

バッファロー・トレース・コーシャ・ウィート・レシピは、バッファロー・トレース蒸溜所が毎年過越祭(*)の後にリリースするコーシャ・ウィスキー3種のうちの1種です。他の2つはライ・レシピ・バーボンとストレート・ライ・ウィスキーとなっています。バッファロー・トレース蒸溜所を所有するサゼラックのオウナーであるビル・ゴールドリングは、シカゴ・ラビニカル・カウンシル(cRc)と提携してコーシャ・ウィスキーを製造することでユダヤ人コミュニティにアピールするアイディアを思い付き、2010年頃にその3種の製造を決定したそうです。2020年4月がコーシャ・ラインの発売された最初の年でした。ウィート・レシピ・バーボンはバッファロー・トレースの公式ウェブサイトでは以下のように説明されています。
バッファロー・トレース蒸溜所は、シカゴ・ラビニカル・カウンシル(cRc)とのパートナーシップにより、このウィート・レシピ・バーボンを製造しました。W.L.ウェラー・バーボン・ウィスキーと同じ高品質の穀物で造られたこのコーシャ・スピリッツは、特別に指定されたコーシャ・バレルで熟成されました。過越祭のためのコーシャではありませんが、過越祭期間中に於けるユダヤ人の所有権に関する問題を避けるため、これらのバレルはcRcの代表者が立ち会う式典で非ユダヤ人の経営者に売却されました。7年間の熟成の後、このウィート・レシピ・バーボンは、事前にボトリング・ラインを洗浄し、非コーシャ・スピリッツとの接触がないことを確認した上で、94プルーフにてボトリングされました。毎年過越祭の後にリリースされるこのウィート・レシピ・バーボンは、アメリカで最も古くから継続的に稼働している蒸溜所の伝統に対するオマージュとして他に類を見ない存在です。このコーシャ・ウィスキーのウィート・レシピは、同社のウェラー・シリーズと同じウィーテッド・マッシュビルを使用しており、ウェラー12年とBTACのウィリアム・ラルー・ウェラーを除けば、殆どのウェラーは5~6年または6〜7年熟成らしいので、7年熟成のコーシャ・ウィートはそれらの人気の高い小麦バーボンと味わいが似ているのではないかと云う期待があります。ちなみに、バッファロー・トレース蒸溜所のマッシュビルは一応は非公開なのですが、彼らのウィーテッド・マッシュビルは70%コーン、16%ウィート、14%モルテッドバーリーであろうと推測されています。ウェラー・スペシャル・リザーヴよりプルーフが高いのが良いですね。また、ラベルを読むとバレルが特別なようなので、それがどれほど味に変化を齎すのかも興味深いところでしょう。バッファロー・トレースによると、数年前の発売以来、「コーシャ・トリオは大きな成功を収めています。ユダヤ教徒だけでなく、コーシャ・ラベルが高品質と清潔さの基準と同義であると考える幅広い層に受け入れられています」とのこと。希望小売価格は40ドルですが、州や店舗によって価格差があり、場合によっては100ドル近い値付もあったようです。ネットで海外のバーボン愛好家のこのウィスキーの評価を見てみると、ウィーテッド・バーボンが好きならこのウィスキーはうってつけだが大金をつぎ込む程ではない、希望小売価格ならありだろう、と云う意見が多い印象を受けました。中にはウェラー・スペシャル・リザーヴで十分と云う趣旨の方もいましたが…。

BUFFALO TRACE KOSHER WHEAT RECIPE 94 Proof
ボトリング年不明。今回のバー遠征で飲んだ中で最も甘く感じました。私は甘いバーボンが好きなので美味しかったです。但し、サイド・バイ・サイドでウェラー系列と飲み比べてないので記憶を頼りに言いますが、ウェラーのスペシャル・リザーヴやアンティークと較べてこちらの方が物凄く美味しいとまでは感じられませんでした。
Rating:86/100
*日本では「すぎこしのまつり」、英語では「Passover(パスオーヴァー)」、ヘブライ語では「Pesach(ペサハ)」と呼ばれ、モーセがエジプトで奴隷として苦しんでいたユダヤの民を引き連れてエジプトを脱出したことを記念するユダヤ教の行事。過越祭の日程はユダヤ暦ニサン月14日の夜から1週間とされる。正式には過越祭は1日で終わり、その翌日からの7日間は「種なしパンの祭り」なのだとか。






