2022年08月

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ウィリアム・ラルー・ウェラーは、ジョージ・T・スタッグ、イーグルレア17年、サゼラック・ライ18年、トーマス・H・ハンディ・ライと共に、バッファロートレース・アンティーク・コレクション(BTAC)の一つです。この限定版ウィスキーのコレクションは2000年にリリースされた当初、90プルーフでボトリングされた超長熟のバーボン、ウィーテッド・バーボン、ライの三種で構成されていましたが、その後ラインナップを増やしたり、熟成年数やプルーフの変更などがあり、最終的に三つのバーボンと二つのライに落ち着き今に至っています。
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BTACはバッファロー・トレース蒸溜所の最高のバーボンとライを代表する存在として、毎年秋に限られた数量でリリースされ、世界のウィスキー愛好家に待ち望まれています。そのためパピー・ヴァン・ウィンクルやウィレット・ファミリー・エステートと並んで入手困難なユニコーン・ボトルでもあります。五つのウィスキーのそれぞれは、使用されるマッシュビル、熟成期間の長さ、プルーフなど異なるものの、各ボトルの希望小売価格は99ドルと、昨今のスーパープレミアムなボトルのリリースと比べると可愛らしい価格ではあります。しかし、抽選会などで当選しないとその価格で購入することは叶わず、通常パピーほど高価にはなりませんが、セカンダリー・マーケットでは一本のボトルに数百ドルから場合によっては数千ドルを費やすことになるでしょう。親会社サゼラックの賢明な舵取りと卓越したウィスキーの組み合わせによってバッファロー・トレース蒸溜所はアメリカン・ウィスキー愛好家が何よりも追い求める蒸溜所となり、BTACは言うに及ばず、ブラントンズ、カーネルEHテイラーJr.やエルマーTリー等も希望小売価格を上回る価格で取引されています。
全てのバッファロー・トレースのバーボンは、濁度のチェックやガスクロマトグラフィーによるサンプル・テストなど様々な品質テストが行われるそうですが、最も厳しいテストは人の味覚によるものだと言います。官能分析のトレーニングを受けた何人かのテイスターは、ラボに持ち込まれたバレルのサンプルを全て試飲すると、各バレルがブランドの基準に合致しているかどうかを確認し、テイスターのうち一人でも反対すればそのバレルは送り返され更に熟成されるのだとか。そうした厳しい基準の最たる例は、2021年のBTACのラインナップからジョージTスタッグが外れた件に顕著でしょう。品質担当でありマスター・ブレンダーのドリュー・メイヴィルは、「私たちの製品は、常に品質が最重要で」あり、「もし味が私たちの期待にそぐわなければ、お客さまにお出しすることはありません」と言っていました。

ウィリアム・ラルー・ウェラーは、他のウェラー・ブランドのラインナップやヴァン・ウィンクル・ブランドのバーボンと同じくライ麦を含まないマッシュビルを使用するウィーテッド・バーボンです。2005年のアンティーク・コレクションから導入されました。それ以前は、2000年から2002年に掛けて、超長熟で90プルーフの「W.L.ウェラー19年」がリリースされていました。小麦レシピなのは同じながら、それらは純粋なスティッツェル=ウェラー・ジュースと目されており、全く別の製品です。近年続々と拡張されたヴァリエーションを別にすると、ウェラー・ブランドには「スペシャル・リザーヴ 」、「アンティーク」、及び「12年」が定番としてありました。ウィリアム・ラルー・ウェラーは概ね約12年間熟成されているところから考えると、バレル・ピックの基準の厳しさを除けば、謂わば「12年」のノンチルフィルタードかつバレルプルーフにてボトリングされたヴァージョンと言って差し支えないでしょう。
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(W.L.ウェラー19年のラベル)

酒名となっているウィリアム・ラルー・ウェラーという人物は「小麦」と密接に関係づけられて語られますが、実はウィーテッド・バーボンを開発したのでもなく販売すらしたことはなかったかも知れません。所謂ウィーテッド・バーボンはスティッツェル兄弟が開発し、ウィリアムの死後30年近く経ってから禁酒法後にパピー・ヴァン・ウィンクルらが広めたレシピだったと見られています。その代わり彼はスティッツェル兄弟からウィスキーを購入したり、自身の会社に若きパピー・ヴァン・ウィンクルを雇った人でした。彼はウィスキー・レクティファイアーではありましたが、なんなら皮肉にも酒を飲まない人だったとも言われています。若い頃はザッカリー・テイラーと共にメキシコ戦争に参戦した軍人でもありました。またウィリアムは自身の成功を還元することも忘れず、ルイヴィルの街に大きな貢献をしたそうです。なんでもバプティスト孤児院の創設メンバーの一人であり、人生のかなりの期間その理事を務め、子供達が良い家庭に行くことが出来るよう養親の面接を行った人物だったとか。ウィリアム・ラルー・ウェラーその人やウェラー・ブランドについては過去に投稿したこちらでも少し触れていますので良ければ参照下さい。

バッファロー・トレース蒸溜所はBTACに関しては詳細を公表しているので、下にウィリアム・ラルー・ウェラーの全てのリリースをリスティングしておきます。W. L.ウェラー19年に関しては、幾つかのウェブサイトや写真を参考にリストを作成しましたが、後のBTACほど詳細は分かりません。おそらく年2回のペースで販売されたと思われます。左からボトリング年、蒸溜年、プルーフの順です。2003年と2004年はリリースがなく、2005年から名称をウィリアム・ラルー・ウェラーと改め、中身の仕様も変更され、詳細が明かされるようになりました。しかし、2019年からはバッチ・サイズに関する情報は非公開になっています。リストは左から順にリリース年、蒸溜年、熟成年数 、ボトリング・プルーフ、熟成されていた倉庫、選ばれたバレルが置かれていたフロアー、熟成中の蒸発率、使用されたバレルの数と推定ボトリング本数、となります。


W. L. Weller 19 YEARS OLD
Summer 2000|Fall 1980|90 Proof
Spring 2001|Fall 1980|90 Proof
Summer 2001|Spring 1982|90 Proof
Fall 2001|Spring 1982|90 Proof
Spring 2002|Spring 1983|90 Proof
Fall 2002|Spring 1983|90 Proof

2003|No release
2004|No release

William Larue Weller
2005|Fall of 1993|12 years, 2 months|121.9 proof|Warehouse Q|5th floor|58.04%|41 barrels, 4602 bottles
2006|Spring of 1991|15 years, 3 months|129.9 proof|Warehouse M |5th floor|50.64%|22 barrels, 2905 bottles
2007|Spring of 1997|10 years, 3 months|117.9 proof|Warehouse I|9th floor|53.27%|34 barrels, 4250 bottles
2008|Spring of 1997|11 years, 2 months|125.3 proof|Warehouse I|9th floor|52.05%|40 barrels, 5131 bottles
2009|Fall of 1998|11 years|134.8 proof|Warehouse N, O|5th floor|57.20%|41 barrels, 4694 bottles
2010|Summer of 1998|12 years, 3 months|126.6 proof|Warehouse I, P|4th and 9th floors|55.50%|55 barrels, 6547 bottles
2011|Fall of 1998|12 years, 11 months|133.5 proof|Warehouse N, O, P|4th and 5th floors|57.20%|45 barrels, 5152 bottles
2012|Spring of 2000|12 years, 4 months|123.4 proof|Warehouse P, I|2nd and 4th floors|56.60%|49 barrels, 5689 bottles
2013|Spring of 2001|12 years, 1 month|136.2 proof|Warehouse M, P|3rd and 4th floors|55.30%|39 barrels, 3468 bottles
2014|Spring of 2002|12 years, 3 months|140.2 proof|Warehouse D, K, L|2nd, 3rd, 4th, and 6th floors|62.30%|39 barrels, 3933 bottles
2015|Spring of 2003|12 years, 3 months|134.6 proof|Warehouse I, K, L|2nd and 6th floors|72.30%|105 barrels, 7780 bottles
2016|Winter of 2003|12 years, 7 months|135.4 proof|Warehouse D, K, L|3rd and 6th floors|65.40%|145 barrels, 13421 bottles
2017|Winter of 2005|12 years, 6 months|128.2 proof|Warehouse D, I, P|1st〜6th floors|54.08%|155 barrels, 19040 bottles
2018|Winter of 2006|12 years, 6 months|125.7 proof|Warehouse C, I, K, L, M, Q|2nd〜5th floors|56.90%|149 Barrels, 17179 Bottles
2019|Winter of 2007|12 years, 6 months|128.0 proof|Warehouse I|2nd and 3rd floors|57.00%|N/A
2020|Winter of 2008|12 years, 6 months|134.5 proof|Warehouse I, C|3rd, 5th and 6th floors|73.0%|N/A
2021|Winter of 2009|12 years, 6 months|125.3 proof|Warehouse K, L, D, Q, C|1st, 2nd and 3rd floors|64.0%|N/A


偖て、今回バーで飲んだのは2005年と2007年です。現地でも入手が困難になったせいか、日本で現行品のBTACを見かけることは殆どなくなりました。それもあるし、年代違いがあるのなら、この機会に並べて飲み較べてみようという意図で注文した次第です。では、感想を少しばかり。

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William Larue Weller 117.9 Proof
2007年ボトリング。重厚な焦げ樽香とレーズンを中心としたアロマ。味わいは濃厚で、甘酸っぱさとスパイシネスの波が押し寄せる。バターとビターチョコの余韻。テクスチャーに刺々しさはなく、円やかです。
Rating:92.5

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William Larue Weller 121.9 Proof
2005年ボトリング。スモーキーな樽香や豊富なドライフルーツは2007年と共通しますが、こちらの方がアロマにマスティオークを感じました。口当たりは思ったよりあっさりめ。味わいは柑橘ぽいフルーティさが強いかな。
Rating:92

飲んだ瞬間に「あ、違う」と思うほど両者に違いはあるのですが、どちらが上か下かは甲乙つけ難く、共に長熟ウィーテッド・バーボンの魅力に溢れていると思います。点数の差は個人的なちょっとした嗜好に過ぎません(もしかすると普通の人は逆かも…)。どちらも一言で表現するなら、飲むドライフルーツの宝石って感じです。おそらくバーボン飲みだけに限らず、シェリー樽で長期熟成されたスコッチが好みの方にもウケるのではないでしょうか? 皆さんも見かけたら是非飲んでみて下さい。最後に、上のリストと重複する部分もありますが、せっかくなのでこの二つのWLWの詳細を引用しておきますね。

Distiller
Buffalo Trace Distillery, Franklin County, Kentucky
Age Profile
Year of Distillation : Fall of 1993 
Release : Fall of 2005
Release Brand name : William Larue Weller Kentucky Straight Bourbon Whiskey
Proof for release : 121.9 proof
Recipe
Large Grain : Kentucky Corn; Distillers Grade #1 and #2
Small Grain : North Dakota Wheat
Finish Grain : North Dakota Malted Barley
Cooking / Fermentation
Milling screen : #10
Cook Temperature : 240 degrees Fahrenheit
Water : Kentucky Limestone with Reverse Osmosis
Fermentation : Carbon Steel / Black Iron fermenter
Mash : Sour
Distillation & Aging
Distillation : Double Distilled; beer still and doubler 
Proof off still : 130 Proof
Barrel : New, White Oak; #4 Char; Charred for 55 seconds
Barrel maker : Independent Stave; Lebanon KY
Barrel entry proof : 114 proof
Barrel size : 53 liquid gallons; 66.25 Original Proof Gallons
Warehouse : Warehouse Q
Floor : 5th
Evaporation loss : 58.04% of the original whiskey lost to evaporation
Bottling
Barrel selection : 41 hand picked barrels
Filtration : None
Product Age : 12 years and 2 months old at bottling
Tasting comment : "Big & Sweet"

Distiller
Buffalo Trace Distillery, Franklin County, Kentucky
Age Profile
Year of Distillation : Spring of 1997
Release : Fall of 2007
Release Brand name : William Larue Weller Kentucky Straight Bourbon Whiskey
Proof for release : 117.9 proof
Recipe
Large Grain : Kentucky Corn; Distillers Grade #1 and #2
Small Grain : North Dakota Wheat
Finish Grain : North Dakota Malted Barley
Cooking / Fermentation
Milling screen : #10
Cook Temperature : 240 degrees Fahrenheit
Water : Kentucky Limestone with Reverse Osmosis
Fermentation : Carbon Steel Black Iron fermenter
Mash : Sour
Distillation & Aging
Distillation : Double Distilled; beer still and doubler
Proof off still : 130 Proof
Barrel : New, White Oak; 4 Char, Charred for 55 seconds
Barrel maker : Independent Stave; Lebanon KY
Barrel entry proof : 114 proof
Barrel size : 55 liquid gallons; 66.25 Original Proof Gallons
Warehouse : Warehouse I
Floor : 9th
Evaporation loss : 53.27% of the original whiskey lost to evaporation
Bottling
Barrel selection : 34 hand picked barrels
Filtration : None
Product Age : 10 years and 3 months old at bottling
Tasting comment : "Sweet molasses with a hint of cinnamon"

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今回もバー飲みの投稿です。5杯目は、昔から飲みたかったけれど飲んだことのない銘柄だったオールド・ウィリアムズバーグにしました。

このバーボンはロイヤル・ワイン・コーポレーションが所有するブランドで、同社は名前が示すようにワインの取り扱いがメインの会社ですが、蒸溜酒も少数扱っており、そのうちの一つがオールド・ウィリアムズバーグです。彼らは現在、バーボン部門では「ブーンドックス」というブランドに力を入れています。ブーンドックスはプレミアムなレンジのブランドなので様々な別樽での後熟(追加熟成)もの等ありますが、それに比べるとオールド・ウィリアムズバーグは価格の安いバジェット・バーボンに位置付けられた製品。ブランドの名前を聴くと、ヴァージニア州の歴史的ランドマークであるコロニアル・ウィリアムズバーグを連想してしまうかも知れません。しかし、このブランドはそちらの「生きた博物館」とは何の関係もなく、ニューヨーク州ブルックリンのウィリアムズバーグ地区から命名されました。ロイヤル・ワインはニューヨークの会社ですし、限定的な地区の名前からしても、そもそもはローカリーな製品なのでしょう。ラベルにブルックリン橋が描かれているあたり如何にもな感じです。但し、ブルックリン橋はウィリアムズバーグに接続してはおらず、少し離れています。実際にウィリアムズバーグに接続しているのはその名もウィリアムズバーグ橋で、同ブランドのウォッカのラベルではウィリアムズバーグ橋が描かれているのに、何故かバーボンの方はブルックリン橋なのですよね…。何となく見栄えがするからか、より知名度が高いから採用されたのでしょうか? いっそのことラムでもリリースしてマンハッタン橋を採用すれば、近隣の三つの橋が揃う「橋シリーズ」とも呼べそうなラベルが完成するのに…。
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ウィリアムズバーグと言うと、今ではブルックリンのトレンディな地域としても知られていますが、ユダヤ教正統派のコミュニティの存在も有名です。ブランドの発売は1994年とされ、当時は唯一のコーシャ・バーボンでした。コーシャとは「適正」を意味するヘブライ語で、ユダヤ教徒が口にしてもいい食品の規定です。コーシャ認定制度は、スーパーマーケットに代表される消費市場が拡大した第二次世界大戦前後にアメリカを中心として始まったそうです。大量生産によって販売される商品数も膨大になるにつれ、商品の生産過程や含有物が複雑になり、粗悪な食品の流通が増えたことを懸念して、ユダヤ教徒が清浄な食品を安心して手に入れるための認定の需要が高まったらしい。現在ではウォルマートやコストコなどアメリカの大手スーパーマーケット・チェーンでも多数のコーシャ認定商品が見られます。ロイヤル・ワイン・コーポレーションはコーシャ・ワインを多数取り扱い、その分野での明確なリーダーとして認められているそうなので、その流れからスピリッツでもコーシャ認証の物をリリースする運びとなったのでしょう。オールド・ウィリアムズバーグのラベルにはマルKやマルU、或いはヘブライ語の文字が書かれたスタンプといったコーシャ認定を示すマークが印刷されています。よく見ないと見過ごしそうですけれども。
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裏ラベルには「昔の」ウィリアムズバーグについて書かれています。19世紀後半、イースト・リヴァー沿いにはビア・バロンズ(ビール造りで財を成した人々)の醸造所が立ち並び、その成功したオウナー達の建築的に優れた邸宅が建てられていた、バーボンはそんな彼ら特権階級のために、プライヴェートなスティルで手造りされ、特別に瓶詰めされ、選ばれた酒であった、と。彼らがバーボンを飲んだのが本当なのか、単なるマーケティングの文言なのかはちょっと判りませんが、醸造所が並ぶノース11thストリートがブリュワーズ・ロウと呼ばれているのは確かでした。

偖て、次にオールド・ウィリアムズバーグの幾つかのヴァリエーションについて言及しておきましょう。先ず、現在は3年熟成80プルーフのバーボンとウォッカのみが販売されているようです。その他に昔は「No.20」という101プルーフの物と「バレル・プルーフ」と銘打たれた121.5プルーフの物がありました。そして、ややこしいのはここからです。95年出版のゲイリー・リーガン著『THE BOOK OF BOURBON』には、オールド・ウィリアムズバーグ No.20のテイスティング・ノートが載っており、そこには熟成年数が36ヶ月と書かれています。で、その文末には「情報筋によると、オールド・ウィリアムズバーグに、より熟成させたバーボンがもうじき発売される予定とのこと。熟成年数や36ヶ月以上熟成との記載がないボトルを探そう。それが最低4年熟成のウィスキーであることを示すから。(意訳)」との記述がありました。つまり、私が見た現物および写真、資料によって把握するにオールド・ウィリアムズバーグ・バーボンのヴァリエーションには、
①No.20、101プルーフ、36ヶ月熟成表記
②No.20、101プルーフ、NAS
③バレル・プルーフ、121.5プルーフ、NAS
④後のスタンダード、80プルーフ、3年熟成表記
の四つが確認できる訳です。残念ながらリーガンのテイスティング・ノートは文章だけで写真が載せられていないので、①と②でボトル形状が異なるのか、ほぼ同じ見た目なのかは分かりません。この件や、これに限らずその他の物があるのをご存知の方はコメントよりどしどしお知らせ下さい。ちなみに今回、私が飲んだ物は、おそらく②と推測しています、エイジ・ステイトメントがないので。

続いてオールド・ウィリアムズバーグ・バーボンの中身(原酒)について語りたいところなのですが、これまたよく分かりません。ロイヤル・ワイン・コーポレーションは酒類販売会社およびインポーターであってディスティラーではないので、それがソーシング・ウィスキーなのは明らかとは言え、調達先に関する情報開示はしていないのです。明確なのはケンタッキーの何処かの蒸溜所からのものであること。また、初期のボトルは所在地表記がミネソタ州プリンストンであるところから、ボトリングしたのはユナイテッド・ステイツ・ディスティルド・プロダクツ(USDP)で間違いないでしょう。
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USDPは1981年に中西部の市場向けに地域ブランドを生産することを目的に小規模なボトリング事業としてスタートしました。おそらくプラント・ナンバーはDSP-MN-22だと思います。この施設では蒸溜は一切行なわれず、代わりにアルコール、甘味料、フレイヴァリング製剤やその他の成分を購入し、顧客の処方仕様に従って調合するブレンダーの役割とボトリング及び製品のパッケージングが主要な業務です。設立以来、信頼される企業として徐々に成長し、2005年頃の情報では、245000平方フィートの施設で年間200万ケースのスピリッツやコーディアルを中心としたリカーを生産しているとされています。また、2013年頃の情報では、約300人ほどの従業員が働いており、1日3シフト、24時間体制で7つの生産ラインを稼働させているとありました。2012年には186181平方フィートの倉庫の増設したそう。画期的だったのは、2001年にフィリップス・ディスティリングを買収して子会社としたことだったかも知れません。これにより自社ブランドの製造開発に拍車が掛かり、販売にも箔が付いたのではないでしょうか。プリンストン工場の生産ラインでは、フィリップスのUVウォッカ・ブランド、フレイヴァー・ウィスキーのレヴェル・ストークなど全米で人気のあるスピリッツ飲料を生産しています。
オールド・ウィリアムズバーグは常にUSDPが生産してるのではなく、現行の3年熟成80プルーフの物は、裏ラベルによるとニュージャージー州スコービーヴィルでボトリングとあります。スコービーヴィルというと、アップルジャックおよびアップル・ブランディで有名なレアード&カンパニーのボトリング施設があるので、そこで生産していると考えるのが妥当だと思います。いつ頃切り替わっているかは全く判りません。詳しい方はコメントよりご教示頂けると幸いです。では、最後に飲んだ感想を少々。

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OLD WILLIAMSBURG №20 101 Proof
推定95年ボトリング。焦げ樽香とスパイシーなアロマ。口に含むとブライトな樽感が味わえる。薫り高い穀物の風味と軽ろやかなフルーティさ、甘さとスパイスのバランスが良い。余韻はミディアム程度の長さ。
Rating:87.5/100

Thought:このバーボンは今となっては知名度が高いとは言い難く、余程のバーボン好きか、90年代から2000年代初等頃にバーで見かけたことがあるという人以外は知らない銘柄かも知れません。実は、日本語でオールド・ウィリアムズバーグをグーグル検索すると、まともにヒットするのはBAR BREADLINEのマスターさんのブログ「BAR ABSINTHE」の投稿くらいしかないのです。で、彼のテイスティング・ノートには原酒について少なくともヘヴンヒル系ではないとの感想が書かれており、更に私が飲んだバー・デスティニーのマスターに原酒について訊ねたところ同様にヘヴンヒルの味ではないと思うがそれ以上は全く分からないとの返答をもらいました。確かに私も一口飲んですぐヘヴンヒルではないと思いました。ヘヴンヒルのスタンダード・マッシュビルより、もっとライ麦多めのバーボンという印象があり、とても自分好みの味わいだったのです。マッシュのライ麦率は20〜30%くらいありそうな気が…。例えて言うとフォアローゼズから濃厚な熟成フルーツの風味を抜き取ったような味わいですかね。熟成年数に関しては、やはり3年熟成とは思えない味わいで、少なくとも4年〜6年程度のテクスチャーと風味に感じました。このNo.20の裏ラベルには、現行製品では削除されている次のような一文があります。
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「Only the top 20% of the barrels are used for this flavorful smooth bourbon. Enjoy!(上位20%のバレルだけを使用したこの味わい深く滑らかなバーボン。楽しんで!)」
ここで言われてる20%が「No.20」の由来なのでしょうかね? まあ、それは措いても、私の味覚には、この一文は本当にそうなのかもと思わせるだけの美味しさをこのバーボンから感じました。そして、何処の原酒かという件ですが、自分的にはフォアローゼズか、でなければバートンのハイ・ライかなぁ…と。飲んだことのある皆さんはどう思われましたか? コメントよりご意見ご感想どしどしお寄せ下さい。
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そう言えばこのバーボン、ボトルのサイドがエンボス加工されていて、なかなかカッコいいですよね。これと同時期かもう少し後かにボトリングされたと思われるミスティ・ヒルズとかブラック・イーグルというブランドのバーボンも瓶形状が同じに見え、ボトリングはUSDPが行っていると思われます。ミスティ・ヒルズとブラック・イーグルは、フィリップスやロイヤル・ワインのポートフォリオに(少なくとも現在は見られ)ないので、おそらく何処か別の販売会社がボトリング契約してパッケージングまでしてもらっているのではないでしょうか。まあ、憶測ですし、蛇足の情報です。

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