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今回紹介するテンプルトン・ライ6年はブランドが始まって10年を経た2016年から販売され始めました。ブランド自体の紹介は以前投稿したテンプルトン・ライ・スモールバッチの時にしているので、そちらを参照下さい。近代のテンプルトン・ライが2006年にスタートした当時はNAS(熟成年数表記なし)のみでしたが、現在ではそれは「4年」に置き換えられ、その上位互換として「6年」があり、更にリミテッド・リリースの「バレル・ストレングス」も発売されラインナップは拡張されています。10周年時にはその数字にちなんで10年熟成の特別版もありました。あと、流行りの後熟物もあります。
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周知のようにテンプルトン・ライ・スピリッツ社は創業当初NDP(非蒸留生産者)でしたが、2018年に漸く自社蒸留を開始し、その新しいオリジナルは2022年にリリースされる予定。なので、今のところ販売されているテンプルトン・ライは全てインディアナ州ローレンスバーグのMGPで生産されるライ95%/バーリーモルト5%のウィスキーをソースとしています。バレル(もしくはジュース)はインディアナからアイオワに送られ、同社はそこで独自の処方と地元の精製水を加えた後、自社施設でウィスキーをボトリングするのです。

ライウィスキーは2010年以降急激な人気の高まりを見せ、販売数を極端に伸ばしました。クラフト蒸留所が独自に造り出すライウィスキーもありましたが、生産量の大きさから言ってその多くはMGPに由来するものでした。MGPの運営するローレンスバーグのプラントはその昔ロスヴィル蒸留所として始まり、禁酒法後にシーグラム帝国の一翼を担った蒸留所です。そこでは主にブレンデッド・ウィスキーに使用するフレイヴァー成分としてライウィスキーを生産していました。シーグラム帝国が崩壊した時、本来はブレンドされることを意図したライウィスキーのバレルは大量に余り、何の目的もなく熟成されていました。誰かがそれを試してみると、それ自体でかなり良い味がすることに気付き、そこで当時の所有者はそれをバルク・ウィスキーのマーケットで販売することにしたのです。これがライウィスキー復興の震源地の一つとなったのは疑いありません。MGPも以前の所有者時代のLDIも、自社ブランドを殆どボトリングしないか全くしなかったため、その存在は近年まであまり知られていませんでしたが、多くの酒類企業の供給元となっていたし今もなっています。ブレットやジョージディッケルを傘下に置く大企業、KBD(ウィレット蒸留所)のようなボトラーやNDPは言うに及ばず、他にもエンジェルズ・エンヴィ、ベルミード、ハイウェスト、ジェイムズEペッパーなど多くの中小の新興蒸留所はMGPから調達することで、熟成酒を準備するための時間とコストを掛けることなく熟成ウィスキーの市場に足を踏み入れることが出来ました。そしてテンプルトン・ライ・スピリッツLLCもかなり早い時期からそうしていた一社だった訳です。

同社は2014年に欺瞞的なマーケティング手法の疑惑で集団訴訟の対象となった後、ウィスキー愛好家の間で議論を呼びました。アンチの急先鋒は著名なウィスキー・ブロガーのジョシュ・ピータースで、彼は「TEMPLETON RYE」を「TEMPLETON LIE」と皮肉った画像を自身のブログに載せました。彼はテンプルトン・ライ6年がリリースされた時にも、宣伝の謳い文句がさほど変わっていないことに腹を立てて、自分はテンプルトン・ライを購入しないし皆もそうすることを望む、とすら書いています。他国に住む我々日本人としては、殆ど嘘を並べた宣伝文句にはある程度距離が取れるので、それほど腹も立たないし、他人事感はあります。とは言え、ウィスキーの世界に限らず情報の透明性が昔より尊ばれる昨今ですから、地元テンプルトンを盛り上げたいばかりに誇大宣伝が過ぎて製品情報に靄が掛かっているのはテンプルトン・ライ自身にも不利益なのではないのかな?とは思います。
まあ、それは措いて、気になるのは以前のスモールバッチNASでも取り上げたフレイヴァーの添加の件です。この件は、集団訴訟への公式の発表でテンプルトン・ライ・スピリッツの会長ヴァーン・アンダーウッド自身が認めています。簡単に要約すると、メイド・イン・アイオワを謳っていたのは、確かにインディアナから調達したウィスキーを使ってはいるが、アイオワで独自の処方を施すことでアイオワ産になっているという認識だった、と釈明したのです。本来「隠れた立場」にいる会長が顔を表したのは創始者のスコット・ブッシュや共同創業者のキース・カーコフでは事態の収束が難しいと判断したからでしょう。
今回取り上げる6年もストレート表記のない「ライ・ウィスキー」。と言うことは、これがウィスキーの「クラス」を表しているのなら、フレイヴァー入りと見られますが…。では、飲んでみることにします。

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TEMPLETON RYE 6 Years 91.5 Proof
推定2019年ボトリング。ピクルス、焼いた木、青リンゴ、ミント、キャラメライズド・シュガー、シリアル、ライスパイス、若草。あまり甘くないスパイシーなアロマ。円やかでありながら水っぽい口当たり。余韻はあっさりめで芳醇とは言い難いが、穀物ぽい香りとハービーもしくはフルーティな苦味が鼻を抜けて行く。
Rating:84.5/100

Thought:私はMGP95ライのファンなので全然美味しく頂いたのですけれど、「あれ?」とちょっと肩透かしを食らった思いでした。過去に投稿した少し昔(2011年ボトリング)のNASと較べると甘い香りとフルーティなテイストが減退していると感じたのです。特徴的だったライチとバタースコッチの強い風味はどこへ? 同じMGP95ライがソースで熟成年数やプルーフィングの近いジョージディッケル・ライと較べても、ややメロウネスに欠けると言うか、円やかさと甘味が少し足りないような…。個人的には、テンプルトン・ライ6年は平均的なMGP95ライの味にしか思えず、どうもフレイヴァーは添加されてないような気がしました。と言うか、この程度でフレイヴァーが添加されてる風味だとしたらダメだろ、と。ちなみに、同時期ボトリングと推測されるストレート表記のある「バレル・ストレングス」を試しに飲んで較べてみると、この6年をそのまま濃くした風味プロファイルという印象を受けました。
これはどういうことなのでしょう? 熟成年数も長く、90プルーフ以上でボトリングされるこの「6年」が、何故たかだか80プルーフしかない「NAS」より劣るのか? 幾つかの可能性を考えてみました。言うまでもなく以下は全て仮説です。

①NASにはフレイヴァーが添加されていたが、年数表記ありの物にはフレイヴァーは添加されていない。もしくは2016〜17年頃はフレイヴァーが添加されていたが、最近の物にはフレイヴァーが添加されていない。
─これは話がややこしくなるですが、まず下の画像をご覧下さい。
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なんとストレート表記のあるシグネチャー・リザーヴなるテンプルトン・ライが存在するのです。これらは私がブログ以外にやっているInstagramの投稿で見つけました。そして、それを投稿している人達はおそらくアメリカ本国の人ではなく、東欧諸国と一部の国の人ではないかと思われるのです(ハンガリー、デンマーク、ポーランド、ロシア、オーストラリアの方々?)。輸出国によってその仕様に差異があるのはないことではありません。にしても、ストレートの4年や6年があるのなら、シグネチャー・リザーヴが発売された時期に「ストレート」なしのテンプルトン・ライも実は中身はストレートだった、なんてこともあるのかな?という想像です。

②ストレート表記のないものはフレイヴァーの添加はされてはいるが、それほど風味に影響はなく、初期のテンプルトン・ライNASは本当にスモールバッチだったので、単純にバレル・セレクトのクオリティが高いため美味しかった。
─ライの人気が上昇し、生産量が増えるということは、バッチングに使用される樽の数が増加するか、或いはバッチング自体の回数が増加することを意味します。ウィスキーが大量生産されると味が落ちるベーシックな理由の一つは、樽選びの基準が下がることでしょう。それだけ多くの樽を選ばなくてはならないのですから。スモールバッチ表記のNASのテンプルトン・ライには、裏ラベルに手書きのバッチ情報が書かれています。一方、最近の4年や6年の裏ラベルには何も手書きでは書かれていません。
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この変化はもしかすると、手書きが出来なくなるくらいの量が生産されているからなのでは? それに、ただでさえMGPの95ライは様々な企業が購入する訳ですから、ある意味、優良バレルが奪い合いなのだとしたら? この説はそれらを考慮して、単に初期のNASの方がハイ・クオリティだったのかも知れないという推測です。

③NASは概ね4年熟成と見られていたが、実は6〜8年の熟成原酒も混ぜられており、それが風味の良さに繋がっていた。
─これは②のバレル・セレクトとも関連しますが、熟成年数表記がない上に、原酒構成は明かされてないのですから、中身を明確に知ることが出来ないので、長熟バレルが混和されていた可能性もなくはないのかと。ある時から日本でのテンプルトン・ライの価格が大幅に下がりましたよね。これ、輸入業者が変わったからなのかと思っていたのですが、もし中身が若い原酒になったことによるプライスダウンだったとしたら?と思い付いた説です。

④私が前回飲んだNASが、2011年ボトリングを2018年に開封した物だったため、その間に「酸化の奇跡」か何かが起こり、たまたま強靭な風味になっていた。
─これは微妙な空気との接触がウィスキーの香味を開かせることもあるかも知れないというお話です。

⑤単に私の舌と鼻がぶっ壊れていた。もしくは脳がおかしくなっていたため壮大な勘違いをしている。
─これは十分あり得る…(笑)。

と、まあ妄想を書き連ねましたけれど、個人的には①番推しですかね。飲んだ印象がそうだったので、自分を信じて。②番は有り得そうな気もしますが、③番④番はないかな…。⑤番は完全にないことを祈ります。テンプルトン・ライ、飲んだことある皆さんはどう思われたでしょうか? ご意見、ご感想、他の説をコメントよりどしどしお寄せ下さい。

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テンプルトン・ライは日本でも酒販店やバーで取り扱う店が多く、ライウィスキーの中では比較的有名なブランドかと思います。ラベルに使われている写真は禁酒法下のスピークイージーでの一葉でしょうか? とても雰囲気あるラベルでカッコいいですよね。
伝説によればテンプルトン・ライは、元々はアイオワ州キャロル郡の小さな町テンプルトン(人口は2010年の国勢調査で362人だった)の農家の人々が収入を補う方法として禁酒法期間中に造られ、それが高品質であったことから「ザ・グッド・スタッフ」と知られるようになり、シカゴ、オマハ、カンザスシティのスピークイージーで人気があったと伝えられています。しかも、あの伝説的ギャングスター アル・カポーンのお気に入りであったと言われ、晩年アルカトラズ刑務所に投獄されたカポーンは刑務所の中にあの手この手でテンプルトンを持ち込ませ、独房(AZ-85)からはボトルが発見されているのだとか。まあ、この手の話はマーケティング上のバックストーリーなので、正直どこまで本当か判りません。

現代のテンプルトン・ライは、2001年頃(または02年とか05年という説もあった)、アイオワンのスコット・ブッシュがテンプルトンの復活を思い付き、禁酒法時代のレシピを知る人を探して、メリルとキースのカーコフ親子とパートナーシップを組み、テンプルトン・ライ・スピリッツLLCを立ち上げたのが始まりで、2006年に初めての製品が市場にリリースされました。アイオワ州以外での流通は2007年8月に開始され、2013年には全国的に流通するようになったと言います。日本語でテンプルトン・ライを検索すると、古い記事で2008年の日付が見られ、かなり早い時期から日本にも輸入されたうていたのが伺えます。

さて、トップ画像の物、つまり今回のレヴュー対象は、現行製品とは若干異なる旧いラベルの物です。このラベルの変更には、単なるリニューアルではない困った理由があります。テンプルトン・ライは2014年にラベルの虚偽表示に対する集団訴訟の対象としてシカゴの法律事務所から訴えられ、仕方なくラベル表記の変更をすることになったのです。おそらく訴えられていなければラベルはそのままだったのではないでしょうか。2015年には集団訴訟和解案に基づき、2006年以来製品を購入した顧客への払い戻しをするとも発表されました(*)。なぜこんなことになったかと言うと、テンプルトン・ライは発売当初から実際には違うにも拘わらず、禁酒法時代のレシピを再現してアイオワ州で少量生産されているかの如き体裁をとり、消費者のミスリーディングを誘発しかねないマーケティングを行っていたからです。そしてそれはラベルの表記にも端的に現れていました。
実際のテンプルトン・ライは、インディアナ州ローレンスバーグにある元シーグラムの大型蒸留所(現MGP)で蒸留され熟成されたバレル(95%ライ/5%バーリーのライウィスキー)を購入し、それをアイオワ州へと運んだ後、ケンタッキー州ルイヴィルにあるクラレンドン・フレイヴァーズ社のアルコール・フレイヴァリング・フォーミュレーションを添加してからボトリングして販売されています。訴えた人の主張は意訳して言えば「こっちはアイオワ州の手作りのウィスキーと思って買ってんだ、違うなら金返せ!」ということでしょう。そしてその根拠としてラベルの虚偽表示を突いた、と。
ウィスキー業界に精通してる人なら周知のように、創業したてのクラフト蒸留所は熟成されたウィスキーを持たないため、アンエイジドで売れるウォッカやジンやムーンシャインなどを生産し販売する一方で、大手の蒸留所から熟成したウィスキーを仕入れ、それを独自のブランド名のもとに販売したりします。また創業時には蒸留器を所有せず、すなわち自ら蒸留を行わず、お金を稼いでから蒸留所を建設し、自社蒸留を開始するNDP(非蒸留業者)の存在もあります。こうしたNDPの中にはウェブサイト上に蒸留器の写真を掲載し、恰かも現実に蒸留してるかのように見せかけるところもあったりしました。テンプルトン・ライ・スピリッツもご多分に漏れず、こうしたNDPの一つでした。他所から原酒を調達し、オリジナルのラベルを貼りつけてボトリングするウィスキーのことを「ソースド・ウィスキー」とか「ソーシング・ウィスキー」と言いますが、これ自体は悪いことではありません。テンプルトン・ライが問題だったのは、ウィスキーのソースを意図的に難読化し、ラベルの真実性を歪めてしまったことです。アメリカの連邦規則ではラベルには真実を書かねばなりません。ラベルの変更点は主に3つです。
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先ずバックラベルに「インディアナ州で蒸留」という言葉が追加されました。ウィスキーが当該ブランドの場所とは異なる州で蒸留された場合、蒸留された州をラベルに記載しなければならないという規定があるからです。そして「SMALL BATCH」が「THE GOOD STUFF」に。スモールバッチというのは、厳密に言わなければ少量生産のことと思っていい用語です。MGPは大きな蒸留施設ですから、当然少量生産ではないのでこれを変更しました。あと「PROHIBITION ERA RECIPE」が熟成年数表記へ。プロヒビション・エラ・レシピと言うのは「禁酒法時代のレシピ」の意です。これはテンプルトン・ライ・スピリッツの共同設立者メリルの父でありキースの祖父であるアルフォンス・カーコフのレシピを指します。そのレシピは公にはされていませんが、おそらく砂糖黍90%/ライ麦10%のような典型的なムーンシャインのレシピであった可能性が高いとされ(**)、ライウィスキーではありませんでした。つまり禁酒法時代のレシピとは違うのでこれも変更したのです。バックラベルの文言も段階的に変化しており、「produced from~」から「based on~」になり、最終的には「Kerkhoff」の名前も出てきました。
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「~から造ってる」と言い切っていたのが「~に基づいて」とやんわりした表現になっていますが、基づいてすらいないのでは?という疑問もなくはありません。有り体に言えば、MGPの95%ライウィスキーが買い付け易い材料だったからソースとしただけで、禁酒法時代のレシピとは何の関係もないでしょう。テンプルトン・ライには、ライウィスキー人気が爆発的成長を見せる前に先鞭をつけた先見の明はあったにしても、少々誇大宣伝が過ぎてしまった感があります。
とは言え、悪い話ばかりでもありません。2018年夏には、ついに蒸留所が完成し稼働し始めました。アイオワ産のテンプルトン・ライは計算上2022年あたりにリリースされると予想されます。テンプルトン・ライ・スピリッツの会長ヴァーン・アンダーウッド氏によると、従来のMGPウィスキーを出来るだけ複製するつもりだ、とのことです。どのようなものが出来上がるか楽しみですね。

さて、ラベルの件は現在では手直しされていますし、誇張表現はアメリカンウィスキー業界の宿痾とも言え、遠く日本に住む我々にはアメリカの消費者保護問題に深く立ち入る必要性はあまりないでしょう。まあ、そういうこともあったということです。寧ろウィスキー飲みにとって興味をそそられるのは、ラベルよりも中身、先に少し触れたフレイヴァリング製剤の添加の方です。アメリカの有名なウィスキー・レヴュワーは、フレイヴァーの添加(とキース・カーコフの顧客へのメッセージビデオの釈明)に怒り、彼のウェブサイトのレーティング史上初の00点をテンプルトン・ライに付けています。
もう一度だけ、ラベルをよく見て下さい。どこにも「ストレート」の文字がないでしょう。テンプルトン・ライはストレート・ライウィスキーではありません。TTBの規定では、ストレートを名乗るためにはフレイヴァーを加えてはならないからです。また容積の2.5%を越えるフレイヴァーを加えてしまってはライウィスキーすら名乗れなくなります。そして最も重要なのが、加えられるフレイヴァーはそのクラスまたはタイプの構成必須要素でなければならないという規定なのですが、ここまでくると素人に判断できるレヴェルを越えています。判ることは、もしテンプルトン・ライが規定を遵守しているのならば、必須成分をもつ香料を2.5%以内含んだライウィスキーである、と言うことだけです。
上に挙げたレヴュワーは、これではどの香味成分がMGP由来のものかケミカル・フレイヴァー由来のものか分からないという主旨のことを述べていますが、確かにその通りです。そもそもMGPの95%ライウィスキーはそれ自体で豊かなアロマとフレイヴァーを持っています。果たしてフレイヴァリング製剤を添加する必要があったのかどうか? テンプルトン側の公表している理由としては、創業者の先祖によって造られた禁酒法時代のオリジナル・レシピの風味プロファイルに近づけるため、だと言いますが…。とにかく飲んでみましょう。

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TEMPLETON RYE 80 Proof
BATCH:4
BARREL:239
BOTTLE:167
BOTTLED IN 02-11-2011
ライチ、バタースコッチ、ミント、トーストした木、洋梨のシャーベット、香草、ライスパイス、青リンゴ、若草、パセリ、漢方薬。40度にしては物凄く香りが強く、45度以上の物やもう少し熟成を経た物と同等かそれ以上。口の中では仄かな甘味と爽やかさ、苦味とスパイスが同居する。中身が残り三分の一くらいになってから、かなり余韻に苦味が目立つようになったが、ビターチョコ系の苦味ではなく、香草やスパイス系の苦味。飲んでも旨いが、香りがハイライトといった印象。
Rating:87(85.5)/100

Thought:私が初めてテンプルトン・ライを飲んだ時は衝撃を受けました。それまで飲んできたライ麦率51%程度と見られるライウィスキー(ジムビーム・ライやワイルドターキー・ライ等)とはまるで比べ物にならないフルーティさと香草の風味を感じたからです。こんな美味しいウィスキーがあったのか、と感動すら覚えました。以来MGP95ライのファンとなり、同じソースではあっても違うブランドのライウィスキーをいくつか飲みました。しかし、確かに同系統の風味を感じるものの、なぜかそこまでの感動はありませんでした。味であれ何であれ「初体験の衝撃」は脳裏に深く刻まれ、忘れ難く、時に誇大化するものです。また「慣れ」は脳への刺激を緩慢化するものでしょう。それがため、感動がなくなってしまったのかなと思っていたのですが、今回改めてテンプルトン・ライを飲んでみたところ、他のMGP95ライと較べて、やはり圧倒的に強いアロマ(ライチとバタースコッチ)を持っていると感じました。特にそれはテイスティング・グラスではなくボトルの口から直接匂いを嗅いだ時に顕著です(テイスティング・グラスだと他の香味成分を拾い易いようで、トースティなウッドと穀物感の方が前面に出ます)。もしかするとこの強いアロマの要因こそがフレイヴァリング製剤にあるのではないでしょうか? 実を言うと、テンプルトン・ライと並行して同じくMGP95ライであるブレット・ライとジョージディッケル・ライも比較のため開封して試飲していたのですが、テンプルトン・ライは80プルーフというロウワー・プルーフにしては強すぎるアロマが少し奇妙に感じなくもありませんでした。これは思ったより添加フレイヴァーが効いているような気がします。飲んだことのある皆さんのご意見を伺いたいところですね。
なお、上のレーティングで括弧をした点数は、フレイヴァーが入っていない状態を仮定した想像上の得点です。

Value:テンプルトン・ライの日本での販売価格は概ね4000~5000円です(追記あり)。他のMGP95%ライをソースとしたブランドに較べ、80プルーフであることを考慮すると、やや割高感は否めませんが一飲する価値は十二分にあると思います。もし安さを優先事項とするならブレット・ライという選択がベストでしょう。なによりブレットは流通量が多い=入手しやすいというメリットがあります。


*レシートがなくても一瓶につき3ドル、一人6本分まで。レシートがある場合は倍の6ドルが払い戻されたとか。

**2006年にテンプルトン・ライ・スピリッツがTTBに最初のラベル承認証明書を申請した折り、その1つは「Templeton Rye Kerkhoff Recipe」と呼ばれるものだったと言います。それは他の分類の対象とならない製品を包括する「特殊蒸留スピリット」に分類され、ラベルには「ケイン90%ライ10%から蒸留されたスピリッツ」と書かれていたそうな。これはホワイト・ラムのようなニュートラル・スピリッツとフレイヴァーに寄与するライ麦の蒸留物を少し混ぜたものと予想され、その製品がこれまでに製造されたのか判りませんが、唯一記録に残っているカーコフ・レシピがこれだそうです。

追記:現在販売されている現行の「テンプルトン・ライ4年」はもっと値下がって買い求めやすくなっています。このレヴューがNASであったこともあり、記事を修正せず追記にしました。

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