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ジャックダニエルズと並ぶテネシーウィスキーの雄ジョージディッケルのライウィスキーです。と言っても中身のジュースはテネシー州で蒸留されたものではなく、MGPの95%ライ・マッシュがソース。2012年から発売されました。熟成年数は5年程度と言われています。
当時マスター・ディスティラーだったジョン・ランによると、熟成したウィスキーはインディアナ州からシカゴ近郊のイリノイ州プレインフィールドにあるディアジオのボトリング施設に運ばれ、そこでジョージディッケルの特徴となるチルド・メイプル・メロウイング(原酒を0℃近くまで冷却してからサトウカエデの炭で濾過する方法)が施されているようです。木炭はテネシー州タラホーマ近くのディッケル蒸留所から送られ、同じ方法で行われるのだとか。ただし、テネシーウィスキーは本来熟成前にメロウイングされますが、ライはMGPから熟成後のウィスキーを調達してるためそう出来ないので、一般的なウィスキーと同様ボトリング前になされています。

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George Dickel Rye 90 Proof
推定2017年前後ボトリング、並行輸入。ラムネ菓子、香ばしい樽、キャラメル、ピクルス、ライチ、メロン、洋梨、鉄。開封直後は、口当たりは円やかと言うよりはウォータリーだったが、次第に円やかさを増した。パレートはやや単調な青リンゴ。余韻に豊かなスパイスと僅かに苦味を伴った爽やかなハーブ。液体を飲み込んだ瞬間がハイライト。
Rating:85.5/100

Thought:海外では、所有している親会社も同じ、原酒も度数も同じ、更に熟成年数まで近いブレット・ライとの比較レビューが散見されます。私も真似っこしてブレットとディッケルを同時期に開封して飲み較べました。そうすることでチルド・メイプル・メロウイングの効果のほどを知りたかったのですが、個人的な印象としてはチルフィルタード云々よりも、そもそもブレットよりディッケルのほうが熟成年数が長い味に感じます。少なくとも私の飲んだボトルに関しては、色合いもディッケルの方が濃い色でしたし。そのため、その効果のほどはよく判りませんでした。ただ、ノンチルフィルタードが持て囃される昨今、ディッケルのチルド・メイプル・メロウイングって風味を失うだけじゃね?との疑念もあったのですが、特に風味が減じている印象は受けません。やはり、ジャックダニエルズにしろジョージディッケルにしろ、チャコール・メロウイングにはウィスキーのクラスを変えるほどの力はないと私には思われます。

Value:同じ親会社ながら、今のところ日本ではディッケルよりブレットのほうが流通量が多く入手しやすいと思いますが、上に述べたように大体同じスペックの両者が、仮に同価格だとしたら私はディッケルを選びます。ただし、海外の比較レビューでは、私と逆の評価が見られました。すなわち、私にはディッケルの方がより角のとれたまろみと甘味を感じ、ブレットのほうに爽やかさを感じやすかったのですが、或る方はディッケルのほうがドライで、ブレットのほうが甘いという趣旨の発言をしていたのです。もしかするとロット間の差があるかも知れません。