バーボン、ストレート、ノーチェイサー

◆◆FOR BOURBON LOVERS ONLY◆◆ バーボンの製品情報、テイスティング・コメント、レーティング、思考、ブランドの歴史や背景などを紹介するバーボン好きによるアンフィルタード・レヴュー。バーボンをより好きになるため、より楽しむための初心者から中級者向けのブログ。

タグ:ヘヴンヒル

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今回は似た者同士をいっぺんにレビューしようと思います。過去に投稿した「安酒を敬いたまえ」というシリーズに編入してもよい2本ですので、旨い安バーボンを探してる方は参考になさって下さい。一つはヘヴンヒル蒸留所の看板製品となっているエヴァンウィリアムスのブラックラベル。もう一つはラクスコが販売するエズラブルックスのブラックラベルです。ともに1500〜2000円前後の販売価格であり、ラベルの雰囲気が似ているだけでなく、ジュースのスペックが似ています。ラクスコは2018年4月に自社のラックス・ロウ蒸留所がケンタッキー州バーズタウンに完成し、稼働し始めましたが、それまではヘヴンヒル蒸留所から原酒を調達していたと見られます。ラクスコの自社蒸留原酒が含まれる物がリリースされるまでは数年かかるでしょう。裏事情はよく分かりませんが、原酒の調達方法がバルク買いなのであれば、この二者は同じ蒸留施設で生産された同じマッシュビルのバーボンと考えるのが妥当だと思います。違いは熟成年数と熟成庫内の場所と度数とボトリング施設といったところかと。

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目視で比べると、エヴァンウィリアムスの方が度数が低い(=濃度が薄い)のに、若干濃い色をしてるように見える。

EVAN WILLIAMS Black Label 86 Proof
エヴァンのブラックラベルは、世界でジムビームに次ぐセールスを記録しているバーボンと言われます。以前は7年熟成、もっと前は8年熟成でしたが、近年の増加する需要に対応するためNASとなりました。現在では5〜7年熟成とされています。

2016年ボトリング。薄いヴァニラ香、穀物臭、麦茶、薄い薄いチェリー、スパイス。余韻にややケミカルなノートと汗っぽさ。甘味と複雑さが足りず、フルーツ感もあまりない。強いて言うならフルーティな麦茶とは言えるし、口の中にとどめておけばスパイシーさと苦味を感じられるが、どうもあっさりして物足りない。昔のエヴァンはもっと芳醇な香りだったのだが…。
Rating:80/100

EZRA BROOKS Black Label 90 Proof
エズラブルックス、及びオールドエズラのシリーズは2016年にリニューアルされ、画像の物は長らく親しまれた旧デザインとなります。熟成年数の表記はありませんが、おそらく4年もしくは長くて5年程度ではないかと思います。

2011年ボトリング。ブラウンシュガー、香ばしい木材、コーンチップス、ブドウ。口当たりがこちらの方がやや滑らか。余韻はうっすらトフィと麦茶。どうも熟成の足りなさが漂う。90プルーフにしては風味が物足りず、すぐ上のクラスのバーボンと比べて香りのボリュームが小さい。端正に整った味わいとも言えるが、個性がなくあっさりした味わいとも言える。
Rating:79.5/100

Thought:正直言って、どちらも期待外れの味わいと思いました。特にテイスティング・グラスで飲むと全然美味しくなく感じます。ラッパ飲みかショットグラスならまあまあです。どうしても上位クラスと比較すると風味の弱さが目立ちますが、あくまで安さが魅力のバーボンですので…。肯定的に言えば、普通に美味しいと言いますか、この程度の値段で現代バーボンのスタンダードな旨さをよく体現しているなとは思います。ちなみにライバルである他のボトムシェルフ・バーボンと比べて言うと、これらが1500円である場合、ジムビームホワイトが1300円前後であればこの二者を買いますが、エンシェントエイジとベンチマークが1000円であればそちらを買うのが私の考え(好み/金銭感覚)です。

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今回から数回に分けて「安酒を敬いたまえ」と題して、700〜750mlあたり1500円までのエントリークラスバーボンの飲み比べとレーティングの一覧を作ってみようと企画しました。正確には1500円を少し越える物も含む、1500円前後までと受け取って下さい。ここはジャックダニエルズもワイルドターキーもメーカーズマークもいないチープな世界。もう最低のラインですよ。ちょっと上物を飲んだ後では満足出来っこない。けれど、これも愛せてこそのバーボンマニアだと思うのです。高級品やレア物を飲むだけがマニアじゃない。あなたの口や脳や臓器がバーボンのために出来ているのなら、これらも愛せるはずだ(笑)。
では、蒸留所別に分けまして、今回はイントロダクションとヘヴンヒル蒸留所編となります。

Heaven Hill Distillery◆ヘヴンヒル蒸留所
ヘヴンヒルの通常のバーボンマッシュビルは、コーン/ライ/バーリーがそれぞれ78%/10%/12%と75%/13%/12%という二つの説があります。どちらが正しいのか判断がつきませんので並記させてもらいました。チャーリングレベルは# 3 と言われており、バレルエントリープルーフは125です。

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Heaven Hill 80 Proof
980〜1200円程度
ヘヴンヒル蒸留所はエヴァンウイリアムス黒ラベルをスタンダードなバーボンとして売り出しているようです。そこから考えるとこちらは、それよりも格下のバーボンと言えます。熟成年数はおそらく4年。或いは3年程度かも知れませんね。アメリカではヘヴンヒルのボトルド・イン・ボンド規格のものが売られているようです。昔は「オールド」のついた熟成年数の長いものもありました。
正直なにもコメントが思い浮かばないほど普通。いや、普通に旨いとは言えるのですが、それ以下でもそれ以上でもないと言うか…。うっすら甘く、さっぱりしていて、フルーティーと言うには果実感が足りない感じ。弱々しいキャラメル香は感じますが、穀物っぽさとケミカルなノートのほうが強く感じられます。と言って、くっさーい酒、クセのある酒とは言い難く、癖のないクリアでライトな如何にも現代の安バーボンです。しかし、値段からしたら十分美味しい。
Rating:77/100

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John Hamilton 80 Proof
980〜1300円程度
ジョン・ハミルトンという人はケンタッキーの初期蒸留家のようです。詳しくは調べてもよく分かりませんでした。もしかすると現行の物はアメリカでは売られてないエクスポートオンリーのブランドかも知れません。
これまた殆どヘヴンヒルと同じ印象です。全てがライト。バーボンらしいオーク臭や甘味や酸味があるけれども弱々しい。けれど値段からしたら満足というやつです。
Rating:77/100

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Old Virginia 6 Year 80 Proof
1300〜1500円程度
ヴァージニアと名付けられてはいるが、ケンタッキーストレートバーボン。ケンタッキー州はもともとヴァージニア州の一部だったので、ヴァージニア州で造られてなくてもこの名前はアリなのかも。日本には流通してませんが他国では同ラベルの8年熟成の物があるようです。原酒は明らかにされてませんが、香りからして典型的なヘヴンヒルのジュースだと思われます。
6年熟成ともなると40度とは言え、上記二つと較べだいぶ香りが豊かになります。スパイシーさも出てきました。しかし芳醇とは言い難く、やはりまだ穀物臭とケミカルな香りが強い。弱いヴァニラにコーン、ビオフェルミン。 フルーツ感も弱いけれど、安いのでけっこうお買い得感はあり。
Rating:79/100

他にもテンガロンハットという、日本にバーボンブームがあった時代に、日本酒類販売とナショナル・ディスティラーズが共同開発したブランドがあります。おそらく当時はND傘下の蒸留所、その後ジムビームの原酒を使っていたと思いますが、現在ではヘヴンヒルの原酒が使われています。なので、ここに並べても良かったのですが、価格的にみてヘヴンヒルやジョンハミルトンと大差ないと判断して割愛しました。値段は1000円ちょいです。是非お試しあれ。
更にはマークトゥエイン、マーチンミルズ、T.W.サミュエルズ等、ヘヴンヒルの若い原酒を使用したとおぼしきバーボンがありますが、同じ理由で割愛させて頂きます。
また、ヘヴンヒル蒸留所を代表する銘柄エヴァンウィリアムスのブラックラベルは1500円以内で購入できることもありますが、一つ上の価格帯と判断してここには載せてません。
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H

Hazmat─ハズマット
「hazardous material」の略語で危険物の意。バーボンオタクの間では140プルーフ(70度)以上のウィスキーのことを指す。飛行機に持ち込んではいけない。バーボンではジョージTスタッグやエライジャクレイグバレルプルーフなどの一部がそれに当たる。

Heads─ヘッズ
ダブラーまたはサンパーから出て来る蒸留液(ハイ・ワイン)の最初の部分。このスピリットは不純物が多く、再蒸留のためにスティルに送り返される。

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「Heaven Hill」の略。ヘヴンヒル蒸留所、ま
たはその名を冠したバーボン。昔は長期熟成を含む色々な熟成年数のものがあったが、近年ではヴァリエーションは少なく、同社のメインブランドはエヴァン・ウィリアムスとエライジャ・クレイグに絞られた感がある。ヘヴンヒル・セレクトストック(Heaven Hill Select Stock)は「HHSS」と略す。 
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High Rye Mash Bill─ハイライマッシュビル
バーボンのマッシュビルで、ライ麦の配合率が多いものを指す用語。明確な規定がある訳ではないが、概ねライ麦が10%ならロウ、15%ならミドル、18%以上ならハイと思っておいていいだろう。

High Wines─ハイワイン
第二蒸留(ダブラーやサンパー)によって生成されるスピリット。

Highball─ハイボール
バーボンなどを炭酸水で割った飲料。

Honey Barrel─ハニーバレル
熟成において特に出来の良い樽(及び中身)のこと。シュガーバレルとも言う。

Horizontal Tasting─ホリゾンタルテイスティング
水平方向に選び出されたボトル群による試飲方法。テイスティングを行う際に選抜する銘柄を、例えば同じ価格帯に属するが、異なる蒸留所の物を各一本づつ揃えるようなやり方のこと。例……ジムビームブラック、メーカーズマーク、フォアローゼスブラック、ワイルドターキー、ジャックダニエルズ等。或いは価格帯は違っても、熟成年数のみを共通項にして、異なる蒸留所の物(またはブランド)を選ぶとかも考えられる。例……エライジャクレイグ12年、エヴァンウィリアムス12年、ワイルドターキー12年、ウェラー12年、ヴァンウィンクル12年ロットB、ジムビームシグネイチャークラフト12年など。または蒸留所は同じでも原料の違いに焦点を合わせて、スタンダード・バーボン・マッシュビル、ウィーテッド、ライウィスキー、コーンウィスキー、ウィートウィスキーを各一本づつ揃えるとか。例……エヴァンウィリアムス、ラーセニー、リッテンハウスライ、メロウコーン、バーンハイムオリジナル等。要するに垂直方向でなければ何でもあり。

HW
「High West」の略。2007年、ユタ州パークシティに設立されたクラフトディスティラリー、またそのウイスキーに付けられた名前。禁酒法解禁以来、ユタで最初の蒸留所。多くのマイクロディスティラリーと同じく、設立当初はソーシングウィスキーを使用して自らのウィスキーを造ったが、他の多くのマイクロディスティラリーと違い、供給源を明らかにする姿勢は消費者から好感を得た。他所から得た原酒(MGPやバートン、フォアローゼス等)を使うにせよ、自家蒸留酒を使うにせよ、そのブレンド技術には定評がある。またアメリカンプレイリーやキャプファイヤー、ランデブーライにダブルライなど独創的な世界観を体現するラベルデザインやネーミングセンスはブランディングの巧みさも物語っているだろう。
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Hybrid Still─ハイブリッドスティル
ポットスティルとコラムスティルのどちらでも実行できる現代的なスティルデザイン。ポットの上方にそのままフルートのような見た目のコラムが付いたものや、ポットの横に小さめのコラムが設置されたもの等がある。クラフトディスティラリーのような比較的小規模な蒸留所でよく使われ、ウィスキー以外にウォッカやジン等も作る場合に利便性が高いのだとか。


I

In the Wild─インザワイルド
酒屋の棚にレアなボトルが小売価格もしくはそれに近い価格で発見されたり、またはそうして買えた時の状況を指すスラング。野生の状態、つまり小賢しい人間の手がかかってない状態を譬えているものと思われる。
例「OMG I can’t believe I found a PVW20 "in the wild."」。

Infinity Bottle─インフィニティボトル
フラクショナル・ボトル、ソレラ・ボトル、リヴィング・ボトルとも言われ、現在飲んでいるバーボン(やウィスキー)が残り僅かになった段階で、何かしら飲み終えた空き瓶や用意したデカンター等にそれを移し、また何度もそれを繰り返し、永久になくならない自家製ブレンドを造ること。そして追加する度に変化する風味プロファイルを自ら楽しみ、家族や友人に提供して共に楽しむウィスキーオタクの娯楽。
方法論としては、ウィスキーのカテゴリーを同一にする場合と、カテゴリーを越境する場合とがある。前者はバーボンならバーボンのみをブレンドし、後者はスコッチにバーボンとジャパニーズをブレンドするようなことを指す。概ね前者の方が風味の統一感を取りやすく無難に仕上がる。

IWH
「I. W. Harper」の略。大変歴史のあるブランドで、1879年にアイザックとバーナードのバーンハイム兄弟によって立ち上げられた。ブランド名は兄のIssac Wolfeの頭文字から。アイザックはユダヤ系ドイツ人である自分の本当のラストネームを使用することを躊躇い、代わりに安全なアングロサクソン風のHarperを用いたと言われる。兄弟は退職時に会社を売却し、禁酒法解禁後の1937年からはシェンリーの傘下となり、長らくトップセリングバーボンの座にあった。その後1987年には、今日ディアジオとして知られる巨大酒類企業を形成するギネス(ユナイテッド・ディスティラーズ社)に買収され、グレーマーケットの問題から90年代半ばには輸出専用の製品となり、約20年間に渡ってアメリカでは販売を停止されていたが、2015年久方ぶりに本国復帰を果たした。
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アイザック・ウォルフ・バーンハイム氏


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JB
「Jim Beam」の略。世界一売れてるケンタッキーストレートバーボンウィスキー。
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ビーム家7世代

JD
「Jack Daniels」の略。世界一有名なテネシーウィスキー。
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ジャスパー・ニュートン・ダニエル氏

Jigger─ジガー
1.5オンス(約45ml)の容量。またカクテル用の計量器。

JPS
「Jefferson’s Presidential Select」の略。キャッスルブランズが販売するジェファーソンズバーボンの中でも長期熟成酒を使用したより上位のシリーズ。初期リリースのものにはスティツェル=ウェラーの原酒が使われた17年や18年物があり有名。蒸留された蒸留所が非公開の25年や30年といった超長期熟成古酒のリリースもある。
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