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(画像提供N氏)

ブラックサドル・バーボンはカリフォルニア州フェアフィールド(旧住所はサンホゼ)の老舗ボトラー、フランク=リン・ディスティラーズ・プロダクツのブランドで、おそらく2014年頃から発売されたと思われます。同社の「バック」と同じようにカウボーイや馬をイメージ・ソースとしてバーボンと結びつけているのでしょう。フランク=リンは俗に言うNDPであり、原酒の調達元は一般公開されていませんが、日本で流布しているブラックサドルの情報ではヘヴンヒルとされています。ヘヴンヒルの12年熟成で90プルーフあるのであれば、エイジ・ステイトメントを失ったエライジャ・クレイグの代わりになれるバーボンなのかどうか?が気になるところ。ちなみに、ラベルには「ケンタッキー」も「ストレート」の文字もありませんが、フランク=リンのセールス・シートによるとケンタッキー・ストレート・バーボンと明記されています。
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今回のブラックサドルの紹介はInstagramで知り合ったバーボン仲間のNさんからサンプルを頂いたことで実現しました。何の前触れもなく送られて来たサプライズでした。Nさん、写真のお手間も含めこの場を借りて改めてお礼申し上げます。ありがとうございました! では、飲んだ感想を少し。

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(画像提供N氏)

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BLACK SADDLE 12 Years 90 Proof
ボトリング年不明(2016〜18年頃?)。チャードオーク、ヴァニラ、コーン、ベーキングスパイス、レーズン、ビターチョコ。香りは比較的「小さく」、パレートでも風味は弱め。ほんのり甘い香りと典型的なバーボン・ノートがバランスよく見つかるが、基本的に焦樽が中心のアロマとフレイヴァー。12年という熟成年数ならば、もう少しダークなフルーツ感が欲しいし、余韻に深みも欲しい。空気に触れさせたアロマがハイライト。
Rating:81.5/100

Thought:確かに近年のヘヴンヒルぽい味わいに感じました。ただ、日本語でブラックサドルを検索した時に出てくる一部の情報では、良質な樽を買い付け云々とあるのですが、ヘヴンヒルのように自社ブランドもリリースする会社がバルク・ウィスキーの販売をする場合、過剰在庫を抱えているのでなければ、それほど優良なバレルをそちらに回すとは思えず、私にはブラックサドルは平均的なバレルから造られているように感じます。現行のボトルデザインが変わった後のエライジャクレイグNASを私は飲んだことがありませんが、多分大差ないんじゃないかなという気が…。何故かこのブラックサドルにはあまり熟成感を感じにくいのです。飲み比べたことのある方はコメントよりどしどし感想をお寄せ下さい。

Value:アメリカでは4〜50ドルが相場。現在の日本ではネット通販は売り切ればかりで、安定的な輸入はされてないようです。少し前は3500円ちょいで購入出来た時もあったみたい。個人的にはその金額を出すのなら、エヴァンウィリアムス(特に赤もしくは白)かエライジャクレイグを購入したほうがいいと思います。ただし、ボトルやラベルは高級感があるので、それが気に入れば買うのはありでしょう。そこにこそ価格の違いの大部分が存するのですから。