◆◆FOR BOURBON LOVERS ONLY◆◆
バーボンの製品情報、テイスティングのメモ、レーティング、思考、ブランドの歴史や背景、その他の小ネタなどを紹介するバーボン・ラヴァーによるブログ。バーボンをより知るため、より楽しむため、より好きになるための、初心者から中級者向けの記事を投稿しています。ハイプルーフかつアンフィルタードなレヴューを目指して。バーボン好きな方は是非コメント残して下さい!

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WILD TURKEY 80 Proof
日本では通称スタンダードと呼ばれる、ワイルドターキー入門編(?)みたいなやつの旧ラベルです。中身は4年熟成と言われています。このラベルの後にセピアトーンのラベルに変わりますが、その時から81プルーフになり、6・7・8年熟成酒のブレンドとなったようです。

私にとって初めて飲んだワイルドターキーがこれで、当時キッズだった私は、ワイルドターキーは「ワイルドである」というイメージに導かれてこれを購入し、それほどワイルドとは感じなかった思い出があります。「あれ?こんなもんなの?」という印象だったんですね。しかし、後に8年101プルーフを飲んだ時、あまりの旨さとその違いに愕然とし、やっぱりワイルドターキーは「ワイルドだったんだ」と思わせ、同時に私をハイプルーフ信者へと駆り立ててくれたのでした。そういう経緯からこの80プルーフのワイルドターキーは私のルーツの一つと言っていい。
それから色々なバーボンを飲み経験を積んだ後、人生で二本目の80プルーフWTを思い出に釣られて買いました。既に8年101プルーフを飲みなれた口です。正直、侮っていました。ところが飲んでみると、これはこれでアリだと思いました。8年101プルーフと較べればヴァニラの風味は弱々しいけど、樽の焦げた味はちゃんとするし、梨の風味を凄く感じてフルーティーなんです。そこにブラックペッパーが振りかかってるイメージ。ちょっと薄いけど、しっかりワイルドターキーの味です。
Rating:82/100

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【バーボンの語源】

バーボンという言葉は、日本人にはお馴染みのお菓子メーカー「ブルボン」と同じ言葉でして、フランス読みでブルボン、アメリカ読みでバーボンなだけです。アメリカ独立戦争(1775~1783年。イギリス本国とその13植民地との戦い。)の際、フランスはアメリカに色々と協力しました。結果、独立を果たしたアメリカはその功績を讃え、各地でフランスにちなむ地名や都市名をつけたのです。例えばウッドフォード郡にあるバーセイルズはフランス読みでベルサイユですし、多くの蒸留所が集うルイヴィルは、そのままルイ16世の「ルイ」に村を意味するフランス語「ヴィル」がついたものです(ちなみにルイジアナ州のルイもルイ14世から由来します)。またパリのアメリカ読みパリスという小さな都市もあります。そのパリスがあるのがバーボン郡であり、フランスのブルボン王朝にちなみ名付けられました。
バーボンの語源はこのバーボン郡発祥の物だから、というのが日本ではよく見かける説明です。しかしバーボン誕生秘話は、実際には確たる証拠の資料はないのが実情で、当時のケンタッキー州がまだ辺境地帯であり、物事を記録するという習慣のあまりない地域であり時代でもあったため、歴史家の推論や蒸留所のマーケティング担当者の想像力に頼るしかないのです。おそらくは「時代の要請」や「やむにやまれぬ事情」から、名もなき農民蒸留家によって自然発生的に各地でバーボンの原型は形造られていったと思われます。ちなみにバーボン郡には禁酒法以後2015年まで1つの蒸留所もありませんでした。

では、バーボン郡が発祥でないのになぜバーボンと呼ばれるようになったかというと、それはライムストーン起源説によって説明されます。ここではケンタッキーの歴史とオールド・バーボンという語がキー・ポイントです。
バーボン郡が1785年に誕生した時、ケンタッキー州は州ではなく、ヴァージニア州の一部でした。その当時のバーボン郡はヴァージニア州ケンタッキー地区の北東部・東部・南東部を占める大きな郡だったのですが、ケンタッキー地区が1792年に州として分離する頃には区画整理によってだいぶ小さくなっていました。1800年までには更に分割されもっと小さくなりました。そこで後に昔の広大なバーボン郡のことを「オールド・バーボン」と呼ぶようになったと言います。また、まだヴァージニア州時代のその広大なバーボン郡には、1784年に開港したライムストーンという港があり、初期ケンタッキーの重要な港湾都市だったそうです(現在のメイズヴィル)。1788年にはバーボン郡の約半分の面積がメイソン郡となり、ライムストーンもメイソン郡に含まれていましたが、それでも20年ほどは昔を懐かしんでか「オールド・バーボン」の愛称で呼ばれたと言います。ライムストーンから出港される大量の貨物の中には当然ウィスキーの樽も入っていました。その樽には「Old Bourbon Whiskey」の焼印(この焼印のことを「ブランド」と言います)が施されていたそうです。この当時アメリカンウィスキーの代表格は東部産のライウィスキーであり、それは地名に由来するモノンガヒーラと呼ばれていました。それとの区別、差別化の意味を込めて西部のウィスキー=オールド・バーボンとしたのではないか、という解釈があります。このバーボンウィスキーが、ケンタッキー州の州境となるオハイオ川を下り、ミシシッピ川を経由してルイジアナ州に至り、当時アメリカ最大の都市の一つであったニューオリンズへと売られていった。この故にケンタッキー産のある種のコーンウィスキーのことをバーボンと呼ぶようになった、と。つまりバーボン郡で造られたからバーボンなのではなく、オールド・バーボンから出港されるからバーボンと呼ぶようになった、これがライムストーン起源説です。

ライムストーン起源説は長年信じられてきた説で、一見なるほどと思ってしまうのですが、近年の歴史家からはこれを裏付ける資料は残ってないとされています。確かに素人目にも、ライムストーンがバーボン郡であった期間が短すぎるし、バーボンという言葉がウィスキーの一般名になったのが南北戦争(1861~1865年)以後のことであると言われれば、年代的に時間の辻褄が合ってない気がします。では、最近の研究ではどう解釈されているかというと、マーケティング説というのが有力になりつつあるようです。
近年の研究では中間業者、つまり蒸留する人とバーで酒を販売する人の間にいる人々に光が当てられました。バーボンを焦がした樽で熟成させるのも、フランス系の中間業者がコニャックの影響を受けてそうしたのではないか、と推察され、バーボンの歴史家マイケル・ヴィーチはそうした例としてタラスコン兄弟の名を挙げています。そして彼らの販売先であるニューオリンズは、フランス革命から逃れてきた王党派が多かったそうです。その人たちにしてみれば「ブルボン」という飲み物が提供されれば悪い気はしないでしょう。また逆に革命派の人たちにはフランスとアメリカの繋がりを説明すればいい、と。そういうマーケティング上完璧なネーミングがバーボンだった、という訳です。

始めに触れた日本のお菓子メーカー「ブルボン」をもう一度思い返して下さい。そもそもは北日本製菓という会社が起こりで、1989年に会社名も人気のブランドと同じブルボンに変更しました。そのブランド名ブルボンは、フランスのブルボン家に由来するともコーヒーのブルボン種に由来するとも言われていますが、まあどちらでも構いません。とにかくブランド誕生の現場を勝手に想像してみましょう。きっと当時の日本人に対して、ブルボンというフランス語がオシャレな響きを持っている、と判断されたのではないでしょうか?  マーケティングとは売りたい相手にどういうイメージを売るか慮ることが大事だと思います。お酒のバーボンもおそらくは同様に、アメリカ生まれのコーンウィスキーをバーボンと呼ぶことで、遠くの異国を想わせ、丸みの帯びた響きを持ち、オシャレで上級な雰囲気を漂わせたのではないでしょうか?  そう考えれば「バーボン」とは正に「ブルボン」だったのです。

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テネシーウィスキーの特徴となるチャコール・メロウイングを、樽熟成の前と後の2回施すことで、通常のOld No.7よりも更にスムースにしたのがウリのジェントルマン・ジャック。一説には熟成後のメロウイングは、熟成前のメロウイングより短時間で行うらしい。個人的にはスムースさを求めてはないのですが、確かにシルキータッチとクリアネスは感じられ、これはこれで美味しいです。アロマや味わいはジャックダニエルズそのものですし。

GENTLEMAN JACK 80 Proof(画像右側)
2009年ボトリング。開封直後はOld No.7に水を加えたのかと思うほど薄っぺらい風味だったが、時間の経過とともに風味は開いて美味しくなった。そこまで来ると、なぜかOld No.7より旨いように感じられる。仮に熟成年数などのスペックが全く同じで、メロウイングの回数しか違わないのだとしたら、雑味が更に取り除かれて甘味が引き立っているのがGJなのだろう。
Rating:83/100

Gentleman Jack 80 Proof(画像左側)
年式不明。開封直後から美味しかったし、味わいにやや深みがあるように感じた。新旧の比較としては大差ないという印象。味の深み云々は強いて言えばの話に過ぎない。個人的にはラベルのデザインは圧倒的に旧の方が好きで、それを理由に旧に軍配を上げた。
Rating:84/100

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Booker's
BATCH No. C05-A-12
7YRS 5MO
128.5 PROOF
推定2012年6月ボトリング。高濃度なので全てがハイパワーで楽しめる。オーク、キャラメル、レザー等。但しそれほど長期熟成でないせいか、チョコレートやプルーンは出てこない。むしろビームらしいフレッシュフルーツの味わい。旨いと言えば旨いのだが、正直言って「特別」なフィーリングはない気がする。何よりも旨味を増して来たのが残り三分の一を切ってからだったのが痛かった。しかも、それでもブラントンズのSFTBには遠く及ばない。初期のロットやプライベートストックなどはもっと美味しいと聴くのだが…。
Rating:85.5/100

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Blanton's SINGLE BARREL BOURBON
93 Proof(abv 46.5%)
Dumped on 4-15-92
Barrel No.36
Warehouse H
On Rick No.32
ハイ・ライ・マッシュビルの割にスパイシーさはあまりなく、甘みに振れたバランス型の味わい。とろみのある口当たり。2010年代のボトルと比べると全然旨味があるように感じた。
Rating:87.5/100

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Blanton's Straight from the Barrel
132.4 Proof(abv 66.2%)
Dumped on 10-10-11
Barrel No.119
Warehouse H
On Rick No.33
基本オーキー。アップルブランデーのような風味も。そこにアセロラのアロマも出てびっくりする。とってもバタリーな口当たり。50度程度では感じない塩味も。余韻は長く、戻り香が楽しめる。ブラントンのラインナップ中、唯一ノンチルフィルタードなのが効を奏してると思う。
Rating:90/100

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EVAN WILLIAMS COPPER STILL CERAMIC  7 Years 90 Proof
1981年に発売されたものと言われています。エヴァン・ウィリアムスが当時使っていた蒸留器を再現したものなのでしょうか。とは言え中身のジュースはポットスティルで蒸留したものではないです。甘いキャラメル香と、現行バーボンとは異質の雑味のある風味は、オールドボトルの醍醐味ではあるものの、どうもエグみが強くて苦手な味でした。もしかすると劣化してたのかも知れませんね。飾りに買ったのでいいですけど。
Rating:73/100


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エヴァン黒8年PhotoGrid_1368531601859
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EVAN WILLIAMS Black Label 8 Years 90 Proof
94年ボトリング。なんか松脂っぽい風味のする今ではあまりないタイプのバーボンでした。古いお酒は保管状況により味がだいぶ異なる気がします。劣化とまでは言いませんが、どうも本来の味ではなかったのではないかと思います。
Rating:81/100


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EVAN WILLIAMS Red Label 12 Years 101 Proof
2009年ボトリング。逆算するとバーズタウンにあったヘヴンヒル・ディスティラリーが火事で焼失して、ルイヴィルのバーンハイム・ディスティラリーを買い取る間に蒸留された計算になるので、中身はブラウン=フォーマンの所有するアーリータイムズのプラントで蒸留されたものかなと想像します。なんとなくいつものヘヴンヒルより幾分かフルーティな気がするのは気のせいでしょうか。これは旨いです。
Rating:87.5/100


エライジャクレイグ12年DSC_1093
ELIJAH CRAIG 12 Years 94 Proof
95年ボトリング。あっさりしつつコクのあるタイプで、穀物感とフルーツ感、甘味とスパイシーさの加減、度数どれをとってもバランス型かなと思います。2000年代後期から2010年代初頭の物を飲んだ時も、その印象は変わりませんでしたが、僅かに90年代の物の方が美味しかった気がします。
Rating:86.5/100

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PLATTE VALLEY 100% STRAIGHT CORN WHISKEY 3 YEARS OLD 80 PROOF STONE JUG
ミズーリ州にあるマッコーミック・ディスティリング社のストレートコーンウィスキー。おそらく80年代後半か90年代前半の流通品だと思います。現行のボトルとは図柄の感じが少し違います。なぜか分かりませんがこの頃は「Distilled in Kentucky」と書かれており、蒸留はミズーリ州でやってなかったようです。
3年熟成のジュースは正直言って熟成不足で味の深みは全くもってありません。けれど、ほんのり甘みがあってライト志向の方には良いのかも。そして安いことと、ストーンジャグの格好良さは抗し難い魅力があります。
Rating:73/100

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H

Hazmat─ハズマット
「hazardous material」の略語で危険物の意。バーボンオタクの間では140プルーフ(70度)以上のウィスキーのことを指す。飛行機に持ち込んではいけない。バーボンではジョージTスタッグやエライジャクレイグバレルプルーフなどの一部がそれに当たる。

Heads─ヘッズ
ダブラーまたはサンパーから出て来る蒸留液(ハイ・ワイン)の最初の部分。このスピリットは不純物が多く、再蒸留のためにスティルに送り返される。

HH
「Heaven Hill」の略。ヘヴンヒル蒸留所、ま
たはその名を冠したバーボン。昔は長期熟成を含む色々な熟成年数のものがあったが、近年ではヴァリエーションは少なく、同社のメインブランドはエヴァン・ウィリアムスとエライジャ・クレイグに絞られた感がある。ヘヴンヒル・セレクトストック(Heaven Hill Select Stock)は「HHSS」と略す。 
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High Rye Mash Bill─ハイライマッシュビル
バーボンのマッシュビルで、ライ麦の配合率が多いものを指す用語。明確な規定がある訳ではないが、概ねライ麦が10%ならロウ、15%ならミドル、18%以上ならハイと思っておいていいだろう。

High Wines─ハイワイン
第二蒸留(ダブラーやサンパー)によって生成されるスピリット。

Highball─ハイボール
バーボンなどを炭酸水で割った飲料。

Honey Barrel─ハニーバレル
熟成において特に出来の良い樽(及び中身)のこと。シュガーバレルとも言う。

Horizontal Tasting─ホリゾンタルテイスティング
水平方向に選び出されたボトル群による試飲方法。テイスティングを行う際に選抜する銘柄を、例えば同じ価格帯に属するが、異なる蒸留所の物を各一本づつ揃えるようなやり方のこと。例……ジムビームブラック、メーカーズマーク、フォアローゼスブラック、ワイルドターキー、ジャックダニエルズ等。或いは価格帯は違っても、熟成年数のみを共通項にして、異なる蒸留所の物(またはブランド)を選ぶとかも考えられる。例……エライジャクレイグ12年、エヴァンウィリアムス12年、ワイルドターキー12年、ウェラー12年、ヴァンウィンクル12年ロットB、ジムビームシグネイチャークラフト12年など。または蒸留所は同じでも原料の違いに焦点を合わせて、スタンダード・バーボン・マッシュビル、ウィーテッド、ライウィスキー、コーンウィスキー、ウィートウィスキーを各一本づつ揃えるとか。例……エヴァンウィリアムス、ラーセニー、リッテンハウスライ、メロウコーン、バーンハイムオリジナル等。要するに垂直方向でなければ何でもあり。

HW
「High West」の略。2007年、ユタ州パークシティに設立されたクラフトディスティラリー、またそのウイスキーに付けられた名前。禁酒法解禁以来、ユタで最初の蒸留所。多くのマイクロディスティラリーと同じく、設立当初はソーシングウィスキーを使用して自らのウィスキーを造ったが、他の多くのマイクロディスティラリーと違い、供給源を明らかにする姿勢は消費者から好感を得た。他所から得た原酒(MGPやバートン、フォアローゼス等)を使うにせよ、自家蒸留酒を使うにせよ、そのブレンド技術には定評がある。またアメリカンプレイリーやキャプファイヤー、ランデブーライにダブルライなど独創的な世界観を体現するラベルデザインやネーミングセンスはブランディングの巧みさも物語っているだろう。
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Hybrid Still─ハイブリッドスティル
ポットスティルとコラムスティルのどちらでも実行できる現代的なスティルデザイン。ポットの上方にそのままフルートのような見た目のコラムが付いたものや、ポットの横に小さめのコラムが設置されたもの等がある。クラフトディスティラリーのような比較的小規模な蒸留所でよく使われ、ウィスキー以外にウォッカやジン等も作る場合に利便性が高いのだとか。


I

In the Wild─インザワイルド
酒屋の棚にレアなボトルが小売価格もしくはそれに近い価格で発見されたり、またはそうして買えた時の状況を指すスラング。野生の状態、つまり小賢しい人間の手がかかってない状態を譬えているものと思われる。
例「OMG I can’t believe I found a PVW20 "in the wild."」。

Infinity Bottle─インフィニティボトル
フラクショナル・ボトル、ソレラ・ボトル、リヴィング・ボトルとも言われ、現在飲んでいるバーボン(やウィスキー)が残り僅かになった段階で、何かしら飲み終えた空き瓶や用意したデカンター等にそれを移し、また何度もそれを繰り返し、永久になくならない自家製ブレンドを造ること。そして追加する度に変化する風味プロファイルを自ら楽しみ、家族や友人に提供して共に楽しむウィスキーオタクの娯楽。
方法論としては、ウィスキーのカテゴリーを同一にする場合と、カテゴリーを越境する場合とがある。前者はバーボンならバーボンのみをブレンドし、後者はスコッチにバーボンとジャパニーズをブレンドするようなことを指す。概ね前者の方が風味の統一感を取りやすく無難に仕上がる。

IWH
「I. W. Harper」の略。大変歴史のあるブランドで、1879年にアイザックとバーナードのバーンハイム兄弟によって立ち上げられた。ブランド名は兄のIssac Wolfeの頭文字から。アイザックはユダヤ系ドイツ人である自分の本当のラストネームを使用することを躊躇い、代わりに安全なアングロサクソン風のHarperを用いたと言われる。兄弟は退職時に会社を売却し、禁酒法解禁後の1937年からはシェンリーの傘下となり、長らくトップセリングバーボンの座にあった。その後1987年には、今日ディアジオとして知られる巨大酒類企業を形成するギネス(ユナイテッド・ディスティラーズ社)に買収され、グレーマーケットの問題から90年代半ばには輸出専用の製品となり、約20年間に渡ってアメリカでは販売を停止されていたが、2015年久方ぶりに本国復帰を果たした。
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アイザック・ウォルフ・バーンハイム氏


J

JB
「Jim Beam」の略。世界一売れてるケンタッキーストレートバーボンウィスキー。
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ビーム家7世代

JD
「Jack Daniels」の略。世界一有名なテネシーウィスキー。
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ジャスパー・ニュートン・ダニエル氏

Jigger─ジガー
1.5オンス(約45ml)の容量。またカクテル用の計量器。

JPS
「Jefferson’s Presidential Select」の略。キャッスルブランズが販売するジェファーソンズバーボンの中でも長期熟成酒を使用したより上位のシリーズ。初期リリースのものにはスティツェル=ウェラーの原酒が使われた17年や18年物があり有名。蒸留された蒸留所が非公開の25年や30年といった超長期熟成古酒のリリースもある。
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JIM BEAM RYE Yellow Label 80 Proof
2007年ボトリング。ジムビームライのイエローラベル時代の物になります。弱いキャメル風味、パンケーキ、フレッシュフルーツ。ホワイトラベルよりはフルーティーではあるものの、どうもライウィスキー感が弱い印象を受けました。取り立ててミンティでもなく、むしろトースティなノートの方が強く感じる。点数にすると同時期のホワイトラベルと変わりません。
Rating:78/100

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リニューアルされたジムビーム・ライのレビューはこちら

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Maker's Mark VIP Red Wax 90 Proof
スタンダードなメーカーズマークの上位に位置するこのVIPですが、日本で流布している一説に、中身はスタンダードと同じ、という説があります。個人のブログや有名掲示板のみならず、なんなら酒販店の商品説明でそう記載されてるのも見たことがあります。スタンダードは2500円程度で、VIPは当時の定価で10000円近くしました。箱と瓶代だけでこんなに違ったら消費者は怒りますよ。
私は自分が鋭敏な味覚を持ってるとは思いませんが、実際飲んでみたところ、VIPは特別なフィーリングを持ったバーボンだと思いました。スタンダードと同じ度数でありながら、インナーステイブで後熟されなおかつ2度もアルコール度数の高いメーカーズ46を凌駕する芳香と味わいとバランスです。

では、なぜ「中身はスタンダードと同じ」などという言説が出てきてしまったのか? これは私の憶測なのですが、メーカーズマークの販売を促進するためのセミナーにおいて、蒸留所で現に働く人がその製法について語る際、メーカーズマークではレシピ(トウモロコシ70%小麦16%大麦麦芽14%)は一つであり、熟成樽を三年に一度位置を入れ換える(ローテーション方式)から、味はどれも均一に仕上がっていて大差はない、と語ったことに由来するのではないかと思います。流れとしては、セミナーに参加した人がその事を自身のホームページやブログに書く、それを見た人がまた自身のホームページやブログに書く、或いは仲間やお客さんに口頭で伝えていく……こういう連鎖で自然と「中身はスタンダードと同じ」という言説が拡がったのではないかと。確かにメーカーズマーク関係者の語ることに嘘はないでしょう。なぜならメーカーズマークの販売戦略は創業当時から、エントリーレヴェルの安酒~ミドルクラスの定番品~熟成年数の長いプレミアムまで幅広く取り揃えるのではなく、手頃な価格だけど旨い酒1種類を少量生産で売る戦略を取ってきたからです。セミナーではそういう根本的な姿勢こそを強調して伝えるに違いありません。そしてセミナー受講者にも悪意はないでしょう。ただ聴いたことを素直に伝言しただけです。

さて、上に述べたことと少々矛盾しますが、メーカーズにも例外的なリミテッドリリースはありました。それは日本人にはよく知られた、ゴージャスなゴールドのラベルとワックスをもつ通称ゴールドトップと、男っぽいブラックのラベルとワックスをもつ通称ブラックトップです。
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ゴールドはスタンダードなレッドと同じジュースながら101プルーフでボトリングされたハイアープルーフ版。元々はケンタッキー州のみで販売されていたものの、バーボンの販売において当時の日本市場はアメリカ本国よりも高い利益率を示したため、1996年頃にアメリカでは廃止となり、輸出専用ボトルになりました。しかし、それも1999年には廃止されたと言います。一方のブラックは熟成年数がスタンダードなレッドよりも2年から2年半ほど長いとされ、なおかつプルーフも僅かに高い95プルーフでのボトリング。もともと日本市場限定の製品で94年に発売され、そしてこちらも2000年頃には販売停止となりました。

では、このVIPとは何なのでしょうか? 伝え聞くところでは、そもそもメーカーズの社長がVIPの人への贈答用として造ったものとされ、それをプレミアム商品として売り出したのだと言われています。昔はゴールドワックスで封がされており、ラベルも付いておらず、付属されたハガキをメーカーズマークへ送るとオリジナルのラベルが返送される仕組みになっていました。この「赤VIP」も個人用ラベルがもらえる仕組みがあります。
ここからはまたもや私の想像ですが、スタンダードとの違いがレシピにもなく、度数にもないとしたら、残された可能性は、
①樽に使用する木材の質が特別な物である。メーカーズは自社で樽を造ってるそうなのでそれも可能かと。
②スタンダードの熟成とは別の特別な場所で熟成された。どこの蒸留所もそういう「スイートスポット」を有しているものかと。
③熟成年数がスタンダードより長い。スタンダードは6年とされてますが、V.I.Pは8年はありそうな気配があるかと。
④ノンチルフィルタードである。旨味成分の多さからそれもありかと。
まあ勝手な空想ですが、それらのどれか、もしくは複数ではないでしょうか。或いはシングルバレルなのかも知れません。とにかくスタンダードより遥かに旨いです。
Rating:88/100

追記1:その後『ウイスキーの教科書』という本の中で、ゴールドワックスVIPの「MM1983 Vintage Bourbon」というボトルの紹介記事に、19樽を選び通常品とは切り離して貯蔵、と書かれているのを発見しました。それが事実なら赤VIPもそれに近い物である可能性は高いです。つまりスモールバッチで上の②③が正解だったのかも知れません。
また、このVIPの箱には©️2007と書かれています。そこから察するに、この赤VIPの発売が2007年だとすると、メーカーズ46の発売が2010年と言われてますので、新製品の46発売と同時期もしくは少し前にVIPは廃盤となったのかも知れません。そこで現行と対比してみると、まずスタンダードなレッドトップは不変として、ハイアープルーフであるゴールドの代わりがカスクストレングス、熟成年数の長いブラックの代わりがメーカーズ46、VIPの代わりがプライヴェートセレクトと言ってよいでしょう。と言うことは、ラインナップのヴァリエイションとしては大して変わってない訳で、ここらへんの伝統と革新のバランス感覚にこそメーカーズマークの経営美学の真髄を見る思いですね。

追記2:その更にあと、メーカーズマークVIPについて整理し直しました。興味のある方はこちらをご覧下さい。

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