バーボン、ストレート、ノーチェイサー

◆◆FOR BOURBON LOVERS ONLY◆◆ バーボンの紹介やレビュー、レーティングなど。

2018年05月

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H

Hazmat─ハズマット
「hazardous material」の略語で危険物の意。バーボンオタクの間では140プルーフ(70度)以上のウィスキーのことを指す。飛行機に持ち込んではいけない。バーボンではジョージTスタッグやエライジャクレイグバレルプルーフなどの一部がそれに当たる。

Heads─ヘッズ
ダブラーまたはサンパーから出て来る蒸留液(ハイ・ワイン)の最初の部分。このスピリットは不純物が多く、再蒸留のためにスティルに送り返される。

HH
「Heaven Hill」の略。ヘヴンヒル蒸留所、ま
たはその名を冠したバーボン。昔は長期熟成を含む色々な熟成年数のものがあったが、近年ではヴァリエーションは少なく、同社のメインブランドはエヴァン・ウィリアムスとエライジャ・クレイグに絞られた感がある。ヘヴンヒル・セレクトストック(Heaven Hill Select Stock)は「HHSS」と略す。 
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High Rye Mash Bill─ハイライマッシュビル
バーボンのマッシュビルで、ライ麦の配合率が多いものを指す用語。明確な規定がある訳ではないが、概ねライ麦が10%ならロウ、15%ならミドル、18%以上ならハイと思っておいていいだろう。

High Wines─ハイワイン
第二蒸留(ダブラーやサンパー)によって生成されるスピリット。

Highball─ハイボール
バーボンなどを炭酸水で割った飲料。

Honey Barrel─ハニーバレル
熟成において特に出来の良い樽(及び中身)のこと。シュガーバレルとも言う。

Horizontal Tasting─ホリゾンタルテイスティング
水平方向に選び出されたボトル群による試飲方法。テイスティングを行う際に選抜する銘柄を、例えば同じ価格帯に属するが、異なる蒸留所の物を各一本づつ揃えるようなやり方のこと。例……ジムビームブラック、メーカーズマーク、フォアローゼスブラック、ワイルドターキー、ジャックダニエルズ等。或いは価格帯は違っても、熟成年数のみを共通項にして、異なる蒸留所の物(またはブランド)を選ぶとかも考えられる。例……エライジャクレイグ12年、エヴァンウィリアムス12年、ワイルドターキー12年、ウェラー12年、ヴァンウィンクル12年ロットB、ジムビームシグネイチャークラフト12年など。または蒸留所は同じでも原料の違いに焦点を合わせて、スタンダード・バーボン・マッシュビル、ウィーテッド、ライウィスキー、コーンウィスキー、ウィートウィスキーを各一本づつ揃えるとか。例……エヴァンウィリアムス、ラーセニー、リッテンハウスライ、メロウコーン、バーンハイムオリジナル等。要するに垂直方向でなければ何でもあり。

HW
「High West」の略。2007年、ユタ州パークシティに設立されたクラフトディスティラリー、またそのウイスキーに付けられた名前。禁酒法解禁以来、ユタで最初の蒸留所。多くのマイクロディスティラリーと同じく、設立当初はソーシングウィスキーを使用して自らのウィスキーを造ったが、他の多くのマイクロディスティラリーと違い、供給源を明らかにする姿勢は消費者から好感を得た。他所から得た原酒(MGPやバートン、フォアローゼス等)を使うにせよ、自家蒸留酒を使うにせよ、そのブレンド技術には定評がある。またアメリカンプレイリーやキャプファイヤー、ランデブーライにダブルライなど独創的な世界観を体現するラベルデザインやネーミングセンスはブランディングの巧みさも物語っているだろう。
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Hybrid Still─ハイブリッドスティル
ポットスティルとコラムスティルのどちらでも実行できる現代的なスティルデザイン。ポットの上方にそのままフルートのような見た目のコラムが付いたものや、ポットの横に小さめのコラムが設置されたもの等がある。クラフトディスティラリーのような比較的小規模な蒸留所でよく使われ、ウィスキー以外にウォッカやジン等も作る場合に利便性が高いのだとか。


I

In the Wild─インザワイルド
酒屋の棚にレアなボトルが小売価格もしくはそれに近い価格で発見されたり、またはそうして買えた時の状況を指すスラング。野生の状態、つまり小賢しい人間の手がかかってない状態を譬えているものと思われる。
例「OMG I can’t believe I found a PVW20 "in the wild."」。

Infinity Bottle─インフィニティボトル
フラクショナル・ボトル、ソレラ・ボトル、リビング・ボトルとも言われ、現在飲んでいるバーボン(やウィスキー)が残り僅かになった段階で、何かしら飲み終えた空き瓶や用意したデカンター等にそれを移し、また何度もそれを繰り返し、永久になくならない自家製ブレンドを造ること。そして追加する度に変化する風味プロファイルを自ら楽しみ、家族や友人に提供して共に楽しむウィスキーオタクの娯楽。
方法論としては、ウィスキーのカテゴリーを同一にする場合と、カテゴリーを越境する場合とがある。前者はバーボンならバーボンのみをブレンドし、後者はスコッチにバーボンとジャパニーズをブレンドするようなことを指す。概ね前者の方が風味の統一感を取りやすく無難に仕上がる。

IWH
「I. W. Harper」の略。大変歴史のあるブランドで、1879年にアイザックとバーナードのバーンハイム兄弟によって立ち上げられた。ブランド名は兄のIssac Wolfeの頭文字から。アイザックはユダヤ系ドイツ人である自分の本当のラストネームを使用することを躊躇い、代わりに安全なアングロサクソン風のHarperを用いたと言われる。兄弟は退職時に会社を売却し、禁酒法解禁後の1937年からはシェンリーの傘下となり、長らくトップセリングバーボンの座にあった。その後1987年には、今日ディアジオとして知られる巨大酒類企業を形成するギネス(ユナイテッド・ディスティラーズ社)に買収され、グレーマーケットの問題から90年代半ばには輸出専用の製品となり、約20年間に渡ってアメリカでは販売を停止されていたが、2015年久方ぶりに本国復帰を果たした。
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アイザック・ウォルフ・バーンハイム氏


J

JB
「Jim Beam」の略。世界一売れてるケンタッキーストレートバーボンウィスキー。
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ビーム家7世代

JD
「Jack Daniels」の略。世界一有名なテネシーウィスキー。
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ジャスパー・ニュートン・ダニエル氏

Jigger─ジガー
1.5オンス(約45ml)の容量。またカクテル用の計量器。

JPS
「Jefferson’s Presidential Select」の略。キャッスルブランズが販売するジェファーソンズバーボンの中でも長期熟成酒を使用したより上位のシリーズ。初期リリースのものにはスティツェル=ウェラーの原酒が使われた17年や18年物があり有名。蒸留された蒸留所が非公開の25年や30年といった超長期熟成古酒のリリースもある。
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JIM BEAM RYE Yellow Label 80 Proof
2007年ボトリング。ジムビームライのイエローラベル時代の物になります。弱いキャメル風味、パンケーキ、フレッシュフルーツ。ホワイトラベルよりはフルーティーではあるものの、どうもライウィスキー感が弱い印象を受けました。取り立ててミンティでもなく、むしろトースティなノートの方が強く感じる。点数にすると同時期のホワイトラベルと変わりません。
Rating:78/100

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リニューアルされたジムビーム・ライのレビューはこちら

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Maker's Mark VIP Red Wax 90 Proof
スタンダードなメーカーズマークの上位に位置するこのVIPですが、日本で流布している一説に、中身はスタンダードと同じ、という説があります。個人のブログや有名掲示板のみならず、なんなら酒販店の商品説明でそう記載されてるのも見たことがあります。スタンダードは2500円程度で、VIPは当時の定価で10000円近くしました。箱と瓶代だけでこんなに違ったら消費者は怒りますよ。
私は自分が鋭敏な味覚を持ってるとは思いませんが、実際飲んでみたところ、VIPは特別なフィーリングを持ったバーボンだと思いました。スタンダードと同じ度数でありながら、インナーステイブで後熟されなおかつ2度もアルコール度数の高いメーカーズ46を凌駕する芳香と味わいとバランスです。

では、なぜ「中身はスタンダードと同じ」などという言説が出てきてしまったのか? これは私の憶測なのですが、メーカーズマークの販売を促進するためのセミナーにおいて、蒸留所で現に働く人がその製法について語る際、メーカーズマークではレシピ(トウモロコシ70%小麦16%大麦麦芽14%)は一つであり、熟成樽を三年に一度位置を入れ換える(ローテーション方式)から、味はどれも均一に仕上がっていて大差はない、と語ったことに由来するのではないかと思います。流れとしては、セミナーに参加した人がその事を自身のホームページやブログに書く、それを見た人がまた自身のホームページやブログに書く、或いは仲間やお客さんに口頭で伝えていく……こういう連鎖で自然と「中身はスタンダードと同じ」という言説が拡がったのではないかと。確かにメーカーズマーク関係者の語ることに嘘はないでしょう。なぜならメーカーズマークの販売戦略は創業当時から、エントリーレヴェルの安酒~ミドルクラスの定番品~熟成年数の長いプレミアムまで幅広く取り揃えるのではなく、手頃な価格だけど旨い酒1種類を少量生産で売る戦略を取ってきたからです。セミナーではそういう根本的な姿勢こそを強調して伝えるに違いありません。そしてセミナー受講者にも悪意はないでしょう。ただ聴いたことを素直に伝言しただけです。

さて、上に述べたことと少々矛盾しますが、メーカーズにも例外的なリミテッドリリースはありました。それは日本人にはよく知られた、ゴージャスなゴールドのラベルとワックスをもつ通称ゴールドトップと、男っぽいブラックのラベルとワックスをもつ通称ブラックトップです。
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ゴールドはスタンダードなレッドと同じジュースながら101プルーフでボトリングされたハイアープルーフ版。元々はケンタッキー州のみで販売されていたものの、バーボンの販売において当時の日本市場はアメリカ本国よりも高い利益率を示したため、1996年頃にアメリカでは廃止となり、輸出専用ボトルになりました。しかし、それも1999年には廃止されたと言います。一方のブラックは熟成年数がスタンダードなレッドよりも2年から2年半ほど長いとされ、なおかつプルーフも僅かに高い95プルーフでのボトリング。もともと日本市場限定の製品で94年に発売され、そしてこちらも2000年頃には販売停止となりました。

では、このVIPとは何なのでしょうか? 伝え聞くところでは、そもそもメーカーズの社長がVIPの人への贈答用として造ったものとされ、それをプレミアム商品として売り出したのだと言われています。昔はゴールドワックスで封がされており、ラベルも付いておらず、付属されたハガキをメーカーズマークへ送るとオリジナルのラベルが返送される仕組みになっていました。この「赤VIP」も個人用ラベルがもらえる仕組みがあります。
ここからはまたもや私の想像ですが、スタンダードとの違いがレシピにもなく、度数にもないとしたら、残された可能性は、
①樽に使用する木材の質が特別な物である。メーカーズは自社で樽を造ってるそうなのでそれも可能かと。
②スタンダードの熟成とは別の特別な場所で熟成された。どこの蒸留所もそういう「スイートスポット」を有しているものかと。
③熟成年数がスタンダードより長い。スタンダードは6年とされてますが、V.I.Pは8年はありそうな気配があるかと。
④ノンチルフィルタードである。旨味成分の多さからそれもありかと。
まあ勝手な空想ですが、それらのどれか、もしくは複数ではないでしょうか。或いはシングルバレルなのかも知れません。とにかくスタンダードより遥かに旨いです。
Rating:88/100

追記1:その後『ウイスキーの教科書』という本の中で、ゴールドワックスVIPの「MM1983 Vintage Bourbon」というボトルの紹介記事に、19樽を選び通常品とは切り離して貯蔵、と書かれているのを発見しました。それが事実なら赤VIPもそれに近い物である可能性は高いです。つまりスモールバッチで上の②③が正解だったのかも知れません。
また、このVIPの箱には©️2007と書かれています。そこから察するに、この赤VIPの発売が2007年だとすると、メーカーズ46の発売が2010年と言われてますので、新製品の46発売と同時期もしくは少し前にVIPは廃盤となったのかも知れません。そこで現行と対比してみると、まずスタンダードなレッドトップは不変として、ハイアープルーフであるゴールドの代わりがカスクストレングス、熟成年数の長いブラックの代わりがメーカーズ46、VIPの代わりがプライヴェートセレクトと言ってよいでしょう。と言うことは、ラインナップのヴァリエイションとしては大して変わってない訳で、ここらへんの伝統と革新のバランス感覚にこそメーカーズマークの経営美学の真髄を見る思いですね。

追記2:その更にあと、メーカーズマークVIPについて整理し直しました。興味のある方はこちらをご覧下さい。

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オールドグランダッド114DSC_0937

OLD GRAND-DAD 114 (57% abv)
伝統あるブランドのオールドグランダッド。昔はナショナルディスティラーズの看板製品でした。今ではビーム社のジムビームラインのコーン多めのレシピとは違う、ハイ・ライ・レシピ(コーン63%、ライ麦27%、モルテッドバーリー10%)で造られています。熟成年数はNASですが、飲んだ感じは4〜6年程度の熟成感かなと思います。
まずトップノートは、流石にハイプルーフなのでアルコール臭がキツめ。奥にキャラメルとフルーツキャンディー。飲み口もアルコールのパワーが辛さを感じさせますが、十分に甘みがあります。余韻の芳香も焦げた樽の風味とスパイス感のマッチングがよい感じ。1、2滴加水するとフレッシュフルーツ感が増します。このオールドグランダッドのラインはライ麦が多い割にはドライな印象があまりなく、甘さが程良くて、個人的には好きです。そして、なによりコスパが高い。
Rating:84/100

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Four Roses Black Label 80 Proof
日本人には馴染みあるフォアローゼズブラック。フォアローゼズのラインナップ中、このブラックとプラチナは日本限定の製品です。気になる中身の配合なのですが、フォアローゼズの誇る五種類のイーストのうち、もっともフルボディになると言われるK酵母を使ったOESKとOBSKの50/50のブレンドとされています。熟成年数は約6年と目されますが、おそらく想定されるフレイヴァープロファイルに達していれば熟成年数に拘ってないでしょう。それが当時のマスターディスティラー ジム・ラトリッジの考えなので。

こちらは、推定90年代後期、もしくは2000年代初頭のボトリングかと思います。プラム、焦がしたオーク、クローヴ、ハチミツ。イエローラベルとは比較にならないほど芳醇な香りと旨味、フレイヴァーの強さは破壊的な美味しさです。80プルーフという低プルーフながら樽香も充分ありスパイシー且つフルーティで値段も安いオススメのバーボン。
Rating:86/100

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JACK DANIEL'S SINGLE BARREL Jimmy Bedford's Final Selection 94 Proof
Rick No. R-13
Barrel No. 8-1312
Date 4-25-08
ジャックダニエルズ蒸留所の第6代マスターディスティラー、ジミー・ベッドフォードが2008年の引退を前に、特に優れた熟成樽を最後に選んだ「シングルバレル」です。今のところ飲んだことのあるJDの中では最も美味しかったです。トーストした樽の甘い香りといい味の深みといい桁違いでした。
Rating:92/100

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WILD TURKEY Forgiven 91proof
BATCH NO. 302
ワイルドターキー蒸留所の従業員が誤って飲み頃のバーボンとライウィスキーを混ぜてしまう致命的なミスを犯したものの、エディ・ラッセルが味見するとけっこう美味しかったので結局はリリースすることに。それでミスは赦された、というのが名前の由来。78%の6年熟成バーボンと22%の4年熟成ライウィスキーのミクスチャーだそうです。
お味のほうは、正にバーボンとライウィスキーの中間の風味です。78%もバーボンが使われてるわりには、どうもあっさりした印象をもちます。日本人が飲み慣れてる8年熟成より若い原酒を使用しているのと、度数が低いのが原因でしょうか。正直言ってターキー8年101プルーフのほうが遥かに旨いです。とは言え大手蒸留所がこういうのをリリースしてくれるのが面白いですよね。
Rating:83/100

ワイルドターキーフォーギヴン2

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DR. LOUIE'S SURE POTION 80 Proof
アメリカの禁酒法時代、お酒は薬用としては認められており、医者の処方箋さえあればお酒は手に入ったそうです。そこで善意の医者というか悪徳な医者というべきか、とにかく処方箋を乱発したお医者様がいたそうな。このボトルのラベルデザインはそういうエピソードにちなんで造られているのでしょう。そのせいなのか中身もどこで蒸留されたものなのか記載がなく、ただ会社はルイヴィルとあるのみです。これがdistilledやbottledを意味しているのか会社の所在地なのか定かではありません。またあまりにもチープな質感の紙ラベルです。そして味のほうもどうも怪しげでして、開封直後から梅酒の香りが支配的で、飲むとチョコレートに梅酒をかけたような味わい。更に妙に粉っぽい酒質と、今まで他では味わったことのないバーボンでした。12年熟成でありながらラベルにストレートの表記がないので、もしかするとブレンディング製法で造られているのかも知れません。或いは劣化していた可能性も考えられます。ネットで検索する限り、日本でしか販売されてないバーボンだと思うのですが、数少ないレビューを拝見すると、それほど低い評価でもないようなのです。私の飲んだものはタンニンの渋味が出過ぎた、長熟の悪いところばかりが出たバーボンに感じました。でなければ酸化が進み過ぎた、つまり劣化していたとしか思えませんが、一応レーティングはしておきます。
Rating:70/100

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【E】

EC
「Elijah Craig」の略。エヴァンウィリアムスと並ぶヘヴンヒル蒸留所のツートップの一角。両者はともにバーボンの始祖と言われる人物の名を冠している。2013年秋からバレルプルーフも発売された。そちらは「ECBP」と略される。
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エライジャ・クレイグ牧師、Wikipediaより

EHT
「E.H. Taylor」の略。バッファロートレース蒸留所で造られるプレミアムラインのバーボンのこと。エドモンド・ヘインズ・テイラー・ジュニアは、同蒸留所の礎を築いたのみならず業界全体への影響力も有した「現代バーボン産業の父」と称される偉人。コロネル(colonel)を省かず「CEHT」と略されることもある。
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Enzymes─エンザイムス
酵素。ウィスキー製造の行程で、穀物に含まれる澱粉質を糖に転換することを糖化(マッシング)と言い、その際に重要な役割を果たす触媒。発芽した大麦には酵素が豊富なためアルコール造りに欠かせない。
殆どのバーボンのマッシュビルには、概ね5〜15%程度のモルテッドバーリー(麦芽大麦)が含まれているが、これはビスケッティなフレーヴァーを与える以上に、酵素を提供するのが主な役割とされる。現代の主要なバーボン生産者はマッシュビルに酵素を加え、行程を能率化しているらしい。希に見られる100%ライ麦や100%小麦ウィスキーなどは、おそらく業務用酵素を使用していると思われる。スコットランドでは使用が禁止されているが、アメリカでは禁止されていない。業務用酵素の導入により、麦芽を含まないマッシュビルからもウィスキーを作ることが出来、麦芽を含むマッシュからもより良い転化率を得ることが出来るという(つまり、より多くの澱粉をより多くの糖に変えてより多くのアルコール収率を得る)。逆に、殆どの蒸留所では業務用酵素を使用せず、大麦麦芽のみであるという説もある。ここら辺の裏事情は殆どの蒸留所が公開していないため、素人には判らない。

ER
「Eagle Rare」の略。バッファロートレース蒸留所のロウ・ライ・マッシュビル・バーボン。元々はシーグラムが発売したブランド。
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ET
「Early Times」の略。ブラウン=フォーマン社の所有するブランドで、アメリカ本国より海外市場で人気が高い。特に日本おいては抜群の知名度と人気を誇る。
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ETL
「Elmer T. Lee」の略。バッファロートレース蒸留所のハイ・ライ・マッシュビルを使ったバーボンのこと。同社に長年勤務し、シングルバレルバーボンの魁となったブラントンを商品化した伝説の職人の名。バーボンのブランドにその名を刻める数少ない人物の一人。
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Evaporation Loss─エヴァポレーションロス
蒸発により失われた酒量。「Angel's Shere」を参照。

EW
「Evan Williams」の略。ヘヴンヒル社の旗艦ブランドだけあって様々なヴァリエーションがある。ラベルの色で言うと、黒がスタンダードで、緑は黒より格下、白と赤は黒より格上。スモールバッチとシングルバレルもあり、他にもリミテッドリリースのデカンターやジャグ、長期熟成の23年などがある。
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FC
「Fighting Cock」の略。ヘヴンヒル蒸留所で造られる闘鶏がモチーフのバーボン。103プルーフでありながら比較的安価なのが魅力。
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Fermentation─ファーメンテーション
発酵。マッシュをビアに変える行程。約25〜30℃に冷ましたマッシュを酵母と共に発酵槽に入れると、酵母は糖分をアルコールと二酸化炭素に変換し、同時に熱を発生させる。発酵には数日を要し、発酵完了後には約8〜9.5%のアルコールを含む液体が出来る。これをビアまたはディスティラーズビアと呼ぶ。

Fermenter─ファーメンター
発酵槽。発酵を行うための金属や木製の巨大な桶。ステンレスは清掃のしやすさと衛生面に優れるとされ、サイプレス(イトスギ)は乳酸菌の増殖に適し最終的なフレイヴァーに好影響を与えるとされる。また、どちらでも最終的にはそれほど変わらない、という説もあった。蒸溜所によっては両方備える場合もある。酵母は熱に弱いため槽内には水冷装置が付いているという。

Filling─フィリング
バレルにバーボンを充填すること。

Finish─フィニッシュ
①テイスティング用語で余韻のこと。「余韻/アフター/フィニッシュ」は同じ事を指している。
②一旦出来上がったバーボンを他の樽で「仕上げ」ること。後熟やダブル・マチュアードと見做してもいいかも知れない。ポートワイン樽で仕上げたポート・フィニッシュや、シェリー樽で仕上げたシェリー・カスク・フィニッシュ、トーストしたバレルで仕上げたトーステッド・バレル・フィニッシュなどが代表例。

Five─ファイブ
埼玉県大宮にあるバー。震災で多くの希少なバーボンを失ったものの、オールドボトルの品揃えはまだまだ関東屈指。LINEスタンプまである強面マスターの手作り餃子や、若いお兄さんの作るオリジナル料理など、バーボン云々は抜きにしてもバーの魅力に溢れている。

Flavor Grain─フレイヴァーグレイン
バーボンのマッシュビルの中でフレイヴァーを担う穀物のこと。概ねライかウィート。伝統的なバーボンの原材料は3つの穀物から構成される。まずベースとなるコーン、酵素を提供する役割のモルテッド・バーリー、そして残るもう一つの穀物がフレイヴァーのキャラクターを大きく左右するのでこう呼ばれる。他の穀物がフレイヴァーに寄与しないという意味ではない。配合比率で言うと2番目に高いことからセカンドグレイン、セカンダリーグレインとも言う。

For Medicinal Purposes Only─フォーメディシナルパーパセズオンリー
医薬目的のためだけに、の意。禁酒法時代に医師の処方箋があれば購入できた薬用ウィスキーのラベルや箱には大概この文句が書かれていた。または「For Medicinal Use Only」とも。

FR
「Four Roses」の略。または「4R」と略される。イエローラベルは「FRYL」、シングルバレルは「FRSB」または「FRSiB」、スモールバッチなら「FRSmB」のように略す。
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F’Fort
「Frankfort」の略。バッファロートレース蒸留所などかあるケンタッキー州フランクフォートのこと。


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GD
「George Dickel」の略。ディアジオが所有するテネシーウィスキーのブランド。コーン比率が多いのと、チャコール・メローイングの際に原酒を冷却する製法で有名。
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ジョージ・アダム・ディッケル氏

Gemor─ゲモー
愛知県豊橋にあるプレミアムバーボン専門のバー。日本のバーボンマニアの聖地の一つであり、海外のバーボンマニアにも評価が高く、惑星一のバーと謳われる。特にオールド・フィッツジェラルドやスティツェル=ウェラーの小麦バーボン、ヴァン・ウィンクルやウィレット蒸留所のプレミアム製品の品揃えは圧巻。我々をバーボン狂人の世界へ誘う天国への階段。

GJ
「Gentleman Jack」の略。ジャックダニエルズOld No.7のアップグレード・ヴァージョンで、チャコール・メロウイングを樽入れの前と瓶詰めの前に二回行うことで、よりシルキーなタッチの口触りにした製品。
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GNS
「Grain Neutral Spirits」の略。「グレインニュートラルスピリッツ」の項を参照。

Grain─グレイン
トウモロコシ、ライ麦、小麦、大麦などの穀物の総称。日本語では「グレーン」と表記されることも多い。

Grain Neutral Spirits─グレインニュートラルスピリッツ
穀物を原料にして190プルーフ(95度)以上で蒸留された無色透明の顕著なアロマやフレーバーまたはキャラクターを含まないアルコール。「ニュートラル・グレイン・スピリッツ(NGS)」、「ピュア・グレイン・アルコール(PGA)」、また単に「中性スピリッツ」とも呼ばれるが、アメリカンウィスキー界ではGNSが最も一般的に使われる。ニュートラルという語は、より低いプルーフで蒸留された場合に存在するマッシュ由来の風味がないことを含意する。イメージしづらければ、ウォッカまたはボタニカルで香り付けしてないジンを想像すると分かり易い。

GTS
「George T. Stagg」の略。バッファロートレース蒸留所が限定リリースするアンティークコレクションの中でも筆頭と言える存在のブランド。2002年から発売された。長期熟成かつノンフィルターで、時に70度を越えるアルコール度数はモンスターとか巨人と評される。その名はバッファロートレース蒸留所の礎を築いた過去の偉人の一人から。
1835年にケンタッキー州ギャラード郡で生まれたジョージ・T・スタッグは、その名を冠したバーボンがあるにも拘わらず、傑出したディスティラーでもバーボンのイノベーターでもなく、代わりに素晴らしいセールスマンと管理者として知られる。つまりバーボンの製造知識より、ビジネスの洞察力に優れた人物だった。南北戦争でのなかなかの活躍の後、30代のスタッグはミズーリ州セントルイスでウィスキーセールスマンとして頭角を現し、ウィスキーリング暴露の告発者の一人として名声を得た。1878年には、エドモンド・ヘインズ・テイラー・ジュニアが最新設備に改築したオールド・ファイヤー・カッパー蒸留所とその隣のカーライル蒸留所を購入し、後に喧嘩別れしたものの暫くは共同で切り盛りした。死後の1904年にはジョージ・T・スタッグ蒸留所と再命名され、1999年にバッファロートレース蒸留所とリニューアルされるまでの約1世紀に渡りその名は残っていたという。
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ジョージ・T・スタッグ、バッファロートレース蒸留所公式ホームページより


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BULLEIT BOURBON FRONTIER WHISKEY 80 Proof
今や世界的人気のブランドとなっているブレットバーボン。その大元のルーツは伝説によれば、1830年からオーガスタス・ブレットが造っていた、3分の2がライで3分の1がコーンのウイスキーだと言います。そのウイスキーは1860年にオーガスタスの死亡とともに生産を終了したとか。それを曾々孫のトム・ブレットが1987年に会社を設立して復活させたのが現ブレットの直接的なルーツです。その時に、ライ麦が3分の2ではバーボンにならないため、出来るだけオリジナルのレシピに近づけようと、ハイ・ライ・マッシュビルのバーボンにしたそうです。日本に紹介され初めの頃は現在のボトルデザインとは全く違う物で、フロンティアウイスキーと称してもなく、ケンタッキーらしい「サラブレッド」の絵と呼称が目立つラベルデザインでした。
ブレット・ディスティリング社はそもそもNDP(非蒸留業者)としてスタートしています。そのため原酒の供給元の変化を把握しにくいのですが、上に述べたサラブレッドラベルの物をフランクフォートで蒸留されているとしている情報を目にしました。
また、現在のように人気の出る以前については、どうも情報が少なく分かり辛いのですが、ブレットブランドは97年にシーグラムに買収され、99年にアメリカ市場に導入・紹介されたという記事を見つけました。この「アメリカに導入」というのは、おそらくアメリカ国内で一般流通されるようになった、というほどの意味でしょう。と言うのも、日本で97年に出版されたバーボンの本によると、ブレット・サラブレッドは「牧場主のプライヴェートバーボンとして親しまれ、アメリカでもなかなか手に入りにく」く「海外では、日本とフランスのコンコルドホテルでしか味わえない」と書かれているのです。これが本当なら、ブレットはブランド誕生当時は海外向け(輸出用)製品だったということになります。そして、2000年になるとシーグラムの酒類部門はディアジオとペルノ・リカールに買収され、この時ブレットブランドは現オーナーのディアジオの元へ移行しました。現在のボトルデザインになったのが何時なのか、明確には分かりません。ここら辺の事情に詳しい方はコメントより教えて下さい(追記あり)。

さて、現在のブレット人気はディアジオによるマーケティングの巧みさが一因ではあるでしょうが、なによりも酒の味自体が美味しいからだと思います。開拓時代を思わせるボトルデザインからは想像もつかないほど、荒々しさとは無縁の、むしろ繊細でフルーティーな味わい。それもそのはず、今後は供給元の変更や自社蒸留の開始などでどうなるか判りませんが、このボトルのジュースはフォアローゼス蒸留所産です。マッシュビルはコーン68%/ライ28%/モルテッドバーリー4%で、熟成年数の表記はないものの6年とされています。エイジングもボトルの表記に従えばフォアローゼスの平屋の熟成庫で間違いないでしょう。このフォアローゼス蒸留所産がいつから始まりいつ終わったのか、これが定かではないのですが、現在では契約蒸留の期間は終わっていると聞いています。
最近の日本では90プルーフの物が流通しているようですが、本ボトルは80プルーフです。並行輸入なので、輸出国によってプルーフに違いがあるのでしょう(*)。80プルーフのせいもあると思いますが、日本ではお馴染みのフォアローゼスブラックとかなり近い味わいでした。キャラメルよりは蜂蜜の風味であり、フラワー感のある華やかな香り、フルーツで言えばプラム、スパイシーではあっても甘味は強くエグみもない。とにかく出来がいいです。
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追記:ここら辺の事情について新しい情報を得たので、ブレットのブランド紹介を書き直しました。こちらをご参照下さい。


*2008年から英国市場で販売されているブレットバーボンが40%ABVでボトリングされているそうです。2014年後半には英国市場にも45%ABVバージョンが導入されたとか。

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