バーボン、ストレート、ノーチェイサー

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タグ:テネシーウィスキー

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テネシー州タラホーマ近くのカスケイド・ホロウにあるジョージ・ディッケル蒸留所のリリースする製品には幾つかのヴァリエーションがありますが、そのうち基本的なのは昔から発売されているブラック・ラベルの「No.8」とタン・ラベルの「No.12」です。現在では無色透明アンエイジドでホワイト・ラベルの「No.1」やレッド・ラベルの「タバスコ・バレル・フィニッシュ」という珍品もあり、唯一ディッケル蒸留所で造られていないグリーン・ラベルの「ライ」もあります。2019年にはブルー・ラベルのボトルド・イン・ボンドも発売されました。その他にスモールバッチの「バレル・セレクト」や「ハンド・セレクテッド」もあります。
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ベースとなるウィスキーのレシピはどれも同じで(ライウィスキーは除く)、コーン84%/ライ8%/モルテッドバーリー8%のハイ・コーン・マッシュビル。ディッケル蒸留所では42インチのコラムスティルを用い、比較的低い約130プルーフで蒸留するそうです(*)。そして熟成前のニューメイクはテネシーウィスキーの特徴となるメロウイング(リンカーン・カウンティ・プロセス)が施されますが、テネシーウィスキーの代名詞とも言えるジャックダニエル蒸留所とは異なり、メロウイング前に原酒を0℃近く(40°F)まで冷却します。これはジョージ・ディッケルその人が冬場に造ったウィスキーのほうが滑らかで旨いという信念を持っていたからとか。また他のテネシー蒸留所のようにチャコールの敷き詰められたヴァットに、原酒を一滴一滴垂らす「濾過」というよりは約1週間ほど「浸す」のがディッケルの製法だという情報も見かけました(**)。その木炭は地元産のサトウカエデの木からディッケル蒸留所によって作られています。熟成に使われるバレルのチャーリング・レベルは#4。エイジングに関しては熟成具合のバラつきを抑えるために1階建ての倉庫で行われ、樽のローテーションを必要としません(***)。水源は近隣のカスケイド・スプリングから取っており、例によって石灰岩層を通った鉄分を含まないウィスキー造りには最適の水で、ディッケルの味の秘訣の一つとされます。

ジョージディッケルのブランドは、それまで親会社だったシェンリーが1987年にユナイテッド・ディスティラーズに買収されると、1990年代初頭、ヨーロッパとアジアでの大幅な売上成長を目標にした選ばれたウィスキー・ブランドとして、マーケティングから予想される将来の需要を満たすために生産量が増加されました。しかし、その需要は少なくとも予測された範囲では実現しませんでした。ディッケル・ブランドは特定の地域でそれなりの支持を得ていたものの、ジャックダニエルズのような世界的に「超」が付くほどの有名銘柄ではありません。当時は今ほどの知名度もなかった筈です。結果、倉庫の容量はいっぱいになってしまいました。
もし蒸留所が生産していたのがケンタッキーバーボンだったなら、これはそれほど大きな問題ではなかったでしょう。なぜなら超過分は、親会社が所有する他の売れ行きの良いブランドにブレンドすることが出来ましたし、或いはオープン・マーケットで非蒸留業者に販売することも出来たからです。しかし、ディッケルはテネシーウィスキーというユニークな製品であり、当時のユナイテッドが抱えていた多くのバーボン・ブランドとレシピは共有されていません。また当時は現在ほどのアメリカンウィスキーの需要もありませんでした。そのため過剰生産されたストックは流動しなかったのです。
より多くのディッケルを海外に販売しようとする試みは、完全な失敗とは言い切れないものの期待に応えたとは言い難いものでした。おそらく問題の一部は、新しく巨大になった親会社からしたら、必要な注意を引くにはあまりにもディッケル蒸留所が小さ過ぎたことにあったのではないでしょうか。増え続けるストックは、誰かが十分な注意を払って生産調整すれば済む話なのに、誰もそうしなかった…と。
1997年にはギネス(ユナイテッド・ディスティラーズの親会社)がグランド・メトロポリタンと合併してディアジオが形成されました。新会社は多額の借金を抱えていたため、事業の統合によるコスト削減と資産売却による現金化が必要でした。彼らは焦点をアメリカン・ウィスキーから遠ざける決断を下し、1999年の初めまでに資産の大部分を売却、ジョージディッケルとI.W.ハーパーという二つのブランドだけを手元に残します。そしてジョージディッケルは1999年2月に生産が停止され、蒸留所は2003年までの期間閉鎖、マーケティング予算はゼロになりました。マーケティング費用が掛からないぶんディッケルは収益になっていたようです。

ディッケルの主力製品であるNo.8とNo.12に熟成年数の記載はありませんが、おそらくこの時期の物にはその後の物と較べ、熟成年数の長い原酒が混和されている可能性が高いと思われます。当時のディッケルの小売価格はかなり安く、2001年頃はNo.8が13ドル、No.12が14ドルという情報がありました。おかげで数年間は信じられないほどの掘り出し物だったと言います。しかし、それは恐らく会社にとってその製品がそれほど利益がなかったことをも意味するでしょう。
製品の継続性を保証するために、1か月とか年に数週間でも蒸留所を稼働させることは理に適っているように思えます。ブレンドされる原酒の熟成期間の大きなギャップを避けるためにも。しかしディアジオは、ディッケル蒸留所は再びウィスキーを製造する前にコストのかかる修理(廃水処理と関係があるテネシーでのいくつかの環境問題)を必要としており、完全生産に戻る準備ができるまで投資をしない、と主張していました。それが本当だったのかどうか知る由もなく、もしかすると物価を吊り上げるためのツールとして不足を意図的に作り出そうとしていた疑いも拭えません。ともかくもディアジオは2002年になるとディッケルのマーケティング予算を復活させ、2003年9月には修繕と環境問題もクリアして蒸留所の操業が再開されます。

マーケティングが成果を上げたのか、或いはアメリカンウィスキー復活の大きな潮流に上手く乗れたためか、その後数年間でディッケルの需要は急増しました。しかし、生産に於ける4年半もの「空白の時」が会社を悩ませることになります。2007年半ばまでにNo.8の不足が明らかになり、アメリカ各地で供給が枯渇し始めたのです。日本でも2000年代には、ディッケルは時折購入できなくなる(輸入されなくなる)という発言を聞いたことがありますが、それはこれが主な原因なのでしょう。意図的にそのような状況が作り出された訳ではありませんでしたが、その種の問題に気付いた時、それを最大限に活用する戦術が採られます。一つは不足自体についての宣伝を生み出すことでした。人は手に入りにくいものこそ欲する傾向がありますから。もう一つは供給不足を解消するために、2007年後半、従来製品より短い3年熟成原酒をボトリングした「カスケイド・ホロウ」という新製品の発表でした。そのラベル・デザインはNo.8と殆ど同じで、一見すると同一商品にさえ見え、小売価格も一緒だったそうです。お馴染みのブラック・ラベルを買うつもりの客が、別の製品とは気付かず購入なんてこともあったのではないでしょうか。流石にまずいと思ったのか、2008年半ばから後半にかけてカスケイド・ホロウのラベルはブラックからレッドに切り替えられました。この変更は苦情への対応の可能性、またはNo.8が再導入された後もカスケイド・ホロウは販売されていたので混乱を避けるためと見られています。
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2008年末にはNo. 8も店頭に戻って来ましたが、約22ドルに値上がっていたそうです。カスケイド・ホロウも2013年まで継続してラインナップ中エントリー・クラスの製品として残っていました。No.12の完全な供給中断はなかったそうですが、在庫は逼迫し、2009年頃いくつかの地域では見つけるのが難しかったようです。その頃、No.12の価格は14ドルから​​24ドルに急上昇しました。店頭商品の捌け具合の差から、店舗によってはNo.12がNo.8より安い価格で販売されている場合もあったそうです。この件とは直接関係ないかも知れませんが、日本でもNo.8とNo.12の価格に殆ど差がないことがあり、No.12がやけにお買い得に見える時がありますね。

ディッケルに限らず、或るブランドを作成する時、ブレンドされる原酒の熟成年数の構成比は、蒸留所の抱える在庫により随時変動します。特にNASの製品は蒸留所の自由な裁量に委されている感が強いです。蒸留所は時に使用される原酒の熟成年数の範囲についてヒントをくれますが、ディッケルは時期によって熟成年数に殊更バラつきがある印象を受けました。2003年9月の新聞では、当時のマスター・ディスティラーであるデイヴィッド・バッカスの発言を引用して、(現在の)店頭に並ぶNo.12は実際に12年であり、(本来は)その年数の半分程度であることが好ましい、なんて記事もあったようです。2006年頃のインタビューで当時のマスター・ディスティラーのジョン・ランは、一般的にバレル・セレクトは11〜12年、No.12は10〜12年、No.8は8〜10年であると述べています。更にウェブサイト上で見つかる新しめの情報では、バレルセレクトを10~12年、No.12を6~8年、No.8を4~6年としています。

さて、話が長くなりましたが、そこで今回は現行よりちょっと古い物と更にもう少し古いディッケルNo.8の飲み較べです。
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同一プルーフでありながら、目視で液体の色の濃さの違いがはっきりと判ります。一方はオレンジがかったゴールドに近く、一方は赤みのあるブラウンに近いです。

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George Dickel CLASSIC No.8 RECIPE 80 Proof
2015年ボトリング。薄いヴァニラ、穀物臭、コーンウィスキー、杏仁豆腐、所謂溶剤臭、さつまいもの餡、チョコチップクッキー、ドクターペッパー。ウォータリーな口当たり。余韻もケミカルなテイストが強い。とにかく何もかもが薄い印象で、甘さも仄かに感じるものの、辛味が先立つ。甘くもなくフルーティでもないのが好きな人向け。
Rating:77.5/100

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George Dickel OLD No.8 BRAND 80 Proof
ボトリング年不明、推定2000年前後。干しブドウ、穀物臭、薄いヴァニラ、炭、弱い樽香、土、ブルーベリー。ウォータリーな口当たり。木質のスパイシーさとドライな傾向の味わい。余韻は穏やかなスパイス・ノートと豊かな穀物。フルーティさはこちらの方があるが、基本的にグレイン・ウィスキー然とした香味。
Rating:81/100

Verdict:見た目からしても飲んでみても、旧瓶の方が明らかに熟成年数が高いと思いました。そしてそれがそのまま味の芳醇さに繋がっているのでしょう、旧瓶の圧勝です。

Thought:近年物を初め飲んだ時は、どうしたんだディッケル!と思ったほど、全然美味しくない、と言うか好きな味ではありませんでした。とにかく若いという印象しかなく、本当に4~6年も熟成してるの?って感じです。ディッケルの熟成倉庫は1階建てと聞き及びますが、4~6年の熟成でこの味わいなら、確かにそうっぽいと思わせる穏やかな熟成感でした。残量が半分を過ぎた頃からは、甘味が少し増して美味しくなり、樽由来でない原酒本来の甘味ってこんな感じかなと思ったのが唯一の良さですかね。一方の旧瓶は、ボトリングされてからある程度の年月が経過してる風味もありつつ、ディッケルぽさもあり、海外の方が言うところのディッケルの特徴とされるミネラル感も味わえたように思います。


*135プルーフで蒸留という情報も見かけました。

**逆に一滴一滴垂らすとしている情報も見ましたので、いずれが本当かよく分かりません。

***6階建ての倉庫で熟成という記述も見かけたことがありますが、新しめの記事だとこう書かれていることが多いです。

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JACK DANIEL'S SILVER SELECT SIngle Barrel 100 Proof
シルヴァーセレクトは免税店向けの製品として開発され、通常のシングルバレルより少し度数が高いのが特徴で、ひと昔前まではジャックダニエルズで100プルーフと言えば、これ、というイメージがありました。調べてみると、1997年から発売され、それから2010年までが少し丸みのあるボトルデザインだったようです。その後、画像のような少し角ばったボトルデザインとなり、2015年には終売。2016年初頭からは通常のシングルバレルと同系デザインの100プルーフが発売されています。
中身については、箱には熟成庫の最上階で熟成されたと書かれています。ジャックダニエル蒸留所ではハニーバレル(特に出来の良い物)は大概上層階から選ばれますね。私が気になるのは、通常のシングルバレルと較べてシルヴァーセレクトがよりクオリティの高い物が選ばれているのかどうなのかというところなのですが、調べても判りませんでした。デザインに気合いが入ってる分、その可能性はなくはないと思います。逆に単に度数が高いだけの可能性もありますが。
飲んでみると、セメダイン、キャラメル、メープルシロップ、スモーク、ローストナッツ、バナナといったジャックの特徴が濃ゆく味わえ美味しいです。さほど特別ではないかも知れませんが、流石に50度のジャックは安定しているなという印象。ちなみに本ボトルは推定2011年のボトリング。
Rating:87/100

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JACK DANIEL'S 150TH ANNIVERSARY 100 Proof
2016年にジャックダニエル蒸留所の創業150年を記念して発売されたボトル。ぶっちゃけ蒸留所の創業年は論拠の薄弱なものが多く、大概は民間伝承ぐらいのレベルのもので大した意味はありません。けれど、そのために特別に造られたと言われれば興味をそそられます。

JDのマスターディスティラー、ジェフ・アーネットによると、記念ボトルを造るにあたり初めはマッシュビルの変更も検討したものの、結局はオリジナルに敬意を払うことが重要だと感じて「Old No.7 」と同じ伝統のレシピ(80%コーン/8%ライ/12%バーリー)を採用したそうです。
では何が違うのかと言うと、まずは樽。通常よりも「トーストの時間を長くとり、チャーは短時間で切り上げた特別な新樽」の使用です。「あらかじめじっくりと熱を通すことで、樽内部にあるより多くの糖分を変質させ、樽が本来持つ深く豊かな風味を最大限に引き出」せるのだとか。
次にバレル・エントリー・プルーフ(樽詰め時の度数)を通常の125プルーフ(62.5度)から100プルーフ(50度)に下げたことが挙げられます。一般にエントリープルーフが低いと、よりフレイヴァーフルに仕上がると言われていますが、そのぶん多くの樽が必要となるため贅沢な仕様なのです。
更に熟成場所。どこの蒸留所もプレミアムな原酒が育つスイートスポットを有しているものですが、ジャックダニエル蒸留所ではコイヒルという丘に建つウェアハウスがそれに当たります。そこの日照時間が長く寒暖の差が激しい最上階、通称「天使のねぐら」と呼ばれる場所でのみ熟成されているそうです。
そしてボトリング。エントリープルーフが100プルーフでボトリングが100プルーフなのですから、少量の加水調整はしていると思いますが、所謂バレルプルーフということになります。徹底して贅沢に造っていますね。えーと、これだけ聴いたら期待値高過ぎませんか(笑)。では、レビューいきましょう。

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メープルシロップ、ローストナッツ、スイートコーン、梅干し、なぜか海老。スタンダードなOld No.7と較べてジャック特有のセメダイン臭が薄め。口当たりは50度のわりにややウォータリーな印象。だからと言って風味が弱いかと言えばそうでもない。パレートでは甘味が支配的ながらハーブっぽいテイストがあり、苦味もスパイシーさも強く感じる。後味はさっぱりと切れ上がる感じで、余韻にはマッチを擦ったあとのようなスモーキーさが。

今まで飲んだジャックの中で最もメープルシロップを感じた一本であると同時に、最もハービーな一本でした。正直に言うとこれより旨いと感じたジャックはありますが、複雑さでは一番かも知れません。特別なフィーリングは感じられました。しかし値段はちょっと高過ぎる…。
Rating:88/100

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JACK DANIEL'S SINGLE BARREL SELECT 90 Proof
RICK NO. R-15
BARREL NO. 12-2062
セメダイン、オーク、キャラメル、杏仁。スタンダードなオールドNo.7に比べるとだいぶナッティな感じがする。また、だいぶ甘い。45度以上のジャックはどれも本当に美味しい。けれど、このボトルに関しては何かが足りない。いまいち深みに欠ける。
Rating:85/100

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テネシーウィスキーの特徴となるチャコール・メロウイングを、樽熟成の前と後の2回施すことで、通常のOld No.7よりも更にスムースにしたのがウリのジェントルマン・ジャック。一説には熟成後のメロウイングは、熟成前のメロウイングより短時間で行うらしい。個人的にはスムースさを求めてはないのですが、確かにシルキータッチとクリアネスは感じられ、これはこれで美味しいです。アロマや味わいはジャックダニエルズそのものですし。

GENTLEMAN JACK 80 Proof(画像右側)
2009年ボトリング。開封直後はOld No.7に水を加えたのかと思うほど薄っぺらい風味だったが、時間の経過とともに風味は開いて美味しくなった。そこまで来ると、なぜかOld No.7より旨いように感じられる。仮に熟成年数などのスペックが全く同じで、メロウイングの回数しか違わないのだとしたら、雑味が更に取り除かれて甘味が引き立っているのがGJなのだろう。
Rating:83/100

Gentleman Jack 80 Proof(画像左側)
年式不明。開封直後から美味しかったし、味わいにやや深みがあるように感じた。新旧の比較としては大差ないという印象。味の深み云々は強いて言えばの話に過ぎない。個人的にはラベルのデザインは圧倒的に旧の方が好きで、それを理由に旧に軍配を上げた。
Rating:84/100

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JACK DANIEL'S SINGLE BARREL Jimmy Bedford's Final Selection 94 Proof
Rick No. R-13
Barrel No. 8-1312
Date 4-25-08
ジャックダニエルズ蒸留所の第6代マスターディスティラー、ジミー・ベッドフォードが2008年の引退を前に、特に優れた熟成樽を最後に選んだ「シングルバレル」です。今のところ飲んだことのあるJDの中では最も美味しかったです。トーストした樽の甘い香りといい味の深みといい桁違いでした。
Rating:92/100

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JACK DANIEL'S MASTER DISTILLER 90 Proof
現在では43度でボトリングされ、歴代のマスターディスティラーがフューチャーされている「マスターディスティラーシリーズ」の祖先的な?元祖的な?やつです。1993年に日本限定で発売され、2001年に終売となりました。
蒸留所のマスターディスティラーは熟成庫を隅々まで知り尽くしており、どの場所が原酒にとって最良であるか知っているし、どれが特別な樽であるかも知っている。そして、それを自らの親しい友人のみに振る舞ったとか。そういう逸話を基に造られたのがこの限定版テネシーウイスキーでしょう。ブラントンやフォアローゼスブラックでも似たような逸話で語られていますね。下に付属品の小冊子の文章を、短いので全文掲載しておきます。

「創始者ジャック・ダニエルが、かつて親しい友人に贈るためにえらびだしていた、とっておきのテネシーウイスキー。それは、ジャック・ダニエル・ウイスキーの中でも、ある貯蔵庫の特定の場所で熟成し、より深い色と豊かなコクをまとった逸品でした。このウイスキーは大切に保存され、彼自身のサイン入りで、限られた人々にだけ贈られていました。今日でも、この『ジャック・ダニエル・マスター・ディスティラー』は、創始者が発見したその貯蔵庫の同じ場所から、熟練の手で選び出されているウイスキーです。たとえようもなくスムーズで、いちだんと深い味わい。ジャック・ダニエル・ウイスキーのすばらしさを愛する人々にとって、これ以上の贈りものはありません。」

現実的に考えると、おそらく熟成庫の上層部から選ばれた樽のスモールバッチではないかと予想します。発売年代から考えてジミー・ベッドフォードがマスターディスティラーの時代の物でしょう。

本ボトルは推定98年のボトリング。アロマ・パレート・フィニッシュ全てにおいて、スタンダードなOld No.7は言うに及ばず、物によっては47度のシングルバレルより香り高いし、旨みも強い気がします。他のバッチはどうか知りませんが、このボトルには結晶のような澱(オリ)が発生していました。大概のウイスキーは澱があるほうが美味しい気がします。
Rating:86/100

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