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周知のようにバッファロー・トレース蒸溜所は毎年アンティーク・コレクション(BTAC)をリリースし、その発売はアメリカン・ウィスキーの一途な愛好家から飲み始めたばかりの初心者、そして転売ヤーまでこぞって待ち望むイベントです。現在のBTACはサゼラック18年、ジョージTスタッグ、イーグルレア17年、ウィリアム・ラルー・ウェラー 、トーマスHハンディ・ライで構成され、しばしばアメリカン・ウィスキーの頂点として扱われています。サゼラック・ライ18年は、2000年からリリースされ始めたBTACの最初の三つのうちの一つでした(他の二つはイーグルレア17年とW.L.ウェラー19年)。その名前は、1850年にルイジアナ州ニューオリンズのエクスチェインジ・アレーに誕生したコーヒーハウスを有名にした伝説のカクテル、及びトーマス・H・ハンディによって設立されたサゼラック・カンパニー(バッファロー・トレース蒸溜所の現親会社)に由来しています。「アメリカ最初のカクテル」とも「ニューオリンズのオフィシャル・カクテル」とも呼ばれるカクテルの歴史については過去に投稿したこちらで取り上げていますので、興味があれば参考にして下さい。

サゼラック18年はスタンダードのサゼラック・ライと同じ90プルーフでのボトリングとなっており、現在のBTACの中で最も低いプルーフではありますが(※イーグルレア17年は従来90プルーフだったが2018年から101プルーフに変更された)、同蒸溜所から定期的にリリースされている最もオールダーなライ・ウィスキーです。W.L.ウェラー19年がスティッツェル=ウェラーの原酒を使っていたのと同じように、サゼラック・ライ18年は2015年のリリースまでバッファロー・トレース蒸溜所の蒸溜物ではない原酒を使用して作成されていたかも知れません。その出処は旧バームハイム蒸溜所のクリーム・オブ・ケンタッキー・ライもしくはメドレー・ライが有力視されています。またはヴァン・ウィンクル・ファミリー・リザーヴ・ライのようにそれらを混ぜていたのかも知れないという憶測もあったりします。サゼラック社の社長マーク・ブラウンが2003年頃に語ったところによると、サゼラック・ライ18は1981年などにクリーム・ オブ・ケンタッキーとして造られたストレート・ライ・ウィスキーのバッチの一部で、バッファロー・トレースの在庫目録から完全に失われてしまっていたが、バレルの在庫を全面的に見直し、精査して漸く発見された、とのこと。クリーム・オブ・ケンタッキー・ライを当時のエンシェント・エイジ蒸溜所が造り、そしてそのバレルのみを使用していたのであればバッファロー・トレース蒸溜所産と言ってもいいでしょうが、詳細は不明瞭です。もしかすると、サゼラック18年の最初期の数年間だけエンシェント・エイジ産、その後にバーンハイム産に切り替わったというような可能性もあるのかも(下記のリスト参照)。皆さんはどう思われます? コメントよりご意見どしどしお寄せ下さい。
クリーム・オブ・ケンタッキーというブランドは、長年に渡ってシェンリー社が所有し、決して同社の旗艦ブランドではありませんでしたが、それなりに支持されていました。しかし、1960〜70年代に掛けてのウィスキー販売減少の犠牲となり、1980年代にこのブランドは廃止されました。バーボンがメインと思われますが、シェンリーはブランドのためにライ・ウィスキーも製造していました。シェンリーがメインで使用していたDSP-KY-1のプラント・ナンバーを持つオールド・バーンハイム蒸溜所のライはクリーム・オブ・ケンタッキー・ライとして親しまれ、非常に限定的なリリースで、製造したライの殆どは様々なブレンドに使われました。ライはブレンド用であってもシェンリーはバレルを「ストレート・ライ・ウィスキー」として扱い、ボトリングまで混合やヴァッティングをしなかったとされています。クリーム・オブ・ケンタッキーは他の傘下の蒸溜所であるエンシェント・エイジでも造られ、アメリカン・ウィスキーの販売減少にも拘らず生産を減らさなかった時期があり、その結果、1990年代のバーンハイムの巨大な倉庫にはクリーム・オブ・ケンタッキーのブランド用に造られたウィスキーのバレルが多く残ってしまいました。当時シェンリーを吸収していたユナイテッド・ディスティラーズは、それらのうちバーボンをオールド・チャーターやI.W.ハーパーに使用しましたが、ライ・ウィスキーはバルク市場にて販売することにしました。その当時はまだライ・ウィスキーのリヴァイヴァルには程遠く、ライに目を向ける人は一握りでした。その一人であったジュリアン・ヴァン・ウィンクル三世は自身の13年物のライ・ウィスキー用にメドレー・ライと共にクリーム・オブ・ケンタッキー・ライの多くを購入しました。ジュリアンが選ばなかった他のバレルはKBDのエヴァン・クルスヴィーンに売却され、後年、ウィレット・ファミリー・エステートや他のプライヴェート・ラベルのためにボトリングしたライ・ウィスキーの重要な支えとなりました。彼らのライが現在では伝説的な名声を得ているのは歴史の知るところです。

2005年、バッファロー・トレースは残りのウィスキーの熟成が完璧であると判断したか、或いはこれ以上熟成が進んでオーヴァーオークになるリスクを回避するため、サゼラック18年用のバレル全てを13500ガロンの巨大なステンレス・スティール・タンクに入れ保管するようにしました。ステンレス・タンクでの保存は、なるべくウィスキーを変化させないようにするのに適した伝統的な方法です。有名なところではペンシルヴェニア1974原酒のA.H.ハーシュ16年がこれを行いました。ヘヴンヒルはこっそり隠し持っていた?貴重なスティッツェル=ウェラー原酒をタンクに保管してジョン・E・フィッツジェラルド・スペシャル・リザーヴとしてリリースしました。また、最近ではプリザヴェーション蒸溜所のヴェリー・オールド・セントニック・ロストバレル17年がその好例として挙げられるでしょう。
今回私が飲んだのは2006年のボトリングで、これが初めてリリースされた「タンクド」サゼラック18年となります。2008年には各2100ガロンの3つの小さなタンクに移し替えられたそうです。以後2015年のリリースまで、1985年に蒸溜され18年間熟成された同じライ・ウィスキーをその年毎にタンクから取り出してボトリングされました。それらのウィスキーは一定のフレイヴァーを維持しましたが、異なるリリース年の飲み比べをした方によると、若干の違いが感じられるようです。それはおそらく、タンク内の空気のレヴェルは常にコントロールされている訳ではないので、微妙な酸化によるものだろうと推察されています。また、ウィスキーを移動する際に空気が混和し味を変化させたのではないかとも。

2015年を最後にタンク入りのサゼラック18は底を尽き、2016年からはバッファロー・トレース蒸溜所で蒸溜したジュースに切り替わりました。BTのライ・マッシュビルは非公開ですが、概ねライ51%、コーン39%、モルテッドバーリー10%ではなかろうかと予想されています。海外のレヴューを参考にすると、BTジュースは伝説のタンクド・ウィスキーに比べるとだいぶ評価が落ちますが、年々良くはなって行ったようです。以下にサゼラック18年のリリースをリスティングしておきます。左から順にリリース年、蒸溜年、熟成年数 、ボトリング・プルーフ、熟成されていた倉庫、選ばれたバレルが置かれていたフロアー、熟成中の蒸発率、使用されたバレルの数、その他の事項となります。


Sazerac 18 Year Old Straight Rye Whiskey 
Spring of 2000|Spring of 1981|18 years|90 proof|Warehouse Q|N/A|74%|1 barrel at a time
2001:not found
Fall of 2002|Spring of 1984|18 years|90 proof|Warehouse Q|N/A|74%|1 barrel at a time
Fall of 2003|N/A|18 years|90 proof|Warehouse Q|N/A|74%|1 barrel at a time
Fall of 2004|Spring of 1984|20 years|90 proof|Warehouse K|N/A|68.47%|25 barrels
Fall of 2005|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|67.73%|28 barrels
Fall of 2006|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|67.73%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2007|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|51.94%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2008|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|54.08%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2009|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|56.13%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2010|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|56.49%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2011|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|57.27%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2012|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|57.61%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2013|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|58.21%|27 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2014|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|58.35%|26 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2015|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|58.48%|25 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2016|Spring of 1998|18 years|90 proof|Warehouse K|2nd floor|72.1%|24 barrels
Fall of 2017|Spring of 1998|18 years|90 proof|Warehouse K|2nd floor|72.7%|25 barrels
Fall of 2018|Spring of 1998|18 years|90 proof|Warehouse K|2nd floor|72.7%|24 Barrels
Fall of 2019|Spring of 2001|18 years, 4 months|90 proof|Warehouse L & K|2nd floor|83.5%|N/A
Fall of 2020|Spring of 2002|18 years, 4 months|90 proof|Warehouse K|3rd floor|76.9%|N/A
Fall of 2021|Spring of 2003|18 years, 6 months|90 proof|Warehouse K & P|2nd & 4th floors|69%|N/A


これらはバッファロー・トレース蒸溜所の公式ホームページで見れるファクトシートからデータを採りましたが、何故か2001年の物だけ欠落していました。ところで、リスティングしていて気づいたのですが、2016〜18年のウィスキーは同じ物っぽく見えるので、もしかするとこれもタンクに入れて保管していたのを小分けに瓶詰めしたのですかね? 詳細ご存知の方はコメントよりご教示下さい。では、最後に飲んだ感想を少々。

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Sazerac 18 Year Old Straight Rye Whiskey 90 Proof
Bottled Fall 2006
甘く、ややフローラルなアロマ。味わいはダークなフルーツ感のベースにけっこう土っぽさがあり、飲めばすぐにライだなあと思えました。バターぽい余韻も良く、官能的で複雑なフレイヴァーです。或る人の表現を借りれば、エロい味と言うのでしょうか。短熟でも比較的美味しいライ・ウィスキーですが、これは長熟ライの良さが存分に感じられます。旨っ。この度のバー遠征を〆るのに選んで正解でした。
Rating:92/100

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ウィリアム・ラルー・ウェラーは、ジョージ・T・スタッグ、イーグルレア17年、サゼラック・ライ18年、トーマス・H・ハンディ・ライと共に、バッファロートレース・アンティーク・コレクション(BTAC)の一つです。この限定版ウィスキーのコレクションは2000年にリリースされた当初、90プルーフでボトリングされた超長熟のバーボン、ウィーテッド・バーボン、ライの三種で構成されていましたが、その後ラインナップを増やしたり、熟成年数やプルーフの変更などがあり、最終的に三つのバーボンと二つのライに落ち着き今に至っています。
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BTACはバッファロー・トレース蒸溜所の最高のバーボンとライを代表する存在として、毎年秋に限られた数量でリリースされ、世界のウィスキー愛好家に待ち望まれています。そのためパピー・ヴァン・ウィンクルやウィレット・ファミリー・エステートと並んで入手困難なユニコーン・ボトルでもあります。五つのウィスキーのそれぞれは、使用されるマッシュビル、熟成期間の長さ、プルーフなど異なるものの、各ボトルの希望小売価格は99ドルと、昨今のスーパープレミアムなボトルのリリースと比べると可愛らしい価格ではあります。しかし、抽選会などで当選しないとその価格で購入することは叶わず、通常パピーほど高価にはなりませんが、セカンダリー・マーケットでは一本のボトルに数百ドルから場合によっては数千ドルを費やすことになるでしょう。親会社サゼラックの賢明な舵取りと卓越したウィスキーの組み合わせによってバッファロー・トレース蒸溜所はアメリカン・ウィスキー愛好家が何よりも追い求める蒸溜所となり、BTACは言うに及ばず、ブラントンズ、カーネルEHテイラーJr.やエルマーTリー等も希望小売価格を上回る価格で取引されています。
全てのバッファロー・トレースのバーボンは、濁度のチェックやガスクロマトグラフィーによるサンプル・テストなど様々な品質テストが行われるそうですが、最も厳しいテストは人の味覚によるものだと言います。官能分析のトレーニングを受けた何人かのテイスターは、ラボに持ち込まれたバレルのサンプルを全て試飲すると、各バレルがブランドの基準に合致しているかどうかを確認し、テイスターのうち一人でも反対すればそのバレルは送り返され更に熟成されるのだとか。そうした厳しい基準の最たる例は、2021年のBTACのラインナップからジョージTスタッグが外れた件に顕著でしょう。品質担当でありマスター・ブレンダーのドリュー・メイヴィルは、「私たちの製品は、常に品質が最重要で」あり、「もし味が私たちの期待にそぐわなければ、お客さまにお出しすることはありません」と言っていました。

ウィリアム・ラルー・ウェラーは、他のウェラー・ブランドのラインナップやヴァン・ウィンクル・ブランドのバーボンと同じくライ麦を含まないマッシュビルを使用するウィーテッド・バーボンです。2005年のアンティーク・コレクションから導入されました。それ以前は、2000年から2002年に掛けて、超長熟で90プルーフの「W.L.ウェラー19年」がリリースされていました。小麦レシピなのは同じながら、それらは純粋なスティッツェル=ウェラー・ジュースと目されており、全く別の製品です。近年続々と拡張されたヴァリエーションを別にすると、ウェラー・ブランドには「スペシャル・リザーヴ 」、「アンティーク」、及び「12年」が定番としてありました。ウィリアム・ラルー・ウェラーは概ね約12年間熟成されているところから考えると、バレル・ピックの基準の厳しさを除けば、謂わば「12年」のノンチルフィルタードかつバレルプルーフにてボトリングされたヴァージョンと言って差し支えないでしょう。
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(W.L.ウェラー19年のラベル)

酒名となっているウィリアム・ラルー・ウェラーという人物は「小麦」と密接に関係づけられて語られますが、実はウィーテッド・バーボンを開発したのでもなく販売すらしたことはなかったかも知れません。所謂ウィーテッド・バーボンはスティッツェル兄弟が開発し、ウィリアムの死後30年近く経ってから禁酒法後にパピー・ヴァン・ウィンクルらが広めたレシピだったと見られています。その代わり彼はスティッツェル兄弟からウィスキーを購入したり、自身の会社に若きパピー・ヴァン・ウィンクルを雇った人でした。彼はウィスキー・レクティファイアーではありましたが、なんなら皮肉にも酒を飲まない人だったとも言われています。若い頃はザッカリー・テイラーと共にメキシコ戦争に参戦した軍人でもありました。またウィリアムは自身の成功を還元することも忘れず、ルイヴィルの街に大きな貢献をしたそうです。なんでもバプティスト孤児院の創設メンバーの一人であり、人生のかなりの期間その理事を務め、子供達が良い家庭に行くことが出来るよう養親の面接を行った人物だったとか。ウィリアム・ラルー・ウェラーその人やウェラー・ブランドについては過去に投稿したこちらでも少し触れていますので良ければ参照下さい。

バッファロー・トレース蒸溜所はBTACに関しては詳細を公表しているので、下にウィリアム・ラルー・ウェラーの全てのリリースをリスティングしておきます。W. L.ウェラー19年に関しては、幾つかのウェブサイトや写真を参考にリストを作成しましたが、後のBTACほど詳細は分かりません。おそらく年2回のペースで販売されたと思われます。左からボトリング年、蒸溜年、プルーフの順です。2003年と2004年はリリースがなく、2005年から名称をウィリアム・ラルー・ウェラーと改め、中身の仕様も変更され、詳細が明かされるようになりました。しかし、2019年からはバッチ・サイズに関する情報は非公開になっています。リストは左から順にリリース年、蒸溜年、熟成年数 、ボトリング・プルーフ、熟成されていた倉庫、選ばれたバレルが置かれていたフロアー、熟成中の蒸発率、使用されたバレルの数と推定ボトリング本数、となります。


W. L. Weller 19 YEARS OLD
Summer 2000|Fall 1980|90 Proof
Spring 2001|Fall 1980|90 Proof
Summer 2001|Spring 1982|90 Proof
Fall 2001|Spring 1982|90 Proof
Spring 2002|Spring 1983|90 Proof
Fall 2002|Spring 1983|90 Proof

2003|No release
2004|No release

William Larue Weller
2005|Fall of 1993|12 years, 2 months|121.9 proof|Warehouse Q|5th floor|58.04%|41 barrels, 4602 bottles
2006|Spring of 1991|15 years, 3 months|129.9 proof|Warehouse M |5th floor|50.64%|22 barrels, 2905 bottles
2007|Spring of 1997|10 years, 3 months|117.9 proof|Warehouse I|9th floor|53.27%|34 barrels, 4250 bottles
2008|Spring of 1997|11 years, 2 months|125.3 proof|Warehouse I|9th floor|52.05%|40 barrels, 5131 bottles
2009|Fall of 1998|11 years|134.8 proof|Warehouse N, O|5th floor|57.20%|41 barrels, 4694 bottles
2010|Summer of 1998|12 years, 3 months|126.6 proof|Warehouse I, P|4th and 9th floors|55.50%|55 barrels, 6547 bottles
2011|Fall of 1998|12 years, 11 months|133.5 proof|Warehouse N, O, P|4th and 5th floors|57.20%|45 barrels, 5152 bottles
2012|Spring of 2000|12 years, 4 months|123.4 proof|Warehouse P, I|2nd and 4th floors|56.60%|49 barrels, 5689 bottles
2013|Spring of 2001|12 years, 1 month|136.2 proof|Warehouse M, P|3rd and 4th floors|55.30%|39 barrels, 3468 bottles
2014|Spring of 2002|12 years, 3 months|140.2 proof|Warehouse D, K, L|2nd, 3rd, 4th, and 6th floors|62.30%|39 barrels, 3933 bottles
2015|Spring of 2003|12 years, 3 months|134.6 proof|Warehouse I, K, L|2nd and 6th floors|72.30%|105 barrels, 7780 bottles
2016|Winter of 2003|12 years, 7 months|135.4 proof|Warehouse D, K, L|3rd and 6th floors|65.40%|145 barrels, 13421 bottles
2017|Winter of 2005|12 years, 6 months|128.2 proof|Warehouse D, I, P|1st〜6th floors|54.08%|155 barrels, 19040 bottles
2018|Winter of 2006|12 years, 6 months|125.7 proof|Warehouse C, I, K, L, M, Q|2nd〜5th floors|56.90%|149 Barrels, 17179 Bottles
2019|Winter of 2007|12 years, 6 months|128.0 proof|Warehouse I|2nd and 3rd floors|57.00%|N/A
2020|Winter of 2008|12 years, 6 months|134.5 proof|Warehouse I, C|3rd, 5th and 6th floors|73.0%|N/A
2021|Winter of 2009|12 years, 6 months|125.3 proof|Warehouse K, L, D, Q, C|1st, 2nd and 3rd floors|64.0%|N/A


偖て、今回バーで飲んだのは2005年と2007年です。現地でも入手が困難になったせいか、日本で現行品のBTACを見かけることは殆どなくなりました。それもあるし、年代違いがあるのなら、この機会に並べて飲み較べてみようという意図で注文した次第です。では、感想を少しばかり。

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William Larue Weller 117.9 Proof
2007年ボトリング。重厚な焦げ樽香とレーズンを中心としたアロマ。味わいは濃厚で、甘酸っぱさとスパイシネスの波が押し寄せる。バターとビターチョコの余韻。テクスチャーに刺々しさはなく、円やかです。
Rating:92.5

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William Larue Weller 121.9 Proof
2005年ボトリング。スモーキーな樽香や豊富なドライフルーツは2007年と共通しますが、こちらの方がアロマにマスティオークを感じました。口当たりは思ったよりあっさりめ。味わいは柑橘ぽいフルーティさが強いかな。
Rating:92

飲んだ瞬間に「あ、違う」と思うほど両者に違いはあるのですが、どちらが上か下かは甲乙つけ難く、共に長熟ウィーテッド・バーボンの魅力に溢れていると思います。点数の差は個人的なちょっとした嗜好に過ぎません(もしかすると普通の人は逆かも…)。どちらも一言で表現するなら、飲むドライフルーツの宝石って感じです。おそらくバーボン飲みだけに限らず、シェリー樽で長期熟成されたスコッチが好みの方にもウケるのではないでしょうか? 皆さんも見かけたら是非飲んでみて下さい。最後に、上のリストと重複する部分もありますが、せっかくなのでこの二つのWLWの詳細を引用しておきますね。

Distiller
Buffalo Trace Distillery, Franklin County, Kentucky
Age Profile
Year of Distillation : Fall of 1993 
Release : Fall of 2005
Release Brand name : William Larue Weller Kentucky Straight Bourbon Whiskey
Proof for release : 121.9 proof
Recipe
Large Grain : Kentucky Corn; Distillers Grade #1 and #2
Small Grain : North Dakota Wheat
Finish Grain : North Dakota Malted Barley
Cooking / Fermentation
Milling screen : #10
Cook Temperature : 240 degrees Fahrenheit
Water : Kentucky Limestone with Reverse Osmosis
Fermentation : Carbon Steel / Black Iron fermenter
Mash : Sour
Distillation & Aging
Distillation : Double Distilled; beer still and doubler 
Proof off still : 130 Proof
Barrel : New, White Oak; #4 Char; Charred for 55 seconds
Barrel maker : Independent Stave; Lebanon KY
Barrel entry proof : 114 proof
Barrel size : 53 liquid gallons; 66.25 Original Proof Gallons
Warehouse : Warehouse Q
Floor : 5th
Evaporation loss : 58.04% of the original whiskey lost to evaporation
Bottling
Barrel selection : 41 hand picked barrels
Filtration : None
Product Age : 12 years and 2 months old at bottling
Tasting comment : "Big & Sweet"

Distiller
Buffalo Trace Distillery, Franklin County, Kentucky
Age Profile
Year of Distillation : Spring of 1997
Release : Fall of 2007
Release Brand name : William Larue Weller Kentucky Straight Bourbon Whiskey
Proof for release : 117.9 proof
Recipe
Large Grain : Kentucky Corn; Distillers Grade #1 and #2
Small Grain : North Dakota Wheat
Finish Grain : North Dakota Malted Barley
Cooking / Fermentation
Milling screen : #10
Cook Temperature : 240 degrees Fahrenheit
Water : Kentucky Limestone with Reverse Osmosis
Fermentation : Carbon Steel Black Iron fermenter
Mash : Sour
Distillation & Aging
Distillation : Double Distilled; beer still and doubler
Proof off still : 130 Proof
Barrel : New, White Oak; 4 Char, Charred for 55 seconds
Barrel maker : Independent Stave; Lebanon KY
Barrel entry proof : 114 proof
Barrel size : 55 liquid gallons; 66.25 Original Proof Gallons
Warehouse : Warehouse I
Floor : 9th
Evaporation loss : 53.27% of the original whiskey lost to evaporation
Bottling
Barrel selection : 34 hand picked barrels
Filtration : None
Product Age : 10 years and 3 months old at bottling
Tasting comment : "Sweet molasses with a hint of cinnamon"

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【B】

Backset(Setback)─バックセット(セットバック)
日本語では蒸溜残液または蒸溜廃液と訳される。蒸溜後のスチーム底部に残っているマッシュの薄い液体部分。スペントビア、スペントマッシュ、スティレージ、サワーマッシュとも言う。それにはアルコールは含まれていないが栄養素を持ち、新しいマッシュよりも酸性なため、次回のマッシング時にマッシュタブ(クッカー)もしくはファーメンターに加えることで酵母が働きやすい酸性環境を調え、菌の繁殖や野生酵母の侵入を防ぐ。バックセットと新しいマッシュの比率は概ね1:3〜1:4だと言われる。バックセットやセットバックという言い方は、ウィスキースラングとしてでなければ「逆戻り」や「退行」の意で、つまりはそういった命名なのだろう。サワーマッシュの項を参照。

Barley─バーリー
大麦。一般的にバーボンではマッシュに大麦麦芽が5〜15%ほど使われる。

Barley Malt─バーリーモルト
大麦麦芽。モルテッドバーリーと同じ。「Malted Barley」の項を参照。

Barrel─バレル
単純な理解としては「樽」のことと思っておいて事足りる。しかし、厳密な理解を求める場合には、樽はカスク(キャスク)と言い、バレルはサイズを表すとされる。バーボン・バレル(ASB=アメリカン・スタンダード・バレル)一樽の容量は約200ℓ。しっかり乾燥させたアメリカン・ホワイト・オークから主に造られ、内側を高熱で焼いた新樽を使うのがバーボンの縛り。新樽の使用は1938年にクーパー(樽職人)やロガー(木こり)の生活保護を目的として定められた。ただし、高品質なバーボン生産者はそもそも新樽を使っていた。使用済みのバーボン・バレルはスコッチ・ウィスキーやジャパニーズ・ウィスキー等のメーカーに売却される。新樽は約160ドル、古樽は60〜70ドルが相場だとか。

Barrel Entry Proof─バレルエントリープルーフ
蒸溜が終わった原酒を樽に入れる際のプルーフが何プルーフかということ。バーボンでは125プルーフ以上で入れてはいけない。

Barrel Proof─バレルプルーフ
加水調整せずに樽から出したままのアルコール度数でボトリングしたバーボンをバレル・プルーフ・バーボンと言う。ブッカーズやジョージTスタッグ、ウィレット・ファミリー・エステート等がそうしたバーボンとして有名。水で薄めないということは、一樽から取れるボトルの本数が少なくなるため贅沢な仕様であり高価になる。バレル・ストレングスやカスク・ストレングスも同じ意味。

Barrel Strength─バレルストレングス
バレル・プルーフと同じ意味で、樽から出したままの強度。カスク・ストレングスと同じ。

Batch(Batching)─バッチ(バッチング)
1回分、1度分など、ひとかたまりの数量を意味する言葉。一束、一群、一団。一回の生産単位。ボトリングの前に、複数のバレルからひとつのグループを形成し、樽から出した原酒を一緒に纏める作業をバッチングと言い、それに付与される管理番号をバッチ・ナンバーと言う。シングルバレルの場合なら一樽がそのままバッチナンバーとなる。「バッチング」という用語はそもそもブラウン=フォーマン社が「ブレンディング」という言葉に含まれるネガティヴな含みを回避するために造ったとされ、ほぼ同等の意味合い。現在ではバーボン業界では一般的な言葉となっている。

BD
「Beyond Duplication」の略。複製不可能の意。80年代初頭から85年頃まで発売されていた(輸出用は80年代後半まで)ワイルドターキー12年のラベルには比較的大きくそう書かれているため、そう呼ばれる。
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Beer─ビア
もしくは「Distillers Beer(ディスティラーズビア)」とも言う。マッシュにイーストを加えると、糖分がアルコールへと変化し、アルコール度数9%前後のビールに似た液体が得られる、それのこと。これがビアスティルに送られ蒸溜が始まる。スコッチ界ではウォッシュと呼び、日本の酒造文化では醪(モロミ)と言う。習慣上、日本語でビアまたはビアーと表記されることが多いが、あの飲料用のビール(Beer)と同じ英語。ビアの香りは将来のウィスキーについて多くを語ると言われ、芳香性であることが望ましいとされる。香りの減少は酵母が汚染されていることを示し、新しい酵母株が次のバッチに使用される。

Beer Still─ビアスティル
バーボンの第一蒸溜に使用される蒸溜機、蒸溜塔。クラフトディスティラリーが使う比較的コンパクトな物から、大手の生産工場が使う巨大な物まである。コンティニュアス・スティルともコラム・スティルとも呼ばれる。これで生産されるスピリットをロウワインと呼ぶ。

BF
「Brown-Forman」の略。オールドフォレスター、アーリータイムズ、ウッドフォード・リザーヴ、ジャックダニエルズ等を所有する有名な会社。
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BHC
「Bourbon Heritage Collection」の略。90年代前半(一説には94年)にユナイテッド・ディスティラーズ&ヴィントナーズ(後のディアジオ)から発売された長期熟成酒5本のコレクション。その内訳は、
・VERY SPECIAL Old Fitzgelard 12y 90p
・W.L. Weller CENTENNIAL 10y 100p
・I.W. HARPER 15y 80p
・OLD CHARTER Proprietor's Reserve 13y 90p
・George Dickel SPECIAL BARREL RESERVE 10y 86pと、なっている。これらの中で人気の高いのは伝説のスティツェル=ウェラー蒸溜所産であるヴェリー・スペシャル・オールド・フィッツジェラルドとW.L.ウェラー・センテニアルの二つ。また、このコレクションにはフルボトルの他にミニボトルもある。
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BIB
「Bottled in Bond」の略。ボトル・イン・ボンドの項を参照。

Big Four─ビッグフォー
禁酒法解禁後に業界を支配した超強力な四社のこと。ナショナル・ディスティラーズ、シェンリー、ハイラム・ウォーカー、シーグラムの四社。

Blended Whiskey─ブレンデッドウィスキー
少なくとも20%のストレート・ウィスキーを含み、残りはウィスキーまたはグレイン・ニュートラル・スピリッツで構成されるウィスキーのこと。ごく簡単に言うと、20%のストレートウィスキーと80%のウォッカを想像すると分りやすく、「ブラウン・ウォッカ」ないしは「ウィスキー風味のウォッカ」が近い。概ね安価であり、そこが魅力。

BMH
「Black Maple Hill」の略。カリフォルニア州サンカルロスに本社を置くインポーター「CVIブランズ」(NDP)のブランド。ブラック・メイプル・ヒルはアメリカでバーボンが爆発的な高需要になる以前の2000年に発売された。その初期のリリースは、ジュリアン・ヴァン・ウィンクル三世によるスティツェル=ウェラーの小麦バーボンであるとされ、セカンダリー・マーケットでも高値がつく伝説のバーボンの一つ。その後ボトリングの担当はKBDになり、使用されたウィスキーはヘヴンヒルから来たと噂される。元々はケンタッキーに眠る長期熟成古酒をソースとして販売するブランドだったが、バーボン・ブームが沸き起こるとそれらの入手は困難になり、遂に2014年からはオレゴン州のマイクロ・ディスティラリーを供給源とした新しいブラック・メイプル・ヒルとなった。それはラベルデザインは同じながら、ボトルの形状が異なっている。
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Bonded(Bonded Act, Bonded Bourbon)─ボンデッド(ボンデッドアクト、ボンデッドバーボン)
ボンドされていること、すなわちボトルド・イン・ボンドの状態であること。納税済み。代表的な銘柄にはビーム・ボンデッドやオールド・グランダッド・ボンデッド、オールド・フォレスター・ボンデッド等がある。「Bottled in Bond」を参照のこと。

Bootlegger─ブートレガー
酒の密輸、密売、密造などをする人のこと。禁酒法時代に酒瓶をブーツの中に隠して持ち運んだことからそう言われるようになったと言う。

Bottle kill─ボトルキル
一本のボトルを飲み終えること。または飲み終えた空のボトル。

Bottled in Bond(Bottled in Bond Act)─ボトルドインボンド(ボトルドインボンドアクト)
現代バーボンの父として、バーボンの歴史にその名を刻むエドモンド・H・テイラー・ジュニアの尽力により、1897年に制定された主に商標と税に関わる法律。単一の蒸溜所に於いて単一の年かつ単一のシーズンに蒸溜され、政府管理の連邦保税倉庫で最低4年以上熟成し、100プルーフ(50度)でボトリングされたスピリットのみ、そう称することが許される。またラベルには蒸溜所の連邦許可番号(DSPナンバー)の記載が義務づけられ、ボトリング施設も記載しなければならない。上の条件を満たした物は、時の財務長官ジョン・カーライルの肖像を擁した緑の証紙で封がされ、謂わばその証紙が消費者にとって品質の目印となる。紛い物やラベルの虚偽表示が横行していた時代にあって、ラベルには真実を書かねばないとするアメリカ初の消費者保護法で、結果的に蒸溜酒の品質を政府が保証してしまうという画期的な法案だった。現在では廃止された法律だが、バーボン業界では商売上の慣習と品質基準のイメージを活かして、一部の製品がその名残を使っている。エヴァンウィリアムスやヘンリーマッケンナ、ヴェリー・オールド・バートン等が代表例。

Bottom Shelf─ボトムシェルフ
品質の低い物を指す言葉。一般的に高級な品物は棚の上方へ置き(トップシェルフ)、低級な品物を棚の下方へ置くことから。ボトムシェルフ・バーボン、ボトムシェルフ・ブランド、と言えば安価なバーボンや大量生産されるブランドのことだが、一概に低価格イコール低品質とは言い切れず、お買い得なバーボンのことを意味することもある。類義語、バジェットバーボン。

Bourbon Whiskey─バーボンウィスキー
この世に存在する蒸溜酒の中で最も美味しい、と私が思っているもの。それは甘美な言葉、それは誘惑する香り、それは魅了する味わい、それはアメリカへの憧憬。
バーボンの規定は、アメリカ合衆国内で製造され、少なくとも51%のコーンを含むマッシュを用いて、160プルーフ以下で蒸溜し、チャーした新しいオークのコンテナーに125プルーフ以下で入れ、80プルーフ以上でボトリングしなければならない。

BP
「Barrel Proof」の略。バレル・プルーフの項を参照。

BT
「Buffalo Trace」の略。バッファロー・トレース蒸溜所の名前そのものがついたバーボン。もしくは蒸溜所自体。親会社はサゼラック。大変歴史ある蒸溜所で、リーズタウン蒸溜所、オールド・ファイヤー・カッパー蒸溜所、ジョージ T スタッグ蒸溜所、ブラントン蒸溜所、エンシェントエイジ蒸溜所とも知られる。
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BTAC
「Buffalo Trace Antique Collection」の略。「ビータック」と読む。バッファロー・トレース蒸溜所が毎年秋にリリースする長期熟成を軸とした数量限定のプレミアム・ラインナップ。銘柄は、
・GEORGE T. STAGG
・Eagle Rare 17 Year Old
・William Larue Weller
・Sazerac Rye 18 Year Old
・THOMAS H. HANDY Sazerac Rye
の5本で、ロウ・ライ・レシピが2本、ウィーテッド・バーボンが1本、ライウイスキーが2本、という内訳。
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このアンティーク・コレクションは、レシピに発酵や蒸溜、どの熟成庫の何階で熟成したか、蒸発率はどのくらいか等、その素性を詳細に明かしてくれるのがマニアには面白いところ。一例として、ジョージTスタッグ2017は下記のようになっている(バッファロー・トレース蒸溜所公式ホームページより)。
Age Profile
・Year of Distillation: Spring of 2002
・Release: Fall of 2017
・Release Brand Name: George T. Stagg Kentucky Straight Bourbon Whiskey
・Proof for release: 129.2 proof
Recipe
・Large Grain: Kentucky Corn; Distillers Grade #1 and #2
・Small Grain: Minnesota Rye
・Finish Grain: North Dakota Malted Barley
Cooking / Fermentation
・Milling Screen: #10
・Cook Temperature: 240 degrees Fahrenheit
・Water: Kentucky limestone with reverse osmosis
・Fermentation: Carbon steel / black iron fermenter
・Mash: Sour
Distillation & Aging
・Distillation: Double distilled; beer still and doubler
・Proof off still: 135 proof
・Barrel: New, white oak; #4 char; charred for 55 seconds
・Barrel Maker: Independent Stave; Lebanon, KY
・Barrel Entry Proof: 125 proof
・Barrel Size: 53 liquid gallons; 66.25 original proof gallons
・Warehouse: Warehouses C, K, M, & Q
・Floor: 1, 2, 3 and 6
・Evaporation loss: 54.03% of the original whiskey lost to evaporation
Bottling
・Barrel Selection: 309 hand selected barrels
・Filtration: None
・Product Age: 15 years and 3 months old at bottling
・Tasting comment: “Espresso, chocolate fudge, and tobacco”        

BTEC
「Buffalo Trace Experimental Collection」の略。ケンタッキー州でも屈指の老舗であるバッファロー・トレース蒸溜所では、伝統に寄り掛からず進取の気風に富み、伝統的なバーボンを造る以外にも様々な実験が試みられている。それはバーボン製造工程のどこかを変更し、そうすることによって最終的なフレイヴァーにどのような影響を及ぼすか確かめる作業。原料に非伝統的な穀物を使ったり、樽材を変更したり、樽のサイズを変えてみたり、赤外線でトーストしてみたり、#7のチャーを施してみたり、1本の木の上部と根に近い部分の木材で別々の樽を作って比較したり、樽への自然光の影響を探ってみたり、バレル・エントリー・プルーフを変えたり、とにかく色々やる。実験専用の倉庫「Warehouse X」が有名。そうして出来上がったバーボンは完全な失敗作を除き、いくつかは「エクスペリメンタル・コレクション」として販売される。バーボンオタクにとって科学的実験の成果を味わえる興味深いシリーズ。2019-01-07-17-51-36-575x112

Budget Bourbon─バジェットバーボン
バジェットは予算・経費を意味する言葉で、形容詞として使うと「お買い得の、格安の」を意味する。日本語で言うと、お値打ち価格の安バーボン。

Bulk─バルク
大量、一括、嵩などを意味する言葉。バルク・ウィスキー、バルク・マーケットなどのタームがある。自社でスピリットを蒸溜せずとも、大手の蒸溜所もしくは中間業者から樽やコンテナー単位でスピリットを購入し、それにオリジナル・ラベルを貼り付けて販売するビジネスがあり、売り手側からするとバルク販売、買い手側からするとバルク買い、と言う。バーボン界ではヘヴンヒル蒸溜所がこのビジネス・モデルの王者として有名。バルク・ウィスキーと言うと、どことなくロマンスに欠けるイメージから、自家蒸溜のものに較べて品質の劣ったものと錯覚し易いが、確かに最高峰のクオリティではなくとも、大手蒸溜所が造るだけに低品質な訳ではない。

Bung─バング
バングホールを塞ぐ栓。バレルを密封するストッパー。

Bung Flogger─バングフロガー
樽を叩いてバングを緩めるための木槌。

Bunghole─バングホール
バレルの側面中央部にあるウィスキーの出入口。ここから中身を出し入れしたり、シーフを挿したりする。

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