
Evan Williams Bottled in Bond White Label 100 Proof
ヘヴンヒルの看板製品と言えるエヴァンウィリアムスのボトルドインボンド。通称ホワイトラベルとも呼ばれ、2012年に市場へ導入されたと言います。でもこれって昔もありましたよね? 一旦終売になってからの再導入という意味でしょうか? もしくはアメリカ国内では昔は販売されてなかったか、或いは地域限定販売だったのかも知れません。
マッシュビルは当然エヴァンブラックやエライジャクレイグと同じで、コーン/ライ/バーリーがそれぞれ75%/13%/12%(他説では78%/10%/12%)。また、熟成年数は実質5年だそうです。
ボトルドインボンド(またはボンデッド)というのは1897年に制定された主に商標と税収に関わる法律で、単一の蒸留所・単一の年・単一のシーズンに蒸留され、政府管理の連邦保税倉庫で最低4年以上熟成し、100プルーフ(50度)でボトリングされたスピリットのみ、そう称することが許されます。またラベルには蒸留所の連邦許可番号(DSPナンバー)の記載が義務づけられ、ボトリング施設も記載しなければなりません。上の条件を満たした物は緑の証紙で封がされ、謂わばその証紙が消費者にとって品質の目印となっていました。紛い物やラベルの虚偽表示が横行していた時代に、ラベルには真実を書きなさいよというアメリカ初の消費者保護法にあたり、結果的に蒸留酒の品質を政府が保証してしまうという画期的な法案だったのです。現在では廃止された法律ですが、バーボン業界では商売上の慣習と品質基準のイメージを活かして、一部の製品がその名残を使っています。このEW BIB White Labelもその一つ。では、レビュー行きましょう。
本ボトルは2015年ボトリング。一言、キャラメルボム。コーンフレークにキャラメルをかけてほんの少しスパイスを振りかけたような感じ。余韻はリンゴの皮の煮汁。複雑さのない単純で直線的な味わいながらも、それが却って好結果という典型例。開封直後から甘いキャラメル臭全開で美味しかった。ボトル半分の量になると甘い香りが減じてしまい、他の香味成分が開くのかと思いきやそうでもなく、全体的に穀物感の強い少々退屈なものへ。とは言え、相変わらず旨いは旨い。これは100プルーフの成せる業か。
同じヘヴンヒル産で、これより度数が高く熟成年数の長いファイティングコック6年と比べて、キャラメル香の豊富さと甘みで勝ってる(ただし、余韻の複雑さでは負ける)。このブランドによる差異を、熟成庫のロケーションの違いとバレルセレクトでしっかりと造り分け、尚且つどのロットも継続的にこのキャラクターで安定しているのだとしたら大したもの(他年度製品と比べた事がないので判らない)。
Rating:84.5/100
Value:上でファイティングコック6年を持ち出して比較しましたが、本来であれば較べたいのはヘヴンヒル・ボトルドインボンド・ホワイトラベル6年でした。ところがそのHH BIB 6yrはケンタッキー州限定の製品らしく、日本では購入しづらいときてます。そこで同蒸留所産でスペックと価格の似ているのが上述のFC 6yr(*)だったのです。で、それら二つはキャラクターは若干違えど私的には同点です。お好みの方を買えばいいでしょう。
さあ、ここからが問題なのですが、日本に於いて人気の高いエヴァンウィリアムスの一つに赤ラベル12年というのがあります。これは日本限定(**)の製品でして、約3000円で購入できてしまいます。そしてこの白ラベルは2500〜3000円で販売されているのです。赤ラベルのほうがフルーティーさと複雑さで勝りつつ、なおパワーも劣っていない格上のバーボン。アメリカ国内では安くて旨いという評判を誇るボトルドインボンドも、500円の差額、時には同額で格上の赤ラベルが買えてしまう日本の状況下では、正直言ってその存在意義は小さいと言わざるを得ません。かなり美味しいバーボンらしいバーボンだけに、もし2000円だったら大推薦なのですが…。いや、赤ラベルが4000円程度であれば、2500〜3000円の白ラベルも存在意義はあります。あとはお好み次第。
追記:コメント欄にありますように、エヴァン赤ラベルが値上がりした今、この白エヴァンは非常にコスパに優れたオススメなバーボンになりました。願わくばラベルをリニューアルした後の白エヴァンのクオリティが維持されていることを願います。
*現行のファイティングコックは熟成年数の表記がなくなりました。6年より若い原酒が入ってる可能性が高いです。例えば6年と4年のブレンドとか。
**アメリカでもヘヴンヒルのギフトショップでは販売されているようです。私が直に目で見た情報ではないのですが、Instagramで$140と言ってる方がいました。日本の恩恵に感謝するしかありませんね…。
コメント
コメント一覧 (9)
90年代頃のエヴァンウィリアムスに白い(ややクリーム色っぽい)ラベルで、86プルーフの年数表記の無い物がありましたが、それはグリーンより下のランクの商品なのでしょうか?
どうもです!
うーん、どうなんでしょうね…。グリーンラベルでもブラックラベルより熟成年数の長い物があったような気がするので常に下のランクと言う訳でもなさそうですし、クリームラベル自体流通量が少ないところを見ると、気まぐれ?というか或いは地域限定とか?のラベルかもしれませんし、あまりどちらが格下格上とかのハッキリした指標はないような感じがしますね。
クリームラベルを取り上げている動画がありましたので参考までにURLを。
https://youtu.be/wNVAquevJl0
クリームラベルの8年ものもあったんですね!
私の持っているクリーム(ホワイト?)ラベルは年数表記が無く、肩の部分に貼られているラベルには「KENTUKY'S FINEST CHARCOAL FILTERED GENUINE SOUR MASH」と書かれており、キャップやボトルネックに巻かれているラベルも白っぽいので、動画で紹介されているボトルとは別の物の様です。
ネックのラベルには日本語でウイスキーの表記もあり、輸入者も丸紅食料となっているので日本に正規輸入されていた物だとは思うのですが…。
ボトル底の数字から、ボトリングは92年頃だと思います。
もしかしたら経年でラベルが変色した可能性もありそうですね。私はそんなにマニアな訳でもないので詳しいラベルの仕様変更等はわからないんです。日本の正規でクリーム?ホワイト?ラベルがあったのはいったい何のためなのやら…。
エヴァン白はもっと多くの人に飲んでもらいたいバーボンですね
おっしゃる通り単純で力強い味、だけどこれなんかうまいんですよね、シャレオツな人は見向きもしないんでしょうけどバーボンらしいバーボンだなと
そして安い。赤が4000円オーバーになったのに白はリッターボトルが2750円(税込)で買えます
私の好きなターキーと比較しても味の方向性が違い値段もリッターボトルで700円位安いのでお買い得感が強く良い物だと思います
舌と喉に良い穀物感と甘味が残るんですよねえ
世田谷さん、いつも込めありがとうございます!
ほんと好きなバーボンが似てますねえw
この記事を投稿した時とは変わって、確かに赤ラベルが値上がった今こそ、この白ラベルがEWで最も価値のあるボトルになったかも知れないですね。
古い記事へのコメント失礼致します。
今となっては、12年の赤ラベルが昨今のウイスキーの値上がりで安くても4,500円前後ということを考えると、4年ものではありますがボンドで3,000円を下回る値段で買えるのはヘブンヒルの佳酒といえると思います。
私のボトルは本記事のラベルと同様のもので、新ラベルへの切り替わりの直前のものだと推測しますが、
香味自体は12年赤ラベルとそれほど大きく異なるものではないと感じたので割とお得なバーボンなのではと思う位置付けのボトルだと思いました。
ぬーさん、お久しぶりです!
おっしゃる通り、赤ラベルが値上がった今こそこの白ラベルの価値は上がっていますね。最新の白ラベルを飲んでいないので、まあ、なんとも言えないんですが、ここらへんの規格でこの価格こそバーボンて感じはします。と言うか、そのくらいでいいんだよ、って。なんちゃらカスクフィニッシュとか長熟はどうもピンと来ないって方にオススメですね~。