バーボン、ストレート、ノーチェイサー

◆◆FOR BOURBON LOVERS ONLY◆◆ バーボンの紹介やレビュー、レーティングなど。

タグ:85点

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フォアローゼズは2種類のマッシュビルと5種類のイーストを使う10のバーボンレシピを持っています。そして、それらをブレンドして(シングルバレルは除く)各ブランドを作り出します。そのうちOBSK、OESK、OBSO、OESOの4つをブレンドして作成するのがスモールバッチです。この独特の略号については以前のシングルバレルの投稿で解説してますので、そちらを参照下さい。一応簡単に説明しておきますと、最初の文字は常に「O」で生産施設であるフォアローゼズ蒸留所を表し、2番目の文字は「E」(75%コーン/20%ライ/5%モルテッドバーリー)か「B」(60%コーン/35%ライ/5%モルテッドバーリー)でマッシュビルを指します。3番目の文字は常に「S」でストレートウィスキーの意、4番目の文字はイーストの種類を表し、「V」(繊細な果実)、「K」(僅かなスパイス)、「O」(濃い果実)、「Q」(フローラルエッセンス)、「F」(ハーブの香り)の何れかで示されます。スモールバッチは2006年から導入されました。

現マスターディスティラーのブレント・エリオットによると、正確な数はバッチにより異なるものの、平均バッチサイズは約250樽だそうです。熟成年数はNASですが概ね6年と7年で、6年以下の原酒は入れず、時には8年物の樽が含まれる場合もあり、バッチあたりの平均年数は通常6年半とされます。フォアローゼズでは45秒のチャーリング(#3と#4の中間のチャー・レヴェル)を施した樽を、コックス・クリークにある平屋のリックハウスで熟成。4つのレシピのバーボンは各バッチを構成するために常に使用され、要求されるフレイヴァー・プロファイルと容量のため、樽は複数の倉庫から引き出し、ダンピングの前に各レシピの代表的なサンプルを取り出してブレンドし、ラボでテストするのだとか。

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Four Roses Small Batch 90 Proof
年式不明、購入は2019年。並行輸入。香ばしい焦げ樽、熟したプラム、ホワイトペッパー、ラズベリー、ジンジャー、タバコ。さらりとした口当たり。余韻には香ばしさとペッパー感が残りやすい。一二滴の加水でフルーツをたっぷりと添えたパンケーキを思わせる香りへ。
Rating:85/100

Thought:以前飲んだジム・ラトリッジがマスターディスティラーの時代(2015年以前)の物より、やや甘味がなくフルーティさに欠けるように感じました。何と言うか、焦樽感が強くメロウさが足りない印象。少し昔の情報でスモールバッチの熟成年数を平均7~8年としているのを見かけたことがあるので、もしかするとここ数年のバーボン高需要によって平均熟成年数が下がっているなんてこともあるのかも。また同じ理由からバッチサイズも昔はもっと少ない樽数だった可能性もあるかも知れませんね。ブレントは前マスターディスティラーで伝説とも言えるジム・ラトリッジのもとで十年くらい共にフォアローゼズをクリエイトして来た人なので、マスターディスティラーの交代によって味が落ちたとは考えにくく、疑うなら高需要による熟成年数の変化ではないかと思った次第です。まあ、私の味覚の方が当てにはなりませんけど…。スモールバッチのバッチ毎の味の違いについて皆さんはどう思われるでしょうか? どしどしコメントお待ちしております。

Value:アメリカでは30ドルの価格帯、日本では安いところで3000~3500円で買えるフォアローゼズ・スモールバッチは、ブラックラベルが3000円、シングルバレルが5000円とすると、私にとっては味と価格のバランスに於いて「これ一択」の製品でした。ところが今回飲んだバッチの物はどうもイマイチに感じてしまい、これだったらブラックラベルの方を選ぶほうが…。上にも述べた昔(2013年あたり)飲んだスモールバッチを当ブログでレビューしてないのですが、点数を付けるなら86.5点でした。とは言え、こちらも現行の流通が広範囲の製品としては今だに高いレヴェルにあるとは思っています。特にブラックラベルと較べてハイプルーフなのは価値が大きい。
幸いフォアローゼズの製品ラインナップはなかなかバランスよく揃っているので、安さを求める方ならイエローラベル、それより質の高い物の中でライト志向の方ならブラックラベル、強さを求める方ならシングルバレル、そしてスペック的に中間のバランス型を志向する方ならスモールバッチと言ったところでしょう。プラチナは高額なので、別枠でプレゼント用ですかね。それぞれオーキー感の強さと風味に若干の違いはありますが、味わいはどれもフォアローゼズらしいフルーティで美味しいバーボンだと思います。


補足:「スモールバッチ」と云う用語はバーボンでは頻繁に使われますが、法律で定まった規格ではなく単なるマーケティング用語なのでちょっと注意が必要です。と言うのも、バッチは生産単位、スモールは少数、そこから一般的にスモールバッチは「少量生産の意」と説明されることが多く、あながち間違いではないし私だってそう説明することもあるのですが、実際のところスモールバッチ製品をリリースする蒸留所によってそのバッチサイズには余りにも大きな違いがあり、誤ったイメージを持ってしまうと言うか、人によってイメージする数に差が出てしまうでしょう。「少量」がどれくらいの量なのか定かではないのですから。具体的な数字を言うと、業界では2樽から300樽程度までのバッチングでボトリングした製品をスモールバッチと呼び慣わしています。小さな蒸留所では10樽前後をスモールバッチと表記し、大手蒸留所では300樽でもスモールバッチと表記するのです。例えばメーカーズマークのスタンダードは150樽程度のバッチングと言われますが、ラベルにスモールバッチとは書かれていません。メーカーズでは伝統的に19樽程度をスモールバッチとしているからです。逆にジムビームのスモールバッチ・コレクション(ノブクリーク等)は300樽前後、ワイルドターキーのレアブリードは200樽前後のバッチングと見られます。その一方でジョージディッケルのバレルセレクトは10樽前後、ウィレットのスモールバッチ・シリーズは最大で12樽とされます。「は? 差あり過ぎじゃね?」ってなりますよね。個人的には紛らわしさの回避のため、2~30樽はヴェリー・スモールバッチと言ったほうが良いのではないかと思ってます。余談ですが。
「クラフト」や「ハンドメイド」と云う言葉も同じように、あまり意味をなさないマーケティング用語です。どこかしら「ぬくもり」や「こだわり」を感じさせ、小さいながらも一生懸命に仕事に打ち込んでいる姿をイメージさせます。スモールバッチ=少量生産のイメージもこれらと被るでしょう。ある意味、大手蒸留所からしたら都合のいい響きをもった言葉だからこそマーケティングに用いられるのが「スモールバッチ」と云う言葉なのです。こう言うと、何だか大手蒸留所が悪者のように聞こえてしまいますが、別にそういう訳でもありません。そもそもスモールバッチという言葉は、大昔に使われたこともあったかも知れませんが、現在の流行り言葉としてのルーツはジムビームにあります。ジムビームがスモールバッチ・コレクションを発売した当時、彼らはジムビーム・ホワイトラベルのために700〜800樽をバッチングしており、だからこそノブクリーク、ベイゼルヘイデンズ、ブッカーズ、ベイカーズの200〜350樽は比較的「小さく」見えました。それ故の「スモールバッチ」。ここに嘘はなく、単純な事実を表明しただけ、悪意があった訳ではないのです。

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ベイカーズは、ジムビームの誇るスモールバッチ・コレクションの一つで、92年からコレクションの三番目として発売されました。その名はベイカー・ビームにちなんで付けられています。彼は、同じくスモールバッチ・コレクションの筆頭とも言えるブッカーズの名の由来であるブッカー・ノーのカズン(はとこ?)であり、ジム・ビームことジェイムス・ボーリガード・ビームの弟であるパーク・ビームの孫に当たります。父親はビーム蒸留所の伝説的マスターディスティラー、カール・"シャックス"・ビームです。
蒸留一家に生まれたベイカーは弟のデイヴィッドと共に、蒸留所の上の丘に建つ、現在ではジェレマイア・ハウスと呼ばれる「大きな白い家」で育ちました。子供の頃、彼らは後にヘヴンヒル蒸留所のマスターディスティラーとなるいとこのパーカー・ビームと一緒に、蒸留所の向かい側のバーンハイム・フォレストで自転車に乗って遊んでいたそうです。ビーム家の他の殆どの人と同じように、兄弟は自然と蒸留所で働くようになり、長年に渡りクレアモントで蒸留所の職務を分担しました。ベイカーが最初に蒸留所で働き始めたときは夜間警備員だったと云います。その後、整備から蒸留まで蒸留所の様々な仕事をこなし、最終的にクレアモント・プラントでヘッドディスティラーに登り詰めました。同じ頃、ブッカーはビーム・ファミリー第六世代マスターディスティラーになる前にボストン・プラントを監督していました。
バーボン史的に言うと、1980年代半ばから90年代初頭にかけてのシングルバレルやスモールバッチと言われるプレミアム・バーボンの誕生が、現在のバーボン人気の礎を築いたと見られています。当時、消費者(海外市場、特に日本市場の)はスコッチのシングルモルトのようなもう少し高級なバーボンを求めました。或いは逆に、酒類販売会社のPRが消費者をそのように育てた側面もあったでしょう。ブッカーはブランド・アンバサダーとして「スター性」を持った最初のマスターディスティラーでした。スモールバッチ・バーボンを世に広めた功績は計り知れません。しかし、ベイカーは知名度こそブッカーに劣るものの、ビーム蒸留所のメイン・ファシリティであるクレアモントでディスティラーをしていた人物です。ビームの二つの工場では、ベイカー、デイヴィッド、ブッカーが同時にディスティラーでした。ベイカーはクレアモントでデイ・シフトを、デイビッドはナイト・シフトを担当しました。ブッカーはボストンです。二つのプラントの相対的なステータスを考えると、ベイカーは蒸留技術者としては寧ろブッカーより重要だったと思われます。ベイカー・ビームとはそれほどの男なのです。では、そのバーボンはどのようなものなのでしょうか?

ベイカーズはベイカーの個人的嗜好にインスパイアされたバーボンだと言います。マッシュビルは通常のジムビームと同じ77%コーン/13%ライ/10%モルテッドバーリーで、酵母も同じ。そして最低7年熟成、107プルーフ(*)でのボトリング。ビームのスモールバッチ・シリーズは、一説によると通常のジムビーム・ラインより蒸留プルーフが低いともされていますが、公表されてはいないので真相は判りません。また、ベイカーズをクリエイトするためのバレルは、ラックハウスの上層フロアからのみ選ばれると伝えられることがあり、サントリーの公式サイトでもフレッド・ノーの言葉を引用する形で「ベイカーズは上段の8~9段(**)で7年超の熟成を経たもの。樽香の芳しい、最もパンチのあるフルボディタイプ」と書かれていますが、ベイカー本人によれば最上階を含む倉庫のあらゆるところから樽を引き出して、力強いフレイヴァーとベイカーズ自慢の絹のように滑らかなフィニッシュを持ったバランスの良いミディアムボディのバーボンを造る、とのこと。
余談ながら、ベイカーはベイカーズ以外のバーボンだったら何が好きですかという質問には、同じスモールバッチ・コレクションのベイゼル・ヘイデンズと答えています。

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ベイカーズは発売当初は上画像左のデザインでした。「B」の大きい現行のデザインになったのは97年頃と思われます。バッチナンバーの数字に熟成年数の7を足した推測です。ラベルにはバッチナンバーの記載はありますが、 手書きではないですし、ダミーというか、それっぽく見せただけのような気がします。おそらくラベルデザインの違いによる二種類しかないのではないでしょうか?  ご存知の方はご教示ください。
さて、今回は新旧対決と行きたかったんですが、旧ラベルのほうは数年前に飲み終えてしまい、サイド・バイ・サイドでの比較ではないのでオマケです。

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BAKER'S Aged 7 Years 107 Proof
batch no. B-90-001
ボトリング年不明、推定2017年。キャラメルマキアート、アーモンド、フルーツガム、焦げ樽、トーストブレッド、エナジードリンク、トマト。スイートなアロマ。イースト由来とされるビーム・ファンクも。ほんの少しバタリーな口当たりで、度数のわりにするりとした喉越し。余韻はハイプルーフから期待されるほど長くはない。基本的にはオーク、ナッツ、フルーツ、スパイスのどれもが突出しないバランスだが、残量が半分くらいになってからはキャラメル系の甘い香りがやや減じ、オレンジでもリンゴでも洋梨でもチェリーでもメロンでもない、あのビーム・フルーツとしか言い様のない独特のフルーティさが強く顔を覗かせた。また、一二滴の加水だとストレートとあまり変わらないが、四滴ほど加水すると味わい的には薄めたブッカーズに近いものを感じるようになった。
Rating:85/100

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BAKER'S SEVEN YEARS OLD 107 Proof
batch no. B-85-001
ボトリング年不明、推定90年代。飲んだのが数年前なので細かいことが言えないが、現行のものほど甘味がなかった気がする。ロット間、もしくはボトルコンディションの差なのだろうか? それなりに濃くはあるものの、あまり旨味も感じられなかった。そこがビームらしいと言えばらしいのだが…。
Rating:84.5/100

Thought:ジムビームのスモールバッチ・コレクションの中で、おそらく一番売れてないのがベイカーズだと思われます。他のコレクションのバーボンにはヴァリエーションや限定リリースがあるのに、ベイカーズだけないからです。人気がない理由は主に3つ思い付きます。
①製品仕様のキャラ立ち
ベイゼル・ヘイデンズは唯一マッシュビルが違い、尚且つ低プルーフ、そして独特の意匠のラベルデザイン。ノブクリークのボトルデザインも独特です。ブッカーズはバレルプルーフでアンフィルター。どれも個性が際立っています。それに比べてベイカーズは、ボトル形状はブッカーズと似ているし、プルーフもノブクリークとブッカーズの中間です。これではどうも中途半端な立ち位置の印象を与えかねません。
②人物の知名度
スモールバッチ・コレクションを創始したブッカー・ノーと較べると、どうしたってベイカー・ビームの知名度は劣ります。これは対外的なディスティラーと対内的なディスティラーという役割違いに由来するのでどうしようもないです。ベイゼル・ヘイデンにしてもオールド・グランダッド関連で名前が挙がる人だけに、知名度の差は埋めようもないでしょう。ノブクリークのみ小川の名前ですが、その説明の際にリンカーン大統領が持ち出されたりしては勝負になりません。
③ラベルのデザイン
そして①の延長線上の話ですが、個人的には何よりベイカーズのラベルデザインが一際悪いと思っています。他の3つと比較して余りに手抜き感が否めない。いや、そもそもなぜベイカーズだけがラベルのリニューアルをしたのかが不明です。ノブクリークとベイゼル・ヘイデンズは発売当初と殆ど変わらず、ブッカーズはマイナーチェンジぐらいに留まっている。なのにベイカーズだけ大幅にデザインが変更されているではないですか。個人的にはリニューアル前の方がよほどカッコいいと思います。
それとラベルではないですが、特に駄目なのはワックストップです。これでは、ただでさえボトル形状がブッカーズと似ているのに、ワックスシールドしたら余計に似て、安易なブッカーズの廉価版に見えてしまいます。そこに来て大きな「B」ですよ? ブッカーズだって頭文字はBですからね? そろそろデザインの刷新を図るべき時期が来ているのではないでしょうか。せっかく美味しいバーボンなのに勿体ないです。まあ、こんなところで文句を言ってもしょうがないのですが…。


*オールド・ウェラーなどにも見られる107というきりの悪い数字は、バーボン業界では伝統的な数値です。1962年以前、110プルーフがバレル・エントリー・プルーフだった時代には、107プルーフでのボトリングこそが今日言うところの「バレルプルーフ」に相当しました。

**括弧で囲った引用文はいわゆる「原文ママ」なので、ちょっと誤解を与えかねない表現になっています。解る人には解るかもしれませんが、「上段の8~9段」と云うのは「上層階の8~9階」という意味です。ジムビームのラックハウスは九階建てで、一つのフロアーに樽を三段積みが基本だからです。上段の8~9段」と表現されると、何だか一階建ての熟成庫にバレルが九段積み重なってるようなイメージがしませんか? そのため個人的には使いたくない表現なのですが、引用なのでそのままにしてます。

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世界で人気のブランド、ブレットのライウィスキーです。ブレット・ブランド自体の紹介はこちらを参照下さい。ブレット・ライは2011年3月から発売されました。バーテンダーからの要望が多かったため製品化されたと聞き及びます。ラベルの緑色はブレット・ディスティリング・カンパニーの創業者トム・ブレット自ら拘って選び抜いた絶妙なグリーンなのだとか。ジュースはお馴染みMGPの95%ライ。熟成年数は4~6年とも5~7年とも言われており、おそらく値段から考えて4年熟成酒をメインに使っているのではないかと想像します。

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BULLEIT RYE 90 Proof
推定2016年あたりボトリング、購入は2018年。色はやや薄めでオレンジがかったゴールデン・ブラウン。焦がした木、ライスパイス、青リンゴ→マスカット、ミント、蜂蜜、洋梨、穀物臭、竹林。爽やかなフルーツとスパイシーなアロマ。ウォータリーな口当たり。口中はマイルドな甘味と豊かなスパイスが感じられる。余韻はややハービーな苦味が強い。開封からしばらくは香りのボリュームが低く、味わいも平坦だった。残量が半分を切ってから幾分か濃密になり美味しくなった(開封から3ヶ月以上経過してやっと)。同じMGPソースで熟成年数の若いリデンプションと較べると、円やかなテクスチャー、かつ甘味を感じやすい。ブレットと同じくディアジオの所有するブランドであり、同じMGP95ライをソースとしたジョージディッケル・ライと比べると、なぜか全体的に薄口の印象だった。
Rating:85/100

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I.W. HARPER 101 PROOF Gold Label
80年代後期のものかなと予想します。90年代に販売されていたグレーラベルのハーパー101の前身かと。もしかすると90年代初頭までは流通していたかも知れません。昔のバーボンの本を見てみると、スタンダードな86プルーフのゴールドメダルより熟成年数の平均値が少し長そうな記述が見られますが、あまり当てにならない情報に感じます。味は平凡と言えば平凡でした。クセのないスタンダードな旨さと言ったらいいでしょうか。これはグレーラベルを飲んだ時にも思ったことですが、特別な感じがしないのです。勿論ハイプルーフならではの満足感はありますが。
Rating:85/100

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I.W. HARPER GOLD MEDAL
こちらはラベルの腐食が進みすぎて年代の識別が困難です。60年代ぐらいですかね? もしかしたら50年代? 何プルーフなのかもよく判りません。ボトルド・イン・ボンドとは表記されていないように見えるので86プルーフでしょうか。ですが、液体の色はかなり濃いです。マスターに聴けば良かったものの、この頃には酔っぱらっていたせいか、聴きそびれました。感想は、円やかな酒質にクレームブリュレもしくはプリンの風味。これが86プルーフだったとすると、低プルーフの割りに風味の点で101プルーフに負けない豊かさがあったように思います。
Rating:85.5/100

追記:記事投稿後にバーボン・バーGのマスターより情報提供頂きました。上の腐食の進んだハーパーとほぼ同時期とみられるボトルドインボンド版の綺麗な状態の前後ラベル写真を拝見出来たのです。それは全く同一のラベルデザインに見えました。 そしてそれは53年蒸留、58年ボトリングだそうで、そうなると上に述べた推定年代は概ね間違ってなかったようです。この場を借りて改めてお礼を言わせて頂きます。ここまで劣化したラベルを一目見ただけでそれと判る慧眼、恐れ入ります、ありがとうございました。
また、コメントにも素敵なバーボンマニア様からのアドバイスがありましたのでご参照下さい。ご協力感謝です。

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Branton's SINGLE BARREL BOURBON 93 Proof
Dumped 2-6-17
Barrel No. 343
Warehouse H
Rick No. 72
友人から開封直後の1ショットを頂いての試飲。並行ではなく正規です。ブラントンズのブランド紹介は過去投稿のこちらを参照下さい。

焦がしたオーク、エタノール、フルーティーな香り、僅かにフローラル。ウォータリーさとクリーミーさが同居したような口当たり。口中はヴァニラ〜キャラメル系の甘味とシナモン〜ナツメグ系の風味、ブラックペッパー的な刺激。フィニッシュはスパイスとバター。45度前後でここまでバタリーな風味はなかなかない。酸味や苦味があまり目立たず、バーボンの味わいを構成する各要素が突出しないマイルドなバランス型の味わいと思う。けれども、そのせいなのかセクシーさに欠ける。
Rating:85/100

Value:数年前に並行輸入品を飲んだ時も思ったのですが、現行製品のブラントンはどうも「硬い」ような気がします。おそらく、これから酸化することでもう少し香りが開き、味に深みが出ると予想されますが、どうも開けたてはパッとしない。正直に言うと、パッケージングの華やかさとブランド神話は「買い」であるものの、値段を考えると自分の選択肢からは外れます。ブラントンはゴールドエディション以上、できればストレートフロムザバレルなら買ってもいいですが、現行のスタンダード日本正規品を定価では買いたくありません。販売店により価格差がありますので一概に言えませんが、これは仮にスタンダードの最高値が6000円だとして、ストレートフロムザバレルの最安値が7500円だとすればの話です。ここには値段以上の「開き」があります。
また、ブラントンズはオークションでそれほどは高騰していないブランドの一つです。少なくとも私の口には90年代のブラントンズは現行より遥かに美味しく感じるので、現行品と大差ない価格であればセカンダリーマーケットでオールドボトルの購入をオススメします。80年代の物はもっと美味しいと聞き及びますが、90年代の物より少し高い値が付くでしょう。

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ブラントンズは現在のプレミアムバーボンの魁として当時まだ珍しかったシングルバレルという形式で1984年から発売されました。当時のマスターディスティラー エルマー・T・リーが、先達のアルバート・B・ブラントンが特別に出来の良い樽を他の樽と混ぜずに招待客に振る舞っていたのをヒントに製品化したという伝説があります。
バッファロートレース蒸留所は、以前の名称をエンシェントエイジ蒸留所と言い、更に前はブラントン蒸留所とも知られていました。往年の親会社であるシェンリー社が同蒸留所に55年勤務したアルバートに敬意を表し蒸留所の名称をブラントン蒸留所としたと言います。ルーツを辿れば最初期はアルバートの父親ベンジャミン・H・ブラントンが建てたリーズタウン蒸留所に行き着き、エドモンド・H・テイラーJr.やジョージ・T・スタッグが辣腕を振るった時代がありました。バッファロートレース蒸留所のリリースするバーボンは同蒸留所のリーダーたる偉人の名前を冠したブランドが多いのです。

ブラントンズにはライ麦15%程度と言われる# 2 マッシュビルが使用されます。熟成年数の表記はありませんが、約8年とされ、全てウェアハウスHにて熟成されます。バッファロートレース蒸留所の熟成庫は殆どか煉瓦造りなのですが、H倉庫は唯一メタルの被覆で造られており、熟成が速く進むそうです。一説には4年ほど熟成した段階でマスターディスティラーを含む検査官がテイスティングをし、これは良い出来の樽だと判断されたものをH倉庫へと移して、更に3〜6年寝かせて熟成のピークに達したものをボトリングするのだとか。
またブラントンズと言えば特徴的なのは多面体のボトル形状とケンタッキーダービーのジョッキーを模したキャップでしょう。このデザインは秀逸という他ありません。キャップにはB・L・A・N・T・O・N2・Sのどれかの印があり、ゲートに佇む姿〜馬を疾駆する姿〜ガッツポーズで勝利する姿までの八種類があって、キャップを集めている人もいます。他のヴァリエーションとしては、度数の低いブラック、度数の高いゴールド、樽出し原酒のストレート・フロム・ザ・バレルなどがあります。この中でストレート・フロム・ザ・バレルだけがアンチルフィルタードで、他のはチルフィルタードとなっています。度数にせよフィルトレーションにせよ、かなりの違いを産み出しますよね。

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Blanton's Single Barrel Bourbon Whiskey 93 Proof
Dumped 6-15-12
Barrel No. 21
Warehouse H
Rick No. 24
こちらは並行輸入品です。並行輸入品は茶色っぽい紙の色で、正規輸入品はもっとクリームぽい紙の色をしています。で、どういう訳か並行輸入品よりも正規輸入品のほうが味が優れてるように感じるのです。このボトルに関しても、キャラメル香とスパイシーさの加減もよく、美味しいは美味しいのですが、そこまでの深みは感じれず…。シングルバレルという性格上、並行か正規かの違いに拘わらず、そもそも一樽一樽が違うのは当然なので、たまたまなのかも知れませんが、昔から「正規の方が味が良い」説は根強くあります。私の思い込みなのでしょうか?
また、もっと言えば90年代の物のほうが遥かに深みがあり美味しいと感じます。なので残念ながら得点は抑え気味になりました。  
Rating:85/100


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KNOB CREEK Small Batch 9 Years 100 Proof
ジムビームのスモールバッチコレクションの一つノブクリーク(現在では9年表記はなくなりました)。ビーム家6代目ブッカー・ノーが禁酒法以前の力強いバーボンへの回帰を目指して造り上げ、特徴的なボトルデザインと相俟って、92年の発売以来人気があります。その特徴的なデザインは禁酒法時代にルーツがあり、ブーツの中に酒を隠しやすいフラスクを模したレクタンギュラーボトル、またそれを新聞紙で包んで隠していたという故事に倣ったラベルデザイン、どちらも秀逸というしかありません。
あと、ノブクリークという名前の由来について、ケンタッキー州にある小川の名前であり、偉大なる大統領エイブラハム・リンカーンが幼少期を過ごした土地にちなむと説明されることが殆どですが、大昔にナショナル・ディスティラーズのブランドで「ノブクリーク」という名前のバーボンがあったという指摘があります。確かに他のスモールバッチラインナップの名前は、ブッカーズ、ベイカーズ、ベイゼル・ヘイデンズとどれも人名であり、ノブクリークだけ仲間外れな感じはします。まあ、余談ですが…。 
さて、お味の方はというと、アロマはキャラメルとオークが中心で、フレイヴァーにはナッティかつトースティなテイストがあります。個人的にはフルーティーさはブッカーズのほうがあるような気がしました。またジムビームのバーボンの中で最も樽の焦げた味がするように感じます。それをややスモーキーと言うのでしょう。これは好きな味です。ただし、私にはどうしてもジムビームのバーボンには、もう一つ何かが足りなく感じます。それを奥行きとか深みとかコクと言ってもいいですし、濁りと言ってもいい。とは言え、スモールバッチではない通常のジムビームラインと比較すれば遥かに香り高いのは間違いありません。本ボトルは推定2009年ボトリング。
Rating:85/100

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JACK DANIEL'S SINGLE BARREL SELECT 90 Proof
RICK NO. R-15
BARREL NO. 12-2062
セメダイン、オーク、キャラメル、杏仁。スタンダードなオールドNo.7に比べるとだいぶナッティな感じがする。また、だいぶ甘い。45度以上のジャックはどれも本当に美味しい。けれど、このボトルに関しては何かが足りない。いまいち深みに欠ける。
Rating:85/100

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BUFFALO TRACE 90 Proof
バッファロートレース蒸留所がその名を冠したバーボン。ということは同蒸留所を代表する銘柄とみてよいでしょう。1999年6月、長らく親しまれたエンシェントエイジ蒸留所から名称をバッファロートレース蒸留所へと変更し、その二ヶ月後に発売されたのが始まりです。
使用されるレシピは# 1 のロウ・ライ・マッシュビルで、コーン80%/ライ麦10%(もしくはそれ以下)/大麦麦芽10%と噂されています。この# 1 マッシュを使う他の銘柄には、ベンチマーク、イーグルレア、コロネルEHテイラー、ジョージTスタッグなどがあります。もう1つの# 2 はハイ・ライ・マッシュビルで、ライ麦が12〜15%と噂されており、エンシェントエイジ、ブラントン、エルマーTリー、ロックヒルファーム、ハンコックリザーヴなどに使用されています。
バッファロートレースバーボンには熟成年数の表記はありませんが、色々調べてみると、8〜12年、8〜10年、7〜9年という三つの説がありました。まあ、だいたいそんなところと思っておけばよいでしょう。またウェアハウスのC、I、Kの中層階の樽からのみ選ばれ、35〜40樽をワンバッチとしてボトリングされているとの情報もありました。
このボトルは45度なのですが、並行輸入品でたまに40度ボトリングの物を見かけます。おそらくどこかの国では40度でボトリングされたものが普及しているのでしょう。見た目が殆ど変わらないので購入の際は気を付けたほうが良いですね。では前置きはこれくらいにしてレビューに行きましょう。

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推定2007年ボトリング。アーモンド、キャラメル、シトラス、オレンジ、米、アプリコットジャム。やや酸味のあるすっきり感。焼樽の香ばしさと柑橘系のフルーティーさ、概ね甘く僅かにスパイシーなバランス感覚。度数も、40度でもなく、50度でもない、ちょうど中間の45度、ここが肝かも。ラベルのワイルドさとは裏腹にモダンな味わいで、非常にバランスが良くレベルの高いバーボン。これが3000円以下で買えるならかなりオススメだと思います。現代バーボンの入門にぴったり。
Rating:85/100

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BULLEIT BOURBON FRONTIER WHISKEY 80 Proof
今や世界的人気のブランドとなっているブレットバーボン。その大元のルーツは伝説によれば、1830年からオーガスタス・ブレットが造っていた、3分の2がライで3分の1がコーンのウイスキーだと言います。そのウイスキーは1860年にオーガスタスの死亡とともに生産を終了したとか。それを曾々孫のトム・ブレットが1987年に会社を設立して復活させたのが現ブレットの直接的なルーツです。その時に、ライ麦が3分の2ではバーボンにならないため、出来るだけオリジナルのレシピに近づけようと、ハイ・ライ・マッシュビルのバーボンにしたそうです。日本に紹介され初めの頃は現在のボトルデザインとは全く違う物で、フロンティアウイスキーと称してもなく、ケンタッキーらしい「サラブレッド」の絵と呼称が目立つラベルデザインでした。
ブレット・ディスティリング社はそもそもNDP(非蒸留業者)としてスタートしています。そのため原酒の供給元の変化を把握しにくいのですが、上に述べたサラブレッドラベルの物をフランクフォートで蒸留されているとしている情報を目にしました。
また、現在のように人気の出る以前については、どうも情報が少なく分かり辛いのですが、ブレットブランドは97年にシーグラムに買収され、99年にアメリカ市場に導入・紹介されたという記事を見つけました。この「アメリカに導入」というのは、おそらくアメリカ国内で一般流通されるようになった、というほどの意味でしょう。と言うのも、日本で97年に出版されたバーボンの本によると、ブレット・サラブレッドは「牧場主のプライヴェートバーボンとして親しまれ、アメリカでもなかなか手に入りにく」く「海外では、日本とフランスのコンコルドホテルでしか味わえない」と書かれているのです。これが本当なら、ブレットはブランド誕生当時は海外向け(輸出用)製品だったということになります。そして、2000年になるとシーグラムの酒類部門はディアジオとペルノ・リカールに買収され、この時ブレットブランドは現オーナーのディアジオの元へ移行しました。現在のボトルデザインになったのが何時なのか、明確には分かりません。ここら辺の事情に詳しい方はコメントより教えて下さい(追記あり)。

さて、現在のブレット人気はディアジオによるマーケティングの巧みさが一因ではあるでしょうが、なによりも酒の味自体が美味しいからだと思います。開拓時代を思わせるボトルデザインからは想像もつかないほど、荒々しさとは無縁の、むしろ繊細でフルーティーな味わい。それもそのはず、今後は供給元の変更や自社蒸留の開始などでどうなるか判りませんが、このボトルのジュースはフォアローゼス蒸留所産です。マッシュビルはコーン68%/ライ28%/モルテッドバーリー4%で、熟成年数の表記はないものの6年とされています。エイジングもボトルの表記に従えばフォアローゼスの平屋の熟成庫で間違いないでしょう。このフォアローゼス蒸留所産がいつから始まりいつ終わったのか、これが定かではないのですが、現在では契約蒸留の期間は終わっていると聞いています。
最近の日本では90プルーフの物が流通しているようですが、本ボトルは80プルーフです。並行輸入なので、輸出国によってプルーフに違いがあるのでしょう(*)。80プルーフのせいもあると思いますが、日本ではお馴染みのフォアローゼスブラックとかなり近い味わいでした。キャラメルよりは蜂蜜の風味であり、フラワー感のある華やかな香り、フルーツで言えばプラム、スパイシーではあっても甘味は強くエグみもない。とにかく出来がいいです。
Rating:85/100

追記:ここら辺の事情について新しい情報を得たので、ブレットのブランド紹介を書き直しました。こちらをご参照下さい。


*2008年から英国市場で販売されているブレットバーボンが40%ABVでボトリングされているそうです。2014年後半には英国市場にも45%ABVバージョンが導入されたとか。

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