バーボン、ストレート、ノーチェイサー

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ウィレット蒸留所(KBD)がリリースするジョニードラムのブラックラベルです。その名前の由来について日本でよく語られるのは、ジョニー・ドラムは1870年にバーズタウンで酒類販売をしていた人物で、樽買いした原酒をブレンドし自分の名前をつけ売り歩いたのが始まり云々。海外では、ジョニー・ドラムという名前のティーンは家を出て南北戦争の南軍に参加、しかし彼は若すぎて武器を取ることは出来ず、1861年にドラマー・ボーイ(*)を務め、故郷のケンタッキー州に戻ってからトウモロコシを使い蒸留を始めた云々、と言われます。このジョニー・ドラムなる(愛称の?)男が実在の人物なのか分かりませんが、海外で語られている話が彼の前半生、日本で語られている話が後半生として辻褄は合っています。けれども、どうも取って付けたバックストーリーな感は否めません。ラベルのデザインからしても、ジャックダニエルズやエヴァンウィリアムス流のクラシックな人名ラベルを想起させます。ウィレットの公式ホームページによれば、60年代にカリフォルニアの卸売業者のために開発されたとの記述がありました。
ジョニードラムには現在、80プルーフのグリーンラベル、86プルーフのブラックラベル、101プルーフのプライベート・ストックの三つがあります。と言っても全てがいつでも利用可能な状態ではないようで、ウィレットのホームページの製品紹介欄にグリーンラベルは載ってませんし、日本でもネット酒販店では売り切ればかりです。おそらくグリーンは廃番もしくは出荷調整、または輸出国により供給に差があるのでしょう。

さて、ここらで古いジョニードラムについてでも語りたいところなのですが、実はその類いの情報はネットで調べてもイマイチ分かりません。80年代後半以前のオールドボトルの画像も皆無と言えます。先に述べた60年代のオリジナルと目されるジョニードラムが、特定の卸売業者のために作成されたということは、流通範囲はかなり限られていたと推察されるので、画像が見当たらないのも仕方ないでしょう。しかし、いくらウィレット蒸留所がジムビームやワイルドターキー蒸留所と較べて生産規模の小さい蒸留所とは言え、これほど過去のボトルの写真がネット上にないのは、60年代のリリース後に継続して製造されていなかったからではないでしょうか。おそらく、時を経た80年代になって主に輸出用のブランド(特に日本)として再開され、アメリカ国内では例えばケンタッキー州限定での販売だったのではないかと想像します。そして、その後全国配給になった…と。これはあくまで私の想像なので話半分で聞き流して下さい。と言うか、詳細ご存知の方はコメントよりご教示頂けると助かります。

先日オークションで丸瓶のジョニードラム12年グリーンラベルが出品されているのを見かけました(年式は不明)。それは「12年」表記の楕円形シール(**)が本体ラベルと別個で付けられていて、私としては初めて見たパターンの物でした。比較的、日本人に馴染み深い(よく見かける)オールドボトルのジョニードラムというと、80年代後半あたりから90年代にかけて流通していたと思われる日本の都光商事のアドレスがラベル正面下部に記載されたボトルかと思います。
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この頃の物はグリーンが8年熟成、ブラックが12年熟成、そして共に86プルーフでした。現行にせよこの時代の物にせよ、色で言うとブラックは常にグリーンより格上のようです。それだけに、上に述べたグリーンラベルの12年があったのに驚いたのです。その後、グリーンはいつの間にか4年熟成になり、プルーフも80に下がりました。ブラックはおそらく90年代後半か2000年代前半頃にNASとなったと思われます。NASのブラックラベルの中身に関しては、一説には4~12年の原酒を使用しているとされます。ただ、この中身の熟成年数は発売年式および生産ロットにより変動している可能性はあるでしょう。ではテイスティングの時間です。

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Johnny Drum Black Label 86 Proof
推定2008年ボトリング。杉、ナツメグ、弱いカラメル、グレープ、僅かなアーモンド、インク。あまり甘くないウッド・スパイス系のアロマ。やや酸味のある味わい。ソフトな酒質。余韻は軽めのスパイスと穀物感が主で、ビタネスを伴いすっきり切れ上がる。
Rating:81/100

Thought:ウィレット蒸留所が蒸留を再開したのは2012年からなので、推定ボトリング年からすると、原酒は100%ソーシング・ウィスキーとなります。概ねヘヴンヒルからの調達であるとされるので、エヴァンウィリアムス等と較べてどのくらいの違いがあるのかが気になるところでした。海外のバーボンマニアで、エヴァンウィリアムスに選ばれなかったバレルが樽売りされているのではないか、という趣旨のことを言っている方がいましたが、正直、私には調達方法の詳細は判りません。仮にそうであれ、蒸留したての原酒を購入しているのであれ、マッシュビルを共有するとしても、ウィレットの熟成倉庫でエイジングすれば風味は多少変化する筈です。更にブレンディング(バッチング)の違いも考慮すれば、どのみち異なるバーボンとは言えるでしょう。
で、私の飲んだ感想としては、通常のエヴァンウィリアムスとはかなり違うバーボンであると思いました。強いて言えば、スパイス感の方向性がエヴァンウィリアムスと言うかヘヴンヒルのフレイヴァーぽいような気もしますが、独特の木香とビター感はこのボトル特有かと。また、海外の或るバーボン飲みの方は、いつのボトリングか分かりませんが、ジョニードラム黒ラベルNASをワイルドターキーのレアブリードに似ていた、と言っていました。少なくとも私の飲んだ物や私の舌にはそうは感じられなかったです。それと、日本の酒販店の多くには、ジョニードラム黒ラベルの商品紹介に「12年原酒をメインにブレンド」と書かれています。どこまで信じてよいか判らない情報ですが、確かにタニックなビター感とソフトな酒質はそうであってもおかしくはないかなとは思わせます。飲んだことのある皆さんはどう思われるでしょうか? どしどしコメントお待ちしております。

Value:KBDのリリース中、スモールバッチの物と較べると量産型であろうジョニードラム。特にNASは凄くハイクオリティとは言い難いです。日本では概ね2500円前後の販売価格でしょうか。個人的には現行のエヴァンウィリアムス黒ラベルよりかは美味しく感じましたので、もし同じ価格ならジョニドラを選びます。ですが現行のエヴァンウィリアムス赤ラベルが3000~3500円で買えるなら、そちらを選ぶのが私の好みです。


*軍隊の中で非戦闘員として、戦場での使用のためにドラムを担当した少年のこと。
ドラムは戦場で歩調を合わせるために使われるだけでなく、指揮系統の重要な一部であり、ドラムロールを使用して士官から部隊へ様々なコマンドを通知したと言います。ドラマーには公式の年齢制限がありましたが、しばしば無視され、時として最年少の少年は成人兵士によってマスコットとして扱われました。ドラマーの少年の生活はかなり魅力的に見え、そのため、少年は時々家から抜け出して入隊したのだとか。または、同じ部隊に仕える兵士の息子や孤児であったかも知れないそうです。
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**ジョニードラム15年の昔の物や、イーグル・クエスト、バーボンスター等と共通するデザインの、KBDのバーボンによく使われている「あの」シールのことです。

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KBD
「Kentucky Bourbon Distillers」の略。1936年創業のウィレット蒸留所は、40年代にはオールドバーズタウン、60年代にはジョニードラムといった銘酒を産み出した名蒸留所だったが、70年代後半のエネルギー危機に際して、折からのバーボン需要低迷もあり、ガソホール燃料のための工業用エタノール製造へと同蒸留所を転換。投資家はそのような事業に投資しており、バーボンの蒸留よりも利益が上がると考えられていた。1981年から1983年まで蒸留所を 「Bardstown Fuel Alcohol Inc.」にリースしてエタノールを生産したが、禁輸措置が終わり燃料価格が落ち着くと、使い物にならない装置を残して会社は破産の憂き目にあった。
1972年にウィレット家の娘マーサと結婚していたノルウェージャンのエヴァン・クルスヴィーンは、1984年7月1日、義父のトンプソン・ウィレットから同社と不動産を購入し、蒸留所登録番号DSP-KY-78のケンタッキー・バーボン・ディスティラーズへと改称した。しばらくは蒸留を停止する前の旧ウィレット蒸留所産のバーボンをボトリングし販売していたが、在庫がなくなる前に他の蒸留所からバーボンやライウイスキーを購入しウェアハウスを補充するようになった。その大部分はヘヴンヒル蒸留所から購入していると目されるが、一部の銘柄ではスティッツェル=ウェラー蒸留所やバーンハイム蒸留所産のバーボンとされる物もあり、他にも大手のジムビーム蒸留所やフォアローゼス蒸留所のブランド的にはオフ・フレイヴァーとなった原酒も購入しているらしい。或るバーボンマニアのブログによれば、メーカーズマーク以外の原酒は取り揃っている、との話もある。そして、そういった原酒とブレンド技術を駆使してオリジナル製品のノアーズミル、ローワンズクリーク、ピュアケンタッキーXO、ケンタッキーヴィンテージなどのスモールバッチバーボンをリリースする一方、他社の契約ボトラーとしても活動し、初期のミクターズやジェファーソンズ、オールドポーグやコーナークリーク等をボトリングしていた。またブローカー的な役目も果たし、日本市場限定となるプレミアム製品も数多く手掛けた。それらの中ではヴェリーオールドセントニックやレアパーフェクション等が名高い。
こうした自ら蒸留を行わないNDPとしての活動が実り、数年を要した改装の末、2012年に約30年ぶりとなる蒸留を再開した。ちなみにKBD以外にプレミアム・ブランズという名称もあった(登録上別会社なのかも知れないが私には詳細は判らない)。

KC
「Knob Creek」の略。ジムビーム社が展開するスモールバッチバーボンコレクションの一つ。禁酒法時代にルーツをもつラベルとボトルデザインは秀逸。ライやシングルバレル、いくつかのアニヴァーサリーモデルもあり、アメリカ本国ではストアピックが人気。
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Kentucky Chew─ケンタッキーチュウ
ジムビーム蒸留所の7代目マスターディスティラー、フレッド・ノーが勧めているテイスティング方法で、バーボンを口の中全体に行き渡らせ、ガムを噛むように「チャッ、チャッ、チャッ、チャッ」と音をたてて味わうこと。チュウインガムのチュウ。

KSBW
「Kentucky Straight Bourbon Whiskey」の略。ケンタッキー州で造られたストレート規格のバーボン。


L

L’Burg
「Lawrenceburg」の略。ワイルドターキーやフォアローゼスの蒸留所があるケンタッキー州ローレンスバーグのこと。またインディアナ州にも同名のローレンスバーグがあり、こちらはMGP(LDI)で有名。

LDI
「Lawrenceburg Distillers Indiana」の略。現在MGP(もしくはMGPI)と呼ばれるプラントの旧名。元シーグラムのメインプラントで、シーグラム解体後、様々なブランドや資産は他の企業によって取得され、ローレンスバーグ蒸留所はペルノ・リカールの所有となった。2006年には蒸留所を閉鎖するとアナウンスされたものの、2007年にトリニダード・トバゴを拠点とするCLフィナンシャル(アンゴスチュラの親会社)が購入し、その際に改称してLDIと呼ばれるようになった。CLフィナンシャルはその後崩壊し、2011年10月にMGPイングリディエンツが蒸留所を購入、それ以後はMGPとして知られるようになった。

LE
「Limited Edition」の略。限定版、つまり数に限りがあるか、継続的なリリースではないため、レアウィスキーであることを含意する。

Leaching(Charcoal Leaching)─リーチング(チャコールリーチング)
濾すこと、濾過、浸すこと、浸出を意味する言葉。テネシーウィスキーの特徴となる熟成前の原酒をサトウカエデの炭で濾過する工程。リンカーン・カウンティ・プロセス、チャコール・メロウイングとも言う。それらの項を参照。

Limestone Water─ライムストーンウォーター
バーボンを語る際かなり頻繁に耳にする用語だが、より一般的に言うと所謂「硬水」。ライムストーンは石灰岩のことで、ケンタッキー州やその周辺の州の地盤は石灰岩層があり、そこを地下水が通って湧き上がる水は、カルシウムやマグネシウムのようなミネラル含有率が高く、発酵を促進する高いpHを有し、なおかつ酒に悪い味を与え色を黒くする不純物の鉄分を濾過する。それ故、バーボン造りに欠かせない、と言われることが多いが、バーボンの製造に使わなければならないという規則はない。また、ライムストーンウォーターを使えるなら使うに越したことはないが、それは最終的なフレイヴァーの一部ではあっても不可欠の要素ではない、とされる。聞くところによると、現代では地下水が汚染され、多くの蒸留所では都市の水道水や川の水に依存し、独自にカーボンフィルターをかけたり逆浸透水を使い、ライムストーンウォーターのみを使うのは一部のメーカーだけだと言う。

Lincoln County Process─リンカーンカウンティプロセス
テネシーウィスキー特有のプロセスで、樽熟成する前のニューメイク(ホワイトドッグ)をシュガーメイプルの炭を敷き詰めた桶で濾過すること。チャコールメロウイングとも知られる。2013年のテネシー州法はそのアイデンティティをさらに洗練させ、テネシーウィスキーを名乗るには熟成前にシュガーメイプルの炭を通さなければならない、とした。
リンカーン・カウンティ・プロセスという用語は、その製法自体は古くからあるものの比較的新しい造語で、1950年代あたりから使われ出したらしい(それまでは単にリーチングまたはチャコール・リーチングと呼ばれていた)。そもそもリンカーン・カウンティ・ウィスキーという言い方が先にあり、そこから派生した言葉と見られる。かつてのリンカーン郡は現在よりも大きく、ジャック・ダニエル蒸留所のあるリンチバーグが含まれていた。今日ジャック・ダニエル蒸留所があるムーア郡は、リンカーンと他の3つの郡の一部から再編され1871年に設立された。1830年代初頭からテネシー州リンカーン郡はアメリカで最も生産的なコーン栽培地区として知られ、その素晴らしいコーンの評判はウイスキーに結び付き、モノンガヒーラ・ライのように、リンカーン郡の名称を用いることはセールスポイントだった。1866年には、蒸留所やブローカーは新聞に「リンカーン・カウンティ・ウィスキー」という広告を掲載し始め、テネシー州の他のウィスキーやケンタッキーバーボン等との差別化を図った。1900年代初頭のジャックダニエルズのラベルには「Jack Daniel’s Pure Lincoln County Corn Whiskey」と記載があると言う。
その製法の創始者や起源には諸説あり、アルフレッド・イートンが1825年頃にサトウカエデの木炭濾過を独自に開発し、後にジャック・ダニエルに教えたとか売ったという説や、少年ジャック・ダニエルを雇ったダン・コールが発案したという説、または黒人奴隷たちが自分たちの飲む酒をこっそりと造るときに行っていた方法に由来しているという説もあれば、アメリカ北東部からの流れ、ひいてはヨーロッパにその源流を求める推察もある。つまりバーボンの創始者と同様に明確な資料がなく、誰がいつ始めたというはっきりした回答はない。しかしその来歴や効能についてはある程度の定見がある。
1800年代前半は殆どのウィスキーはバレルエイジングされていなかった。そのため蒸留されたてのウイスキーから粗いエッジを取り除くのにシュガーメイプルやヒッコリーの木炭で濾過することは、ケンタッキーやテネシー州だけでなく、他の場所でも多くの蒸留所で行われていたと言う。ところがリンカーン郡の蒸留所は、これを極端に行った。炭を敷き詰めた高さ10フィート(約3メートル)以上の桶で。それがリンカーン・カウンティ・プロセスが生まれた経緯であると考えられている。比較的長い時間をかけて原酒を炭に浸出させる行為は、手早く炭で濾しただけのフィルタリングに較べ、ある種の熟成プロセスの飛躍として機能した。樽熟成中に自然とバレル内側の炭化層によって除去される(または化学変化する)望ましくないコンジェナース(フーゼル油など)の一部を、蒸留直後にチャコール・リーチングで取り除き、アンエイジドウィスキーに円やかさとライトなボディを与える。それこそがリンカーン・カウンティ・ウィスキーの評判を高めた要諦だった。後にテネシーウィスキーも樽熟成を行うようになったが、熟成前のメロウイングはその特徴として残されたのだろう。

Lot─ロット
本質的に同じ条件で均一な品質を保持することを意図して製造された製品の生産上や出荷上の単位。主に製造業で使われる言葉で、その職種やその企業によって微妙に意味合いが異なり、バッチとほぼ同じ意味で使われることもあれば、違う概念として使われることもある。「ロット管理」と言うと比較的分かりやすく、商品や製品の仕入れから販売ないし出荷までを製品単位ごとに管理する方法で、簡便的な在庫管理の手法。単位ごとに「ロット番号」を付与して管理する。

Lot B
 「Van Winkle Special Reserve 12 Years Lot B」の略。ヴァン・ウィンクルの製品としては比較的買い易く、昔はそれほどレアな製品ではなかったが、パピー人気につられて入手が困難となり、日本ではすっかり見かけなくなった。バッファロートレースの小麦レシピで造られている。
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L’Ville
「Louisville」の略。多くの蒸留会社が集うバーボンの中心地であり、ケンタッキー州最大の商業都市。ルイビルのダウンタウン、メインストリートは主にオハイオ川沿岸に隣接していたため、多数の企業のオフィス、倉庫、整流施設が密集し、19世紀のケンタッキーウィスキー産業全盛期に「ウィスキーロウ」と呼ばれ、今でも観光スポットとしてバーボン好きには見逃せない。

Low Rye Mash Bill─ロウライマッシュビル
バーボンのマッシュビルで、ライ麦の配合率が低いものを指す用語。明確な規定がある訳ではないが、概ねライ麦が10%もしくは以下ならロウ、15%ならミドル、18%以上ならハイと思っておいていいだろう。

Low Wine─ロウワイン
第一蒸留で出来上がる液体の呼称。概ね25〜35%のabvだと言う。これが第二蒸留へ向かう。

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