バーボン、ストレート、ノーチェイサー

◆◆FOR BOURBON LOVERS ONLY◆◆ バーボンの紹介やレビュー、レーティングなど。

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過去投稿のブレット80プルーフのレビューでブランド紹介はしていたのですが、その後明らかになった部分もあるので、ここで再度書き直したいと思います。

長年法律に携わって来たトーマス・E・ブレットJr.ことトム・ブレットは、1987年にブレット・ディスティリング・カンパニーを立ち上げ、夢の実現へと踏み出しました。それはトムの曾々祖父にあたり、ルイヴィルのタヴァーン店主だったというオーガスタス・ブレットが1830年から1860年の間に造っていたウィスキーの復活です。オーガスタスはフラットボートに樽を一杯に載せ、ケンタッキーからオハイオ川を下りニューオリンズへと売却に向かう輸送中に行方不明となりました。そのレシピはライが3分の2とコーンが3分の1のライウィスキーだったと伝えられています。トムは現代のブレットバーボンを市場の殆どのバーボンより高いライ麦率にすることによってオリジナルのマッシュビルに敬意を表しました。

ブレットバーボンが初めて世に出たのは1995年です。初期のブレットは現在の物とは全く異なるデザインで、マーケティングに家族の歴史を殊更持ち出さなかったし、フロンティア・ウィスキーとも名乗っていませんでした。代わりにケンタッキーの特産であるサラブレッドを全面に押し出していました。
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この初期ブレットはエルマー・T・リーやウェラー・センテニアルと同じスクワットボトルに入っており、90プルーフと100プルーフ「サラブレッド」のヴァリエーションがあったようです(90プルーフの方は上掲の画像からサラブレッドの絵と文字を抜いた同一デザイン)。NDPとしてスタートしているブレット・ディスティリング・カンパニーは蒸留所を持たないので、当時エンシェントエイジ蒸留所またはジョージ・T・スタッグ蒸留所とも知られていた現バッファロートレース蒸留所(DSP-KY-113)との契約蒸留で製品を生産しました(*)。多分、熟成もフランクフォートの倉庫で間違いないでしょう。私の持っている97年発行のバーボン本ではブレット・サラブレッドの紹介文にこう書かれています。
「委託蒸留した優良原酒を独自の技法で熟成、瓶詰めしているが、その熟成法が独特。通常の半分の期間での熟成を可能にした画期的な方法で~」
云々と。これはおそらく当時トムが4〜6年程度の熟成で10年熟成の味を作る新しいテクニックだとマーケティング上語ったところから来ているのだと思います。実際にはかなり古くからあるテクニックで、寒い冬の間に倉庫を加熱することを意味しました。確かバッファロートレースにはそういう装置が付いた倉庫があったと思います。あと1999年までエンシェントエイジ蒸留所で生産されたという説も見かけました。

転機は比較的早く、1997年に訪れます。当時世界に冠たるシーグラムとのパトナーシップです。おそらくスマートなビジネスマンであったトムはブレットの国際化を望んだでしょうし、シーグラムもまた競争力のあるバーボンブランドを望んだ思惑の一致ではないかと思います。しかしどうやら初めシーグラムの幹部は「Bulleit(Bullet=弾丸と同じ発音)」という名前は好きだったが、古くさいパッケージングは気に入らなかったようです。そこでシーグラムはブランドを購入する前に解決策として新たなブランディングを求め、トムに有名な広告代理店DDB(ドイル・デーン・バーンバック)を辞めたばかりのボブ・マッコールとジャック・マリウッチを組ませました。これは当時の社長エドガー・ブロンフマンJr.の長年に渡る友人であり、広告とメディアのエグゼクティブであり、シーグラムのアドヴァイザーでもあるジョン・バーンバック(多分DDB創業者の1人ウィリアム・バーンバックの息子さん)からの流れではないかと推測します。ともかくボブとジャックの二人は製品コンセプトのアイデアを上手く手助けしてくれたようです。トムは8冊のバーボン図書をボブに送ると、それを読んだ彼はフロンティア・ウィスキーのコンセプトを思いつき、トムの家族の歴史に結びつけました。これは単なるバーボンではない、フロンティア・ウィスキーである、と。現在は見られませんが、強力なスローガンもあったようです。「まだ男が男で、ウィスキーがバーボンだった時代(意訳)」。実にキャッチーでカッコいいコピーですね。こうした新しい製品コンセプトはシーグラムの幹部も気に入り、エドガー・ジュニアの最終的なOKをもらいます。そして新しいブレットのパッケージはオレゴン州ポートランドのサンドストロム・パートナーズによって開発されました。現在我々が知る姿の、アンティークな薬瓶のようなボトル形状、エンボス加工された全面の文字、少し傾いたラベル等、新しいコンセプトを完璧に捉えた卓抜なデザインです。こうして新生ブレットは1999年から米国市場へ導入され、肝心の中身のジュースも、おそらくエンシェントエイジ・バレルが枯渇した後、シーグラム傘下のフォアローゼズ蒸留所産のものに切り替えられました。

2000年になると、また一つの転機が訪れます。90年代にエンターテイメント事業への傾斜を強めていたシーグラムはMCAやポリグラムを買収しますが、巨額の買収費用に対して映画部門でのヒットに恵まれず収益が上がらなかったため、一転して身売り交渉に入り、メディア事業の拡大を進めていたフランスの企業ヴィヴェンディとの合併に合意。合併後、酒類部門の資産はイギリスのディアジオとフランスのペルノ・リカールに分割して売却され、企業としてのシーグラムは終わりを迎えます。ブレット・ブランドはディアジオの元へ行きました。ディアジオはフォアローゼズとの契約をブレットのソースとして残します。
2000年以降、徐々に販売数を増やしていったブレットは今日トップブランドの地位を確立しています。アメリカ全土のバーテンダーやミクソロジストからの人気が高く、特にカリフォルニア州で絶大な人気を誇るとか。また順次世界へも販路を拡げて行きました。ブレットの目覚しい業績は、シーグラム時代のブランドのリニューアル、世界最大規模の酒類企業ディアジオの販売戦略の巧みさ、折からのバーボンブーム、またトム・ブレット本人の知的な努力と人柄の賜物でもあったでしょうが、フォアローゼズの供給するハイ・クオリティな原酒も間違いなくその要因の一つだと思います。
フォアローゼズ蒸留所は2013年までブレットの唯一の供給源だったと考えられていますが、現在の供給元が何処であるかは公開されていません。熟成年数を考慮すると(スタンダードのブレットで約6年)、現在流通しているボトルはまだ殆どがフォアローゼズ蒸留所産だとは思います。ディアジオは長年ブラウン=フォーマンと蒸留契約を結んでいるとも言われ、更にジムビームやバートンもバーボンをディアジョに提供していると噂されています。ブレット側によれば、蒸留パートナーを具体的に明かすことは出来ないが、従来のハイ・ライ・マッシュビルの高品質バーボンを提供するというコミットメントは保証するそうです(**)。

日本に住んでいるとブレットの存在感は、ジムビーム、ワイルドターキー、フォアローゼズ、メーカーズマーク、I.W.ハーパー、アーリータイムズ等のブランドの遥か後塵を拝してるように感じてしまいますが、世界ではそれらトップ・ブランドに肩を並べる成長率を見せています。それ故にでしょう、ディアジオのブレット・ブランドに対する信頼は絶大です。それは2014年にディアジオが所有していたスティツェル=ウェラー蒸留所(オールドフィッツジェラルド蒸留所)の一部を改装してブレット・エクスペリエンスというビジター・センターにしたことによく現れています。エヴァンウィリアムスのビジター・センターもそうなのですが、これは謂わばバーボンファン版のディズニーランド。昔から蒸留所を巡るツアーは観光ビジネスとしてありましたが、バーボンの人気がアメリカで爆発的再興をする流れの中で、各蒸留所またはその親会社は今まで以上にそこに資金を投入する価値を見出だしています。そして2017年3月には、ルイヴィルから約30マイル西にあるシェルビーヴィルに1億1500万ドルで新しいブレット蒸留所がディアジオによって建設されました。年間180万プルーフガロンを生産可能な施設だそうで、今後のブレットの生産拠点となって行くのでしょう。

さて、ブレットにはスタンダードのオレンジラベル以外にいくつか種類があります。2011年からリリースされているライウィスキーはグリーンラベル。2016年にリリースのバレル・ストレングスはブラックラベル。そして今回レビューするブレット10年がクリーム色のラベルとなっています。
10年クリームラベルは2013年からブランド展開された数量限定の製品です。マッシュビルはスタンダードなオレンジラベルと同じコーン68%/ライ28%/モルテッドバーリー4%。10年は最も若い原酒の年数であり、11年と12年原酒もブレンドされているとの情報もありました。ラベルにローレンスバーグの記載がありますので、原酒はフォアローゼズ蒸留所産で間違いないと思います。

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BULLEIT BOURBON Aged 10 Years 45.6% alc/vol
2017年ボトリング。熟したプラム、香ばしい樽香、接着剤、タバコ、ライスパイス、ブラウンシュガー、葡萄、蜂蜜、藁半紙、パクチー。やや溶剤臭をともなった焦樽フルーツ系アロマ。口当たりはさっぱりウォータリー。口中では赤い果実感もほんの少し感じれる。余韻は苦味のあるフルーツとスパイス。些かウッディ過ぎる嫌いはあるものの、熟成感とクリアネスが同居する味わいは悪くない(フィルタリングの成果か?)。開封直後は苦味と渋味が目立ち好みのバランスではなかったが、2週間位すると甘味も感じやすくなりバランスが整った。旨味よりはフルーティな香味で攻めるキャラクター。
Rating:86.5/100

Value:スタンダードなオレンジラベルより熟成年数が増えることによって、味わいもそのまま大人になったような印象です。具体的に言うと、フレッシュフルーツだったものが完熟フルーツになり、更に接着剤の香りがつき、苦味と渋味が増したことで味に一本芯が通る感じ。ここら辺をどう評価するかで、買う価値があるかが決まります。ブレット10年は、アメリカ本国ではスタンダードの倍の値札が付き、日本でも概ね2~3倍の値段になります。率直に言うと、私だったらスタンダードの方を購入するか、フォアローゼズのスモールバッチを最安値で買う選択をします。けっして不味い訳ではなく美味しいのですが、個人的嗜好と経済性からの意見です。


*この頃は樽買いだった可能性もありますが、真相がわからないので、とりあえず契約蒸留だったという体で書き進めています。

**どうやらジムビーム産である可能性が高いようです。その場合、味はOGDに近いかも知れませんね。

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バーボンの空き瓶を活用して、プチプラリメイクでお洒落なインテリアにするこの企画、今回はクリスマスシーズンということもあり、メーカーズマークのカスクストレングスの瓶を使用して、クリスマス仕様にしてみました。

材料はいつものごとく百均で仕入れて来ました。先ずは瓶に浮き出た「Maker's Mark」の文字をガラスに書けるペンでなぞります。何度かやってるうちになぞるのが上手くなってきました(笑)。

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で、そうしたらポプリを瓶の中に詰め込みます。100均大手D社のポプリはいくつか色展開がありましたが、クリスマスカラーに合わせるためグリーンを選択。

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仕上げにサンタさんの帽子を被せたら完成です。これだけ家にあった物を使いましたが、百均でツリー用の飾りグッズに同じようなのがあるんじゃないかと思います。

メーカーズマークならではの垂れた蝋封とボトル形状のおかげで可愛いインテリアになりました。クリスマスが過ぎたら帽子を取れば一年中飾れます。皆様も是非~。

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テンプルトン・ライは日本でも酒販店やバーで取り扱う店が多く、ライウィスキーの中では比較的有名なブランドかと思います。ラベルに使われている写真は禁酒法下のスピークイージーでの一葉でしょうか? とても雰囲気あるラベルでカッコいいですよね。
伝説によればテンプルトン・ライは、元々はアイオワ州キャロル郡の小さな町テンプルトン(人口は2010年の国勢調査で362人だった)の農家の人々が収入を補う方法として禁酒法期間中に造られ、それが高品質であったことから「ザ・グッド・スタッフ」と知られるようになり、シカゴ、オマハ、カンザスシティのスピークイージーで人気があったと伝えられています。しかも、あの伝説的ギャングスター アル・カポーンのお気に入りであったと言われ、晩年アルカトラズ刑務所に投獄されたカポーンは刑務所の中にあの手この手でテンプルトンを持ち込ませ、独房(AZ-85)からはボトルが発見されているのだとか。まあ、この手の話はマーケティング上のバックストーリーなので、正直どこまで本当か判りません。

現代のテンプルトン・ライは、2001年頃(または02年とか05年という説もあった)、アイオワンのスコット・ブッシュがテンプルトンの復活を思い付き、禁酒法時代のレシピを知る人を探して、メリルとキースのカーコフ親子とパートナーシップを組み、テンプルトン・ライ・スピリッツLLCを立ち上げたのが始まりで、2006年に初めての製品が市場にリリースされました。アイオワ州以外での流通は2007年8月に開始され、2013年には全国的に流通するようになったと言います。日本語でテンプルトン・ライを検索すると、古い記事で2008年の日付が見られ、かなり早い時期から日本にも輸入されていたのが伺えます。

さて、トップ画像の物、つまり今回のレビュー対象は、現行製品とは若干異なる旧いラベルの物です。このラベルの変更には、単なるリニューアルではない困った理由があります。テンプルトン・ライは2014年にラベルの虚偽表示に対する集団訴訟の対象としてシカゴの法律事務所から訴えられ、仕方なくラベル表記の変更をすることになったのです。おそらく訴えられていなければラベルはそのままだったのではないでしょうか。2015年には集団訴訟和解案に基づき、2006年以来製品を購入した顧客への払い戻しをするとも発表されました(*)。なぜこんなことになったかと言うと、テンプルトン・ライは発売当初から実際には違うにも拘わらず、禁酒法時代のレシピを再現してアイオワ州で少量生産されているかの如き体裁をとり、消費者のミスリーディングを誘発しかねないマーケティングを行っていたからです。そしてそれはラベルの表記にも端的に現れていました。
実際のテンプルトン・ライは、インディアナ州ローレンスバーグにある元シーグラムの大型蒸留所(現MGP)で蒸留され熟成されたバレル(95%ライ/5%バーリーのライウィスキー)を購入し、それをアイオワ州へと運んだ後、ケンタッキー州ルイヴィルにあるクラレンドン・フレイヴァーズ社のアルコール・フレイヴァリング・フォーミュレーションを添加してからボトリングして販売されています。訴えた人の主張は意訳して言えば「こっちはアイオワ州の手作りのウィスキーと思って買ってんだ、違うなら金返せ!」ということでしょう。そしてその根拠としてラベルの虚偽表示を突いた、と。
ウィスキー業界に精通してる人なら周知のように、創業したてのクラフト蒸留所は熟成されたウィスキーを持たないため、アンエイジドで売れるウォッカやジンやムーンシャインなどを生産し販売する一方で、大手の蒸留所から熟成したウィスキーを仕入れ、それを独自のブランド名のもとに販売したりします。また創業時には蒸留器を所有せず、すなわち自ら蒸留を行わず、お金を稼いでから蒸留所を建設し、自社蒸留を開始するNDP(非蒸留業者)の存在もあります。こうしたNDPの中にはウェブサイト上に蒸留器の写真を掲載し、恰かも現実に蒸留してるかのように見せかけるところもあったりしました。テンプルトン・ライ・スピリッツもご多分に漏れず、こうしたNDPの一つでした。他所から原酒を調達し、オリジナルのラベルを貼りつけてボトリングするウィスキーのことを「ソースド・ウィスキー」とか「ソーシング・ウィスキー」と言いますが、これ自体は悪いことではありません。テンプルトン・ライが問題だったのは、ウィスキーのソースを意図的に難読化し、ラベルの真実性を歪めてしまったことです。アメリカの連邦規則ではラベルには真実を書かねばなりません。ラベルの変更点は主に3つです。
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先ずバックラベルに「インディアナ州で蒸留」という言葉が追加されました。ウィスキーが当該ブランドの場所とは異なる州で蒸留された場合、蒸留された州をラベルに記載しなければならないという規定があるからです。そして「SMALL BATCH」が「THE GOOD STUFF」に。スモールバッチというのは、厳密に言わなければ少量生産のことと思っていい用語です。MGPは大きな蒸留施設ですから、当然少量生産ではないのでこれを変更しました。あと「PROHIBITION ERA RECIPE」が熟成年数表記へ。プロヒビション・エラ・レシピと言うのは「禁酒法時代のレシピ」の意です。これはテンプルトン・ライ・スピリッツの共同設立者メリルの父でありキースの祖父であるアルフォンス・カーコフのレシピを指します。そのレシピは公にはされていませんが、おそらく砂糖黍90%/ライ麦10%のような典型的なムーンシャインのレシピであった可能性が高いとされ(**)、ライウィスキーではありませんでした。つまり禁酒法時代のレシピとは違うのでこれも変更したのです。バックラベルの文言も段階的に変化しており、「produced from~」から「based on~」になり、最終的には「Kerkhoff」の名前も出てきました。
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「~から造ってる」と言い切っていたのが「~に基づいて」とやんわりした表現になっていますが、基づいてすらいないのでは?という疑問もなくはありません。有り体に言えば、MGPの95%ライウィスキーが買い付け易い材料だったからソースとしただけで、禁酒法時代のレシピとは何の関係もないでしょう。テンプルトン・ライには、ライウィスキー人気が爆発的成長を見せる前に先鞭をつけた先見の明はあったにしても、少々誇大宣伝が過ぎてしまった感があります。
とは言え、悪い話ばかりでもありません。2018年夏には、ついに蒸留所が完成し稼働し始めました。アイオワ産のテンプルトン・ライは計算上2022年あたりにリリースされると予想されます。テンプルトン・ライ・スピリッツの会長ヴァーン・アンダーウッド氏によると、従来のMGPウィスキーを出来るだけ複製するつもりだ、とのことです。どのようなものが出来上がるか楽しみですね。

さて、ラベルの件は現在では手直しされていますし、誇張表現はアメリカンウィスキー業界の宿痾とも言え、遠く日本に住む我々にはアメリカの消費者保護問題に深く立ち入る必要性はあまりないでしょう。まあ、そういうこともあったということです。寧ろウィスキー飲みにとって興味をそそられるのは、ラベルよりも中身、先に少し触れたフレイヴァリング製剤の添加の方です。アメリカの有名なウィスキーレビュワーは、フレイヴァーの添加(とキース・カーコフの顧客へのメッセージビデオの釈明)に怒り、彼のウェブサイトのレーティング史上初の00点をテンプルトン・ライに付けています。
もう一度だけ、ラベルをよく見て下さい。どこにも「ストレート」の文字がないでしょう。テンプルトン・ライはストレート・ライウィスキーではありません。TTBの規定では、ストレートを名乗るためにはフレイヴァーを加えてはならないからです。また容積の2.5%を越えるフレイヴァーを加えてしまってはライウィスキーすら名乗れなくなります。そして最も重要なのが、加えられるフレイヴァーはそのクラスまたはタイプの構成必須要素でなければならないという規定なのですが、ここまでくると素人に判断できるレヴェルを越えています。判ることは、もしテンプルトン・ライが規定を遵守しているのならば、必須成分をもつ香料を2.5%以内含んだライウィスキーである、と言うことだけです。
上に挙げたレビュワーは、これではどの香味成分がMGP由来のものかケミカル・フレイヴァー由来のものか分からないという主旨のことを述べていますが、確かにその通りです。そもそもMGPの95%ライウィスキーはそれ自体で豊かなアロマとフレイヴァーを持っています。果たしてフレイヴァリング製剤を添加する必要があったのかどうか? テンプルトン側の公表している理由としては、創業者の先祖によって造られた禁酒法時代のオリジナル・レシピの風味プロファイルに近づけるため、だと言いますが…。とにかく飲んでみましょう。

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TEMPLETON RYE 80 Proof
BATCH:4
BARREL:239
BOTTLE:167
BOTTLED IN 02-11-2011
ライチ、バタースコッチ、ミント、トーストした木、洋梨のシャーベット、香草、ライスパイス、青リンゴ、若草、パセリ、漢方薬。40度にしては物凄く香りが強く、45度以上の物やもう少し熟成を経た物と同等かそれ以上。口の中では仄かな甘味と爽やかさ、苦味とスパイスが同居する。中身が残り三分の一くらいになってから、かなり余韻に苦味が目立つようになったが、ビターチョコ系の苦味ではなく、香草やスパイス系の苦味。飲んでも旨いが、香りがハイライトといった印象。
Rating:86(84.5)/100

Thought:私が初めてテンプルトン・ライを飲んだ時は衝撃を受けました。それまで飲んできたライ麦率51%程度と見られるライウィスキー(ジムビーム・ライやワイルドターキー・ライ等)とはまるで比べ物にならないフルーティさと香草の風味を感じたからです。こんな美味しいウィスキーがあったのか、と感動すら覚えました。以来MGP95ライのファンとなり、同じソースではあっても違うブランドのライウィスキーをいくつか飲みました。しかし、確かに同系統の風味を感じるものの、なぜかそこまでの感動はありませんでした。味であれ何であれ「初体験の衝撃」は脳裏に深く刻まれ、忘れ難く、時に誇大化するものです。また「慣れ」は脳への刺激を緩慢化するものでしょう。それがため、感動がなくなってしまったのかなと思っていたのですが、今回改めてテンプルトン・ライを飲んでみたところ、他のMGP95ライと較べて、やはり圧倒的に強いアロマ(ライチとバタースコッチ)を持っていると感じました。特にそれはテイスティング・グラスではなくボトルの口から直接匂いを嗅いだ時に顕著です(テイスティング・グラスだと他の香味成分を拾い易いようで、トースティなウッドと穀物感の方が前面に出ます)。もしかするとこの強いアロマの要因こそがフレイヴァリング製剤にあるのではないでしょうか? 実を言うと、テンプルトン・ライと並行して同じくMGP95ライであるブレット・ライとジョージディッケル・ライも比較のため開封して試飲していたのですが、テンプルトン・ライは80プルーフというロウワー・プルーフにしては強すぎるアロマが少し奇妙に感じなくもありませんでした。これは思ったより添加フレイヴァーが効いているような気がします。飲んだことのある皆さんのご意見を伺いたいところですね。
なお、上のレーティングで括弧をした点数は、フレイヴァーが入っていない状態を仮定した想像上の得点です。

Value:テンプルトン・ライの日本での販売価格は概ね4000~5000円です。他のMGP95%ライをソースとしたブランドに較べ、80プルーフであることを考慮すると、やや割高感は否めませんが一飲する価値は十二分にあると思います。もし安さを優先事項とするならブレット・ライという選択がベストでしょう。なによりブレットは流通量が多い=入手しやすいというメリットがあります。


*レシートがなくても一瓶につき3ドル、一人6本分まで。レシートがある場合は倍の6ドルが払い戻されたとか。

**2006年にテンプルトン・ライ・スピリッツがTTBに最初のラベル承認証明書を申請した折り、その1つは「Templeton Rye Kerkhoff Recipe」と呼ばれるものだったと言います。それは他の分類の対象とならない製品を包括する「特殊蒸留スピリット」に分類され、ラベルには「ケイン90%ライ10%から蒸留されたスピリッツ」と書かれていたそうな。これはホワイト・ラムのようなニュートラル・スピリッツとフレイヴァーに寄与するライ麦の蒸留物を少し混ぜたものと予想され、その製品がこれまでに製造されたのか判りませんが、唯一記録に残っているカーコフ・レシピがこれだそうです。

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今宵の一曲は、ジェイムス・コットン・バンド名義で74年にブッダレコードから発売されたファンクブルースの名盤として名高い『100%コットン』より、敢えてインスト曲の「バーナー」を。初めて聴いた時はあまりのカッコ良さに仰け反りましたよね。

ジェイムスのハープのブロウは勿論、バンドの織り成すサウンドがソリッドで凄くモダンというか、今聴いても古びない躍動感に満ち、正にファンクでもありブルースでもあり、アグレッシブな感じが堪りません。

合わせたバーボンはヘンリーマッケンナです。ボトルの下の方にローレンスバーグと書いてあるのが判るでしょうか。現行製品はヘヴンヒル蒸留所が造ってますが、これはフォアローゼズ蒸留所で造られていた時代の物です。

個人的にはブルースとバーボンの組み合わせって王道だと勝手に思っております。自分が二十歳ぐらいの頃はブルースを聴きながらバーボンをラッパ飲みするのが鬼カッコいいと本気で思ってましたので(笑)。では今宵はこれにて。

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バーボンの空き瓶を活用して手軽に安くオシャレなインテリアにするこの企画、今回はフォアローゼズのシングルバレルを使います。

このフォアロゼのシングルバレルのボトルは他にない形状であり、バラがエンボスで浮き出ていたり、ネックに革(本革?フェイク?どっちなんだろ)が巻いてあったり、とにかくカッコいいですよね。でも、中身を飲み干してしまうと肝心のバラが透明っていうのがちょっと…ね。だから、まず塗りましょ。ガラスに書けるペンを2色買って、バラをカラフルに。

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そして中にはポプリを詰め込みました。百均大手のD社で売ってるポプリは色展開がいくつかありましたが、バラの色に合わせて赤を選択。

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うん、なかなかシックでいい感じ。材料費300円にしては悪くないのでは? 

とある酒屋で半額に値下がっている古いノブクリークを発見したので即座に購入。ブランド紹介はこちらの過去投稿をご参照ください。

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KNOB CREEK 9 Years 100 Proof
推定2001年ボトリング。如何にも美味しそうな赤みがかったブラウン色。焦げ樽、ややひねた酸っぱい香り、ヴァニラ、ナツメグ、焼き過ぎて焦げたトウモロコシ、ジンジャーエール、赤ワイン、タバコ、新聞紙。甘い香りは控えめの焦樽フルーツ系アロマ。ナッティなテイストはあまり感じられない。開けたての味わいはドライだったし、余韻の苦みが強かったが、残り3分の2ぐらいになってからはチェリー系のフルーティさと甘味が増し、酸っぱい香りも減じて劇的に美味しくなった。最終的にはやや酸味に寄っているもののバランスが整った頗る上等なバーボンという印象。2010年代の物より全然美味しく感じる。「酸化の神様ありがとう」の一本なのか? 90年代やそれに近いノブクリークは質が高かったのか?
Rating:87/100

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現在バートン蒸留所の主力製品となっているのが「1792(セヴンティーンナインティトゥー)スモールバッチ」。その名前の数字は、ヴァージニア州からケンタッキー地区が独立して合衆国15番目の州となった年を指し、それに敬意を表して名付けられました。ミドルクラスのクラフトバーボンとかプレミアムバーボンと言われる価格帯で、ノブクリークやウッドフォード・リザーヴ、イーグルレア等の競合製品です。日本には一般流通していませんが、上位互換の「Bottled in Bond」や「Full Proof」、「Single Barrel」や「Port Finish」、マッシュ違いの「Sweet Wheat」や「High Rye」等がネックの色違いで販売されています(継続的なリリースか不明、もしかしたら限定版なのかも)。

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1792スモールバッチはそもそも2002年の発売当初「リッジウッド・リザーヴ(Ridgewood Reserve 1792)」という名称でした。ところが「ウッドフォード・リザーヴ(Woodford Reserve)」に名前とボトルの雰囲気が似ていたため、消費者の混乱を招くとの主張から商標権侵害であると2003年10月にブラウン=フォーマン社から訴えられてしまいます。バートン社も負けじとウッドフォード・リザーヴは偽装されたオールドフォレスター(*)であり、それは虚偽表示に当たるのではないかと主張し闘いましたが、米地方裁判所のジェニファー・コフマン判事は2004年に商標権侵害を認める判決を下し、バートンに対してリッジウッド・リザーヴの差止め命令を出しました。これによりバートン社は速やかに裁定に従い製品名を「リッジモント・リザーヴ(1792 Ridgemont Reserve)」に変更します。このリッジウッドとリッジモントには、ラベルに「Small Batch Aged 8 years」と記載されていましたが、2013年12月にエイジ・ステイトメントは削除されました。そして2015年に「1792 Small Batch」へのブランド更新に伴い再パッケージ化され、ボトルのネックに巻かれていた布切れがワインレッドの紙になり、コルクキャップが金ぴかになり、ロゴデザインのマイナーチェンジが施されます。
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もともとは、バートン蒸留所の誇る29の熟成庫のうち、崖の上に建ち空気循環が良好で陽当たりの良い伝説的な「Warehouse Z(ウェアハウス・ズィー)」で熟成された樽からのみ造られ、ラベルにもそう記載されていたのですが、NASとなった時なのか「1792スモールバッチ」となった時なのか判りませんが、とにかく現在では「Warehouse Z」の文字はありません。おそらく、需要の高まりで一つの倉庫だけでは賄えなくなり、他の倉庫からも出来の良い原酒を選んで造るようになったのだと思います。8年熟成でなくなったのも多分同じ理由で、例えば6年熟成原酒も混ぜるようになったとかそういうことではないでしょうか。いずれにせよレシピは同じで、コーン75%/ライ15%/モルテッドバーリー10%のハイ・ライ・バーボン(**)です。

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さて、そこで今回は発売時期の異なる二つの1792を飲み較べしてみようという訳でして。目視での色の違いは殆どないように感じますが、強いて言うと微妙にリッジモントの方が濃いかな。

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1792 Ridgemont Reserve 8 Years 93.7 Proof
年式不明、推定2010年前後。リムーバー、カラメライズドシュガー、チャードオーク、オレンジピール、焼きトウモロコシ、濃く淹れた紅茶、ビスケット、ビターチョコ。口当たりは滑らか。こちらのほうが甘い。余韻は香ばしい焦樽と豊かな穀物。ハイライマッシュの割にはフルーツ感があまりなく、取り立ててスパイシーとも思えない。と言うより、あまりにリムーバー様の香りが濃密過ぎて他の香りが取りづらいように感じるし、余韻にもリムーバーが出るのだが、焦がしたオークの香り高さと相俟って悪くない、いや、むしろそれが旨い。
Rating:86.5/100

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1972 SMALL BATCH NAS 93.7 Proof
年式不明、推定2017年? 焦げ樽、ヴァニラアイスのシナモンパウダーがけ、焼きトウモロコシ、ホワイトペッパー、シンナー、メロン味のラムネ菓子→チョコバナナ、ココアウエハース。こちらも溶剤臭はあるが、リッジモントに較べると薄く、ヴァニラとスパイス中心のアロマ。口当たりは中庸、とろりともせず、ゆる過ぎず、スムーズ。飲み口は仄かな甘みがありつつスパイシー。余韻はスパイスと豊かな穀物。こちらのほうがアルコール刺激が強め。フルーツ感はあまり感じない。
Rating:86/100

Verdict:続けて飲むとかなりの違いを感じます。それでいて両者に共通する穀物のアンダートーンもあり、口当たりもほぼ同じですが、リッジモントのほうがよりディープかつリッチな味わいをもち、甘く香り付けしたリムーバーそっくりの風味が個人的にはツボだったので、勝ちと判定しました。けれど、1792スモールバッチがだいぶ劣るかと言うとそうでもなく、モロな溶剤系の臭いが苦手で、スパイシーヴァニラ系が好きな方はこちらを選ぶかも知れません。現に海外の有名なレビュワーでリッジモントを随分と低く採点している方もいました。どちらにしても、同蒸留所のエントリークラスバーボンであるケンタッキージェントルマンやケンタッキータヴァーンとは、余韻の穀物感が似ている程度で、もはや別物と言っていいほど旨いです。


*ウッドフォード・リザーブとオールド・フォレスターはマッシュビル(コーン72%/ライ18%/モルテッドバーリー10%)とイーストを共有するとされます。初期のウッドフォード・リザーヴは、ラブロー&グラハム蒸留所(現ウッドフォード・リザーヴ蒸留所)が稼働したばかりで、原酒の熟成には6年ほど熟成期間が必要なため、2003年5月まではルイヴィル(DSP-KY-354)で蒸留して熟成した選び抜かれた原酒をヴァーセイルス(DSP-KY-52)まで運び、更にエイジングさせたものをボトリングして販売していました。後には両方の原酒をブレンドしたものに変更されています。

**同シリーズの「High Rye」はもっとライ麦率が高いレシピです。ハイ・ライは法的定義のない用語なので、スタンダードな1792でもハイ・ライと言っても問題ありません。当時のマスターディスティラー ケン・ピアースも自らハイ・ライだと語っていました。

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ワイルドターキー レアブリードは、6年と8年と12年熟成の原酒をブレンドし、加水なしでボトリングした所謂バレルプルーフバーボンとして知られています。そのためバッチごとにボトリングの度数に僅かな変動があります。日本ではお馴染みの8年101より格上、12年や13年といった長期熟成物よりは格下という位置付けの製品で、91年の発売以来長いこと継続して販売されており、バレルプルーフの製品としては比較的安価なのが人気の秘訣でしょうか。
昔は輸出用ラベルの「1855リザーヴ」というのもありましたが、これはレアブリードと概ね同じと見做していい物です。おそらく、ファースト・ロット以外はプルーフを共有するので、中身は同一のバッチングに由来すると思われます。或るバーボンマニアの方がレアブリードのリストを作成していたので、それを基に以下に纏めさせて頂きましょう。左から順に生産年、ラベル名、バッチナンバー、プルーフです。

1991 / Rare Breed / W-T-01-91 / 109.6
1991 / Rare Breed / W-T-02-91 / 110
1992 / 1855 Reserve / W-T-10-92 / 110.0
1993 / Rare Breed / W-T-01-93 / 110.8
1993 / Rare Breed / W-T-02-93 / unknown
1993 / Rare Breed / W-T-03-93 / 111.4
1994 / Rare Breed / W-T-01-94 / 112.2
1994 / 1855 Reserve / W-T-01-94 / 112.2
1994 / Rare Breed / W-T-02-94 / 109.6
1994 / 1855 Reserve / W-T-02-94 / 109.6
1995 / Rare Breed / W-T-01-95 / 109
1995 / 1855 Reserve / W-T-01-95 / 109
1995 / Rare Breed / W-T-02-95 / 109
1996 / Rare Breed / W-T-01-96 / 108.8
1996 / 1855 Reserve / W-T-01-96 / 108.8
1997 / Rare Breed / W-T-01-97 / 108.6
1999 / Rare Breed / W-T-01-99 / 108.4
2003 / Rare Breed / WT-03RB / 108.2
2015 / Rare Breed / ーーーー / 112.8
2017 / Rare Breed / ーーーー / 116.8

ラベルの変遷はざっくり下のような感じになります。
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少し言葉で補足しておくと、リストや画像で判る通り「1855リザーヴ」は96年で廃止となりレアブリードに一本化されました。そして2015年リリースの物(金ピカの筒に入ったやつ)からはバッチナンバーがなくなり今に至ります。これらはバッチナンバーで呼ぶわけにいかないので「112.8は○○だね、116.8は□□だよ」のようにプルーフの数値でその個体を指します。また、よく判らないのがWT01-99の生産期間でして、海外のレビューやボトルの紹介を見ると2004年ボトリングとされる物が散見されるのです。私の理解ではWT03RBの「03」は2003年のことだと思っていたのですが、もしWT01-99が2004年まで生産されていたとすると、WT03RBは2005年から発売なのかも知れません。一応、上のリストではWT03RBは2003年ということにしておきましたが、誰かここら辺の事情をご存知の方はコメントからご教示頂けると助かります(※追記あり)。
それはさて措き、レアブリードのバッチの中でも取り分け異質なのがWT03RBです。このバッチだけが2014年春に終了となるまで約10年に渡って流通していました。そのため、とんでもない量のバッチングされたバーボンを巨大なステンレスタンクか何かに保管していたのではないか、との疑いがあったのですが、マスターディスティラー エディ・ラッセルの息子ブルース氏によるとそうではないとのことです。ワイルドターキー蒸留所は比較的ロウ・プルーフのバレル・エントリー・プルーフで知られていますが、このWT03RBが発売されていた期間中、二回ほどより高いエントリー・プルーフへと変更されています。それは2004年にそれまでの107プルーフから110プルーフとなり、続いて2006年には115プルーフとなりました。この変更は風味プロファイルに変化を生じさせるでしょう。そのためWT03RBは生産年ロットによって原酒の配合比率を少し変えることで風味を一定にしているとブルース氏は語っています。例えば、或るロットは他のロットより8年の比率が多い等。そしてそれを、おそらく少量の加水で108.2プルーフぴったりに調整したのだと思われます(※規則上、少量の加水をしてもバレルプルーフを名乗ることが出来ます)。外国のターキーマニアでWT03RBの生産年ロット違いを飲み較べした方によると、風味に若干の違いはあるものの概ね似た同等レべルの物になっているようです。マスターディスティラー以下テイスターやブレンダーの驚異の仕事と言わざるを得ませんね。

さて、今回はWT03RBとWT01-99の飲み較べをしたいと思います。目視での色の違いは感じられません。
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WILD TURKEY Rare Breed 108.2 Proof
BATCH No. WT-03RB
推定2011年ボトリング。並行輸入品。香ばしい樽香、ヴァニラ、バターポップコーン、ナツメグ、微かなチェリー、塩、ビオフェルミン。こちらのほうがとろりとした口当たりで、やや甘い。口の中ではペッパースパイスが踊る。余韻はターキーらしい焦げたウッディネス。
Rating:86.5/100

WILD TURKEY Rare Breed 108.4 Proof
BATCH No. W-T-01-99
推定2001年? ロット番号はL0261031。正規輸入品。シナモンの入った焼き菓子、ペッパー、マロン、ピスタチオ、蜂蜜、オレンジ、バター、コーンチップス、強いて言うと焼いたパイナップル。こちらのほうがさっぱりした口当たりで、やや酸味がある。口中と余韻に豊かなスパイス。
Rating:86.75/100

Verdict:続けて飲めば明らかな違いは感じるものの、どちらもレアブリードだなあという味に収まっていると思います。実は海外のバーボンマニアの評価はWT01-99の方が圧倒的に高いのですが、個人的にはそこまで大差はない印象でした。流石にWT03RBもジミー・ラッセルがフェイヴァリットと言うだけあって負けてるとは思えません。確かに、どうしてもどちらかを選ぶのなら、アロマが若干強く、テクスチャーは軽いもののフルーツ感とスパイス感に勝るWT01-99の方に軍配を上げます。

Thought:バレルプルーフにしてはやや深みに欠ける味わいに感じました。私の嗅覚と味覚ごときではアーシーなフィーリングやカビっぽさ、また香水のようなフローラルや赤い果実感といった「美味しいターキー」の諸要素もあまり感じ取ることが出来ません。8年101と比較すれば、断然ナッティな香ばしさが強く、オイリーなマウスフィールもあります。けれどバレルプルーフだから風味が複雑かと言うと期待するほどでもなく、出来の良い時期の8年101には負けている気が…。なによりパレートとフィニッシュがドライ過ぎる嫌いがあり、なんとなく6年熟成原酒の割合が多いのではないかと想像します。それに12年熟成原酒の比率はだいぶ低いのではないでしょうか? 例えば20%以下とか、もっと? 或いは価格から考えて、シングルバレルやヴェリースモールバッチ(*)に選ばれなかった樽から造られているとすれば、シュガーバレルの混和率が低いのも当然なのかも知れません。飲んだことのある皆さんの意見を伺いたいですね。

Value:上で否定的と取られかねない言いっぷりをしてしまいましたが、私はターキー好きであり、お薦めなのかお薦めじゃないのかで言ったら、そりゃお薦めです。レアブリードはバレルプルーフバーボンの中でも入手のしやすさと安さでは一番ですから(**)。ただし、今回飲んだバッチは少し古いものです。それほど希少性はなくとも現行製品のようにどこでも売ってる訳ではありません。定価(と言うのか希望小売価格と言うのか)と同程度であれば二次流通市場で購入する価値はあると思いますが、付加価値を支払うほどではないというのが私の意見です。

追記:その後に得た情報では、やはりWT01-99は2004年まで発売されていたようです。そしてWT03RBは2004年から発売され、一年間だけコルクの周りがブラック・ラップで、そのあとクリア・ラップに変更されています。
また、私の表と画像では112.8を2015年、116.8を2017年としていますが、アメリカではそれぞれ2014年と2016年とされていました。


*ワイルドターキーの通常品は1500樽前後のバッチング、スモールバッチは150~200樽、ヴェリースモールバッチは20~30樽程度との情報がありました。おそらくレアブリードはスモールバッチではないかと思われます。

**すみません、オールドグランダッド114があるのを忘れて書いてます。

飲み終えたバーボンの瓶を、簡単かつ安価に見映えよく飾りましょうよ、というこの企画。今回はブレットバーボンです。このバーボンもラベルだけ剥がして取っておいてもあまりカッコよくないですよね、やはり瓶があってのデザインなので。

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ブレットは瓶にフロンティア・ウィスキーなんて書いてありますから、やはり枯れた風情が欲しいので先ずは園芸用のバークチップを入れました。そこにフェイクグリーンの切ったのを無理矢理詰め込んで、あとは瓶のエンボスをガラスに書けるペンでなぞるだけ。ペンの色をラベルのオレンジに合わせました。オレンジとブラウンとグリーンの配色がいい感じです。

はい、いつも通り作り方は雑です(笑)。文字のなぞり具合なんて、まあ酷い…。でも気にしなくても、なんとなく雰囲気出るんですよね〜。材料は百均で揃うので費用も300円。安くてなかなかカッコ良いのが出来た気がします。

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Evan Williams Green Label 7 Years 86 Proof
エヴァンウィリアムスの緑ラベルは、現在では4年熟成で80プルーフとなってしまっていますが、80年代から90年代にかけて日本に流通していた物は7年熟成で86プルーフでした(*)。黒ラベルにしてもその当時は8年熟成90プルーフでした。現行の黒ラベルはNASの5〜7年熟成で86プルーフですから、昔の緑ラベルは現行の黒ラベルをスペック的に上回っています。そして、なにより蒸留された施設の違いもあります。バーズタウンにあったヘヴンヒル蒸留所は96年の悪夢のような大火災により消失。その後、I.W.ハーパー等を造っていたルイヴィルのバーンハイム蒸留所を購入して蒸留を再開しましたが、この火災前に蒸留された原酒のことを欧米ではプリ・ファイヤー・ジュースと言い、味わいは現行の物より香味成分が強いとされ、失われた蒸留所への憧憬と共にバーボンマニアには珍重されています。

さて、そこで今回のボトルは95年ボトリング、言うまでもなく火災前のジュースという訳です。では、飲んでみましょう。

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濃厚なキャラメル香、湿った木、チェリーコーク、ローストバナナのキャラメルソースがけ、ベーキングスパイス、あんずジャム→プルーン、ブラックコーヒー。口中は酸味が強め。余韻に胃腸薬と僅かなミント。現行製品とは異なるクラシックなバーボンノート。43度にしては余韻も長く濃密な風味。ただし、クリーミーな口当たりではない。見た目は少し濁りがあるが、味はそれほど劣化しておらず、これは当たりの一本。現在のブラックラベルより遥かに複雑な味わいで、90年代のスタンダードバーボンがハイレヴェルだったことを偲ばせる。ラッパ飲みやテイスティング・グラスで飲むよりもショット・グラスで飲むのが最も美味しかった。個人的にはもう少し酸味とえぐみがない方が好みなので点数は抑えめ。
Rating:84.5/100


*他にも6年や5年熟成の物もあったようです(もしかすると販売地域の違いなのかも。私自身、写真で見ただけなので詳細は分かりません)。

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