
Mellow Corn BOTTLED IN BOND 100 Proof
コーンウィスキーの代表的な銘柄メロウコーン。コーンウィスキーらしい癖がハッキリと感じられるハイプルーフ、しかも安いとあって、アメリカではかなり人気があります。昔はメドレー蒸留所のブランドでしたが、現在ではヘヴンヒル蒸留所のブランドになっており、ラベルにその名残が見られます。こちらはボトルドインボンド規格ですから、おそらく熟成年数は最低限の4年でしょう。またコーンウィスキーの規定から、熟成樽は古樽もしくはチャーしてない新樽になります。そのためか、バーボンに比べ円やかさに欠ける嫌いがあるし、深みや奥行のある芳香もないし、コーンウィスキー臭さも残ってますが、100プルーフ(50度)あるので満足度は高いです。
Rating:79/100
さて、問題はここからです。ラベルに注目してください。ボトルドインボンド規格のスピリッツには、蒸留した施設のDSPナンバーと、ボトリングした施設のDSPナンバーも記載せねばなりません。ラベルから読み取れるのは、蒸留はDSP-KY-354、ボトリングはDSP-KY-31です。「354」はブラウン・フォーマンが所有するアーリータイムズを作っているプラントを表し、「31」はヘヴンヒル所有のバーズタウンにあるボトリング工場を表します。ヘヴンヒルの蒸留施設は元々バーズタウンにあったのですが、96年の大火災により蒸留施設は全焼し、現在はボトリング工場と熟成庫のみとなっています。そして99年にルイヴィルのバーンハイム蒸留所を購入して蒸留を再開し、現在に至るのですが、この蒸留所がなかった期間はブラウン・フォーマンやジムビームが蒸留を代行していたと言います。
で、このボトルは推定2013年ボトリングと思われます(瓶底判定)。熟成期間の4年を引くと蒸留は2009年。はて? とっくに自社蒸留に切り替わっている頃なのではないでしょうか? 残り物のラベルを使用している可能性もなくはないと思いますが、だとしたら余りにも残り過ぎな気がします。いや、第一厳格なボトルドインボンド規格を謳いながら、残り物など使っていたら駄目でしょう。
ここからは私の推理なので話し半分に聞いて(読んで)下さい。ヘヴンヒルからリリースされているライウィスキーにリッテンハウス ライ ボトルドインボンドという銘柄があります。ボトルドインボンド規格ということもあり大変人気のあるブランドです。有名な話なのですが、火災後このリッテンハウスライはブラウン=フォーマンが契約蒸留をしていました。ボトルドインボンド規格ですからラベルに「DSP-KY-354」の記載があり、ある年のものから「DSP-KY-1」(バーンハイム蒸留所の番号)に変わりました。調べてみると、どうやらその契約が2008年までだったようなのです。ごく単純に計算して、2008年蒸留に熟成期間の4年をプラスすると2012年となり、このメロウコーンのボトリング2013年との誤差が一年のみになります。一年の誤差ならなんとでもなる差です。あまり語られることのないメローコーンの裏話だけに、情報が少なくて混乱しましたが、おそらくメロウコーンも2008年までブラウン・フォーマンが契約蒸留していたのではないでしょうか? だとしたらラベルの謎も合点がいくのですが…。ここら辺の事情に詳しい方がいらっしゃいましたら、是非とも情報提供をお願いしたいです。
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