バーボン、ストレート、ノーチェイサー

◆◆FOR BOURBON LOVERS ONLY◆◆ バーボンの紹介やレビュー、レーティングなど。

タグ:シングルバレル

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ノブクリークは92年の発売以来ジムビームのスモールバッチ・コレクションの中でも人気が高く、クラフト・スピリッツ市場が大きく成長するのに適応して、現在では様々なヴァリエーションを提供しています。オリジナルのストレート・バーボン以外に、近年著しい復活を遂げたカテゴリーのライウィスキーや、フレイヴァーを加えたスモークド・メープル、その他に限定リリース等もあります。そして今回レビューするシングルバレル・リザーヴは2010年から発売されました。

シングルバレルとスタンダードとの違いはいくつかあります。先ず名前の通りシングルバレルであること。おそらくスタンダードのノブクリークはスモールバッチとは言っても、大規模蒸留所のスモールバッチなので、だいたい300バレル程度でのバッチングではないかと予想されます。対してシングルバレルは1つの樽のみですから、そもそもバレルピックの段階で多少なりともクオリティの高い樽を選択している可能性はあるでしょう。また、オリジナルのノブクリークはエイジ・ステイトメントが消えてしまいましたが、シングルバレルは今のところは9年熟成を守っています。そして個人的に一番重要と思うのは、スタンダードより10度もアルコール度数が高いことです。ジムビーム蒸留所のエントリー・プルーフは125プルーフとされていますので、シングルバレルの120プルーフというのは、限りなくバレルプルーフに近い数値です。これはハイアー・プルーフ愛好家には嬉しいスペック。その他のレシピや蒸留プルーフ、樽材やチャーリング・レヴェルなどに特別な違いはない筈です。では飲んでみましょう。

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KNOB CREEK SINGLE BARREL RESERVE 120 Proof
推定2016年ボトリング。香ばしい焦樽、スモーク、カシス、ブラックベリー、シナモンパウダー、煮詰めたリンゴジュース、僅かに焼きトウモロコシ、微かに爪の垢、ココア。思いの外キャラメル系の甘い香りがせず、焦樽フルーツ系のアロマ。オイリーな口当たり。後味にメープルシロップのような甘さが残り、余韻は豊かなナッツと絵の具。
Rating:87/100

Thought:スタンダードなノブクリークよりも度数のせいかシングルバレルだからか、少し複雑さはあります。個人的にはもう少し甘味があって欲しかったのですが、一滴加水すると甘味とフルーティさをより感じ易くなり、樽香が一瞬香水のようにも感じられました。シングルバレルゆえの個体差もあるでしょうが、もしかすると現行の買いやすいジムビーム製品では一番美味しいかも知れない。

Value:日本だと販売店によっては店頭価格にスタンダードなノブクリークとの差があまりないことがあります。その場合にはシングルバレルを選ぶほうが確実にお得でしょう。 アメリカでは40ドル前後、日本では5000円前後が相場で安いと4000円代前半。仮にスタンダードが4000円、シングルバレルが5500円としても、単体で見ると少し高い気もしますが、同じジムビームのスモールバッチの他製品と較べるとお買い得感はあり、差額1500円分の価値はあるような気がします。

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イーグルレアは現在バッファロートレース蒸留所のライ麦少なめのマッシュビル#1から造られる90プルーフ10年熟成のバーボンです。このマッシュビルは同蒸留所の名を冠したバッファロートレースの他、コロネルEHテイラー、スタッグ、ベンチマーク等にも使用されています。価格やスペックから言うとバッファロートレースより一つ上位のブランド。

イーグルレアは、元々はシーグラムが1975年に発売したシングルバレルではない101プルーフ10年熟成のバーボンでした。既に人気のあったワイルドターキー101を打ち倒すべく作成され、鳥のテーマとプルーフは偶然ではなく敢えてワイルドターキーに被せていたのです。「Carve the Turkey. Pour the Eagle.(七面鳥を切り分け、鷲を注ぐ)」と云う如何にもな1978年の広告もありました。この頃の原酒には、当時シーグラムが所有していたオールドプレンティス蒸留所(現在のフォアローゼズ蒸留所)のマスターディスティラー、チャールズ・L・ビームが蒸留したものが使われています。
時は流れ、サゼラック・カンパニーは1989年にシーグラムからイーグルレア・ブランドを購入しました(同時にベンチマークも購入)。その時のサゼラックはまだ蒸留所を所有していなかったので、数年間だけ原酒をヘヴンヒルから調達していたと言います(*)。しかし最終的には自らの製品を作りたかったサゼラックは1992年に、当時ジョージ・T・スタッグ蒸留所またはエンシェント・エイジ蒸留所と知られる蒸留所を買収し、後にその名称をバッファロートレース蒸留所に変更します。2005年までは発売当初と同じ熟成年数、プルーフ、ラベルデザインで販売され続けますが、この年にイーグルレアは大胆なリニューアルを施され、シングルバレル製品、90プルーフでのボトリング、そして今日我々が知るボトルデザインに変わりました。

一旦話を戻しまして、所謂旧ラベル(トップ画像左のボトル)について言及しておきましょう。イーグルレア101のラベルは、文言に多少の違いはあっても、会社の所在地表記で大きく三つに分けることが出来ます。
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先ずは左のローレンバーグ。これが書かれているものはシーグラムが販売し、現フォアローゼズ蒸留所の原酒が使われていると見られ、発売当初から89年までがこのラベルではないかと考えられます。熟成もローレンバーグで間違いないと思われますが、もしかするとボトリングはルイヴィルのプラントだった可能性もあります。次に一つ飛ばして右のフランクフォート。これが書かれているものは現バッファロートレース蒸留所の原酒が使われているでしょう。で、最後に残したのが真ん中のニューオリンズ。これが少し厄介でして、おそらくラベルの使用期間は90年から99年あたりではないかと思われますが、ニューオリンズはサゼラックの本社がある場所なので、蒸留やボトリング施設の場所を示していません。ローレンバーグやフランクフォートにしてもそうなのですが、「Bottled」と書かれてあっても「ボトリングした会社はドコドコのナニナニです」と言ってるだけです。このニューオリンズと書かれたラベルは理屈上、初期のものはフォアローゼズ産、中期のものはヘヴンヒル産、後期のものはバッファロートレース産、という可能性が考えられます。それ故、生産年別で原酒の特定をするのはかなり難しいです。これは飲んだことのある方の意見を伺いたいところ。ちなみに90年代には日本市場だけのために作られたイーグルレア15年107プルーフというのもありましたが、そのラベルの所在地はニューオリンズでした。これは一体どこの蒸留所産なのでしょうね。
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また、他にも後にバッファロートレース・アンティークコレクションの一部となるイーグルレア17年が2000年に発売されていますが、これは別物と考えここでは取り上げません。

さて、2005年にリニューアルされたイーグルレアはトップ画像右のボトルと大体同じだと思います。躍動感のある鷲がトール瓶に直接描かれるようになり、ネックに10年とあり、ちぎれた旗?のようなものにシングルバレルとあります。そしてトップ画像真ん中のボトルが2013年もしくは14年あたりにマイナーチェンジされた現行品です。おそらく段階的な変化があったと思いますが、この二者の主な相違点は、ネックにあった10年熟成のステイトメントがバックラベルに移り、シングルバレルの記述が完全に削除されたことの2点です。そうです、イーグルレアは現在ではしれっとシングルバレルではなくなっていたのでした。ただし、これには訳がありまして、バッファロートレース蒸留所に高速ボトリング・ラインが導入されたことにより、一つのバレルから次のバレルに切り替わる際、或るボトルには2つの異なるバレルのバーボンが混在してしまう可能性があり、技術上シングルバレルと名乗れなくなってしまったのだそうです。つまり現行イーグルレアはシングルバレル表記なしとは言っても、ほぼシングルバレル、準シングルバレルであり、もし味が落ちてると感じたとしても、それはシングルバレルでなくなったからではなく別の理由からだ、と言えるでしょう。そこで、今回は発売時期の異なるイーグルレア90プルーフ、シングルバレルとほぼシングルバレルの2つを飲み比べしてみようと言うわけです(旧イーグルレア101はおまけ。昔飲んだ空き瓶です)。

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目視での色はかなり違います。画像でもはっきりと確認できる筈。右シングルバレルの方はオレンジアンバーなのに対し、左ほぼシングルバレルの方はダークアンバーです。

Eagle Rare 10 Years 90 Proof
推定2015年前後ボトリング。並行輸入品。苺のショートケーキ、チャードオーク、シトラス、グレープジュース、焦がした砂糖、夏の日の花火、蜂蜜、土、麦茶。甘いアロマ。ソフトな酒質。余韻はややドライで、それほど好ましい芳香成分が来ない。
Rating:85.5/100

Eagle Rare Single Barrel 10 Years 90 Proof
推定2010年前後ボトリング。正規輸入品。ドライマンゴー、オレンジ、苺のショートケーキ、僅かに熟れたサクランボ、小枝の燃えさし、ビオフェルミン、カビ。全てにおいてフルーティ。ソフトなテクスチャー。余韻に爽やかなフルーツとアーシーなノート。
Rating:86.5/100

EAGLE RARE 101 Proof
推定2000年ボトリング。飲んだのが昔なので詳細は覚えてないが、上記二つとはまったく別物と思っていい。フルーツ感はあまりなく、もっとキャラメルの甘味と度数ゆえの辛味があって、ソフトよりストロングな味わいだった。原酒は多分バッファロートレースだと思う。ヘヴンヒルぽいテイストではなかった気がする。昔好きで飲んでいたので、俗に云う思い出補正はあるかも。
Rating:88/100

Verdict:101プルーフの物はおまけなので除外するとして、個人的にはフルーティさが強く余韻も複雑なシングルバレルの方を勝ちと判定しました。ライ麦が少なめのレシピでここまでフルーツ感が強いバーボンはやはり特別なのではないかと。ほぼシングルバレルの方も素晴らしいアロマを持っているのですが、どうも余韻が物足りなく感じまして。大抵の場合、色が濃いほうが風味が強く、美味しいことが殆どなのですが、この度の比較では逆でした。熟成は奥が深いですね。

Value:イーグルレアは、アメリカでは30ドル以下で買えるシングルバレルとして、生産量の多さ=流通量の多さ=入手の容易さも魅力であり、更にプライベート・バレル・プロジェクトもあるため、絶大な人気があります。しかし正直言って、日本では5000円近い値札が付く店もあり、その場合はかなりマイナスと言わざるを得ません。個人的には半値近い金額でバッファロートレースが買えるのなら、そちらを2本買うでしょう。けれど、たまにの贅沢でなら購入するのは悪くないと思います。また、同じバッファロートレース蒸留所産で、異なるマッシュビル(ライ麦多めの#2)を使用したシングルバレル・バーボンであるブラントンズの現行製品が5000円なら、イーグルレアを選択するのが私の好みです。


*有名なバーボン・ライターのチャック・カウダリーは、この時期はボトリングもヘヴンヒルだったのではないかと示唆しています。

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FOUR ROSES SINGLE BARREL 43%alc/vol
BARREL No. 9-26-95A
DATE 12-7-04
現行の物とはボトル形状もラベルデザインも度数も異なる昔のフォアローゼズシングルバレル。おそらく90年代終わり頃から2000年代初頭にヨーロッパに流通していたものではないかと推測します(仔細ご存じの方はコメントからお知らせ下さると嬉しいです)。首に付いている小冊子によると、最低でも7年は熟成され、スパイシーなキャラクターとフローラルなノーズと僅かにドライでデリケートなフィニッシュを有したバレルを、当時のマスター・ディスティラー ジム・ラトリッジが自らセレクトし、一樽一樽の個性や熟成年数の違いを楽しむ機会を我々に提供するのがシングルバレルの意図だという旨が書かれています。
本ボトルはDATEによると9年熟成。10種のレシピのうちの何なのかは記載されてません。せめてEかBどちらのマッシュビルかぐらいは教えて欲しかったですが、それ以前に、フォアローゼズが2マッシュビル×5イーストで作り始めたのって何時のことなんでしょうか? これまたご存じの方はコメントから教えて下さると幸いです。まあそれは措いて、レビューへ。

樽香、穀物臭、ライ由来のスパイス香、蜂蜜、軽いシトラス、僅かにビターチョコ、余韻にややミンティな気配。だいたい同じ時期のブラックラベルと較べて、どうも甘い香りが少なくスパイシーなアロマに感じる。確かに味わいもドライ。大人味のフォアローゼズと言った感じ。味わいから察するにBマッシュビルだと思う。正直、私ごときではフローラルまでは嗅ぎ取れず、個人的にはブラックの甘くフルーティなアロマの方が好み。
Rating:84/100

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Branton's SINGLE BARREL BOURBON 93 Proof
Dumped 2-6-17
Barrel No. 343
Warehouse H
Rick No. 72
友人から開封直後の1ショットを頂いての試飲。並行ではなく正規です。ブラントンズのブランド紹介は過去投稿のこちらを参照下さい。

焦がしたオーク、エタノール、フルーティーな香り、僅かにフローラル。ウォータリーさとクリーミーさが同居したような口当たり。口中はヴァニラ〜キャラメル系の甘味とシナモン〜ナツメグ系の風味、ブラックペッパー的な刺激。フィニッシュはスパイスとバター。45度前後でここまでバタリーな風味はなかなかない。酸味や苦味があまり目立たず、バーボンの味わいを構成する各要素が突出しないマイルドなバランス型の味わいと思う。けれども、そのせいなのかセクシーさに欠ける。
Rating:85/100

Value:数年前に並行輸入品を飲んだ時も思ったのですが、現行製品のブラントンはどうも「硬い」ような気がします。おそらく、これから酸化することでもう少し香りが開き、味に深みが出ると予想されますが、どうも開けたてはパッとしない。正直に言うと、パッケージングの華やかさとブランド神話は「買い」であるものの、値段を考えると自分の選択肢からは外れます。ブラントンはゴールドエディション以上、できればストレートフロムザバレルなら買ってもいいですが、現行のスタンダード日本正規品を定価では買いたくありません。販売店により価格差がありますので一概に言えませんが、これは仮にスタンダードの最高値が6000円だとして、ストレートフロムザバレルの最安値が7500円だとすればの話です。ここには値段以上の「開き」があります。
また、ブラントンズはオークションでそれほどは高騰していないブランドの一つです。少なくとも私の口には90年代のブラントンズは現行より遥かに美味しく感じるので、現行品と大差ない価格であればセカンダリーマーケットでオールドボトルの購入をオススメします。80年代の物はもっと美味しいと聞き及びますが、90年代の物より少し高い値が付くでしょう。

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ブラントンズは現在のプレミアムバーボンの魁として当時まだ珍しかったシングルバレルという形式で1984年から発売されました。当時のマスターディスティラー エルマー・T・リーが、先達のアルバート・B・ブラントンが特別に出来の良い樽を他の樽と混ぜずに招待客に振る舞っていたのをヒントに製品化したという伝説があります。
バッファロートレース蒸留所は、以前の名称をエンシェントエイジ蒸留所と言い、更に前はブラントン蒸留所とも知られていました。往年の親会社であるシェンリー社が同蒸留所に55年勤務したアルバートに敬意を表し蒸留所の名称をブラントン蒸留所としたと言います。ルーツを辿れば最初期はアルバートの父親ベンジャミン・H・ブラントンが建てたリーズタウン蒸留所に行き着き、エドモンド・H・テイラーJr.やジョージ・T・スタッグが辣腕を振るった時代がありました。バッファロートレース蒸留所のリリースするバーボンは同蒸留所のリーダーたる偉人の名前を冠したブランドが多いのです。

ブラントンズにはライ麦15%程度と言われる# 2 マッシュビルが使用されます。熟成年数の表記はありませんが、約8年とされ、全てウェアハウスHにて熟成されます。バッファロートレース蒸留所の熟成庫は殆どか煉瓦造りなのですが、H倉庫は唯一メタルの被覆で造られており、熟成が速く進むそうです。一説には4年ほど熟成した段階でマスターディスティラーを含む検査官がテイスティングをし、これは良い出来の樽だと判断されたものをH倉庫へと移して、更に3〜6年寝かせて熟成のピークに達したものをボトリングするのだとか。
またブラントンズと言えば特徴的なのは多面体のボトル形状とケンタッキーダービーのジョッキーを模したキャップでしょう。このデザインは秀逸という他ありません。キャップにはB・L・A・N・T・O・N2・Sのどれかの印があり、ゲートに佇む姿〜馬を疾駆する姿〜ガッツポーズで勝利する姿までの八種類があって、キャップを集めている人もいます。他のヴァリエーションとしては、度数の低いブラック、度数の高いゴールド、樽出し原酒のストレート・フロム・ザ・バレルなどがあります。この中でストレート・フロム・ザ・バレルだけがアンチルフィルタードで、他のはチルフィルタードとなっています。度数にせよフィルトレーションにせよ、かなりの違いを産み出しますよね。

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Blanton's Single Barrel Bourbon Whiskey 93 Proof
Dumped 6-15-12
Barrel No. 21
Warehouse H
Rick No. 24
こちらは並行輸入品です。並行輸入品は茶色っぽい紙の色で、正規輸入品はもっとクリームぽい紙の色をしています。で、どういう訳か並行輸入品よりも正規輸入品のほうが味が優れてるように感じるのです。このボトルに関しても、キャラメル香とスパイシーさの加減もよく、美味しいは美味しいのですが、そこまでの深みは感じれず…。シングルバレルという性格上、並行か正規かの違いに拘わらず、そもそも一樽一樽が違うのは当然なので、たまたまなのかも知れませんが、昔から「正規の方が味が良い」説は根強くあります。私の思い込みなのでしょうか?
また、もっと言えば90年代の物のほうが遥かに深みがあり美味しいと感じます。なので残念ながら得点は抑え気味になりました。  
Rating:85/100


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周知のようにフォアローゼスは他の蒸留所では見られない独自の方法でそのバーボンを造り出します。それは二つのマッシュビルとキャラクターの違う五つのイースト菌を使って10種類の原酒を造り、平屋のウェアハウスで熟成させ、それらをブレンドすることで品質と味を安定させるという方法です。フォアローゼスは1943年にシーグラムの傘下に入りましたが、その当時からシーグラムは酵母の研究をしていて、その影響を受けた造り方なのでしょう。またコックスクリークにある平屋の熟成庫も、元々はシーグラムが熟成の本拠地としていた歴史があるそうです。シーグラムという会社はなくなりましたが、フォアローゼスはその魂を受け継いでいると言ってもいいかも知れません。

10種類の原酒は4文字のアルファベットによって「O■S◆」というように表記され、「O」はフォアローゼス蒸留所で造られていることを意味し、「S」はストレートウィスキーであることを意味します。「S」はストレートの略と分かりやすいですが、なぜ「O」がフォアローゼズ蒸留所を表すかと言うと、それは昔フォアローゼズ蒸留所はオールドプレンティス蒸留所という名称だったからです。いくつもの蒸留所を抱えていたシーグラムは原酒の産出される蒸留所のバレルに各略号を与えており、その名残から「Old Prentice」の頭文字「O」でフォアローゼズ蒸留所を表すのです。
そして「■」の部分にはマッシュビルの種類を表す「E」もしくは「B」が入ります。「E」マッシュビルはコーン75%/ライ20%/モルテッドバーリー5%でライ麦少なめのレシピ、「B」マッシュビルはコーン60%/ライ35%/モルテッドバーリー5%でライ麦多めのレシピです。注意してほしいのはライ麦少なめのEマッシュビルでも、他社で言うとハイ・ライ・マッシュビルと呼ばれるライ麦含有率なところです。つまりフォアローゼスはライ麦率が凄く高いバーボンなのです。
そして末尾の「◆」にはイーストの種類を表す「V・K・O・Q・F」の何れかが入ります。左から順に、デリケート・フルーツ・クリーミー、ライト・スパイス・フルボディー、リッチ・フルーツ・フルボディー、フローラル・エッセンス、ハーバル・エッセンスというキャラクターを持っているとされ、それぞれに熟成のピークが違うそうです。この5種類のイーストは、上に述べたようにイーストの研究に余念のなかったシーグラムが、往時ケンタッキー州で所有していた五つの蒸留所にルーツがあるとの説がありました。どれがどの蒸留所のイーストなのか判りませんが、その五つの蒸留所とは、ルイビルのカルバート蒸留所、シンシアナのオールド・ルイス・ハンター蒸留所、ラルー郡のアサートンヴィル蒸留所、ネルソン郡のヘンリー・マッケンナ蒸留所、そして現在フォアローゼズの本拠地となっているローレンスバーグのオールド・プレンティス蒸留所です。
これら2×5の10種類のそれぞれの特徴は下記のようになるとのこと。

OESV─デリケートフルーティ、フレッシュ、クリーミー
OESK─スパイシー、フルボディ
OESO─フルーティ(レッドベリーズ)、ミディアムボディ
OESQ─フローラル(ローズ、アカシア)、バナナ、ミディアムボディ
OESF─ミント、フルーティ、フルボディ
OBSV─デリケートフルーティ(洋梨、アンズ)、スパイシー、クリーミー
OBSK─リッチスパイスネス、フルボディ
OBSO─ライトフルーティ、スパイシー、ミディアムボディ
OBSQ─フローラル(ローズ)、スパイシー、ミディアムボディ
OBSF─ミント、フルーティ、スパイシー、フルボディ

イエローラベルはこれらを全てブレンドしたもので
OESV+OESK+OESO+OESQ+OESF+OBSV+OBSK+OBSO+OBSQ+OBSF

スモールバッチは4種類のブレンドで
OESK+OESO+OBSK+OBSO

シングルバレルは当然1種類で
OBSV

と、されています。ちなみにリミテッドリリースの物はその都度、最も熟成の良いものが選ばれているようで、例として

2016年リミテッドリリース・スモールバッチは
OESK(16yr)+OBSV(12yr)+OESO(12yr)

エリオッツ・セレクトは
OESK

が、選ばれています。その他に現地では、プライベート・セレクションという或るお店や団体のためのシングルバレルがあり、それは任意の樽を選ぶことが出来るみたいで、お店の名前と「O■S◆の○年▲ヶ月熟成」というように記載されたシールがボトルの横に貼ってあります。それらはめちゃくちゃ旨いらしいです、バレルストレングスだし…。まあ、それは措いて、そろそろ通常品のシングルバレルのレビューに移りましょう。

Four Roses SINGLE BARREL 100 Proof
Warehouse No. RS
Barrel No. 80-6F
イエローやブラック、スモールバッチと比べると、ハイプルーフのせいか、だいぶオーキーな香り。飲むと、あぁフォアローゼスだなぁというフルーティさだし、濃いし、スウィーティーかつスパイシーで勿論おいしいのですが、どうも奥行に欠ける気がする。リッチではあるがコンプレックスではない印象を受けました。正直、スモールバッチの方が好みです。私とOBSVの愛称が悪いのか、ブレンドでないからそう感じるのか、他の樽だったらよかったのか、どうもわかりませんが、このボトルに関しては特別なフィーリングは感じませんでした。
Rating:86/100

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JACK DANIEL'S SINGLE BARREL SELECT 90 Proof
RICK NO. R-15
BARREL NO. 12-2062
セメダイン、オーク、キャラメル、杏仁。スタンダードなオールドNo.7に比べるとだいぶナッティな感じがする。また、だいぶ甘い。45度以上のジャックはどれも本当に美味しい。けれど、このボトルに関しては何かが足りない。いまいち深みに欠ける。
Rating:85/100

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Elijah Craig Single Barrel Aged 18 Years 90 Proof
BARRELED ON 2-23-90
BARREL NO. 3755
バーボンの父と称されるエライジャ・クレイグ牧師の名を冠したヘヴンヒルのプレミアムバーボン。12年物とは比較にならないほど複雑な芳香を持っています。様々なドライフルーツのアロマや味わいと、渋味を含んだオークの風味、それをアルコール度数45度でボトリングするバランス感覚は大変面白味があります。ピーチやパイナップルも出てきましたが、キャラメル感はそれほどでもなく、オーバーオークな感じもしません。いわゆるパンチやキックを求める人には向かない、長熟ならではの香味をきくバーボン。日本には殆ど輸入されていない21年や23年も本国ではリリースされており大変人気があります(と言うか18年も最近は日本に入ってこない)。
本ボトルは90年に蒸留されたもので、いわゆる旧ヘヴンヒルのジュース。現行と比較したことはないので味の違いは分かりません。
Rating:87/100

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JACK DANIEL'S SINGLE BARREL Jimmy Bedford's Final Selection 94 Proof
Rick No. R-13
Barrel No. 8-1312
Date 4-25-08
ジャックダニエルズ蒸留所の第6代マスターディスティラー、ジミー・ベッドフォードが2008年の引退を前に、特に優れた熟成樽を最後に選んだ「シングルバレル」です。今のところ飲んだことのあるJDの中では最も美味しかったです。トーストした樽の甘い香りといい味の深みといい桁違いでした。
Rating:92/100

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