと。
Rating:78/100

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