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今回は、アメリカン・ブレンデッド・ウィスキーである「アーリータイムズ・ホワイト」に続き、2023年9月に新しくリリースされたケンタッキー・ストレート・バーボン規格の「アーリータイムズ・ゴールド」を飲んでみます。アーリータイムズのブランドがブラウン=フォーマンからサゼラックに移行し、ホワイト・ラベルがリリースされるまでの経緯は過去に投稿した記事を参照ください。

SNSや某社の商品レヴュー等を眺めてみると、アーリータイムズ・ホワイトは一部の人々、特にハイボールとして飲む人などからは美味しいという評価もあったものの、多くのバーボン愛好家からは少なからず不評を買ったように見えます。新しい飲酒者層は別として、流石に旧来のイエロー・ラベルを飲み、それを愛して来た人々がブレンデッド・ウィスキーに対して諸手を挙げて歓迎する筈はありませんでした。それ故にホワイトの発売直後からストレート・バーボンのアーリータイムズの復活を望む声は直ぐに上がりました。そうした声がメーカーに届いたからなのか、或いは最初からの計画通りだったのかは判りませんが、僅か一年でバーボンのアーリータイムズは販売されるようになりました。それがこのゴールドです。

では、その中身は一体なんなのでしょう? サゼラックと総代理店契約を締結している明治屋のプレス・リリースにはその中身について具体的な説明はありません。ですが、サゼラックのマスター・ブレンダーであるドリュー・メイヴィルが来日したのを機に明治屋が今年の2月28日に都内で開催した試飲セミナーのレポート記事によると、アーリータイムズのマッシュビルは従来通りコーン79%、ライ11%、モルテッドバーリー10%、そして独自酵母で発酵と書いてありました。サゼラックが2021年4月8日に発表したアーリータイムズ・ウィスキーの計画では、同年夏からケンタッキー州バーズタウンのバートン1792蒸溜所で蒸溜、熟成、ボトリングを開始、オリジナルのレシピとマッシュビルを使用して消費者に愛された同じ味わいの製品を提供し続ける、としていたので一致していますね。この独自の酵母というのが、ブラウン=フォーマンがアーリータイムズで使用していたイーストを購入しているのか、それとも単にバートン蒸溜所の他のバーボンに使用されていないイーストを指しているだけなのかは、よく判りません。まあ、そこはどちらでもいいとして、問題はゴールドに使われているバレルの熟成年数でしょう。バートンがアーリータイムズの蒸溜を始めたのが2021年夏からとすると、2023年秋にリリースされ始めたこのゴールドは、おそらく「ストレート」を名乗れる最低2年熟成と見るのが妥当だと思われます。私は上掲のホワイトに就いての記事で、2025年あたりにイエロー・ラベルのストレート・バーボンがリリースされるのではないかと「希望的観測」を書きました。そうしたら、ラベルの色が少し違ったものの、一応はストレート・バーボン規格の物がちゃんとリリースされた、と。しかし、私が希望していたのは4年熟成程度のバーボンでした。なので私としては「えっ、早いよサゼラックさん…」となりました。6年から8年、または8年から10年への熟成期間の2年間と違い、2年から4年への2年間はもっと重要な熟成期間だと個人的には思うが故に、がっかりした次第です。まあ、取り敢えず注いでみるとしましょう。

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EARLY TIMES Gold label 80 Proof
推定2023年ボトリング。ダーク・オレンジぽさのあるブラウン。清涼感を伴ったヴァニラ→キャラメル、ドライオーク、一瞬レーズン、薄っすら蜂蜜、みかん。香りはフルーティな接着剤からの洋菓子。水っぽい口当たり。味わいはグレインウィスキー然とした仄かな甘みもあるものの基本ドライで、ホワイトドッグぽさが残る。余韻はとても短くこれまたドライだが、穀物の旨味を感じる瞬間もなくはない。
Rating:74/100

Thoughts:開封直後は「なにこれ? 酷いな…」という感想でした。未熟成のスピリットにほんの少し焦げた樽の香りを付けただけのように感じたのです。もう少し時間が経つと、甘い香りも出て来てマシにはなりましたし、ホワイトドッグぼいテイストも薄らぎました。ですが、口の中や余韻では相変わらずドライな傾向が支配的で、相当注意深く探らないとフルーティさを発見することは困難でした。正直言って誉めるところが見つかりません。飲み易いと言えば飲み易いですが、それを言うなら旧来のイエローラベルはもっと飲み易かったですし、他の安いバーボンも同じくらいには飲み易いです。敢えて誉めるなら、さっぱりとした後口、すっきりとした余韻、とでもなるでしょうか。しかし、その言い方は聞こえは良いですが、換言すれば余韻に芳醇な香りが残らないと言っているに等しいです。擁護すると、最近の通常のバーボンの殆どがドライな傾向にあるとは言えますけれども。
ブラウン=フォーマン時代のアーリータイムズ・イエローラベルと比較すると、イエローの方がよりコーンの旨味とキャラメルの風味が感じられたし、もっと円やかでミルキーでした。旧来のアーリータイムズとの決定的な違いは、ブラウン=フォーマンの自社製樽由来と思われるバナナ・ノートを欠いている点かも知れません。これに関しては製造する蒸溜所が違うのですから別に文句はありませんが、問題なのは同じバートンで製造される安価なバーボンのケンタッキー・ジェントルマンやザッカリア・ハリスよりフレイヴァーの強度が劣るところです。日本人の大多数はハイボール民だからこの程度でいいだろ、とでも思われたのでしょうか? だとしたら馬鹿にし過ぎです。ホワイトがリリースされた当初、アーリータイムズを名乗るべきではない、という趣旨の意見をよく聞きました(見ました)。或るブランドのヴァリエーションにブレンデッドがあること自体は悪いことではありません。ホワイトはバーボンではないのだから、バーボンより味が劣っていて当たり前、それだけの話でしょう。しかし、この金色を使いスタイリッシュで豪華そうに見せたゴールド・ラベルは違います。曲がりなりにもストレート・バーボンですから、こんなものアーリータイムズと名乗るべきではない、と叫ぶのなら今でしょう。少なくとも私には、このゴールドが旧来のアーリータイムズ・ファンを納得させるものとは到底思えませんでした。
ゴールドの発売は、エントリー・クラスの買い求め易い価格でありながら十分に旨かった、我々日本人が長年に渡って享受して来た、あのアーリータイムズの完全な終わりを告げたのかも知れない。アメリカ国内流通のアーリータイムズで主流となっているのは、もともとブラウン=フォーマンが2017年に導入した青いラベルの「ボトルド・イン・ボンド」です。これは当初は限定生産の予定でしたが、手頃な価格(1リットル25ドル)でクラシック・バーボンの風味を味わえると評判となってすぐにヒットしてレギュラーでリリースされる人気商品となり、サゼラックも買収後にこれを継続して販売しました。これが日本で普通に買えるように正規販売されるのなら、別にゴールドはこのままで構わないのですが、そうでないなら改善を求めたいですね。
そう言えば、ホワイト・ラベルが発売された時、世界に先駆けて日本先行発売とか言われていましたが、もう1年経つというのに世界で発売されている様子はありません。一体どうなっているのでしょうか? 我々は騙されていたのですか? まさか試験的に日本に投下され、ハイボール大国ニッポンですら不評だったために世界販売が取り止めとなり、慌ててストレート・バーボンを導入したとでも? もしそうなら、このゴールドも不買運動を繰り広げれば、ワンチャン、4年熟成の物に変化することもあるのですか? ここらへんの事情をお知りの方はコメントより是非ご教示ください。

Pairing:ウィスキーは直前に食べた物で感じる味わいに違いが出ます。私はバーボンを食中酒としても飲むので、この少々イマイチなゴールドを何とか美味しく楽しめないかと色々な料理とのペアリングを探っていたら、スパイシーな味付けの唐揚げとはなかなか相性が良かったように思います。逆に最悪なのはサラダでした。まあ、これは私の味覚なので皆さんが同じように感じるかは分かりませんが…。

Value:2000円程度で購入できるため、コスパが良いと言う人もいます。コスト・パフォーマンスとは費用対効果と訳され、支払った費用(コスト)とそれにより得られた能力(パフォーマンス)を比較したもので、低い費用で高い効果が得られればコスパが「高い」とか「良い」とか「優れている」等と表現されます。ウィスキーに於いてパフォーマンスは「味わい」です。私なら3500円出して2倍旨い別のバーボン、例えばフォアローゼズ・ブラック等を買うほうがコスパが良いと信じます。どうしてもアーリータイムズ・ブランドに拘りたいのであれば、ブレンデッドであるホワイトよりゴールドは格段に美味しいのは間違いないので、ホワイトが1500円程度なら、もう500円上乗せしてゴールドを買う選択は支持できます。しかし、ただそれだけです。

…と、ここまでは、ゴールドはなかなか旨いという評判を聞いていた私の期待が大き過ぎ、それが外れたことから勢いに任せて辛辣な評価を下してしまいました。これを見てちょっとした勘違いをする方もいるかも知れないので、最後に蛇足ながら私の趣味嗜好を書いておきます。
私はウィスキー全般の愛好家ではありません。飽くまでウィスキーの中の一つのジャンルに過ぎないバーボンを愛飲する者です(より正確に言うならアメリカン・ウィスキー愛好家)。そんな私の舌と脳は基本的にバーボン特化型であって、その他のスコッチやジャパニーズ・ウィスキー、或いは蒸溜酒であれ醸造酒であれ他のアルコール飲料を美味しいとは感じません。ここで見られるゴールドに対しての少々厳しい意見は他のバーボンと較べてのことであり、例えば山崎12年と較べるなら私にとってはアーリータイムズ・ゴールドの方が遥かに飲み易いのです。つまり「山崎が買えないならアーリータイムズ・ゴールドを買えばいいじゃない」と思う程には、数あるウィスキー全体の中に於いてこのゴールドは正に光輝いています。それだけは念頭に置いてこのブログを読んで頂けると幸いです。

追記:事情通の方より製造に関して追加情報を頂けたのでコメント欄をご確認ください。

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周知のようにバッファロー・トレース蒸溜所は毎年アンティーク・コレクション(BTAC)をリリースし、その発売はアメリカン・ウィスキーの一途な愛好家から飲み始めたばかりの初心者、そして転売ヤーまでこぞって待ち望むイベントです。現在のBTACはサゼラック18年、ジョージTスタッグ、イーグルレア17年、ウィリアム・ラルー・ウェラー 、トーマスHハンディ・ライで構成され、しばしばアメリカン・ウィスキーの頂点として扱われています。サゼラック・ライ18年は、2000年からリリースされ始めたBTACの最初の三つのうちの一つでした(他の二つはイーグルレア17年とW.L.ウェラー19年)。その名前は、1850年にルイジアナ州ニューオリンズのエクスチェインジ・アレーに誕生したコーヒーハウスを有名にした伝説のカクテル、及びトーマス・H・ハンディによって設立されたサゼラック・カンパニー(バッファロー・トレース蒸溜所の現親会社)に由来しています。「アメリカ最初のカクテル」とも「ニューオリンズのオフィシャル・カクテル」とも呼ばれるカクテルの歴史については過去に投稿したこちらで取り上げていますので、興味があれば参考にして下さい。

サゼラック18年はスタンダードのサゼラック・ライと同じ90プルーフでのボトリングとなっており、現在のBTACの中で最も低いプルーフではありますが(※イーグルレア17年は従来90プルーフだったが2018年から101プルーフに変更された)、同蒸溜所から定期的にリリースされている最もオールダーなライ・ウィスキーです。W.L.ウェラー19年がスティッツェル=ウェラーの原酒を使っていたのと同じように、サゼラック・ライ18年は2015年のリリースまでバッファロー・トレース蒸溜所の蒸溜物ではない原酒を使用して作成されていたかも知れません。その出処は旧バームハイム蒸溜所のクリーム・オブ・ケンタッキー・ライもしくはメドレー・ライが有力視されています。またはヴァン・ウィンクル・ファミリー・リザーヴ・ライのようにそれらを混ぜていたのかも知れないという憶測もあったりします。サゼラック社の社長マーク・ブラウンが2003年頃に語ったところによると、サゼラック・ライ18は1981年などにクリーム・ オブ・ケンタッキーとして造られたストレート・ライ・ウィスキーのバッチの一部で、バッファロー・トレースの在庫目録から完全に失われてしまっていたが、バレルの在庫を全面的に見直し、精査して漸く発見された、とのこと。クリーム・オブ・ケンタッキー・ライを当時のエンシェント・エイジ蒸溜所が造り、そしてそのバレルのみを使用していたのであればバッファロー・トレース蒸溜所産と言ってもいいでしょうが、詳細は不明瞭です。もしかすると、サゼラック18年の最初期の数年間だけエンシェント・エイジ産、その後にバーンハイム産に切り替わったというような可能性もあるのかも(下記のリスト参照)。皆さんはどう思われます? コメントよりご意見どしどしお寄せ下さい。
クリーム・オブ・ケンタッキーというブランドは、長年に渡ってシェンリー社が所有し、決して同社の旗艦ブランドではありませんでしたが、それなりに支持されていました。しかし、1960〜70年代に掛けてのウィスキー販売減少の犠牲となり、1980年代にこのブランドは廃止されました。バーボンがメインと思われますが、シェンリーはブランドのためにライ・ウィスキーも製造していました。シェンリーがメインで使用していたDSP-KY-1のプラント・ナンバーを持つオールド・バーンハイム蒸溜所のライはクリーム・オブ・ケンタッキー・ライとして親しまれ、非常に限定的なリリースで、製造したライの殆どは様々なブレンドに使われました。ライはブレンド用であってもシェンリーはバレルを「ストレート・ライ・ウィスキー」として扱い、ボトリングまで混合やヴァッティングをしなかったとされています。クリーム・オブ・ケンタッキーは他の傘下の蒸溜所であるエンシェント・エイジでも造られ、アメリカン・ウィスキーの販売減少にも拘らず生産を減らさなかった時期があり、その結果、1990年代のバーンハイムの巨大な倉庫にはクリーム・オブ・ケンタッキーのブランド用に造られたウィスキーのバレルが多く残ってしまいました。当時シェンリーを吸収していたユナイテッド・ディスティラーズは、それらのうちバーボンをオールド・チャーターやI.W.ハーパーに使用しましたが、ライ・ウィスキーはバルク市場にて販売することにしました。その当時はまだライ・ウィスキーのリヴァイヴァルには程遠く、ライに目を向ける人は一握りでした。その一人であったジュリアン・ヴァン・ウィンクル三世は自身の13年物のライ・ウィスキー用にメドレー・ライと共にクリーム・オブ・ケンタッキー・ライの多くを購入しました。ジュリアンが選ばなかった他のバレルはKBDのエヴァン・クルスヴィーンに売却され、後年、ウィレット・ファミリー・エステートや他のプライヴェート・ラベルのためにボトリングしたライ・ウィスキーの重要な支えとなりました。彼らのライが現在では伝説的な名声を得ているのは歴史の知るところです。

2005年、バッファロー・トレースは残りのウィスキーの熟成が完璧であると判断したか、或いはこれ以上熟成が進んでオーヴァーオークになるリスクを回避するため、サゼラック18年用のバレル全てを13500ガロンの巨大なステンレス・スティール・タンクに入れ保管するようにしました。ステンレス・タンクでの保存は、なるべくウィスキーを変化させないようにするのに適した伝統的な方法です。有名なところではペンシルヴェニア1974原酒のA.H.ハーシュ16年がこれを行いました。ヘヴンヒルはこっそり隠し持っていた?貴重なスティッツェル=ウェラー原酒をタンクに保管してジョン・E・フィッツジェラルド・スペシャル・リザーヴとしてリリースしました。また、最近ではプリザヴェーション蒸溜所のヴェリー・オールド・セントニック・ロストバレル17年がその好例として挙げられるでしょう。
今回私が飲んだのは2006年のボトリングで、これが初めてリリースされた「タンクド」サゼラック18年となります。2008年には各2100ガロンの3つの小さなタンクに移し替えられたそうです。以後2015年のリリースまで、1985年に蒸溜され18年間熟成された同じライ・ウィスキーをその年毎にタンクから取り出してボトリングされました。それらのウィスキーは一定のフレイヴァーを維持しましたが、異なるリリース年の飲み比べをした方によると、若干の違いが感じられるようです。それはおそらく、タンク内の空気のレヴェルは常にコントロールされている訳ではないので、微妙な酸化によるものだろうと推察されています。また、ウィスキーを移動する際に空気が混和し味を変化させたのではないかとも。

2015年を最後にタンク入りのサゼラック18は底を尽き、2016年からはバッファロー・トレース蒸溜所で蒸溜したジュースに切り替わりました。BTのライ・マッシュビルは非公開ですが、概ねライ51%、コーン39%、モルテッドバーリー10%ではなかろうかと予想されています。海外のレヴューを参考にすると、BTジュースは伝説のタンクド・ウィスキーに比べるとだいぶ評価が落ちますが、年々良くはなって行ったようです。以下にサゼラック18年のリリースをリスティングしておきます。左から順にリリース年、蒸溜年、熟成年数 、ボトリング・プルーフ、熟成されていた倉庫、選ばれたバレルが置かれていたフロアー、熟成中の蒸発率、使用されたバレルの数、その他の事項となります。


Sazerac 18 Year Old Straight Rye Whiskey 
Spring of 2000|Spring of 1981|18 years|90 proof|Warehouse Q|N/A|74%|1 barrel at a time
2001:not found
Fall of 2002|Spring of 1984|18 years|90 proof|Warehouse Q|N/A|74%|1 barrel at a time
Fall of 2003|N/A|18 years|90 proof|Warehouse Q|N/A|74%|1 barrel at a time
Fall of 2004|Spring of 1984|20 years|90 proof|Warehouse K|N/A|68.47%|25 barrels
Fall of 2005|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|67.73%|28 barrels
Fall of 2006|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|67.73%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2007|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|51.94%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2008|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|54.08%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2009|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|56.13%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2010|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|56.49%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2011|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|57.27%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2012|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|57.61%|28 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2013|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|58.21%|27 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2014|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|58.35%|26 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2015|Spring of 1985|18 years|90 proof|Warehouse K|N/A|58.48%|25 barrels|stored in stainless steel tank
Fall of 2016|Spring of 1998|18 years|90 proof|Warehouse K|2nd floor|72.1%|24 barrels
Fall of 2017|Spring of 1998|18 years|90 proof|Warehouse K|2nd floor|72.7%|25 barrels
Fall of 2018|Spring of 1998|18 years|90 proof|Warehouse K|2nd floor|72.7%|24 Barrels
Fall of 2019|Spring of 2001|18 years, 4 months|90 proof|Warehouse L & K|2nd floor|83.5%|N/A
Fall of 2020|Spring of 2002|18 years, 4 months|90 proof|Warehouse K|3rd floor|76.9%|N/A
Fall of 2021|Spring of 2003|18 years, 6 months|90 proof|Warehouse K & P|2nd & 4th floors|69%|N/A


これらはバッファロー・トレース蒸溜所の公式ホームページで見れるファクトシートからデータを採りましたが、何故か2001年の物だけ欠落していました。ところで、リスティングしていて気づいたのですが、2016〜18年のウィスキーは同じ物っぽく見えるので、もしかするとこれもタンクに入れて保管していたのを小分けに瓶詰めしたのですかね? 詳細ご存知の方はコメントよりご教示下さい。では、最後に飲んだ感想を少々。

2022-08-27-09-33-53-075
Sazerac 18 Year Old Straight Rye Whiskey 90 Proof
Bottled Fall 2006
甘く、ややフローラルなアロマ。味わいはダークなフルーツ感のベースにけっこう土っぽさがあり、飲めばすぐにライだなあと思えました。バターぽい余韻も良く、官能的で複雑なフレイヴァーです。或る人の表現を借りれば、エロい味と言うのでしょうか。短熟でも比較的美味しいライ・ウィスキーですが、これは長熟ライの良さが存分に感じられます。旨っ。この度のバー遠征を〆るのに選んで正解でした。
Rating:92/100

2021-02-11-18-02-23

ザッカリア・ハリス(*)はサゼラック・カンパニーが所有するブランドで、所謂バジェットとかヴァリュー・ブランドと呼ばれる最も低価格帯のケンタッキー・ストレート・バーボン。その名前は実在の人物に由来するのではなく、どうやらマーケターの想像力の産物のようです。確かに「Zackariah」と「Harris」 を組み合わせると響の良いサウンドであり、如何にも「オールド・バーボン・ガイ」を想わせますし、ラベルのデザインもジャック・ダニエルズやエヴァン・ウィリアムスを相当に意識しているのは一目瞭然でしょう。他の業界でもそうですが、売れてる製品が模倣されるのは常に行われること。我々はロマンを投影してバーボンを見てしまいがちですが、バーボンは先ずは「商品」なのです。その商品を売るために、ちょっとした伝承を誇大表現したり、ネーミングやラベルをパクったりは、まあ、大昔からよくあることな訳ですね。

おそらくザッカリア・ハリスはアメリカでは2010年か2011年頃から発売されたと思われます。日本に入って来たのはここ最近で、2019年あたりからでしょうか? 私にとってこのバーボンで最も気になったのはラベル下部に記載された下画像の文です。
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これを素直に受け取ると「蒸留、熟成および瓶詰めは、ケンタッキー州ルイヴィルのグレンモア蒸留所が行いました」と書いてあるように読めます。これ、ちょっと、いや、かなり紛らわしい。実はサゼラックが所有するバーボンを生産している蒸留所で、ルイヴィルに位置する蒸留所はありません。なぜルイヴィルなのかと思ったら、サゼラックのオフィスがそこにあるからみたいです。グレンモア蒸留所というのは歴史的な名前であり、それをDBA(Doing Business As)で使用するのは悪いことではないのですが、ロケーションはオーウェンズボロだし、そこは現在ではボトリング施設と物流倉庫(熟成倉庫も道路を挟んで向いにあるみたい)であってバーボンの蒸留はやっていません(**)。ザッカリア・ハリスは、実際にはサゼラックが所有するバートン1792蒸留所で生産されたバーボンと思われます。おそらく熟成もバートン、ボトリングのみグレンモアなのではないでしょうか?
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同社の同クラスのバーボン、ケンタッキー・タヴァーンでは、「BOTTLED BY GLENMORE DISTILLERY, LOUISVILLE, KY」と記載され、如何にもボトリングのみグレンモアでやっている感じが出ています。なのに、なにゆえザッカリア・ハリスは「DISTILLED, AGED AND BOTTLED BY〜」となっているのか? まさか、第一蒸留だけバートンで実行し、第二蒸留をグレンモアで行い、実際に熟成もグレンモアなんてこともあるのでしょうか? 一応、私の解釈としては、上の件は多分ここで言うグレンモア・ディスティラリーを「蒸留所」ではなく「事業名」と解釈し、「蒸留、熟成および瓶詰めは、ケンタッキー州ルイヴィルにオフィスを置くグレンモア・ディスティラリー社(サゼラック社)が行っています」というように読むのが正解なのかなと思います。そもそもトンプソン・ファミリーが長年経営していたグレンモア・ディスティラリーズ・カンパニーもルイヴィルにオフィスがありましたから、サゼラックとしてもグレンモアと言えばルイヴィルという感じで踏襲したかったのかも知れませんね。
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グレンモア蒸留所は1800年代後半からオーウェンズボロのコミュニティに定着しています。もともとは同地のウィスキー業界に君臨した有名なモナーク家が係わっていました。R.モナーク・ディスティラリーと呼ばれていたその蒸留所は「ケンタッキー・タヴァーン」や「グレンモア」などのブランドが成功し、一時はケンタッキー州でウィスキーを生産する最大の産出能力を持つ蒸留所とも言われました。1880年代には飛ぶ鳥を落とす勢いだったモナークスも、1890年代になると過剰生産や恐慌による影響からウィスキーの価値が下落、そこへ更に火災による損害まで発生し、彼らは経営を立て直すことが出来ず、1898年に会社は破産を宣言しました。1900年になると蒸留所を含む事業は公売で売却され、1901年にトンプソン・ブラザーズのジェイムズ・トンプソンが蒸留所を購入しました。
ジェイムズは義理の兄弟のハリー・S・バートンを蒸留所の責任者に任命すると、蒸留所はすぐに良質なバーボンを造るとの評判を得ました。蒸留所はオーウェンズボロのダウンタウンのちょっと東に位置し、オハイオ・リヴァーのほとりにありました。やがて訪れた禁酒法の時にも、そこは禁止期間中に薬用スピリッツの販売許可を取得した六社のうちの一社だったトンプソン・ブラザーズの統合倉庫の場所になります。1924年にはジェイムズ・トンプソンが亡くなり、その息子のカーネル・フランク・B・トンプソンとジェイムズ・P・トンプソン、ジョセフ・A・イングルハードらが経営を引き継ぎました。彼らは1927年にトンプソン・ブラザーズとグレンモア蒸留所を合併し、グレンモア社が設立されます。1928年、政府は医療上の必要性から減少する薬用ウィスキーの在庫を補充することに決めますが、その時、限られた規模で操業することを許可された四つの蒸留所の一つがグレンモア蒸留所でした。
1944年、同社はルイヴィルのテイラー&ウィリアムズからイエローストーンという有名なバーボンのブランドを購入し、更に飛躍します。洪水や火事などの悲劇もありましたが、なんとか乗り越えた蒸留所は1946年に200万バレルのウィスキーを満たしました。その後、彼らは他の大企業の先例に習い、ミスター・ボストン(ヴァイキング・ディスティラリーを含む)を買収して子会社化し、そこを通じて輸入ウィスキーやコーディアルを販売しました。1973年には1日540バレルを生産していたと言われます。しかし、アメリカン・ウィスキー業界全体の低迷もあり、グレンモア蒸留所は蒸留を停止し、ウィスキーの生産をルイヴィルのイエローストーン蒸留所に移しました。オーウェンズボロの施設はボトリングと熟成倉庫に使用されることになります。売上げが再び上昇したら蒸留を再開する予定でしたが、それが実現することはありませんでした。
アメリカン・ウィスキーの低迷は、1980年代後半から90年代に行われた激動の業界再編の遠因、或いは直接的な原因となります。その期間、まるで動物界の食物連鎖のように大きな会社が小さな会社を捕食しました。1988年にグレンモアは同じオーウェンズボロのメドレー蒸留所を買収しますが、1991年にはそのグレンモアもユナイテッド・ディスティラーズに買収されます。そしてユナイテッドは1995年にあっさりと、1993年からキャナンディグア・ワイン・カンパニー(後のコンステレーション・ブランズ)に買収されていたバートン・ブランズに、グレンモアの施設やブランドを売却しました。それから時を経た2009年3月、サゼラック・カンパニーが3億3400万ドルの取引の一環として、コンステレーションの所有していたバートンの資産(蒸留所やブランド)を購入します。こうした流れでグレンモア蒸留所はサゼラックの所有となったのでした。

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地元の人々に「グレンモア」として長年知られていたイースト・フォース・ストリートの象徴的な蒸留所は、一時その名を失っていたようですが、2011年、正式に再び「The Glenmore Distillery」になりました。サゼラックは買収以来、新しい機械や貯蔵タンクを含む施設への設備投資に200万ドルを費やしたと言います。同社はグレンモアの最新のボトリング施設を利用するために、他の施設から幾つかのブランドのボトリングを移行しました。更には2016年4月28日、グレンモア蒸留所に223000平方フィートの革新的な新しい配送センターを開設します。これによりグレンモア蒸留所はASRS(オートメーテッド・ストレージ・アンド・リトリーヴァル・システム=自動保管検索機構)と呼ばれるシステムを使用する数少ないスピリッツ・サプライヤーとなりました。136836平方フィートのASRSスペースを備えた最先端の施設を設計および建設したのはグレイ・コンストラクションです。ASRSはウェストファリア・テクノロジーズ・インコーポレイテッドによってインストールされました。この4500万ドルを注ぎ込んだ設備投資は、親会社サゼラックがケンタッキー州の三つの蒸留所に対して行った7100万ドルの投資の一部です。フランクフォートのバッファロートレース蒸留所では同じくグレイ・プロジェクトによる別の新しい流通センターを、バーズタウンのバートン1792蒸留所では生産能力向上のために新しいイクイップメントを、2015年に追加しました。グレンモア蒸留所はアメリカ国内で最も大きく最も近代的なボトリング施設と流通センターの一つであることを誇り、オーウェエンズボロ地域に1780万ドルの経済的影響を与えているとされ、同地の大規模な雇用者であり続けています。今のままアメリカン・ウィスキーのブームが続くようであれば、我々愛好家としてはサゼラックがグレンモア蒸留所の敷地内に小さなクラフト蒸留所でも建設して更なる発展を遂げたら…なんて期待も。
今はグレンモアについてざっくりと振り返るに留めましたが、いづれモナークスやトンプソンズを含むもう少し詳しい歴史を纏める機会もあるでしょう。では、そろそろザッカリア・ハリスを注ぐ時間です。

2021-03-26-02-03-03
ZACKARIAH HARRIS 80 Proof
推定2020年か21年ボトリング。ややゴールド寄りのブラウン。焦がした樽、スウィートグレイン、ビール、マッチ、マジックインキ、みたらし団子、僅かな蜂蜜、強いていうと苺ジャムとバナナが少し。ややフルーティなグレインウィスキー然としたノーズ。サラサラとして滑らかな口当たり。口蓋では多少の甘さは感じるがフレイヴァーは希薄。余韻もスッキリとしていて短め、基本的にはドライ。が、一瞬石鹸のようなフローラルが香った瞬間もあった。
Rating:76/100

Thought:数年前に飲んだ同社のヴェリー・オールド・バートンNAS、ケンタッキー・ジェントルマンやケンタッキー・タヴァーンと較べると、コアなフレイヴァー・プロファイルは大体同じで、味わいはバッチ違いくらいの差に感じました。ザッカリア・ハリスとKGおよびKTは瓶の形状も同じだし、スペック(最低3年熟成80プルーフ)と価格帯も同一なので、まあ平均的な若いバートン原酒って感じです。ただし、この「バッチ違い」と云うのがなかなかクセモノでして、人によってザッカリアの方が旨いと言ったり、いやジェントルマンの方が上だ、いやタヴァーンだ、となる可能性はあり得ます。いくら何百樽でバッチングされる安価なバーボンとは言え、この世に完全同一のバレルがない以上は、どうしてもフレイヴァー・バランスや甘味などに若干の強弱の違いが生まれるからです。それを大幅な違いと捉える人もいるし、微妙な違いと捕らえる人もいる、と。私には大差は感じられませんでしたが、「あなた」はかなりの差を感じるかも知れないので、とにかく試してみるしかありません。

Value:アメリカでは約9〜12ドルで、日本でも「3桁ウイスキー」と言うのか、999〜1500円程度で購入できます。流石にもう少し上位の物と比較すると分が悪く、至福の時間を過ごすためのシッピング・ウィスキーとは言い難いです。あくまで手っ取り早くバーボンで酔いたい人向けでしょう。けれども冷静に考えてみると、1000円程度でストレート規格のバーボンが買えてしまうって凄いことですよね? GNSで割ったブレンデッドではないのですよ? これは一つの価値です。ハイボール専用にせずとも、ストレートで飲んである程度の満足は得れますから。

追記:こちらのコメント欄でも言及されたように、しばらく輸入が滞っていたザッカリア・ハリスですが、2023年2月下旬、イオンが大々的に取り扱いを開始すると発表されました。以前にイオン系列のスーパーで見かけた時は999円だったのですが、今回からは1500円程度に値上がりしていました。けれども、昨今の物価上昇を考えると仕方のないことであり、まだまだハイコストパフォーマンスなバーボンと言えますね。


*実際の発音は「ザッカライア・ハリス」と表記したほうが近いです。

**グレンモア蒸留所は、2016年にラムの蒸留を再開した、と云う情報はありました。

2020-06-16-08-40-42

2019-06-17-21-24-31
(このラベルは引き継がれるのか、刷新されるのか?)

以前お伝えしたブラウン=フォーマン所有のアーリータイムズがサゼラックに買収された件ですが、続報が入りました。

今後はバートン1792蒸留所にて、消費者が愛好していたのと同じオリジナルのレシピとマッシュビルを使用して製造するとのこと。それならケンタッキータヴァーンやケンタッキージェントルマンとは違うものになりそうですね。安心しました。切り替えは今年の夏から始まるそうです。味を想像しながら待ちましょう。

今のところブランド戦略までは明かされてないのですが、私はKTやKGのようなエントリークラスと1792スモールバッチのようなプレミアムの中間に位置するレヴェルの製品になるのではと予想します。もしそうならばブラウン=フォーマン社のエントリークラスであったアーリータイムズよりは美味しくなるだろうという期待。まあ、蒸留所が変わればいくらマッシュビルが同じでも確実に違う味にはなるでしょう。従来品のファンはどう思うのか…。

皆さんはどうお考えですか? コメントよりご意見お寄せ下さいね。

えっ、待って、こんな妄想以前に、ちゃんと日本に輸入されるんだよね?


※当ブログのニュース記事の投稿は時間的有効性と内容的有用性がなくなったと判断した時点で削除しようかと思っていたのですが、こんなこともあったね的な資料として残そうかと思い直しました。

※※その後の経過をまとめた記事を投稿しました。

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