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今宵の一曲はミルドレッド・ベイリーの歌う「ラヴァー・カムバック・トゥ・ミー」です。彼女自身そのキャリアの中で何度も吹き込んでいて思い入れのある一曲なのでしょう。

1930~40年代に人気を誇り、ヒット曲にあやかって「ロッキンチェア・レディ」と渾名され、また「スウィングの女王」とも言われたミルドレッド・ベイリー。元祖ぽちゃカワ?とでも言えそうな風貌です。 彼女はブルースを歌ってもブラックフィーリングのある歌い手さんでした。

オスカー・ハマースタイン二世とシグムンド・ロンバーグの名コンビによる「Lover, Come Back To Me」は、邦題を「恋人よ我に帰れ」と訳され、元々は「朝日の如く爽やかに」も歌われるオペレッタ『ニュー・ムーン(18世紀ルイジアナの農園を舞台とした、お嬢様マリアンヌと奴隷ロベールの恋の物語)』からのナンバーです。
名曲は時代を越えて歌い継がれて行くもの。数多のジャズ・シンガーが歌い、大変ポピュラーなジャズ・スタンダードとなっています。一番有名なのはビリー・ホリデイのヴァージョンでしょうか。しかし私はなぜか、この曲はミルドレッドの歌唱が好きなのです。理由はまったく分からないのですが(笑)。

※通常「恋人よ我に帰れ」とされるタイトルを訳詞に合わせて変更してます。


"Lover, Come back to me"
『恋人よ戻って来て』

The sky was blue
空は青かった
And high above
そして高かった
The moon was new
月は新しかったし
And so was love
愛もそうだった
This eager heart of mine was singing
この切望する私の心は歌ってた
Lover where can you be
恋人はどこにいるの?と

You came at last
あなたはついに現れ
Love had its day
愛の日を過ごした
That day is past
それは過去
You've gone away
あなたは去ってしまった
This aching heart of mine is singing
この痛む私の心は歌ってる
Lover come back to me
恋人よ戻って来てと

I remember every little thing
私は思い出す、全ての些細なこと
You used to do
あなたがかつてしていた
I'm so lonely
私はとても寂しい
Every road I walked along
どの道を歩くにも
I walked along with you
私はあなたと一緒に歩いた
No wonder I am lonely
当然ね、私が寂しいのも

The sky is blue
空は青い
The night is cold
夜は寒い
The moon is new
月は新しい
But love is old
でも愛は古いまま
And while I'm waiting here
そして私がここで待つあいだ
This heart of mine is singing
この私の心は歌ってる
Lover come back to me
恋人よ戻って来てと


さて、合わせたバーボンはオールド・テイラーです。メロー・イエローと親しまれた歴史あるブランドなのですが、現在では「コロネル・E・H・テイラー」というプレミアムラインの別製品があり、こちらは最下層の安バーボンとなってしまいました。それだけならまだしも、ビーム社からサゼラックにブランドが移行してある時期から、熟成年数表記の「6 years」から「years」だけ外して、6年熟成ではなくするという荒業?というか殆ど悪意とも取れる手法を使うのは如何なものかと。同社のオールドチャーター8年にも同様の手口がみられるので、数字イコール熟成年数と勘違いしないように注意が必要ですね。では今宵はこれにて。

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