バーボン、ストレート、ノーチェイサー

◆◆FOR BOURBON LOVERS ONLY◆◆ バーボンの紹介やレビュー、レーティングなど。

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現在バートン蒸留所の主力製品となっているのが「1792(セヴンティーンナインティトゥー)スモールバッチ」。その名前の数字は、ヴァージニア州からケンタッキー地区が独立して合衆国15番目の州となった年を指し、それに敬意を表して名付けられました。ミドルクラスのクラフトバーボンとかプレミアムバーボンと言われる価格帯で、ノブクリークやウッドフォード・リザーヴ、イーグルレア等の競合製品です。日本には一般流通していませんが、上位互換の「Bottled in Bond」や「Full Proof」、「Single Barrel」や「Port Finish」、マッシュ違いの「Sweet Wheat」や「High Rye」等がネックの色違いで販売されています(継続的なリリースか不明、もしかしたら限定版なのかも)。

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1792スモールバッチはそもそも2002年の発売当初「リッジウッド・リザーヴ(Ridgewood Reserve 1792)」という名称でした。ところが「ウッドフォード・リザーヴ(Woodford Reserve)」に名前とボトルの雰囲気が似ていたため、消費者の混乱を招くとの主張から商標権侵害であると2003年10月にブラウン=フォーマン社から訴えられてしまいます。バートン社も負けじとウッドフォード・リザーヴは偽装されたオールドフォレスター(*)であり、それは虚偽表示に当たるのではないかと主張し闘いましたが、米地方裁判所のジェニファー・コフマン判事は2004年に商標権侵害を認める判決を下し、バートンに対してリッジウッド・リザーヴの差止め命令を出しました。これによりバートン社は速やかに裁定に従い製品名を「リッジモント・リザーヴ(1792 Ridgemont Reserve)」に変更します。このリッジウッドとリッジモントには、ラベルに「Small Batch Aged 8 years」と記載されていましたが、2013年12月にエイジ・ステイトメントは削除されました。そして2015年に「1792 Small Batch」へのブランド更新に伴い再パッケージ化され、ボトルのネックに巻かれていた布切れがワインレッドの紙になり、コルクキャップが金ぴかになり、ロゴデザインのマイナーチェンジが施されます。
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もともとは、バートン蒸留所の誇る29の熟成庫のうち、崖の上に建ち空気循環が良好で陽当たりの良い伝説的な「Warehouse Z(ウェアハウス・ズィー)」で熟成された樽からのみ造られ、ラベルにもそう記載されていたのですが、NASとなった時なのか「1792スモールバッチ」となった時なのか判りませんが、とにかく現在では「Warehouse Z」の文字はありません。おそらく、需要の高まりで一つの倉庫だけでは賄えなくなり、他の倉庫からも出来の良い原酒を選んで造るようになったのだと思います。8年熟成でなくなったのも多分同じ理由で、例えば6年熟成原酒も混ぜるようになったとかそういうことではないでしょうか。いずれにせよレシピは同じで、コーン75%/ライ15%/モルテッドバーリー10%のハイ・ライ・バーボン(**)です。

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さて、そこで今回は発売時期の異なる二つの1792を飲み較べしてみようという訳でして。目視での色の違いは殆どないように感じますが、強いて言うと微妙にリッジモントの方が濃いかな。

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1792 Ridgemont Reserve 8 Years 93.7 Proof
年式不明、推定2010年前後。リムーバー、カラメライズドシュガー、チャードオーク、オレンジピール、焼きトウモロコシ、濃く淹れた紅茶、ビスケット、ビターチョコ。口当たりは滑らか。こちらのほうが甘い。余韻は香ばしい焦樽と豊かな穀物。ハイライマッシュの割にはフルーツ感があまりなく、取り立ててスパイシーとも思えない。と言うより、あまりにリムーバー様の香りが濃密過ぎて他の香りが取りづらいように感じるし、余韻にもリムーバーが出るのだが、焦がしたオークの香り高さと相俟って悪くない、いや、むしろそれが旨い。
Rating:86.5/100

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1972 SMALL BATCH NAS 93.7 Proof
年式不明、推定2017年? 焦げ樽、ヴァニラアイスのシナモンパウダーがけ、焼きトウモロコシ、ホワイトペッパー、シンナー、メロン味のラムネ菓子→チョコバナナ、ココアウエハース。こちらも溶剤臭はあるが、リッジモントに較べると薄く、ヴァニラとスパイス中心のアロマ。口当たりは中庸、とろりともせず、ゆる過ぎず、スムーズ。飲み口は仄かな甘みがありつつスパイシー。余韻はスパイスと豊かな穀物。こちらのほうがアルコール刺激が強め。フルーツ感はあまり感じない。
Rating:86/100

Verdict:続けて飲むとかなりの違いを感じます。それでいて両者に共通する穀物のアンダートーンもあり、口当たりもほぼ同じですが、リッジモントのほうがよりディープかつリッチな味わいをもち、甘く香り付けしたリムーバーそっくりの風味が個人的にはツボだったので、勝ちと判定しました。けれど、1792スモールバッチがだいぶ劣るかと言うとそうでもなく、モロな溶剤系の臭いが苦手で、スパイシーヴァニラ系が好きな方はこちらを選ぶかも知れません。現に海外の有名なレビュワーでリッジモントを随分と低く採点している方もいました。どちらにしても、同蒸留所のエントリークラスバーボンであるケンタッキージェントルマンやケンタッキータヴァーンとは、余韻の穀物感が似ている程度で、もはや別物と言っていいほど旨いです。


*ウッドフォード・リザーブとオールド・フォレスターはマッシュビル(コーン72%/ライ18%/モルテッドバーリー10%)とイーストを共有するとされます。初期のウッドフォード・リザーヴは、ラブロー&グラハム蒸留所(現ウッドフォード・リザーヴ蒸留所)が稼働したばかりで、原酒の熟成には6年ほど熟成期間が必要なため、2003年5月まではルイヴィル(DSP-KY-354)で蒸留して熟成した選び抜かれた原酒をヴァーセイルス(DSP-KY-52)まで運び、更にエイジングさせたものをボトリングして販売していました。後には両方の原酒をブレンドしたものに変更されています。

**同シリーズの「High Rye」はもっとライ麦率が高いレシピです。ハイ・ライは法的定義のない用語なので、スタンダードな1792でもハイ・ライと言っても問題ありません。当時のマスターディスティラー ケン・ピアースも自らハイ・ライだと語っていました。

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ワイルドターキー レアブリードは、6年と8年と12年熟成の原酒をブレンドし、加水なしでボトリングした所謂バレルプルーフバーボンとして知られています。そのためバッチごとにボトリングの度数に僅かな変動があります。日本ではお馴染みの8年101より格上、12年や13年といった長期熟成物よりは格下という位置付けの製品で、91年の発売以来長いこと継続して販売されており、バレルプルーフの製品としては比較的安価なのが人気の秘訣でしょうか。
昔は輸出用ラベルの「1855リザーヴ」というのもありましたが、これはレアブリードと概ね同じと見做していい物です。おそらく、ファースト・ロット以外はプルーフを共有するので、中身は同一のバッチングに由来すると思われます。或るバーボンマニアの方がレアブリードのリストを作成していたので、それを基に以下に纏めさせて頂きましょう。左から順に生産年、ラベル名、バッチナンバー、プルーフです。

1991 / Rare Breed / W-T-01-91 / 109.6
1991 / Rare Breed / W-T-02-91 / 110
1992 / 1855 Reserve / W-T-10-92 / 110.0
1993 / Rare Breed / W-T-01-93 / 110.8
1993 / Rare Breed / W-T-02-93 / unknown
1993 / Rare Breed / W-T-03-93 / 111.4
1994 / Rare Breed / W-T-01-94 / 112.2
1994 / 1855 Reserve / W-T-01-94 / 112.2
1994 / Rare Breed / W-T-02-94 / 109.6
1994 / 1855 Reserve / W-T-02-94 / 109.6
1995 / Rare Breed / W-T-01-95 / 109
1995 / 1855 Reserve / W-T-01-95 / 109
1995 / Rare Breed / W-T-02-95 / 109
1996 / Rare Breed / W-T-01-96 / 108.8
1996 / 1855 Reserve / W-T-01-96 / 108.8
1997 / Rare Breed / W-T-01-97 / 108.6
1999 / Rare Breed / W-T-01-99 / 108.4
2003 / Rare Breed / WT-03RB / 108.2
2015 / Rare Breed / ーーーー / 112.8
2017 / Rare Breed / ーーーー / 116.8

ラベルの変遷はざっくり下のような感じになります。
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少し言葉で補足しておくと、リストや画像で判る通り「1855リザーヴ」は96年で廃止となりレアブリードに一本化されました。そして2015年リリースの物(金ピカの筒に入ったやつ)からはバッチナンバーがなくなり今に至ります。これらはバッチナンバーで呼ぶわけにいかないので「112.8は○○だね、116.8は□□だよ」のようにプルーフの数値でその個体を指します。また、よく判らないのがWT01-99の生産期間でして、海外のレビューやボトルの紹介を見ると2004年ボトリングとされる物が散見されるのです。私の理解ではWT03RBの「03」は2003年のことだと思っていたのですが、もしWT01-99が2004年まで生産されていたとすると、WT03RBは2005年から発売なのかも知れません。一応、上のリストではWT03RBは2003年ということにしておきましたが、誰かここら辺の事情をご存知の方はコメントからご教示頂けると助かります(※追記あり)。
それはさて措き、レアブリードのバッチの中でも取り分け異質なのがWT03RBです。このバッチだけが2014年春に終了となるまで約10年に渡って流通していました。そのため、とんでもない量のバッチングされたバーボンを巨大なステンレスタンクか何かに保管していたのではないか、との疑いがあったのですが、マスターディスティラー エディ・ラッセルの息子ブルース氏によるとそうではないとのことです。ワイルドターキー蒸留所は比較的ロウ・プルーフのバレル・エントリー・プルーフで知られていますが、このWT03RBが発売されていた期間中、二回ほどより高いエントリー・プルーフへと変更されています。それは2004年にそれまでの107プルーフから110プルーフとなり、続いて2006年には115プルーフとなりました。この変更は風味プロファイルに変化を生じさせるでしょう。そのためWT03RBは生産年ロットによって原酒の配合比率を少し変えることで風味を一定にしているとブルース氏は語っています。例えば、或るロットは他のロットより8年の比率が多い等。そしてそれを、おそらく少量の加水で108.2プルーフぴったりに調整したのだと思われます(※規則上、少量の加水をしてもバレルプルーフを名乗ることが出来ます)。外国のターキーマニアでWT03RBの生産年ロット違いを飲み較べした方によると、風味に若干の違いはあるものの概ね似た同等レべルの物になっているようです。マスターディスティラー以下テイスターやブレンダーの驚異の仕事と言わざるを得ませんね。

さて、今回はWT03RBとWT01-99の飲み較べをしたいと思います。目視での色の違いは感じられません。
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WILD TURKEY Rare Breed 108.2 Proof
BATCH No. WT-03RB
推定2011年ボトリング。並行輸入品。香ばしい樽香、ヴァニラ、バターポップコーン、ナツメグ、微かなチェリー、塩、ビオフェルミン。こちらのほうがとろりとした口当たりで、やや甘い。口の中ではペッパースパイスが踊る。余韻はターキーらしい焦げたウッディネス。
Rating:86.5/100

WILD TURKEY Rare Breed 108.4 Proof
BATCH No. W-T-01-99
推定2001年? ロット番号はL0261031。正規輸入品。シナモンの入った焼き菓子、ペッパー、マロン、ピスタチオ、蜂蜜、オレンジ、バター、コーンチップス、強いて言うと焼いたパイナップル。こちらのほうがさっぱりした口当たりで、やや酸味がある。口中と余韻に豊かなスパイス。
Rating:86.75/100

Verdict:続けて飲めば明らかな違いは感じるものの、どちらもレアブリードだなあという味に収まっていると思います。実は海外のバーボンマニアの評価はWT01-99の方が圧倒的に高いのですが、個人的にはそこまで大差はない印象でした。流石にWT03RBもジミー・ラッセルがフェイヴァリットと言うだけあって負けてるとは思えません。確かに、どうしてもどちらかを選ぶのなら、アロマが若干強く、テクスチャーは軽いもののフルーツ感とスパイス感に勝るWT01-99の方に軍配を上げます。

Thought:バレルプルーフにしてはやや深みに欠ける味わいに感じました。私の嗅覚と味覚ごときではアーシーなフィーリングやカビっぽさ、また香水のようなフローラルや赤い果実感といった「美味しいターキー」の諸要素もあまり感じ取ることが出来ません。8年101と比較すれば、断然ナッティな香ばしさが強く、オイリーなマウスフィールもあります。けれどバレルプルーフだから風味が複雑かと言うと期待するほどでもなく、出来の良い時期の8年101には負けている気が…。なによりパレートとフィニッシュがドライ過ぎる嫌いがあり、なんとなく6年熟成原酒の割合が多いのではないかと想像します。それに12年熟成原酒の比率はだいぶ低いのではないでしょうか? 例えば20%以下とか、もっと? 或いは価格から考えて、シングルバレルやヴェリースモールバッチ(*)に選ばれなかった樽から造られているとすれば、シュガーバレルの混和率が低いのも当然なのかも知れません。飲んだことのある皆さんの意見を伺いたいですね。

Value:上で否定的と取られかねない言いっぷりをしてしまいましたが、私はターキー好きであり、お薦めなのかお薦めじゃないのかで言ったら、そりゃお薦めです。レアブリードはバレルプルーフバーボンの中でも入手のしやすさと安さでは一番ですから(**)。ただし、今回飲んだバッチは少し古いものです。それほど希少性はなくとも現行製品のようにどこでも売ってる訳ではありません。定価(と言うのか希望小売価格と言うのか)と同程度であれば二次流通市場で購入する価値はあると思いますが、付加価値を支払うほどではないというのが私の意見です。

追記:その後に得た情報では、やはりWT01-99は2004年まで発売されていたようです。そしてWT03RBは2004年から発売され、一年間だけコルクの周りがブラック・ラップで、そのあとクリア・ラップに変更されています。
また、私の表と画像では112.8を2015年、116.8を2017年としていますが、アメリカではそれぞれ2014年と2016年とされていました。


*ワイルドターキーの通常品は1500樽前後のバッチング、スモールバッチは150~200樽、ヴェリースモールバッチは20~30樽程度との情報がありました。おそらくレアブリードはスモールバッチではないかと思われます。

**すみません、オールドグランダッド114があるのを忘れて書いてます。

飲み終えたバーボンの瓶を、簡単かつ安価に見映えよく飾りましょうよ、というこの企画。今回はブレットバーボンです。このバーボンもラベルだけ剥がして取っておいてもあまりカッコよくないですよね、やはり瓶があってのデザインなので。

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ブレットは瓶にフロンティア・ウィスキーなんて書いてありますから、やはり枯れた風情が欲しいので先ずは園芸用のバークチップを入れました。そこにフェイクグリーンの切ったのを無理矢理詰め込んで、あとは瓶のエンボスをガラスに書けるペンでなぞるだけ。ペンの色をラベルのオレンジに合わせました。オレンジとブラウンとグリーンの配色がいい感じです。

はい、いつも通り作り方は雑です(笑)。文字のなぞり具合なんて、まあ酷い…。でも気にしなくても、なんとなく雰囲気出るんですよね〜。材料は百均で揃うので費用も300円。安くてなかなかカッコ良いのが出来た気がします。

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Evan Williams Green Label 7 Years 86 Proof
エヴァンウィリアムスの緑ラベルは、現在では4年熟成で80プルーフとなってしまっていますが、80年代から90年代にかけて日本に流通していた物は7年熟成で86プルーフでした(*)。黒ラベルにしてもその当時は8年熟成90プルーフでした。現行の黒ラベルはNASの5〜7年熟成で86プルーフですから、昔の緑ラベルは現行の黒ラベルをスペック的に上回っています。そして、なにより蒸留された施設の違いもあります。バーズタウンにあったヘヴンヒル蒸留所は96年の悪夢のような大火災により消失。その後、I.W.ハーパー等を造っていたルイヴィルのバーンハイム蒸留所を購入して蒸留を再開しましたが、この火災前に蒸留された原酒のことを欧米ではプリ・ファイヤー・ジュースと言い、味わいは現行の物より香味成分が強いとされ、失われた蒸留所への憧憬と共にバーボンマニアには珍重されています。

さて、そこで今回のボトルは95年ボトリング、言うまでもなく火災前のジュースという訳です。では、飲んでみましょう。

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濃厚なキャラメル香、湿った木、チェリーコーク、ローストバナナのキャラメルソースがけ、ベーキングスパイス、あんずジャム→プルーン、ブラックコーヒー。口中は酸味が強め。余韻に胃腸薬と僅かなミント。現行製品とは異なるクラシックなバーボンノート。43度にしては余韻も長く濃密な風味。ただし、クリーミーな口当たりではない。見た目は少し濁りがあるが、味はそれほど劣化しておらず、これは当たりの一本。現在のブラックラベルより遥かに複雑な味わいで、90年代のスタンダードバーボンがハイレヴェルだったことを偲ばせる。ラッパ飲みやテイスティング・グラスで飲むよりもショット・グラスで飲むのが最も美味しかった。個人的にはもう少し酸味とえぐみがない方が好みなので点数は抑えめ。
Rating:84.5/100


*他にも6年や5年熟成の物もあったようです(もしかすると販売地域の違いなのかも。私自身、写真で見ただけなので詳細は分かりません)。

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Maker's Mark CASK STRENGTH 111.4 Proof
BATCH NO. 15-03
メーカーズマークのカスクストレングスは2014年秋から蒸留所のみで375ml瓶が販売され、2015年春から販路を拡大していった製品です。カスクストレングスというのは、バーボン用語でより一般的なバレルプルーフと同じで、加水調整せず樽から出したままのアルコール強度という意味です。そのためバッチ毎にだいたい54〜57度の違いが出ます。バレルプルーフでありながら55度前後の低いアルコール度数なのは、他の多くの蒸留所のバレル・エントリー・プルーフ(樽入れ時の度数)が125なのに対し、メーカーズマークは110というかなり低めのエントリープルーフのため。それと、バッチごとに度数が違うからといっても、この製品はシングルバレルではなく、19樽のスモールバッチと言われています。またレシピ(70%コーン、16%ウィート、14%バーリー)と熟成年数(約6年)もスタンダードなメーカーズと同じだそうです。では、レビューいきましょう。

キャラメル、焦がした木、ヨーグルト、干し柿、バナナ、あんずジャム。パレートはスパイスとチェリー、渋柿。余韻はややバタリー。当然ながらスタンダードなメーカーズと較べると全てが強く美味しい。強力な甘味よりもしっとりとした甘味に、酸味と苦味がバランスよく合わさる。きっとメーカーズマークがもつ本質が味わいやすいと思うが、反面、人によっては度数が高いぶん辛口にも感じるかも知れない。一、二滴の水を加えるとアルコールが弱まって甘味を感じやすくなる。正直言うと、開けたては美味しくなく、バレルプルーフでなくてもいいかなという印象をもった。なんなら45〜50度のほうがバランスがいいのでは?と思ったほどだったが、半分ほどに減ってからは、やや酸味が強くなったものの柿系のフルーティーさが増して美味しくなった。
Rating:87/100

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今回は似た者同士をいっぺんにレビューしようと思います。過去に投稿した「安酒を敬いたまえ」というシリーズに編入してもよい2本ですので、旨い安バーボンを探してる方は参考になさって下さい。一つはヘヴンヒル蒸留所の看板製品となっているエヴァンウィリアムスのブラックラベル。もう一つはラクスコが販売するエズラブルックスのブラックラベルです。ともに1500〜2000円前後の販売価格であり、ラベルの雰囲気が似ているだけでなく、ジュースのスペックが似ています。ラクスコは2018年4月に自社のラックス・ロウ蒸留所がケンタッキー州バーズタウンに完成し、稼働し始めましたが、それまではヘヴンヒル蒸留所から原酒を調達していたと見られます。ラクスコの自社蒸留原酒が含まれる物がリリースされるまでは数年かかるでしょう。裏事情はよく分かりませんが、原酒の調達方法がバルク買いなのであれば、この二者は同じ蒸留施設で生産された同じマッシュビルのバーボンと考えるのが妥当だと思います。違いは熟成年数と熟成庫内の場所と度数とボトリング施設といったところかと。

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目視で比べると、エヴァンウィリアムスの方が度数が低い(=濃度が薄い)のに、若干濃い色をしてるように見える。

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エヴァンのブラックラベルは、世界でジムビームに次ぐセールスを記録しているバーボンと言われます。以前は7年熟成、もっと前は8年熟成でしたが、近年の増加する需要に対応するためNASとなりました。現在では5〜7年熟成とされています。

2016年ボトリング。薄いヴァニラ香、穀物臭、麦茶、薄い薄いチェリー、スパイス。余韻にややケミカルなノートと汗っぽさ。甘味と複雑さが足りず、フルーツ感もあまりない。強いて言うならフルーティな麦茶とは言えるし、口の中にとどめておけばスパイシーさと苦味を感じられるが、どうもあっさりして物足りない。昔のエヴァンはもっと芳醇な香りだったのだが…。
Rating:80/100

EZRA BROOKS Black Label 90 Proof
エズラブルックス、及びオールドエズラのシリーズは2016年にリニューアルされ、画像の物は長らく親しまれた旧デザインとなります。熟成年数の表記はありませんが、おそらく4年もしくは長くて5年程度ではないかと思います。

2011年ボトリング。ブラウンシュガー、香ばしい木材、コーンチップス、ブドウ。口当たりがこちらの方がやや滑らか。余韻はうっすらトフィと麦茶。どうも熟成の足りなさが漂う。90プルーフにしては風味が物足りず、すぐ上のクラスのバーボンと比べて香りのボリュームが小さい。端正に整った味わいとも言えるが、個性がなくあっさりした味わいとも言える。
Rating:79.5/100

Thought:正直言って、どちらも期待外れの味わいと思いました。特にテイスティング・グラスで飲むと全然美味しくなく感じます。ラッパ飲みかショットグラスならまあまあです。どうしても上位クラスと比較すると風味の弱さが目立ちますが、あくまで安さが魅力のバーボンですので…。肯定的に言えば、普通に美味しいと言いますか、この程度の値段で現代バーボンのスタンダードな旨さをよく体現しているなとは思います。ちなみにライバルである他のボトムシェルフ・バーボンと比べて言うと、これらが1500円である場合、ジムビームホワイトが1300円前後であればこの二者を買いますが、エンシェントエイジとベンチマークが1000円であればそちらを買うのが私の考え(好み/金銭感覚)です。

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Ezra Brooks Rye 90 Proof
現在ではラクスコが販売するブランド、エズラブルックスのライウィスキーです。アメリカでのライウィスキー人気の潮流を受けて2017年から発売されました。中身のジュースはお馴染みMGPの95%ライ・マッシュ、熟成年数は2年、しかもノンチルフィルタードだとか。おそらく日本で流通しているMGPライを使用した製品の中で最も安価かつ入手の容易なのがこのエズラ・ライでしょう。販売価格の割にはラベルがカッコいい。

本ボトルは2017年ボトリング。プリンのカラメルソース、焦がした木、シリアル、ナツメグ、ジンジャー、ケチャップ。口当たりは円やか。味わいや余韻にミントよりも穀物感のほうが強く感じられる。芳香成分のボリュームが少なく、けっして不味いわけではないのだが、どうにも物足りない。ノンチルフィルタードなのが信じられないほどだし、いくら若い原酒とは言え90プルーフにしては風味が軽すぎる。と言うより、我々がMGP95%ライに期待する風味が欠如しているからそう感じる。
Rating:81/100

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Thought:殆ど同じスペックのリデンプション・ライと較べて、どうしてここまでMGP95%ライの風味がしないのか解りませんでした。ファーストインプレッションでは、多分チャコールフィルターのかけ過ぎとチルフィルタードが施されているからだろうと単純に考えました。ところが調べてみるとノンチルフィルタードだと言います。ふうん、じゃあ樽の違いと少しの熟成年数の違いだけでここまで違うのか、と思い直しました。で、記事を書くにあたり更にエズラ・ライの海外でのレビューを追及していたところ、驚きの情報に行き着いたのです。
一般的にはエズラブルックス・ライの製品情報としては、MGPの95%ライ・マッシュをソースとし、熟成期間は2年でノンチルフィルタードとされているのは始めに述べた通り。多くのウイスキーサイトやブログでそう書かれているのは、おそらくラクスコ側からそうアナウンスされているからでしょう。しかし、あるバーボンマニアがエズラ・ライを飲んだとき、MGPの95%ライ・マッシュと感じなかったらしく、エズラブルックスのPR会社に確認の連絡をしてみると、担当者はマッシュビルの開示を渋ったものの、コーンが含まれていることを認めたと言うのです。
そうなると可能性として出てくるのが、MGPの95%ライではない他のライ・マッシュビル。MGPは2013年に顧客のためにマッシュビルの数を大幅に増やしたのですが、その時に二種類のライ・マッシュビルが追加されました。これによりMGPには三種のライウィスキーが存在することになります。そのマッシュビルの内訳は、
①95%ライ/5%バーリー
②51%ライ/45%コーン/4%バーリー
③51%ライ/49%バーリー
となります。上述の情報源によれば②か、もしくは①〜③のミックスなのではないか、とのこと。私の飲んだ印象としては②という気がしました。飲んだことのある皆さんの意見を伺いたいところです。

バーボンの空き瓶を手軽に、しかもプチプラリメイクでお洒落なインテリアにするこの企画、今回はワイルドターキーです。

使用する瓶は、ワイルドターキーといってもスタンダードなやつじゃありません。昔の免税店向けの製品で、ケンタッキーレジェンドというボトルの形とキャップが独特なやつです(レビューはこちら)。飲み終わったからって捨てるには忍びないデザインですよね。こういうのこそインテリアにしなくちゃ、という訳でこちらです。

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材料は全て100均で揃います。まずワイルドターキーのワイルド感を出したかったんで、園芸用のバークチップを詰め込みました。流石に茶色だけだと寂しいので、上の方にアクセントでラズベリーピックをニッパーで切ったものを入れて、と。一番のキモは、ガラスに書けるペンで瓶のエンボスをなぞってゴールドにしたところ。元のデザインが黒×ゴールドなのに合わせた配色ですので、非常にしっくり来ます。画像で判る通りズタボロのなぞり方なんですけど、気にしません(笑)。それも味ってことで。

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中身はお好みの物を入れて、あとはペンでなぞるだけの簡単DIY。材料費は300円です。皆さんも是非トライして下さいね〜。

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Malt Whiskey─モルトウィスキー
51%以上のモルテッドバーリーをマッシュに含み、160プルーフ以下で蒸留し、125プルーフ以下でチャーした新しいオークコンテナーに入れたウィスキーのこと。

Malted Barley─モルテッドバーリー
麦芽大麦。部分的に発芽され、加熱または焙煎された大麦。麦芽大麦には澱粉を発酵性糖に変換する酵素が含まれている。バーボンのマッシュビルでは概ね5〜15%程度の割合で使われる。酵素は麦芽でないと存在しない。

Mariage(Marriage)─マリアージュ(マリッジ)
マリアージュはフランス読み、マリッジは英語読み。通常の意味としては結婚のこと。「幸福な巡り合わせ」のようなニュアンスを秘めて使い、ワイン業界に於て、ワインと料理の組み合わせや相性が希にみるほど良く、1+1が2にならず、それ以上になる場合に用いると云う。今ではワインに限らず、ウィスキーや日本酒等でも使われている。例、「ウィスキーとおつまみのマリアージュ」。上記の文脈でないウィスキー用語としては、ブレンドした原酒を調和させるために一定期間寝かせることを指す。
バーボン用語としてあまり使われないこの言葉を当用語集で取り上げた理由はただ一つ。フォアローゼズ蒸留所が毎年リリースし、現在スモールバッチ・リミテッドエディションとして知られるシリーズの最初期の二年間だけこの名称が使われていたから。スタンダードなスモールバッチでは10レシピのうち4つのレシピ(OESK, OESO, OBSK, OBSO)を使用するが、リミテッドエディションのレシピはその都度若干違う。ファーストリリースとなる「Four Roses Mariage 2008」は13年熟成と10年熟成のブレンドで、レシピはその時点では公開されていないものの、おそらくはEとBのマッシュビルを「マリアージュ」したものと思われる。そしてセカンドリリースの「Four Roses Mariage 2009」は、イーストの種類は定かではないものの、35%ライのBマッシュビル10年熟成と20%ライのEマッシュビル19年熟成のバーボンが選ばれていると言う。この後の2010年以降のリリースから3〜4種のブレンドとなり「Mariage」の名称はなくなった。
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Maryland Rye─メリーランドライ
ライウィスキーはアメリカンウィスキーの元祖と考えられ、メリーランド州は近隣のペンシルベニア州と並びその産地として名高い。同州は禁酒法に先立つ19世紀の大部分に渡って、ペンシルベニア州とケンタッキー州に次ぐ存在感を示していた。南北戦争でメリーランドにやって来た外部人が、ワシントンDCを保護するために駐屯している間、このスタイルを嗜んだ何千人ものユニオン・ソルジャーズによって内戦中に有名になり、彼らが故郷へ戻るとメリーランド・ライの評判は北部の州全体に広まった。メリーランドはウィスキーをスコットランドにまで輸出していたと言う。クラシックなメリーランド・ライのブランドとしては、ハンター・ピュア・ライ、メルヴェール、B. P. R.、マウント・ヴァーノン、パイクスヴィル等が比較的有名。このスタイルのマッシュビルの基準について明確な規定はないものの、強くスパイシーなペンシルベニア・ライ(モノンガヒーラ)よりも甘くて柔らかく、滑らかでバランスの取れた味わいは、マッシュビルにコーンが多く含まれていたと見られている。メリーランド・ライのボトラーの中には、1906年のPure Food and Drug Actが終止符を打つまで、ライウィスキーにフルーツジュースや他の甘味料や着色料を加えて高度に「整流」するものも多かったらしい。
ご多分に漏れず、禁酒法により同地の蒸留所は衰退した。「高貴なる実験」が終わりを告げてもケンタッキー・バーボンのように復活しなかった原因の一つとして、メリーランド州の蒸留所の多くが都市部にあったから、と言われる。これらのプロパティは貴重な場所にあり、禁酒法期間中に不動産を売却する必要に迫られた。それでも再開された蒸留所の多くは、禁酒法以前に運営していた人物とは異なる人物に経営された。メリーランド州のウィスキーの評判ですぐにお金を稼ぐことに興味を持った人々によって。その多くは10年以内に失敗に終わったと言う。また、第二次世界大戦の折り、非常に多くの蒸留所が戦争のためのエタノール製造に切り替えたことも衰退の要因と考えられている。最後まで生き残ったパイクスヴィル・ブランドも1972年には生産終了。1982年にヘヴンヒルに売却されるまで既存のウィスキーストックで生き残ったものの、メリーランド産のライウィスキーは一旦その歴史に幕を下ろし、それ以降はケンタッキー産のメリーランド・スタイル・ライが生産された。
ところが近年、クラフト蒸留所の勃興や、新世代バーテンダーやミクソロジストからの支持によりライウィスキー人気が復活し、メリーランド・ライの名声が戻って来た。ボルチモアのサガモア・スピリットやリヨン・ディスティリングを筆頭に地元のクラフト蒸留所は活況を呈し、他地域からもフィラデルフィアのニュー・リバティ蒸留所やコロラド州デンバーのレオポルド・ブラザース社がメリーランド・ライの伝統を受け継いだ独自のヴァージョンを産み出している。再びメリーランド・ライの黄金時代を目の当たりに出来るかもしれない。

Mash─マッシュ
粉砕した穀物とお湯の混合物。粥に似てとろりとしている。マッシュポテトの「マッシュ」と同じ言葉で、一般的にはすり潰してどろどろにすること、またそうした物の意。

Mash Bill─マッシュビル
マッシュに含まれる穀物の配合比率を指す用語。例えば、コーン72%/ライ18%/モルテッドバーリー10%、のような感じ。レシピ、またグレインレシピとも言う。伝統的には上記3種の穀物がバーボンの殆どを占めるが、近年では4種の穀物を使った「フォーグレイン」や、アメリカンウィスキー製造ではマイナーだった穀物もマッシュビルに使用されるようになってきた。

Mash Tub─マッシュタブ
穀物を水と混ぜてマッシュを調理し、ファーメンターに移す前に、澱粉を単糖に分解する糖化作業に用いる大型の桶。「バスタブ(浴槽)」と言うときの「タブ」で、つまりマッシュ用の槽のこと。クッカーとも言う。「Cooker」の項を参照。

Mashing─マッシング
マッシュを調理するプロセスのこと。糖化作業。イーストを加えるファーメンテーションの前に、イーストが穀物の澱粉を利用できるように、先ず麦芽の分解酵素(アミラーゼ)を働かせ、澱粉を発酵可能な糖に分解する工程。原料のグレインを粉砕したものに麦芽と共に湯に混ぜ、加熱することで糖化が行われる。バーボンの糖化で使用する大麦麦芽は酵素力の強い六条大麦だと聞く。また麦芽だけの力に頼らず商用酵素剤と併用する場合もあるとか。
ミルで別々に挽かれた材料はクッカーにトウモロコシ、ライ麦、麦芽の順で3段階に分けて投入。それぞれの投入温度は概ね100℃、84℃、65℃とされる(加圧するかしないかで温度は変わる)。この時、仕込水と共にバックセット(スティレージ)を加え、マッシュを酵素の働きやすいpHに整えるのがサワーマッシュ製法。麦芽の酵素はpH5.4~5.6程度の酸性下でよく働くため、ライムストーンウォーターのようなpH7程度の中性水では酵素が働き難いことから、pH4前後のバックセットを加える事でマッシュを適度な酸性にする。サワーマッシュはマッシングとファーメンテーションどちらにも適用するのが一般的だと言う。

Master Distiller─マスターディスティラー
蒸留酒のレシピを決定したり、熟成具合や製品品質をチェックしたり、酵母の増殖を含む生産工程の全てを監督するトップの人。どのような製品が造られ、どのようなものが瓶の中に入るのかに関する最終的な権限を持っている。ブランド・アンバサダーとして製品を広める役割も担ったりする。

Master Taster─マスターテイスター
マスターディスティラーの助手として生産の監督をし、バレルの味見や、バッチングのためのバレル選択を助ける人。

Maturation─マチュレーション
熟成。エイジング。

Maturation Peak─マチュレーションピーク
熟成の頂点。マスターディスティラーが最高の熟成度と見極めるポイント。

MGP(MGPI)
「Midwest Grain Products」の略。「MGPI」の場合は「MGP of Indiana」もしくは「MGP Ingredients」の略。MGPはカンザス州アッチソンに本社を置く、蒸留酒および小麦プロテインと澱粉の大手サプライヤー。スピリットはインディアナ州ローレンスバーグにある同社の施設で蒸留され熟成している。ウィスキーやバーボン以外にジンやウォッカ、GNSや工業用アルコールも生産される。この蒸留施設の歴史は古く、そもそもは1847年創業のロスヴィル・ユニオン蒸留所に端を発する。1933年、シーグラムは蒸留所を禁酒法期間中に購入し、廃止後に再建した。以来、蒸留所はシーグラムス・ローレンスバーグ・プラントとしてシーグラム帝国の一翼を担い、シーグラムス・セヴン・クラウンやシーグラムス・ジン等の様々な製品の製造に使用されていた。シーグラム解体によって2000年に酒類部門はディアジオとペルノ・リカールに分けて売却され、ローレンスバーグ蒸留所とシーグラムス・ジンはペルノ・リカールの所有となった。ペルノ・リカールは施設を望んでいなかったため、2008年までに売却できなかった場合、工場は閉鎖されると2006年4月にアナウンスされたが、2007年にはトリニダード・トバゴを拠点とするCLフィナンシャル(アンゴスチュラの親会社)が購入した。その際に改称して「LDI(Lawrenceburg Distillers Indiana)」と呼ばれるようになったものの、CLフィナンシャルはその後崩壊し、2011年10月にMGPイングリディエンツが蒸留所を購入し現在に至る。MGPが蒸留所を取得した折りにボトリング施設は購入されず、ボトリング施設とパッケージング事業はプロキシモ・スピリッツが2012年にCLフィナンシャルから取得した。
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アメリカ国内でも屈指の歴史と生産能力を誇る蒸留所を有しながら、MGPはオリジナル・ブランドを殆ど持っていない。伝説のブートレッガーの名にちなむジョージ・リーマス・バーボン、蒸留所の創業当時の名を冠したロスヴィル・ユニオン・ライウィスキー、時のマスターディスティラー グレッグ・メッツが選択した限定バーボンなど数えるほどしかなく、彼らのウィスキービジネスの大部分は他の会社(NDP、ボトラー)への販売にある。 2013年4月、MGPは顧客のためにウィスキーのマッシュビルを追加し、インディアナ施設の製品提供範囲を拡大すると発表した。そうして現在では以下のような種類のウィスキーレシピがある。

Bourbon - 75% Corn/21% Rye/4% Barley Malt
Bourbon - 60% Corn/36% Rye/4% Barley Malt
Bourbon - 51% Corn/45% Wheat/4% Barley Malt
Bourbon - 51% Corn/49% Barley Malt
Bourbon - 99% Corn/1% Barley Malt
Rye Whiskey - 95% Rye/5% Barley Malt
Rye Whiskey - 51% Rye/49% Barley Malt
Rye Whiskey - 51% Rye/45% corn/4% Barley Malt
Corn Whiskey - 81% Corn/15% Rye/4% Barley Malt
Wheat Whiskey - 95% Wheat/5% Barley Malt
Malt Whiskey - 100% Barley Malt

この中で著しく人気があり、MGPの主要製品となっているのが95%ライ・マッシュのストレート・ライウィスキー。大手酒類会社からクラフト蒸留所までこぞって買い求め、独自のブレンドやフィルタリング、時には後熟などを施し、様々なブランド名の下にボトリングして販売されている。有名どころを挙げると、ブレット、ジョージ・ディッケル、エンジェルズ・エンヴィ、ジェームズ・E・ペッパー、リデンプション、スムーズ・アンブラー、ハイ・ウェスト、テンプルトンなど枚挙に暇がない。
この95%ライ/5%バーリーモルトのレシピは、元々セヴン・クラウンのようなブレンデッド・ウィスキーのフレイヴァー成分を意図して開発され、1990年代に当時のマスターディスティラー、ラリー・エバソルドによって造られた。当初は51%のライとコーンとモルトの標準的なライウィスキーを造ったと云う。しかし、もっとライ麦のフレイヴァーが欲しかったので、今度は80%のライと20%のモルテッドライのレシピで実験した。テイスター皆がその結果を気に入ったものの、モルテッドライは高価なため会社の会計士はいい顔をしなかった。そこで次に比率を95%ライとわずか5%モルテッドライに変更したが、それでもまだ高いと会計士は言い、結局ライモルトを標準的なバーリーモルトに取り替えることで、今日のレシピが出来上がる。そのレシピは豊かなスパイスとフルーティさに満ち、会社の上層部もとても気に入り、クラウンロイヤルや他のカナディアン・ウィスキーで使用するためにマニトバ州のギムリ蒸留所で造ることを決めた。しかし、インディアナ原産の菌株はより厳しいカナダの気候の中で一世代を超えて生き残ることができず、最終的にローレンバーグで造るようになった。約10年の間にシーグラムからペルノ・リカール、LDI、MGPと激動の変遷を重ねたが、アメリカンウィスキーに於けるライ人気復権の震源地はインディアナ州ローレンスバーグのプラントだったと言っても過言ではないだろう。

Micro Distillery─マイクロディスティラリー
法的定義のない言葉なので、イメージとして大規模な蒸留所の対極にある小規模生産の蒸留所のことと思っておいてよい。クラフト蒸留所とほぼ同義でも使われる。

Milling─ミリング
製粉。マッシングの前に原材料の穀物を砕く(挽く)工程。

Mingling─ミングリング
混ぜること。ブレンド、またはバッチングとほぼ同じ意味で使われるあまり一般的ではない言葉。

Mint Julep─ミントジュレップ
ケンタッキーバーボン、シロップもしくは砂糖、水または炭酸水、新鮮なミントの葉、クラッシュドアイスで作られるカクテルで、ケンタッキーダービーの公式飲料。

MM
「Maker’s Mark」の略。赤い封蝋が目印の小麦バーボン。
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Monongahela─モノンガヒーラ
かつてペンシルベニア州に多くあったライウィスキー蒸溜所がモノンガヒーラ川を水源としていたことから、ライウィスキーのことを単にモノンガヒーラと言い、最高のライウィスキーはモノンガヒーラ産だとして尊ばれていた。ライウィスキーの歴史はバーボンよりも古く、モノンガヒーラ・ライはアメリカ国内で幅広い認知度を獲得した最初のウィスキース​​タイルだった。モノンガヒーラ川はウェストバージニア州からピッツバーグへ流れ、アレゲーニー川と合流してオハイオ川となる。その名称はこの地方の原住民の言葉で「急峻な河岸」から取られたそうな。
研究家によればモノンガヒーラ・ライのスタイルには5つの歴史的因子があると云う。
①ロケーション
モノンガヒーラ川及びその支流からの水源と気候条件。
②グレイン
コーンはその地域で豊富な作物ではなく、モノンガヒーラ・ライの一般的なマッシュビルはライ麦と大麦の2種類しか含んでおらず、概ね4対1の割合だった。もしかすると一部の蒸留所では麦芽ライ麦を使ったかも知れない。
③スウィートマッシュ
サワーマッシュ発酵はペンシルベニア州の商業蒸留所に知られていたが、前回からのスペント・スティレージの一部を含めるのではなく、発酵ごとに新鮮な酵母のみを使用するスウィートマッシュが全般的に受け入れられていた。
④スリー・チェンバー・スティル
19世紀後半、この地域の蒸留所はスリー・チェンバー・スティルと呼ばれるポットスティルとコラムスティルの中間様式のハイブリッド・スティルを広く採用していた。それはポットスティルを垂直に3つ配置し、一部の動作に人の手はかかるが、半連続式蒸留器と言える構造だった。このスティルで蒸留されたスピリットは、コラムスティルに較べオイリーで重いボディだったと言う。
⑤熟成
この地域のほぼ全ての大きなウィスキー倉庫は石造りまたはレンガ造り、或いは両者の組み合わせで造られていた。寒い時期にはスチームによる温度制御を実践し、庫内は常夏に保たれた。この環境は絶えずウィスキーを樽の内部に押し込み、木との相互作用を増やす。自然のダイナミクスに委ねるケンタッキーの哲学と違い、ペンシルベニア州の蒸留所はより高価なプラクティスに固執した。甘くて美味しい赤色の樽熟成バージョン「Old Monongahela」に造り手と顧客は誇りを持っていたのだろう。
このスタイルのライウィスキーは禁酒法によってほぼ絶滅し、禁酒法解禁後もケンタッキー・バーボンのようには復活しなかった。しかし、現在アメリカでのライウィスキー人気は著しく、大手蒸留所もマイクロ蒸留所もこぞってライウィスキーをリリースし、その流れの中からモノンガヒーラ・スタイル再生の動きがある。ユタ州のハイウェスト蒸留所が造る「OMG(Old MononGahela) Pure Rye」や、フィラデルフィア近郊のマウンテン・ローレル・スピリッツの「Dad’s Hat Pennsylvania Rye」、ピッツバーグのウィグル・ウィスキーの「Organic Monongahela Rye」等は、オールド・モノンガヒーラのピュア・ライ・スタイルに敬意を表した代表例。またコロラド州デンバーのレオポルド・ブラザース社は、ヴェンドーム・カッパー・アンド・ブラスにスリー・チェンバー・スティルの製作を依頼したとも聞く。モノンガヒーラ・ライはTTBによって定義されたスタイルではないものの、アメリカンウィスキーの歴史の一時代を築いた。クラフト蒸留ムーヴメントの中で、アメリカンウィスキーの伝説再生は近いのかも知れない。

Moonshine─ムーンシャイン
密造酒。税金を払わず不法に生産された蒸留酒。違法な蒸留は夜陰に乗じて月明かりのもとで行われたことから。または昔の英国で月夜に紛れて船で運ばれたことからとも。概ねマッシュはコーンがメイン。ホワイトリカー、ホワイトライトニング、マウンテンデュー等とも言われる。現代のマーケティング用語としては違法な蒸留でなくても、それっぽい雰囲気のボトルやラベルで一般流通している未熟成(ないしはそれに準ずる僅かな熟成期間)の無色透明のコーンウィスキーを指してそう呼ばれる。

Moonshiner─ムーンシャイナー
密造酒の造り手。

MSRP
「Manufacturer's Suggested Retail Price」の略。メーカー希望小売価格のこと。Mなしで「SRP」とされることもある。

MWND
「A Midwinter Night's Dram(Mid Winter Night's Dram)」の略。ユタ州パークシティのハイウェスト蒸留所がリリースするランデヴー・ライのスペシャル・エディション。ストレート・ライ・ウィスキーのブレンドをポートワインとフレンチオークの樽で後熟したもの。配合率はシークレットながら、ソースはMGPのライ95%/バーリーモルト5%、ハイウエスト蒸留所のライ80%/モルテッドライ20%、 バートン蒸留所のライ53%/コーン37%/バーリーモルト10%とライ80%/コーン10%/バーリーモルト10%だとアナウンスされている(初期リリースの物はMGPとバートンのみ)。その名前はウィリアム・シェイクスピアの著作「真夏の夜の夢(A Midsummer Night's Dream)」をもじって名付けられ、それに準えてラベルも普通ならバッチナンバーやボトルナンバーのところが「Act」と「Scene」になっている。真冬の雪景色を見ながら飲んだり、クリスマスにお誂え向きのウィスキー。
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FOUR ROSES SINGLE BARREL 43%alc/vol
BARREL No. 9-26-95A
DATE 12-7-04
現行の物とはボトル形状もラベルデザインも度数も異なる昔のフォアローゼズシングルバレル。おそらく90年代終わり頃から2000年代初頭にヨーロッパに流通していたものではないかと推測します(仔細ご存じの方はコメントからお知らせ下さると嬉しいです)。首に付いている小冊子によると、最低でも7年は熟成され、スパイシーなキャラクターとフローラルなノーズと僅かにドライでデリケートなフィニッシュを有したバレルを、当時のマスター・ディスティラー ジム・ラトリッジが自らセレクトし、一樽一樽の個性や熟成年数の違いを楽しむ機会を我々に提供するのがシングルバレルの意図だという旨が書かれています。
本ボトルはDATEによると9年熟成。10種のレシピのうちの何なのかは記載されてません。せめてEかBどちらのマッシュビルかぐらいは教えて欲しかったですが、それ以前に、フォアローゼズが2マッシュビル×5イーストで作り始めたのって何時のことなんでしょうか? これまたご存じの方はコメントから教えて下さると幸いです。まあそれは措いて、レビューへ。

樽香、穀物臭、ライ由来のスパイス香、蜂蜜、軽いシトラス、僅かにビターチョコ、余韻にややミンティな気配。だいたい同じ時期のブラックラベルと較べて、どうも甘い香りが少なくスパイシーなアロマに感じる。確かに味わいもドライ。大人味のフォアローゼズと言った感じ。味わいから察するにBマッシュビルだと思う。正直、私ごときではフローラルまでは嗅ぎ取れず、個人的にはブラックの甘くフルーティなアロマの方が好み。
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