バーボン、ストレート、ノーチェイサー

バーボンの情報をシェアするブログ。

タグ:スモールバッチ

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ケンタッキー・ヴィンテージはウィレット蒸留所(KBD)が現在リリースしているスモールバッチ・ブティック・バーボン・コレクションの四つのうちの一つです。そのうち最も安価なブランドで、その他のラインナップはピュア・ケンタッキーXO、ローワンズ・クリーク、ノアーズ・ミルとなっています。このコレクションの成立は、おそらく90年代後半ではないかと思いますが、ケンタッキー・ヴィンテージだけもう少し前から一部の国へ向けてボトリングされていました。その頃の物は、現在のような茶色系のラベルではなく、白地に青と赤のトリコロールが印象的なカラーリングでした。ケンタッキー・ヴィンテージの起源は明確ではないのですが、私の知っている限り最も古いのは、ラベルに艶のない「15年101プルーフ」です。これは80年代後半あたりに当時のKBD(プレミアム・ブランズLTD)の社長エヴァン・クルスヴィーンが日本向けに発売した一連のプレミアムな長期熟成原酒の一つかと思われます。多分その後に艶のあるラベルの「12年101プルーフ」と「13年94プルーフ」が90年代初頭に発売されたと推測しています。
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レギュラー製品としてケンタッキー・ヴィンテージが発売された後にも、2000年には、上記と同じ艶のある白青赤ラベルで、ネック部分には熟成年数の替わりに蒸留年ヴィンテージが示されつつ蒸留日とボトリングの日付を手書きで記したシールが貼られ、ブルゴーニュ・スタイルのワインボトルにブルーのワックスで封された「1974」が日本限定で発売されました。またその他に発売年代が判別できませんが、おそらくヨーロッパ向け?と思われる薄紫色のバッグ付きの「1973」と「1974」というヴィンテージ表記の物もありました。両者ともにワイン・タイプではないボトルですし、デザイン的に90年代初頭ぽい気が…。ここら辺までの初期ケンタッキー・ヴィンテージに精通している方は是非ともコメントより情報提供お願いします。
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ケンタッキー・ヴィンテージのそもそもの製品コンセプトは、その名前からしてケンタッキーに長い間眠っていた長期熟成原酒をボトリングすることだったのだと思います。初期の物や限定リリースの物こそその名に相応しいとは思いますが、どういう訳かスモールバッチ・コレクションに再編されました。ウィレットのスモールバッチのバッチ・サイズはせいぜい12バレル程度とされ、選択を18〜20バレルから始めて絞り込むのだとか。そして初期の物と違いレギュラーのケンタッキー・ヴィンテージはNASです。熟成年数に関しては、2011年頃の情報では5〜10年、もう少し前の情報だと6年~12年とされていました。こうした極端に少ないバレル数のバッチングであること、NASであることを考え合わせると、バッチ毎の味の変動が大きい可能性はあるでしょう。バッチ毎は言い過ぎとしても、需要と供給の変化により選択する樽の構成を調整し易いのがNASの利点ですから、少なくとも生産年度に数年の違いがあれば、味わいの変動は十分考えられます。ちょっと明確な時期が判らないのですが、コレクションに編入された時から2000年代半ば(もしくは後半?)までは、色の付いた首の長い独特な瓶にボトリングされていました。その後の物も首は長めですが、もう少し一般的な形の透明の瓶に切り替わります。こうした外見の変化、パッケージのリニューアルは中身の大幅な違いをも表しているかも知れません。
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元ウィレット蒸留所のKBDことケンタッキー・バーボン・ディスティラーズ社は、80年代初頭に訳あって蒸留を停止してから長きに渡ってボトラーとして活動して来ました。そのため原酒を他所から調達しており、その殆どはヘヴンヒル蒸留所からと目されています。それが変わったのは2012年。長年の自社蒸留復活の夢が遂に叶い、蒸留を再開したのです。そして、それから数年を経て、自社蒸留原酒をボトリングし始めた、と。そこで新しいケンタッキー・ヴィンテージの登場です。
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(写真提供K氏)
画像で判る通り、ボトル形状が少し変わりました。新しい物は首が少し短くなり、肩周辺がより丸みを帯びたシェイプになっています。おそらく2017年もしくは2016年のバッチあたりから新しい物に切り替わっているのではないかと推察していますが、皆さんのお手持ちのバッチ情報があったらコメントよりお知らせ下さい。

さて、今回は私の手持ちの推定2017年ボトリングのケンタッキー・ヴィンテージをレヴューするのですが、親愛なるバーボン仲間でありウィレット信者のK氏から二種のサンプルを頂きまして、そのお陰でサイド・バイ・サイドによるちょっとした比較が可能になりました。男気溢れるK氏には掲載画像の件も含め、改めてこの場でお礼を言わせてもらいます。ありがとうございました。
で、その二種のサンプルは、一つが推定2018年ボトリングのもの。これにより半年~一年差のバッチ違いの比較が出来ると想定しています。もう一つは推定2010年ボトリングのもの。こちらでは原酒の違いを比較できるかと思います。では、飲み比べてみましょう。

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Kentucky Vintage 90 Proof
BATCH QBC No. 17-62
推定2017年ボトリング。蜂蜜、熟したプラム、トーストブレッド、チャードオーク、グレープ、コーン、パイナップル、梅干。さらりとした口当たり。パレートはモルティな風味とフレッシュフルーツ。余韻は豊かな穀物と穏やかなスパイスが割りと長く続く。
Rating:87.5/100

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Kentucky Vintage 90 Proof
BATCH QBC No. 18-10
推定2018年ボトリング。バッチ17-62とほぼ同様なフレイヴァー・プロファイル。強いて言うならポップコーンぽさが強いのと、オークのバランスがやや違うような気もするが、それは酸化の進行状況の違いかも知れず、概ね同じものと見做していいと思う。
Rating:87.5/100

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Kentucky Vintage 90 Proof
BATCH QBC No. 10-174
推定2010年ボトリング。上記2つより色は濃いめ。金属、薄いキャラメル、木材、コーンブレッド、ホワイトペッパー、クローヴ。ちょっとメタリックな匂い。味はビター感が強めで甘さが足りない。余韻はスパイシーでさっぱり切れ上がる。
Rating:81.5/100

Thought:現行のケンタッキー・ヴィンテージは、渋いラベルからは想像もつかないデリケートなフルーティさに満ち、なんと言うか原酒本来の穀物感が活きたバーボンだと思いました。現在のウィレット蒸留所には6種類のマッシュビルがあるとされ、その内訳は、

①クラシック・バーボン・レシピ
(72% Corn / 13% Rye / 15% Malted barley)
②ロウ・ライ・バーボン・レシピ
(79% Corn / 7% Rye / 14% Malted barley)
③ハイ・ライ・バーボン・レシピ
(52% Corn / 38% Rye / 10% Malted barley)
④ウィーテッド・バーボン・レシピ
(65% Corn / 20% Wheat / 15% Malted barley)
⑤ハイ・コーン・ライウィスキー・レシピ
(51% Rye / 34% Corn / 15% Malted barley)
⑥ロウ・コーン・ライウィスキー・レシピ
(74% Rye / 11% Corn / 15% Malted barley)

と、なっているようです(上記のレシピ名は、分かりやすいようにセカンド・グレインの差を中心に据えて私が勝手に付けたものです)。一瞥して気付くのはモルテッドバーリーの配合率の高さですよね。これはもしかすると商業用酵素剤を使用していないのかも。それは偖て措き、ケンタッキー・ヴィンテージです。KVのマッシュビルは公表されていませんが、個人的には③一種もしくは少なくとも③を中心としたブレンドではないかと感じました。飲んだことのある皆さんはどう感じたでしょうか? どしどしコメントをお寄せ下さい。
一方のヘヴンヒル原酒と目されるバッチ10-174は、フレイヴァー・プロファイルが全く異なります。異なるだけでなく、ウィレット原酒とは正直言ってレヴェルが違うと思いました。私の好みにウィレットの方が合っていたとは言えますが、そもそもアロマの強さと余韻の広がりが段違いなのです。それとバッチ17と18を飲み比べた結果、ここまで似ているのなら、今後も安定してこの味でリリースされると予想されるでしょう。ウィレット蒸留所に拍手を、 そしてブレンダーの腕に乾杯を。

Value:ケンタッキー・ヴィンテージの現行製品の日本での販売価格はだいたい3500円前後が相場でしょうか。その価格帯の製品としては、ハイエンド感を演出するワックス・スタンプとワックス・シールドが施された外見はとても魅力的です(ただし、スクリュー・キャップとラベルの質感は安っぽい)。そして外見に劣らず中身がこれまた素晴らしいときたらオススメでない訳がありません。個人的な印象としては、焦樽感で押し通すタイプのバーボンではないので、普段スコッチやジャパニーズウィスキーを飲まれる方にも好まれるのではないかと思います。そして何より、現行製品は旧来のヘヴンヒル原酒の物とあまりにも違いがありますので、昔飲んで印象に残らなかったという方には是非とも再チャレンジして頂きたい銘柄です。


追記:ウィレット蒸留所と縁の深いバーGのマスターより情報頂けました。最近のものは21樽のバッチングだそうです。またマッシュビルは①との情報が入りました。

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ジムビームのスモールバッチ・コレクションのうち筆頭とも言えるブッカーズ。その名の由来となっているのはビーム家第六世代マスターディスティラーであるフレデリック・ブッカー・ノー2世、通称ブッカー・ノーです(*)。
ブッカーは1929年12月に生まれました。ジム・ビームことジェイムス・ボーリガード・ビームの孫に当たります。母親であるジムの娘マーガレットがノー家へ嫁いでいるのでビーム姓を名乗っていません。蒸留一家の家系に生まれた常か、10代の頃から蒸留所周辺の手伝いをしていたようです。恵まれた体躯の持ち主だったブッカーはフットボールをやっていて、後にアラバマ大学で勇名を馳せるカレッジ・フットボール界の伝説的名コーチ、ベア・ブライアントがケンタッキー大学で指導していた頃の彼のチームに所属していました。しかしやがてチームを辞め、大学も中退してしまい、アンクル・ジェリー(ジムの息子ジェレマイアのこと)やカズンのカール(ジムの弟の息子)らの心配を引き起こします。彼らはブッカーが蒸留所の家族との繋がりを損なわないことを望んでいたのです。チームや大学を辞めた理由については定かではありませんが、ブッカーはワイルドな男だったので若き人生を楽しみたかったのかも知れません。
ブッカーは子供の頃から有名な祖父ジムと親密だったそうで、ジムもアンクル・ジェリーも彼のポテンシャルを認めていました。また、家族がブッカーの処遇にまごついている間に、ウィレット蒸留所のトンプソン・ウィレット氏もブッカーを狙って(スカウト?)いたなんて話もあったようです。もしブッカーがウィレット蒸留所に行っていたとしたら、ブッカー・ノーがプロデュースするノアーズミル発売!、息子のフレッド・ノーがウィレット蒸留所のマスターディスティラーを継ぐ!、なんていう歴史の書き換えが行われていたかも…と妄想するのはバーボンマニアの密やかな楽しみでもあるでしょう。しかし、歴史はそうはなりませんでした。
ブッカーの母は、息子へもっと巧くファミリービジネスの魅力を紹介するよう、アンクル・ジェリーに持ち掛けたようです。それが効を奏した分かりませんが、1950年頃にアシスタント・ディスティラーとして家業に入り、おそらく名ディスティラーだったカールに蒸留業の一から十を叩き込まれたものと想像します。ブッカーは主にケンタッキー州ボストンのジムビーム蒸留所でバーボンの製造と熟成を管理し、後に隣接するクレアモントでもそうしました。ジムビームはブリット郡クレアモントとネルソン郡ボストンに蒸留所を持ちますが(**)、そのボストンの蒸留所は五代目当主のジェレマイアが操業を停止していた古いチャーチル・ダウンズ蒸留所を買い取り、数百万ドルを投資して最先端の施設へと転換、1954年に2番目の蒸留所として開設し、通称ボストン・プラントと呼ばれていました。ブッカーはそこを長らく監督していたので、今ではジムビーム蒸留所ブッカー・ノー・プラントと命名されています。
ブッカーは1965年にマスターディスティラーに選ばれました。1960年代及び70年代、ジンや特にウォッカのような「ホワイトスピリッツ」の躍進に悩まされてきたバーボン業界にあっても、ジムビーム自体は当時から世界で最も売れ行きの良いバーボンでした。ブッカー一人の力でもなかったのでしょうが、彼が1992年に「名誉マスターディスティラー」として実務から引退するまでの在任中、ジムビーム・バーボンの生産量は12倍に増えたと言います。引退した後も会社のアンバサダーとして働き続け、ビームのバーボンを宣伝するため世界を旅したり、バーボン・テイスティング会ではホストとして家族の物語や歴史を織り混ぜた会話で観客を楽しませました。1995年に会社はジムビームのラベルに、ブッカーに先行していた5人のビーム・ディスティラー、ジェイコブ、デイヴッド、デイビッドM、ジム、Tジェレマイアの肖像画のスケッチと並べて彼を加えます。そしてブッカーは2001年にバーボンの殿堂入りを果たし、2004年に亡くなりました。
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ブッカーは愛すべきキャラクターとカリズマを備え、ロックスターのように扱われた初めてのマスターディスティラーでした。今日、伝説として扱われる彼の功績は、蒸留技師としてよりも、むしろ自身の名を冠した「ブッカーズ」と「スモールバッチ・バーボン」を広めたことに帰着するでしょう。その役割は現在、息子のフレッド・ノーがビーム家七代目マスターディスティラーとなって継承しています。

伝説の語り部やマーケティング部門の天才的なライターは、時に余りにもフィクショナルな言辞を誇示します。それ故、ブッカーズ誕生秘話の真相もどこまで本当かよく分かりません。一説には、ブッカーズはブッカーがシングルモルト・スコッチに匹敵するバーボンを製造するよう頼まれたのが契機となったと言います。定説では、ブッカーが時々蒸留所の倉庫から特別に選んだバレルを瓶詰めし、親しい友人や家族へのホリデーギフトとしたり、ビーム家主催のバーベキューパーティーで振る舞われたそのバーボンはやがて評判を呼び、インスピレーションとなってビームが量産を開始した時、ブッカーズは誕生したと言います。ビーム社が公式に発表しているところによれば1988年のことでした。僅かな違いですが、87年としているサイトも多いです。初め高品質のバーボンが売れるかどうかについて疑問の声は内部からもあったそう。その希望小売価格は約40ドルとも50ドルとも言われ、当時のバーボンとしては破格の値段でした。しかし、それは杞憂に終わり、ブッカーズはカルト的な人気を得、今でもビーム・バーボンの最高峰として君臨しています。

ブッカーズの品質は何千何万もの樽の中から「ハニーバレル」と呼ばれるものを見つけることによって達成されます。気温の変動や倉庫内のバレルを置く位置により、バーボンは様々な品質で熟成し、風味は一定しません。業界で育ったブッカーは最高の樽を探す方法を知っていました。
かつて一部の蒸留所のラックハウス作業員は「ミュールス」と呼ばれるプラスチック製のチューブを自分の作業着の前面に付けて持ち歩き、熟成したバレルから直接ウィスキーの味見をするために使用したそうです。 彼らはおおむね立派な体格(太ってた?)をしており、味見をするとき彼らの出っ張った腹は樽の側面を擦り、埃を取り除いてバレルを輝かせました。「バレルがより明るいと、ウィスキーはより甘い」なんて格言?を言う人もいたそうな。
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ブッカーは見習いの作業員をラックハウスへわざと送り込んでおいて、後から悠々とシャイニーバレルを見つけ出したのでしょう。そして自らの名前を付けることになるバーボンの最初の準備が出来た時、シャイニーバレルがあった場所に新しい樽を置いた、と。そこは大抵の場合、温度と湿度と日当たりがちょうど良いラックハウスの中央部分に当たりました。具体的に言うと、ジムビームの熟成倉庫は主に9階建てですが、上層階でも下層階でもない真ん中の4~6階のことです。これがブッカー自身がしばしば「センターカット」という用語を使った理由でした。ジムビームではラックハウスの中層階こそが「スイートスポット」であり「ハニーバレル」を産出する場所だという訳です。

以上のような特別な樽を一つ選ぶだけではブッカーズにはなりません。ブッカーズはシングルバレルではなくスモールバッチですから、選ばれた樽はサンプリングされて、バランスを見ながらブレンドし、一つのバッチを形成します。このプロセスをバッチングといい、バーボンの味をクリエイトする重要な要素。現在のブッカーズもバッチングに使用される樽は殆どが中層階から来ています(少しだけ2階や8階等別のフロアの樽が選ばれることもある)。バッチ・サイズは概ね350~360樽とされます。また、ブッカーズの熟成年数は常に6~8年であり、ラベル記載の熟成年数はバッチの中で最も若い原酒の物です。ラベルと言えば、あのブッカーズの象徴的な筆記体によるデザインは、自分のバーボンのストーリーを説明したブッカー・ノー本人の手書きのメモを複製したものだそう。

そして更にブッカーズをブッカーズたらしめる特徴が、アンカットとアンフィルタード。つまり水で希釈せず濾過もしないことです。加水調整しないため、アルコール度数はそのバッチ毎に異なり、およそ120~130プルーフの間を行き来する所謂バレルプルーフ・バーボンで、フィルタリングに関してはゴミ(炭化したバレルの木屑)取りレヴェルの濾過はしていると思いますが、大々的なフィルターはかけていないでしょう。ブッカー本人の台詞で言えば「バレルからストレートに、かつてのバーボンがそうだったように」。

さて、今回レヴューするブッカーズなのですが、購入した時からバッチナンバーを示すシールが欠損していました。初めから付いてなかったのか、取れちゃったのかよく判りませんが、ともかくブッカーズと言えばバッチナンバーは欠かせません。それがあるから有り難みが増し、マニア心を擽るというもの。そこで、せっかくなのでテイスティングの前にブッカーズのバッチナンバーの読み方を、この機会に紹介しておきましょう。

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ブッカーズのバッチのコードには大きく分けて3タイプあります。
発売開始から94年途中までは「バッチ」と書かれてなく「ロット」と書かれ、例を挙げると「C-B-16-79」や「B-K-28-84」のようなコーディングです。最初のアルファベットは蒸留プラントの別を表し、クレアモントの「C」かボストンの「B」です。二番目のアルファベットは月を表し、A=1月、B=2月と読み替えます。次の数字は1から31までの蒸留日、最後の数字は蒸留年に対応しています。
続いて、94年途中からフォーマットに若干の変更がなされました。例としては「C87-B-19」や「B95-C-31」のような感じです。以前と同様の方法論に従いますが、順序が違います。先頭のアルファベットは蒸留プラントの区別、そこからハイフンがなく蒸留年が来て、月を示すアルファベット、日にちの順です。
そして2014年になると、従来方式と単純化されたバッチナンバーが混在し始めます。「C07-A-12」と「2014-07」のような例です。前者は従来通りですが、後者は蒸留年ではなくバッチングされた年とリリース番号です。この混在はおそらく過渡期だからでしょう。2015年になるとアメリカ国内仕様のバッチナンバーの書かれたタグは大幅にリニューアルされたからです。2015年からのものはバッチ番号を単純化した以外に、各バッチにブッカーと関連する何かを表すシンボルと名前が付けられるようになりました。犬とか椅子とか魚とか肉とか色々なものです。ご丁寧にそれらに付随するストーリーもあります。これらは限定リリースや特別リリースではありませんが、ファンからしたら親しみやすく見ていて楽しい新機能です。

それでは、海外のバーボンマニアが作成してくれているデータをベースに、バッチの仕様を以下に纏めておきます。ブッカーズはかなりの年月継続して発売されてますし、特定の業者向けのボトリングもあり、または輸出国でその仕様も異なるかも知れず、全てを網羅するのは難易度が高いです。また私自身はコレクターでもマニアでもありません。それゆえ不完全だと思うので、ここに挙げられていないバッチをご存知の方はコメントよりお知らせ頂けると助かります。表記は左から順に、バッチ番号、名称があるものはその名称、括弧は蒸留年に熟成年数を足したことで得られる推定バッチング時期≒ボトリング時期≒リリース時期(後年の「2015-01」のような番号には付けていません)、熟成年数、プルーフ、特記事項、分かるものに関してはバレルの出自です。また、不確定要素には「?」を付しました。


【Booker's Batches ~Work-in-Progress~】

C-B-16-79 (Feb. 1986?) / 7YEARS OLD / 120.9 PROOF / Brown Wax / Individually Numbered
C-B-16-79 (Feb. 1987?) / 8YEARS OLD / 121.4 PROOF / Brown Wax
C-E-19-81 (May 1988) / 7YEARS OLD / 121.6 PROOF / Brown Wax
C-B-04-82 "Booker Noe's" (Feb. 1989) / 7YEARS OLD / 125.2 PROOF / Brown Wax 
C-C-16-82 "Booker Noe's" (Mar. 1989) / 7YEARS OLD / 126.0 PROOF / Brown Wax
C-I-27-82 "Booker Noe's" (Sep. 1989) / 7YEARS OLD / 125.3 PROOF
C-K-03-82 (Nov. 1989) / 7YEARS OLD / 124.2 PROOF
B-H-01-83 "Booker Noe's" (Aug. 1991) / 8YEARS OLD / 124.6 PROOF / Brown Wax
B-H-01-83 "PRIVATE STOCK" (Aug. 1991) / 8YEARS OLD / 125.4 PROOF / For Japanese Market
C-E-15-84 (Dec. 1990) / 6YRS 7MO / 124.6 PROOF
C-E-15-84 "Booker Noe's" (???. 1991) / 6YRS ?MO / 125.2 PROOF / For Japanese Connoisseur
C-E-15-84 (Oct. 1991) / 7YRS 5MO / 124.6 PROOF / Brown Wax
B-K-28-84 "Booker Noe's" (Jan. 1993) / 8YRS 2MO / 124.6 PROOF / Brown Wax
B-K-28-84 (Jan. 1993) / 8YRS 2MO / 124.6 PROOF
C-J-06-86 "Booker Noe's" (Oct. 1993) / 7YEARS OLD / 124.9 PROOF / Brown Wax
B-C-19-87 "Booker Noe's" (Apr. 1994) / 7YRS 1MO / 126.5 PROOF
C87-B-19 "PRIVATE STOCK" (Feb. 1994?) / 7YEARS OLD / 126.5 PROOF / For Japanese Market
C87-B-19 (May 1994) / 7YRS 3MO / 126.5 PROOF
C87-D-14 (Dec. 1994) / 7YRS 8MO / 126.1 PROOF / Japan Export?
C87-D-21 (Apr. 1995) / 8YEARS OLD / 125.3 PROOF
C-E-15-89 (May 1996) / 7YEARS OLD / 124.6 PROOF / Mimi
C88-J-17 (Oct. 1996) / 8YEARS OLD / 125.5 PROOF / Booker's Club 3 Sticker on Top
C89-E-26 (Mar. 1997) / 7YRS 10MO / 125.6 PROOF
C89-L-13 (May 1996) / 6YRS 5MO / 126.6 PROOF
C90-B-8 "10th Anniversary" (Feb. 1998) /  8YRS / 126.3 PROOF / Gold Wax
C90-D-11 (Aug. 1997) / 7YRS 4MO / 126.5 PROOF
C90-E-11 (Sep. 1997) / 7YRS 4MO / 126.5 PROOF / Booker's Club 3 Sticker on Top
C90-E-14 (Feb. 1998) / 7YRS 9MO / 126.7 PROOF
C90-K-28 (Sep. 1998) / 7YRS 10MO / 126.3 PROOF
C91-L-20 (May 1999) / 7YRS 5MO / 126.6 PROOF
C92-I-15 (Dec. 1999) / 7YRS 3MO / 126.5 PROOF
C92-K-05 (Aug. 2000) / 7YRS 9MO / 125.4 PROOF
B93-L-16 (Jan. 2001) / 7YRS 1MO / 126.3 PROOF
B94-E-13 (Jun. 2001) / 7YRS 1MO / 126.0 PROOF
B94-E-13 (Jan. 2002) / 7YRS 8MO / 126.4 PROOF
B95-C-31 (Jun. 2002) / 7YRS 3MO / 126.6 PROOF
B95-C-31 (Dec. 2002) / 7YRS 9MO / 126.7 PROOF
B95-C-31 (Mar. 2003) / 8YRS 0MO / 126.7 PROOF / Japan Export?
B95-C-31 (Aug. 2003) / 8YRS 5MO / 126.8 PROOF
B95-C-31 (Dec. 2003) / 8YRS 9MO / 126 PROOF
B96-C-15 "Booker Noe 1929-2004" (Jun. 2004) / 8YRS 3MO / 125.3 PROOF / Commemorative Label, Release Size : 3000
B96-L-23 (Nov. 2004) / 7YRS 11MO / 126.8 PROOF
C97-A-31 (Mar. 2005) / 8YRS 2MO / 126.6 PROOF
C97-B-07 (Aug. 2005) / 8YRS 6MO / 126.9 PROOF
C99-B-22 (Jan. 2006) / 6YRS 11MO / 124.7 PROOF
C00-A-20 (May 2006) / 6YRS 4MO / 124 PROOF
C00-A-20 (Aug. 2006) / 6YRS 7MO / 127 PROOF
C00-A-20 (Oct. 2006) / 6YRS 9MO / 127 PROOF
C00-K-15 (Jun. 2007) / 6YRS 7MO / 126.4 PROOF
C01-A-18 (Aug. 2007) / 6YRS 7MO / 124.9 PROOF
C01-A-18 (Jan. 2008) / 7YRS 0MO / 125.7 PROOF
C01-A-18 (Apr. 2008) / 7YRS 3MO / 125.4 PROOF
C01-A-18 (Apr. 2008) / 7YRS 3MO / 125.7 PROOF
C01-K-07 (Sep. 2008) / 6YRS 10MO / 126 PROOF
C02-A-18 (Dec. 2008) / 6YRS 11MO / 126.9 PROOF
C02-A-18 (Mar. 2009) / 7YRS 2MO / 130.1 PROOF
"FRED NOE SELECT FOR SEIJO ISHII" NO. 1 / 6YRS 10MO / 125.0 PROOF / Release Size : 1000, Special Box
"FRED NOE SELECT FOR SEIJO ISHII" NO. 2 / 6YRS 10MO / 122.0 PROOF / Release Size : 700, Special Box
"FRED NOE SELECT FOR SEIJO ISHII" NO. 3 /6YRS 10MO / 122.0 PROOF / Release Size : 300, Special Box
C02-I-24 (Sep. 2009) / 7YRS 0MO / 128.4 PROOF
C03-A-29 (Jan. 2010) / 7YRS 0MO / 127.9 PROOF
C03-A-29 (May 2010) / 7YRS 4MO / 128.6 PROOF / Japan Export?
C03-I-16 (Sep. 2010) / 7YRS 0MO  / 127.4 PROOF
C03-I-17 (Jan. 2011) / 7YRS 4MO / 128.0 PROOF
C04-A-28 (May 2011) / 7YRS 4MO / 129.1 PROOF
C04-A-28 (Aug. 2011) / 7YRS 7MO / 128.6 PROOF
C04-J-19 (Nov. 2011) / 7YRS 1MO / 129.2 PROOF
C05-A-12 (Feb. 2012) / 7YRS 1MO / 130.0 PROOF
C05-A-12 (Jun. 2012) / 7YRS 5MO / 128.5 PROOF
C06-B-15 (Mar. 2013) / 7YRS 1MO / 127.1 PROOF
C06-B-15 (Mar. 2013) / 7YRS 1MO / 128.9 PROOF
C06-B-15 (May 2013) / 7YRS 3MO / 127.1 PROOF
C06-K-08 (Nov. 2012) / 6YR 0MO / 130.4 PROOF
C06-K-08 (Jan. 2013) / 6YR 2MO / 128.5 PROOF / Kentucky Derby Festival 2013
2013-06 / 7YRS 6MO / 125.9 PROOF / Roundtable Selection
2013-07 / 7YRS 0MO / 128.0 PROOF
2014-01 "25th Anniversary Edition" / 10YRS 3MO / 130.8 PROOF / Gold Wax
2014-02 / 7YRS 0MO / 126.8 PROOF / Japan Export
C07-A-12 (Jan. 2014) / 7YRS 0MO / 130.6 PROOF
C07-B-7 (Apr. 2014) / 7YRS 2MO / 130.8 PROOF / Roundtable Selection
C2014-05 / 7YRS 5MO / 127.9 PROOF
2014-06 / 7YRS 2MO 14DAYS / 127.7 PROOF / Roundtable Selection
2014-07 / 7YRS 7MO 13DAYS / 128.9 PROOF
2015-01 "Big Man, Small Batch" / 7YRS 2MO 16DAYS / 128.7 PROOF
2015-02 "Dot's Batch" / 7YRS 0MO 18DAYS / 127.9 PROOF
2015-03 “The Center Cut” / 7YRS 2MO 28DAYS / 127.2 PROOF / Roundtable Selection
2015-04 "Oven Buster Batch" / 6YRS 5MO 20DAYS / 127.0 PROOF / Roundtable Selection
2015-05 "Maw Maw's Batch" / 6YRS 7MO 3DAYS / 128 PROOF
2015-05 (No Batch Name) / 6YRS 7MO / 128.0 PROOF / Export
2015-06 "Noe Secret" / 6YRS 8MO 7DAYS / 128.1 PROOF / Roundtable Selection
2016-01 "Booker's Bluegrass" / 6YRS 11MO  0DAYS / 127.9 PROOF
The first batch of Bookers for 2016 is made up of barrels that were stored in 7 different rack houses. 61% of the barrels were stored in 9 story houses, 34% were stored in 7 story houses, and remaining 5% were stored in a 5 story rack house. The ages of the barrels in the batch range from 6 years 11 months old to 7 years 11 months old.
2016-01E (No Batch Name) / 6YRS 1MO / 127.7 PROOF / Export
2016-02 "Annis' Answer" / 6YRS 2MO 1DAYS / 126.7 PROOF
The batch is made up of barrels from four different production dates stored in 5 different storage areas. The oldest barrels in the batch were 7 years, 1 month old and the youngest barrels were 6 years, 2 month old.
2016-LE "Big Time Batch" Booker's Rye / 13YRS 1MO 12DAYS / 136.2 PROOF / Green Wax and Label
2016-03 “Toogie's Invitation” / 6YRS 4MO 4DAYS / 129.0 PROOF / Roundtable Selection
"Toogie’s Invitation" is culled from barrels located in six different rack houses.
2016-04 “Bluegill Creek” / 6YRS 5MO 28DAYS / 128 PROOF
"Bluegill Creek" is made up of barrels from four different rack houses and five different production dates.
2016-05 “Off Your Rocker” / 6YRS 7MO 23DAYS / 129.7 PROOF
"Off Your Rocker" is made up of barrels located in four different rack houses with four different production dates.
2016-06 “Noe Hard Times” / 6YRS 10MO 1DAYS / 127.8 PROOF
"Noe Hard Times" is made up of barrels from 6 different rack houses with six different production dates.
2017-01 “Tommy’s Batch” / 6YRS 4MO 6DAYS / 128.5 PROOF / Roundtable Selection
41% came from the 6th floor of 9-story warehouse E
13% came from the 6th floor of 9-story warehouse H
46% came from the 7th floor of 9-story warehouse D
2017-01E (No Batch Name) / 6YRS 1MO 0DAYS / 125.4 PROOF / Export
2017-02 "Blue Knights Batch" / 6YRS 3MO 3DAYS / 127.4 PROOF
2% came from the 4th floor of 7-story warehouse ONE 
38% came from the 7th floor of 9-story warehouse D
33% came from the 4th floor of 9-story warehouse F
27% came from the 6th floor of 9-story warehouse J
2017-03 “Front Porch Batch” / 6YRS 5MO 25DAYS / 125.9 PROOF
8% came from the 5th floor of 9-story warehouse D
14% came from the 7th floor of 9-story warehouse D
37% came from the 4th floor of 9-story warehouse E
5% came from the 5th floor of 9-story warehouse E
16% came from the 6th floor of 9-story warehouse E
20% came from the 4th floor of 9-story warehouse F
2017-04 “Sip Awhile” / 6YRS 8MO 14DAYS / 128.1 PROOF
4% came from the 6th floor of 9-story warehouse F
4% came from the 7th floor of 9-story warehouse F
8% came from the 4th floor of 9-story warehouse E
39% came from the 5th floor of 9-story warehouse E
45% came from the 7th floor of 9-story warehouse H
2018-01 “Kathleen's Batch” / 6YRS 3MO 14DAYS / 127.4 PROOF / Roundtable Selection
4% came from the 5th floor of 7-story warehouse ONE
6% came from the 4th floor of 9-story warehouse F
3% came from the 7th floor of 9-story warehouse F
19% came from the 4th floor of 9-story warehouse H
30% came from the 5th floor of 9-story warehouse H
13% came from the 6th floor of 9-story warehouse H
25% came from the 7th floor of 9-story warehouse H
2018-01E (No Batch Name) / 6YRS 3MO / 127.4 PROOF / Export
2018-02 “Backyard BBQ” / 6YRS 2MO 10DAYS / 128.8 PROOF
4% came from the 4th floor of 9-story warehouse E
29% came from the 5th floor of 9-story warehouse E
10% came from the 7th floor of 9-story warehouse E
8% came from the 5th floor of 9-story warehouse J
32% came from the 6th floor of 9-story warehouse I
17% came from the 7th floor of 9-story warehouse I
2018-03 “Kentucky Chew” / 6YRS 4MO 12DAYS / 126.7 PROOF
29% came from the 4th floor of 9-story warehouse D
42% came from the 6th floor of 9-story warehouse D
8% came from the 4th floor of 9-story warehouse I
8% came from the 7th floor of 9-story warehouse I
6% came from the 6th floor of 9-story warehouse J
2% came from the 7th floor of 9-story warehouse J
5% came from the 5th floor of 7-story warehouse N
2018-04 “Kitchen Table” / 6YRS 8MO 7DAYS / 128.0 PROOF
7% came from the 4th floor of 9-story warehouse E
14% came from the 5th floor of 9-story warehouse E
4% came from the 6th floor of 9-story warehouse E
24% came from the 5th floor of 9-story warehouse J
44% came from the 6th floor of 9-story warehouse J
7% came from the 6th floor of 9-story warehouse D
"30th Anniversary Limited Edition" / 30% 16 Year and 70% 9 Year / 125.8 PROOF / Silver Wax
2019-01 "Teresa's Batch" / 6YRS 3MO 1DAYS / 125.9 PROOF
2% came from the 2nd floor of 7-story warehouse 5
1% came from the 4th floor of 7-story warehouse 5
10% came from the 6th floor of 9-story warehouse D
3% came from the 4th floor of 9-story warehouse E
25% came from the 5th floor of 9-story warehouse E
25% came from the 6th floor of 9-story warehouse E
28% came from the 5th floor of 9-story warehouse J
3% came from the 6th floor of 9-story warehouse J
3% came from the 8th floor of 9-story warehouse J
2019-01E (No Batch Name) / 6YRS 3MO / 125.9 PROOF / Export
2019-02 "Shiny Barrel Batch" / 6YRS 5MO 1DAYS / 124.0 PROOF
18% came from the 6th floor of 9-story warehouse D
39% came from the 4th floor of 9-story warehouse E
43% came from the 4th floor of 9-story warehouse J
2019-03 "Booker's Country Ham" / 6YRS 4MO 2DAYS / 124.7 PROOF
51% came from the 7th floor of 9-story warehouse H
5% came from the 3rd floor of 7-story warehouse P
44% came from the 4th floor of 7-story warehouse P
2019-04 "Beaten Biscuits" / 6YRS 6MO 19DAYS / 126.1 PROOF
47% came from the 6th floor of 9-story warehouse H
11% came from the 4th floor of 7-story warehouse P
42% came from the 5th floor of 7-story warehouse P
2020-01 "Granny's Batch"  / 6YRS 4MO 21DAYS / 126.4 PROOF
24% came from the 6th floor of 9-story warehouse G
22% came from the 4th floor of 9-story warehouse H
16% came from the 4th floor of 7-story warehouse L
24% came from the 5th floor of 7-story warehouse L
10% came from the 6th floor of 7-story warehouse L
4% came from the 5th floor of 7-story warehouse P
2020-01E (No Batch Name) / 6YRS 4MO / 126.4 PROOF / Export
2020-02 "Boston Batch" / 6YRS 3MO 10DAYS / 126.5 PROOF
11% came from the 3rd floor of 7-story warehouse 5
33% came from the 5th floor of 9-story warehouse G
27% came from the 6th floor of 9-story warehouse H
29% came from the 5th floor of 7-story warehouse Z
2020-03 "Pigskin Batch" / 6YRS 7MO 7DAYS / 127.3 PROOF
14% came from the 6th floor of 7-story warehouse L
15% came from the 6th floor of 9-story warehouse H
27% came from the 5th floor of 7-story warehouse M
32% came from the 4th floor of 7-story warehouse X
12% came from the 5th floor of 7-story warehouse Z
2021-01 "Donohoe's Batch" / 6YRS 11MO 4DAYS / 125.3 PROOF
16% came from the 2nd floor of 9-story warehouse H
8% came from the 6th floor of 9-story warehouse H
4% came from the 6th floor of 7-story warehouse L
16% came from the 4th floor of 7-story warehouse X
9% came from the 5th floor of 7-story warehouse X
47% came from the 5th floor of 7-story warehouse Z
2021-01E (No Batch Name) / 6YRS 11MO / 125.3 PROOF / Export
2021-02 "Tagalong Batch" / 6YRS 5MO 0DAYS / 127.9 PROOF
4% came from the 3rd floor of 7-story warehouse 5
3% came from the 4th floor of 7-story warehouse X
13% came from the 5th floor of 9-story warehouse D
33% came from the 6th floor of 9-story warehouse H
40% came from the 7th floor of 9-story warehouse H
7% came from the 5th floor of 7-story warehouse Z
2021-03 "Bardstown Batch" / 6YRS 7MO 7DAYS / 127.3 PROOF
8% came from the 2nd floor of 9-story rackhouse H
27% came from the 5th floor of 9-story rackhouse H
24% came from the 6th floor of 9-story rackhouse D
11% came from the 5th floor of 7-story rackhouse Z
19% came from the 5th floor of 7-story rackhouse 1
11% came from the 8th floor of 9-story rackhouse J
2021-04 "Noe Strangers Batch" / 6YRS 6MO 12DAYS / 124.4 PROOF
3% came from the 2nd floor of 9-story warehouse H
27% came from the 5th floor of 9-story warehouse D
39% came from the 6th floor of 9-story warehouse J
31% came from the 5th floor of 7-story warehouse Q
2022-01 "Ronnie's Batch" / 6YRS 11MO 22DAYS / 124.3 PROOF
4% came from the 3rd floor of 7-story warehouse 5
7% came from the 4th floor of 9-story warehouse D
15% came from the 5th floor of 7-story warehouse 1
26% came from the 5th floor of 7-story warehouse Q
48% came from the 5th floor of 7-story warehouse Z
2022-01E (No Batch Name) / 6YRS 11MO / 124.3 PROOF / Export
2022-02 "The Lumberyard Batch" / 7YRS 1MO 7DAYS / 124.8 PROOF
2% came from the 4th floor of 7-story warehouse X
3% came from the 3rd floor of 7-story warehouse 5
3% came from the 4th floor of 9-story warehouse D
17% came from the 4th floor of 7-story warehouse Z
19% came from the 5th floor of 7-story warehouse Q
28% came from the 4th floor of 7-story warehouse 1
28% came from the 6th floor of 7-story warehouse Z
2022-03 "Kentucky Tea Batch" / 7YRS 4MO 14DAYS / 126.5 PROOF
2% came from the 3rd floor of 7-story warehouse 5
1% came from the 4th floor of 7-story warehouse X
1% came from the 4th floor of 9-story warehouse D
12% came from the 4th floor of 7-story warehouse 1
24% came from the 5th floor of 7-story warehouse Q
14% came from the 6th floor of 7-story warehouse Q
46% came from the 6th floor of 7-story warehouse Z
2022-04 "Pinkie's Batch" / 6YRS 10MO 10DAYS / 122.4 PROOF
47% came from the 3rd floor of 7-story warehouse Z
36% came from the 4th floor of 7-story warehouse 1
11% came from the 4th floor of 7-story warehouse X
6% came from the 5th floor of 7-story warehouse Q
SINGLE BARREL "Second Chance Batch" / 7yrs 6mo 17days / 123.6 PROOF / WAREHOUSE D / FLOOR 4 / Blue Label, Blue Wax, For Medicinal Whiskey Charity
2023-01 "Charlie's Batch" / 7YRS 1MO 8DAYS / 126.6 PROOF
3% came from the 5th floor of 7-story warehouse Q
17% came from the 4th floor of 7-story warehouse G
24% came from the 4th floor of 7-story warehouse Z
27% came from the 5th floor of 7-story warehouse Z
29% came from the 5th floor of 7-story warehouse 1
2023-01E (No Batch Name) / 7YRS 1MO / 126.6 PROOF / Export
2023-02 "Apprentice Batch" / 7YRS 1MO 2DAYS / 125.5 PROOF
7% came from the 7th floor of 9-story warehouse H
9% came from the 4th floor of 7-story warehouse W
11% came from the 4th floor of 7-story warehouse 1
18% came from the 4th floor of 7-story warehouse O
19% came from the 4th floor of 9-story warehouse G
36% came from the 4th floor of 7-story warehouse Z
2023-03 "Mighty Fine Batch" / 7YRS 1MO 10DAYS / 126.6 PROOF
2% came from the 5th floor of 7-story warehouse Q
3% came from the 6th floor of 7-story warehouse Z
8% came from the 5th floor of 9-story warehouse G
10% came from the 6th floor of 7-story warehouse I
10% came from the 5th floor of 9-story warehouse H
12% came from the 5th floor of 9-story warehouse G
55% came from the 5th floor of 7-story warehouse 3
2023-04 "The Storyteller Batch" / 7YRS 2MO 29DAYS / 127.8 PROOF
26% came from the 6th floor of 7-story warehouse Z
14% came from the 6th floor of 9-story warehouse H
25% came from the 5th floor of 9-story warehouse G
35% came from the 5th floor of 7-story warehouse 3
2024-01 "Springfield Batch" / 7YRS 7MO 8DAYS / 124.5 PROOF
17% came from the 5th floor of 9-story warehouse G
7% came from the 4th floor of 9-story warehouse H
31% came from the 5th floor of 7-story warehouse Z
45% came from the 4th floor of 7-story warehouse 3
2024-01E (No Batch Name) / 7YRS 1MO 12DAYS / 124.4 PROOF / Export
2024-02 “The Beam House Batch” / 7 YRS 2MO 22DAYS / 124.6 PROOF
14% came from the 5th floor of 7-story warehouse Z
28% came from the 4th floor of 7-story warehouse 3
14% came from the 4th floor of 7-story warehouse 3
19% came from the 5th floor of 7-story warehouse Q
25% came from the 7th floor of 9-story warehouse H

THE RESERVES 2024 / 8YRS 2MO 12 DAYS / 125.9 PROOF
8 Years, 2 Months, 12 Days on the 4th floor of warehouse G
8 Years, 5 Months, 19 Days on the 5th floor of warehouse I
8 Years, 5 Months, 20 Days on the 5th floor of warehouse Z
9 Years, 2 Months, 3 Days on the 5th floor of warehouse Q
9 Years, 2 Months, 4 Days on the 6th floor of warehouse J
9 Years, 5 Months, 18 Days on the 7th floor of warehouse H
10 Years, 3 Months, 2 Days on the 4th floor of warehouse X
14 Years, 4 Months, 16 Days on the 6th floor of warehouse I
2024-03 “The Master Distillers Batch” / 7YRS 8MO 7DAYS / 130.3 PROOF
10% came from the 6th floor of 7-story warehouse Z
11% came from the 6th floor of 7-story warehouse 1
42% came from the 6th floor of 7-story warehouse 3
37% came from the 3rd floor of 9-story warehouse J
2024-04 “Jimmy's Batch” / 7YRS 9MO 19DAYS / 125.8 PROOF
12% came from the 5th floor of 7-story warehouse Z
20% came from the 5th floor of 7-story warehouse 1
46% came from the 3rd floor of 7-story warehouse 3
22% came from the 4th floor of 7-story warehouse Q


少し補足しておくと、特記事項に出てくるラウンドテーブル・セレクションというのは、円卓会議を意味する言葉です。基本的にブッカーズ・バーボンは、蒸留所で働く選ばれた人々にテイスティングしてもらい意見を伺うらしいのですが、このラウンドテーブルとしてリリースされているブッカーズは、蒸留所の関係者ではないけれどバーボンを愛するライターや著名人、所謂インフルエンサーにブッカーズのバッチ選択を手伝ってもらったものを指します。大体3つのサンプルの中からどれがブッカーズに相応しいか投票形式で決めて行くのだとか。
また、前半の方に「ブッカー・ノーズ」と名付けられたブッカーズがあります。これは聞くところによると、日本のバーボンマニアの間で「ブッカーズ/ブッカー・ノーズ問題」と呼ばれているようで、つまりはこの二つの違いは何なんだ?と云うことなのですが、日本の或る高名なウィスキーブロガーの方は他方はシングルカスク(シングルバレル)なのではないかと想像してみたり、なかなか尽きないホットなトピックみたいです。なので私もここで自分の想像を披瀝してみたいと思います。
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先ず、最初の発売時はブッカー・ノーズで、ある時からブッカーズに名称変更された、というなら話は簡単だったのですが、これは確実に違います。上のリストの始めの三つは「Booker's」だからです。次に、ブッカーズが初期の段階では国内仕様をブッカーズ、日本輸出仕様をブッカー・ノーズにしていた、これはその可能性もあるし、そうでもなさそうな気もするし、明確に判らないので取りあえず放置。続いて、一方の質が高い説、例えばブッカーズはスモールバッチでブッカー・ノーズはシングルバレルとか、他方は熟成年数が長いとか、蒸留時点で造り分けてるなど中身に明瞭なスペックの違いがあると考える説は、個人的には賛同できません。おそらくブッカーズにはシングルバレルはなく、ブッカー・ノーズも含めて常にスモールバッチだったのではないかと思います。明確な根拠がある訳ではないのですが、ブッカー・ノーはシングルバレル・バーボンのファンではなかったと聞きます。シングルバレルはその性質上、一貫性がなく、当該のブランドにシングルバレルに相応しいベスト・バレルを使用してしまうと、ブランド全体のフレイヴァー・プロファイルが弱くなることを彼は知っていました。それがスモールバッチのコンセプトに拘った所以でしょう。それに、既に84年の時点でブラントンズというシングルバレル・バーボンが発売されているのですから、もしシングルバレルのブッカーズを造ったのだったら、あれほど似たようなラベルにせず、もっと高級感を演出するとか、或いはその事をもっと押し出したのではないでしょうか?  ロット「79」までの物が極端に小さい規模のスモールバッチだった、というなら理解は出来るのですが…。また、私には当時の価格が分からないのでこれまた憶測ですが、ブッカーズとブッカー・ノーズに品質の区別があったのなら販売価格は大いに違ったのではないでしょうか? 誰か知ってる方はいらっしゃいませんか?
じゃあ一体ブッカーズとブッカー・ノーズは何が違うんだと問われたら、両者は保証される品質に違いはなく、単なるラベルのヴァリエーションに過ぎないのではないか、というのが私の意見です。仮に、初期のブッカーズとブッカー・ノーズを全部取り揃えて飲み比べをし、その結果、例えば全てのブッカー・ノーズが全てのブッカーズより美味しく感じたとしても、やはりそれらは同じものと見做せると思います。何故なら、そもそもブッカーズはバッチ毎に味の変動があるとされるバーボンですし、少なくともラベルや公表されている情報から判断するに、ブッカー・ノーズはブッカーズの定義(ブッカーズたる条件的なスペック)を満たしているからです。何よりブッカーズとブッカー・ノーズですよ? これ日本語にしたら「ブッカーの」と「ブッカー・ノーの」ですから、どちらも指し示すものが一緒じゃないですか。極端な差があったら消費者は混乱してしまいます。それに、多分海外のバーボンマニアはこの名称の違いをそれほど気にしてないような気がします。ボトルのラベルはブッカーズでありながら、紙箱にはブッカー・ノーズと書かれているパターンの販売もよくありましたが、この件に関してツッコミを入れてる海外の方を見たことがないのです。
2019-08-06-09-12-31-231x409

箱に関しては上の画像のように、ブッカーズ・トゥルーバレル・バーボンとかブッカー・ノーズ・スペシャルバレル・バーボン等と書かれており、初期ラベル同様一定の文句で統一されていません。これはどう考えても両者が認識として同じもの、同じ事柄の別表現なのを暗示しているように思えてならないのです。おそらく二種類の名称が生まれた原因はブッカー自身にあったのではないか、と私は勘繰っています。ブッカーズ誕生の場面を思いっきり妄想してみましょう。


伝説によれば、ブッカーは親しい友人や家族や蒸留所で働く人々に、特別に選んだ樽から出来たバーボンを振る舞ったと云う…

ゴクゴク

A氏「いやぁ、旨めえなぁ、このバーボン」

B氏「ほんとだ、こいつぁ旨めぇ、こりゃ明日ブッカーさんにお礼を言わなきゃだな」

翌日

A氏「なぁ、ブッカーさんよ、昨日くれたあのバーボン、すげぇ旨かったよ、ありがとうな。ありゃいったいなんてバーボンなんだい?」

B氏「そうだそうだ、俺もそれが聞きてぇ、これからも飲みてえんだよ」

ブッカー氏「名前なんてねぇよ、…そうだなぁ、強いて言うなら、俺んだ」

A氏「ブッカーズってわけかい?」

B氏「へへぇ、そいつはいいや、カッコいいじゃねーか」

と、まあこんな感じの会話があったとかなかったとか…



私の推測では、ブッカーにとっては「ブッカーズ」でも「ブッカー・ノーズ」でも、どっちでもよかったし、それらは同じ意味だった。しかし、消費者もしくはブランディングやデザインに携わる担当者には違った。「ブッカーズ」の方が断然クールな響きだった。それ故「ブッカー・ノーズ」はいつしか淘汰され、「ブッカーズ」が生き残った。或いはブッカー本人が「ブッカーズ」の方を気に入ったのかも知れない。

…えー、はい、空想話はこれくらいにして、そろそろテイスティングへ…。

先に述べたように、今回飲んだブッカーズにはバッチナンバーのシールがありません。なので熟成年数も不明、インポーターのシールも見当たらないので度数すら分からないのです。が、瓶底に辛うじて15という数字が読み取れるので、おそらく2015年のエクスポートではないかと思われます。木箱が以前のナチュラル・カラーの物から、ロッキンチェアに座るブッカーがプリントされた濃い茶色の物に代わったのも2015年だし、私の購入した時期も考え合わせると、多分間違いないかと。

IMG_20190807_010535_574
Booker's ? Proof
Batch No. ?
推定2015年ボトリング、6年7カ月熟成、128プルーフ。糖蜜とハーブ、シナモンアップルパイ、線香、僅かなカラメル、きな粉。どこか植物を思わせるアロマと木香。オイリーな口当たり。パレートはオレンジ(後にメロンに変化)を感じる。アルコール感は穏やか。余韻はややウッディなビター感が始めに来て、それが消えるとビーム・バーボンに共通するフルーツが微かに揺蕩う。ナッティさはあまり感じない。香りがハイライト。
Rating:88/100

Thought:先日まで飲んでいたノブクリークのシングルバレルとは全然キャラクターが違う仕上がりなのは流石でした。また、このブッカーズの前に飲んだブッカーズ(2012年のバッチ)が凡庸だったのに比べると、特別なフィーリングは感じました。うんうん、ブッカーズはこうでなくっちゃね、と。但し、加水し過ぎたりロックで飲むと酷く平凡なのは気になりました。加水して60度くらいに下げるなら、端からノブクリーク・シングルバレルを飲んだ方が美味しいと思います。

Value:一昔前までブッカーズは日本では5000円程度で買えていました。アメリカでも安いと40ドル~大体50ドル程度で買えていたようです。しかし、2016年になるとビームはブッカーズの価格を約二倍にする計画を立てました。ビーム広報が出した2016年暮れのアナウンスによれば、「希少性と高品質、そして生産基準を犠牲にすることなく供給を維持する必要」から価格を引き上げることにした、と言うのです。と同時に年間6〜7バッチから4バッチに減産し、バッチサイズは従来通り約350バレルのままです。それは利用可能なボトルの数が約3分の1に縮小することを意味します。これにより日本への割り当ても少なくなり、例の「終売騒動」に繋がったのでしょう。今後はどうなるか判りませんが、値上げは時間をかけて段階的に実行されるようで、今のところアメリカ国内では約70~75ドル程度、日本でも希望小売価格はその程度の値段付けとなっています。
現在の産業全体のバーボン高需要からすれば、確かにビーム広報の言葉も本当ではあるでしょう。しかし、穿った見方をすると、NDPのややもするといかがわしいバーボンがブッカーズの2倍の希望小売価格だったり、他のスーパー・プレミアム・クラス・バーボンがその価格帯で販売されている状況に、ビームの上層部はイライラしていたのではないでしょうか。言うなれば、ヴァン・ウィンクルやバッファロートレース・アンティーク・コレクションのような存在にブッカーズをするべきと考えたのではないかと。2016年発売のブッカーズ・ライが300ドルでも即座に売り切れたという事実が彼らにアイデアを与えた可能性があると、バーボン・ライターからも示唆されています。
当たり前の話、どんな企業も停滞より成長を望みます。熟成期間を経なければ販売できないウィスキービジネスにとって、急な需要増は対応に苦慮する危機であると同時にチャンスでもあり、賢明なプレイヤーなら、価格を上昇させて需要を少し抑えながらも利益を増やすことでしょう。できれば、更なる需要の成長と顧客のロイヤルティを損なわずに。それは理解できるにしても小売価格を2倍はクレイジーです…。
日本の状況を見て下さい。2019年バッチが7月に発売されると、おそらく適正価格で販売する店舗や通販サイトからは瞬く間に消えたと思われます。しかし、どうも転売ヤーなる「職業」があるらしく、オークションにはそれなりに豊富なタマ数で出品はされています。落札相場は概ね10000~12000円程度で、図らずもビームの希望通りの金額と言っていいでしょう。また、メーカー希望小売価格より強気の価格設定をする店舗も、概ね10000円程度での販売価格のようです。仮に定価が7500円とするならば、手に入りにくい物への対価としては、まあ妥当な落札価格や販売価格なのかも知れません。しかし、味や品質面から言ったらノブクリーク・シングルバレルが5000円の時、ブッカーズを倍額で買う価値があるかと問われたら、個人的には「No」ですね。私なら迷わずノブクリーク・シングルバレルを2本買います。もちろんフレイヴァー・プロファイルは違いますし、ブッカーズの方が美味しいかも知れません。いや、美味しい。それに、有り難みもある。しかし、それでも5000円VS10000円は検討に値するエコノミクスです(***)。


*日本語ではブッカー・ノーの「Noe」を「ノォ」または「ノウ」あるいは「ノエ」と表記する習慣が見られます。実際の発音は「イエス、ノー」の「No」と同じなのですが、おそらく女優のユマ・サーマンの実際の発音が「ウマ・サーマン」に近いのに、日本語で「馬」を連想させるため「ユマ」と表記するようになったのと同じ発想で、拒否の「No」を連想させないような配慮からそう表記しているのだと思われます。しかし、当ブログでは「ノー」を採用しています。これでも特に問題ないと思うので。

**他にもビームはフランクフォートにナショナル・ディスティラーズから引き継いだ元々オールドグランダッドを造っていた蒸留所を所有していますが、ここでは現在蒸留は行われていません(熟成庫とボトリング施設はあります)。またクレアモント・プラントとボストン・プラントのDSPナンバーは同じ230です。施設が違うのに同じ番号なのは、おそらくDSPナンバーは施設や土地に付けられるのではなく蒸留器に付けられる番号だからだと思います。そこから察するに、クレアモントとボストンは、規模は違ったとしてもほぼ同じ生産設備を備えている、つまり蒸留される物は同じものだと仮定されているでしょう。それでも多少の造り分けはされているようで、一説にはボストンでは殆どがジムビーム・ホワイトラベルになる物を生産し、その他のブランドの原酒はクレアモントでの生産だと言われています。ちなみにボストンにはボトリング施設はなく、そのせいかジムビーム系バーボンのラベルには大概クレアモント(もしくはフランクフォート)の記載しかありません。

***私を含む大概の消費者は、価格は品質に等しいと信じる「価格の心理学」に囚われがちです。そのことは忘れずにいたいもの。

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フォアローゼズは2種類のマッシュビルと5種類のイーストを使う10のバーボンレシピを持っています。そして、それらをブレンドして(シングルバレルは除く)各ブランドを作り出します。そのうちOBSK、OESK、OBSO、OESOの4つをブレンドして作成するのがスモールバッチです。この独特の略号については以前のシングルバレルの投稿で解説してますので、そちらを参照下さい。一応簡単に説明しておきますと、最初の文字は常に「O」で生産施設であるフォアローゼズ蒸留所を表し、2番目の文字は「E」(75%コーン/20%ライ/5%モルテッドバーリー)か「B」(60%コーン/35%ライ/5%モルテッドバーリー)でマッシュビルを指します。3番目の文字は常に「S」でストレートウィスキーの意、4番目の文字はイーストの種類を表し、「V」(繊細な果実)、「K」(僅かなスパイス)、「O」(濃い果実)、「Q」(フローラルエッセンス)、「F」(ハーブの香り)の何れかで示されます。スモールバッチは2006年から導入されました。

現マスターディスティラーのブレント・エリオットによると、正確な数はバッチにより異なるものの、平均バッチサイズは約250樽だそうです。熟成年数はNASですが概ね6年と7年で、6年以下の原酒は入れず、時には8年物の樽が含まれる場合もあり、バッチあたりの平均年数は通常6年半とされます。フォアローゼズでは45秒のチャーリング(#3と#4の中間のチャー・レヴェル)を施した樽を、コックス・クリークにある平屋のリックハウスで熟成。4つのレシピのバーボンは各バッチを構成するために常に使用され、要求されるフレイヴァー・プロファイルと容量のため、樽は複数の倉庫から引き出し、ダンピングの前に各レシピの代表的なサンプルを取り出してブレンドし、ラボでテストするのだとか。

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Four Roses Small Batch 90 Proof
年式不明、購入は2019年。並行輸入。香ばしい焦げ樽、熟したプラム、ホワイトペッパー、ラズベリー、ジンジャー、タバコ。さらりとした口当たり。余韻には香ばしさとペッパー感が残りやすい。一二滴の加水でフルーツをたっぷりと添えたパンケーキを思わせる香りへ。
Rating:85/100

Thought:以前飲んだジム・ラトリッジがマスターディスティラーの時代(2015年以前)の物より、やや甘味がなくフルーティさに欠けるように感じました。何と言うか、焦樽感が強くメロウさが足りない印象。少し昔の情報でスモールバッチの熟成年数を平均7~8年としているのを見かけたことがあるので、もしかするとここ数年のバーボン高需要によって平均熟成年数が下がっているなんてこともあるのかも。また同じ理由からバッチサイズも昔はもっと少ない樽数だった可能性もあるかも知れませんね。ブレントは前マスターディスティラーで伝説とも言えるジム・ラトリッジのもとで十年くらい共にフォアローゼズをクリエイトして来た人なので、マスターディスティラーの交代によって味が落ちたとは考えにくく、疑うなら高需要による熟成年数の変化ではないかと思った次第です。まあ、私の味覚の方が当てにはなりませんけど…。スモールバッチのバッチ毎の味の違いについて皆さんはどう思われるでしょうか? どしどしコメントお待ちしております。

Value:アメリカでは30ドルの価格帯、日本では安いところで3000~3500円で買えるフォアローゼズ・スモールバッチは、ブラックラベルが3000円、シングルバレルが5000円とすると、私にとっては味と価格のバランスに於いて「これ一択」の製品でした。ところが今回飲んだバッチの物はどうもイマイチに感じてしまい、これだったらブラックラベルの方を選ぶほうが…。上にも述べた昔(2013年あたり)飲んだスモールバッチを当ブログでレビューしてないのですが、点数を付けるなら86.5点でした。とは言え、こちらも現行の流通が広範囲の製品としては今だに高いレヴェルにあるとは思っています。特にブラックラベルと較べてハイプルーフなのは価値が大きい。
幸いフォアローゼズの製品ラインナップはなかなかバランスよく揃っているので、安さを求める方ならイエローラベル、それより質の高い物の中でライト志向の方ならブラックラベル、強さを求める方ならシングルバレル、そしてスペック的に中間のバランス型を志向する方ならスモールバッチと言ったところでしょう。プラチナは高額なので、別枠でプレゼント用ですかね。それぞれオーキー感の強さと風味に若干の違いはありますが、味わいはどれもフォアローゼズらしいフルーティで美味しいバーボンだと思います。


補足:「スモールバッチ」と云う用語はバーボンでは頻繁に使われますが、法律で定まった規格ではなく単なるマーケティング用語なのでちょっと注意が必要です。と言うのも、バッチは生産単位、スモールは少数、そこから一般的にスモールバッチは「少量生産の意」と説明されることが多く、あながち間違いではないし私だってそう説明することもあるのですが、実際のところスモールバッチ製品をリリースする蒸留所によってそのバッチサイズには余りにも大きな違いがあり、誤ったイメージを持ってしまうと言うか、人によってイメージする数に差が出てしまうでしょう。「少量」がどれくらいの量なのか定かではないのですから。具体的な数字を言うと、業界では2樽から300樽程度までのバッチングでボトリングした製品をスモールバッチと呼び慣わしています。小さな蒸留所では10樽前後をスモールバッチと表記し、大手蒸留所では300樽でもスモールバッチと表記するのです。例えばメーカーズマークのスタンダードは150樽程度のバッチングと言われますが、ラベルにスモールバッチとは書かれていません。メーカーズでは伝統的に19樽程度をスモールバッチとしているらしいです。逆にジムビームのスモールバッチ・コレクション(ノブクリーク等)は300樽前後、ワイルドターキーのレアブリードは200樽前後のバッチングと見られます。その一方でジョージディッケルのバレルセレクトは10樽前後、ウィレットのスモールバッチ・シリーズは最大で12樽とされている時期がありました。「は? 差あり過ぎじゃね?」ってなりますよね。個人的には紛らわしさの回避のため、2~30樽はヴェリー・スモールバッチと言ったほうが良いのではないかと思ってます。余談ですが。
「クラフト」や「ハンドメイド」と云う言葉も同じように、あまり意味をなさないマーケティング用語です。どこかしら「ぬくもり」や「こだわり」を感じさせ、小さいながらも一生懸命に仕事に打ち込んでいる姿をイメージさせます。スモールバッチ=少量生産のイメージもこれらと被るでしょう。ある意味、大手蒸留所からしたら都合のいい響きをもった言葉だからこそマーケティングに用いられるのが「スモールバッチ」と云う言葉なのです。こう言うと、何だか大手蒸留所が悪者のように聞こえてしまいますが、別にそういう訳でもありません。そもそもスモールバッチという言葉は、大昔に使われたこともあったかも知れませんが、現在の流行り言葉としてのルーツはジムビームにあります。ジムビームがスモールバッチ・コレクションを発売した当時、彼らはジムビーム・ホワイトラベルのために700〜800樽をバッチングしており、だからこそノブクリーク、ベイゼルヘイデンズ、ブッカーズ、ベイカーズの200〜350樽は比較的「小さく」見えました。それ故の「スモールバッチ」。ここに嘘はなく、単純な事実を表明しただけ、悪意があった訳ではないのです。

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バーンハイム・オリジナルはヘヴンヒル蒸留所で生産される小麦ウィスキーで2005年から発売されました。発売当時はアメリカ国内で唯一の小麦ウィスキーであることをウリにしていましたが、現在では隆盛を極めるマイクロ・ディスティラリーの中には独自の小麦ウィスキーを造り出すところも少なからずあります。またアメリカ初の小麦ウィスキーでもなく、典型的なバーボンが確立される以前には、トウモロコシより小麦が良く育つ地域にはあったものと推測されます。小麦ウィスキー(ウィート・ウィスキー)というのは、ざっくり言えば原材料に小麦を51%以上使ったウィスキーのこと。似た用語に小麦バーボン(ウィーテッド・バーボン)というのがありますが、こちらはメーカーズマークのようにセカンド・グレインにライ麦を使用せず、代わりに小麦を使用したバーボンを指します。

バーンハイム・オリジナルは発売当初、熟成年数が約5年とされるNAS(ノー・エイジ・ステイトメント)でしたが、2014年にパッケージがリニューアルされると7年熟成のエイジ・ステイトメント・ウィスキーへと変わりました。近年それまであった熟成年数表記がなくなる傾向にあるウィスキー業界では珍しいパターンと言えるでしょう。旧ボトルは中央に銅板風ラベルが貼ってあり、そのブロンズ色が引き立つ魅力的なパッケージでした。マッシュビルは51%冬小麦/39%トウモロコシ/10%大麦麦芽とされ、本当かどうか判断しかねますが熟成は倉庫Yでなされているという情報がありました。そして「スモールバッチ」を名乗りますので、おそらく150樽以下(75樽くらい?)でのバッチングと思われます。

製品のバーンハイムという名称は、I.W.ハーパーでお馴染みのアイザック・ウォルフ・バーンハイム氏やその兄弟、また彼らが設立した蒸留会社、及びその名を冠する現代の蒸留所にちなみ命名されました。もともとヘヴンヒル社の蒸留所はバーズタウンにあったのですが、96年にアメリカンウィスキー史上最大規模の悪夢のような大火災によって焼失。そこで替わりの蒸留施設を必要としたので、火災から三年後の99年にバーンハイム蒸留所を購入したのです。この蒸留所は1992年にギネス傘下のユナイテッド・ディスティラーズによって、ルイヴィルのディキシー・ハイウェイ近くのウェスト・ブレッキンリッジ・ストリートに開設され、当時最先端の製造技術を備えた近代的で大きな蒸留所でした。購入した際に、当時ヘヴンヒルのマスターディスティラーだったパーカー・ビームは、コラムスティルの上部とダブラーの内側に銅のメッシュを追加するなど独自の改造を施したと言います。バーンハイム・オリジナルが初めて発売された年とその熟成年数を考えると、バーンハイム蒸留所を所有した比較的早い時期に小麦ウィスキーを仕込んだのでしょう。ところで「バーンハイム」と「小麦」って、私には特に結び付きがあるように感じないのですが、なにゆえわざわざバーンハイムの名を冠するウィスキーが小麦ウィスキーとなったのでしょうか? ご存知の方はコメント頂けると助かります。
それは偖て措き、買収以来ヘヴンヒル社のスピリッツの生産拠点となっており、今ではヘヴンヒル・バーンハイム蒸留所と呼ばれるこの蒸留所は、ニュー・バーンハイムとも呼び習わされているのですが、それは旧来のバーンハイムとは全く別の蒸留施設だからです。旧バーンハイムは、マックス・セリガーとそのビジネスパートナーが運営していたアスターとベルモントという同じサイトにあった二つの蒸留所をルーツとしています。1933年の禁酒法の終わりにシカゴのビジネスマンであるレオ・ジャングロスとエミル・シュワルツハプトは、アイザック・バーンハイムがルイヴィルに建てた蒸留所とブランド、マリオン・テイラーからはオールド・チャーターのブランド、マックス・セリガーからは蒸留所とブランドを購入し、全ての事業を統合してベルモントとアスター蒸留所で生産を始めました。そしてその際に名称を「バーンハイム・ディスティラリー」へと変更し、そこでI.W.ハーパー、ベルモント、アスター、オールド・チャーター等を製造したのです。1937年にジャングロスとシュワルツハプトは事業をシェンリー社に売却。以来長いことシェンリーがバーンハイム蒸留所を所有していましたが、1987年にユナイテッド・ディスティラーズがシェンリーを吸収すると、古い蒸留所は解体され、上に述べたように1992年に「新しい」バーンハイム蒸留所が建設されたのでした。このように所有者が変わり、施設も一新されたからこそ新旧のバーンハイムを区別する習慣があるのです。

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さて、話が小麦ウィスキーから蒸留所の件に逸れてしまいましたが、今回はNASと7年表記があるものを比較する企画です。目視での色の違いは感じられません。

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Bernheim Original Wheat Whiskey NAS 90 Proof
年式不明、2014年以前(推定2012年前後)。焦樽、ハニー、薄いキャラメル香、トーストしたパン、僅かにシトラス。とにかく香りのヴォリュームが低い。あまりフルーツを感じないオーク中心の少し酸味のある香り。口当たりはさらさらで軽い。味わいはほんのりした甘さ。液体を飲み込んだ後のスパイス感もソフト。余韻は短くドライ気味。
Rating:82.5/100

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Bernheim Original Wheat Whiskey 7 Years Aged 90 Proof
年式不明、購入は2019年(2016年くらいのボトリング?)。プリンのカラメルソース、接着剤、ハニー、サイダー、強いて言うとオレンジ。香りはこちらの方が僅かに甘いが、接着剤感も少し強まる。また、こちらの方が口当たりにほんの少し円やかさを感じる。飲み心地と味わいはほぼ同じ。余韻はミディアムショートで苦め。
Rating:83/100

Verdict:7年物の方がほんの僅かにアロマとパレートに甘さを感じやすいような気がしたので、そちらを勝ちと判定しましたが、私には両者にそれほどの差を感じれませんでした。2年の熟成年数の差がもっとあると思って比較対決を企画したものの、これほど差がないと企画倒れの感は否めません…。総評として言うと、小麦ウィスキーはバーボンに較べ、オイリーさの欠如からか、軽いテクスチャーと感じますし、甘味も弱い気がします。それでいてライウィスキーほどフレイヴァーフルでもなく、強いて言うと腰の柔らかさとビスケッティなテイストが良さなのかなぁと。

Value:現代のプレミアム・バーボンに共通する香ばしい焦樽感はあるとは言え、NASが5000円近く、7年が7000円近くするこのウィスキーは、率直に言って私にとっては二回目の購入はないです。半値でも買わないかも知れません。こればかりは好みと言うしかありませんが、私には普通のバーボンかライウィスキーのほうが美味しく感じます。
アメリカでの価格は、販売店に大きく依存しますが概ね30ドル前後です。またインスタグラムのフォロワーさんで、カナダではなかなか見つけにくいと仰ってる方がいました。販売地域によっては手に入りにくいようです。

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ベイカーズは、ジムビームの誇るスモールバッチ・コレクションの一つで、92年からコレクションの三番目として発売されました。その名はベイカー・ビームにちなんで付けられています。彼は、同じくスモールバッチ・コレクションの筆頭とも言えるブッカーズの名の由来であるブッカー・ノーのカズン(はとこ?)であり、ジム・ビームことジェイムス・ボーリガード・ビームの弟であるパーク・ビームの孫に当たります。父親はビーム蒸留所の伝説的マスターディスティラー、カール・"シャックス"・ビームです。
蒸留一家に生まれたベイカーは弟のデイヴィッドと共に、蒸留所の上の丘に建つ、現在ではジェレマイア・ハウスと呼ばれる「大きな白い家」で育ちました。子供の頃、彼らは後にヘヴンヒル蒸留所のマスターディスティラーとなるいとこのパーカー・ビームと一緒に、蒸留所の向かい側のバーンハイム・フォレストで自転車に乗って遊んでいたそうです。ビーム家の他の殆どの人と同じように、兄弟は自然と蒸留所で働くようになり、長年に渡りクレアモントで蒸留所の職務を分担しました。ベイカーが最初に蒸留所で働き始めたときは夜間警備員だったと云います。その後、整備から蒸留まで蒸留所の様々な仕事をこなし、最終的にクレアモント・プラントでヘッドディスティラーに登り詰めました。同じ頃、ブッカーはビーム・ファミリー第六世代マスターディスティラーになる前にボストン・プラントを監督していました。
バーボン史的に言うと、1980年代半ばから90年代初頭にかけてのシングルバレルやスモールバッチと言われるプレミアム・バーボンの誕生が、現在のバーボン人気の礎を築いたと見られています。当時、消費者(海外市場、特に日本市場の)はスコッチのシングルモルトのようなもう少し高級なバーボンを求めました。或いは逆に、酒類販売会社のPRが消費者をそのように育てた側面もあったでしょう。ブッカーはブランド・アンバサダーとして「スター性」を持った最初のマスターディスティラーでした。スモールバッチ・バーボンを世に広めた功績は計り知れません。しかし、ベイカーは知名度こそブッカーに劣るものの、ビーム蒸留所のメイン・ファシリティであるクレアモントでディスティラーをしていた人物です。ビームの二つの工場では、ベイカー、デイヴィッド、ブッカーが同時にディスティラーでした。ベイカーはクレアモントでデイ・シフトを、デイビッドはナイト・シフトを担当しました。ブッカーはボストンです。二つのプラントの相対的なステータスを考えると、ベイカーは蒸留技術者としては寧ろブッカーより重要だったと思われます。ベイカー・ビームとはそれほどの男なのです。では、そのバーボンはどのようなものなのでしょうか?

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(手前がベイカー、奥がブッカー)

ベイカーズはベイカーの個人的嗜好にインスパイアされたバーボンだと言います。マッシュビルは通常のジムビームと同じ77%コーン/13%ライ/10%モルテッドバーリーで、酵母も同じ。そして最低7年熟成、107プルーフ(*)でのボトリング。ビームのスモールバッチ・シリーズは、一説によると通常のジムビーム・ラインより蒸留プルーフが低いともされていますが、公表されてはいないので真相は判りません。また、ベイカーズをクリエイトするためのバレルは、ラックハウスの上層フロアからのみ選ばれると伝えられることがあり、サントリーの公式サイトでもフレッド・ノーの言葉を引用する形で「ベイカーズは上段の8~9段(**)で7年超の熟成を経たもの。樽香の芳しい、最もパンチのあるフルボディタイプ」と書かれていますが、ベイカー本人によれば最上階を含む倉庫のあらゆるところから樽を引き出して、力強いフレイヴァーとベイカーズ自慢の絹のように滑らかなフィニッシュを持ったバランスの良いミディアムボディのバーボンを造る、とのこと。
余談ながら、ベイカーはベイカーズ以外のバーボンだったら何が好きですかという質問には、同じスモールバッチ・コレクションのベイゼル・ヘイデンズと答えています。

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ベイカーズは発売当初は上画像左のデザインでした。「B」の大きい現行のデザインになったのは97年頃と思われます。バッチナンバーの数字に熟成年数の7を足した推測です。ラベルにはバッチナンバーの記載はありますが、 手書きではないですし、ダミーというか、それっぽく見せただけのような気がします。おそらくラベルデザインの違いによる二種類しかないのではないでしょうか?  ご存知の方はご教示ください。
さて、今回は新旧対決と行きたかったんですが、旧ラベルのほうは数年前に飲み終えてしまい、サイド・バイ・サイドでの比較ではないのでオマケです。

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BAKER'S Aged 7 Years 107 Proof
batch no. B-90-001
ボトリング年不明、推定2017年。キャラメルマキアート、アーモンド、フルーツガム、焦げ樽、トーストブレッド、エナジードリンク、トマト。スイートなアロマ。イースト由来とされるビーム・ファンクも。ほんの少しバタリーな口当たりで、度数のわりにするりとした喉越し。余韻はハイプルーフから期待されるほど長くはない。基本的にはオーク、ナッツ、フルーツ、スパイスのどれもが突出しないバランスだが、残量が半分くらいになってからはキャラメル系の甘い香りがやや減じ、オレンジでもリンゴでも洋梨でもチェリーでもメロンでもない、あのビーム・フルーツとしか言い様のない独特のフルーティさが強く顔を覗かせた。また、一二滴の加水だとストレートとあまり変わらないが、四滴ほど加水すると味わい的には薄めたブッカーズに近いものを感じるようになった。
Rating:85/100

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BAKER'S SEVEN YEARS OLD 107 Proof
batch no. B-85-001
ボトリング年不明、推定90年代。飲んだのが数年前なので細かいことが言えないが、現行のものほど甘味がなかった気がする。ロット間、もしくはボトルコンディションの差なのだろうか? それなりに濃くはあるものの、あまり旨味も感じられなかった。そこがビームらしいと言えばらしいのだが…。
Rating:84.5/100

Thought:ジムビームのスモールバッチ・コレクションの中で、おそらく一番売れてないのがベイカーズだと思われます。他のコレクションのバーボンにはヴァリエーションや限定リリースがあるのに、ベイカーズだけないからです。人気がない理由は主に3つ思い付きます。
①製品仕様のキャラ立ち
ベイゼル・ヘイデンズは唯一マッシュビルが違い、尚且つ低プルーフ、そして独特の意匠のラベルデザイン。ノブクリークのボトルデザインも独特です。ブッカーズはバレルプルーフでアンフィルター。どれも個性が際立っています。それに比べてベイカーズは、ボトル形状はブッカーズと似ているし、プルーフもノブクリークとブッカーズの中間です。これではどうも中途半端な立ち位置の印象を与えかねません。
②人物の知名度
スモールバッチ・コレクションを創始したブッカー・ノーと較べると、どうしたってベイカー・ビームの知名度は劣ります。これは対外的なディスティラーと対内的なディスティラーという役割違いに由来するのでどうしようもないです。ベイゼル・ヘイデンにしてもオールド・グランダッド関連で名前が挙がる人だけに、知名度の差は埋めようもないでしょう。ノブクリークのみ小川の名前ですが、その説明の際にリンカーン大統領が持ち出されたりしては勝負になりません。
③ラベルのデザイン
そして①の延長線上の話ですが、個人的には何よりベイカーズのラベルデザインが一際悪いと思っています。他の3つと比較して余りに手抜き感が否めない。いや、そもそもなぜベイカーズだけがラベルのリニューアルをしたのかが不明です。ノブクリークとベイゼル・ヘイデンズは発売当初と殆ど変わらず、ブッカーズはマイナーチェンジぐらいに留まっている。なのにベイカーズだけ大幅にデザインが変更されているではないですか。個人的にはリニューアル前の方がよほどカッコいいと思います。
それとラベルではないですが、特に駄目なのはワックストップです。これでは、ただでさえボトル形状がブッカーズと似ているのに、ワックスシールドしたら余計に似て、安易なブッカーズの廉価版に見えてしまいます。そこに来て大きな「B」ですよ? ブッカーズだって頭文字はBですからね? そろそろデザインの刷新を図るべき時期が来ているのではないでしょうか。せっかく美味しいバーボンなのに勿体ないです。まあ、こんなところで文句を言ってもしょうがないのですが…。


*オールド・ウェラーなどにも見られる107というきりの悪い数字は、バーボン業界では伝統的な数値です。1962年以前、110プルーフがバレル・エントリー・プルーフだった時代には、107プルーフでのボトリングこそが今日言うところの「バレルプルーフ」に相当しました。

**括弧で囲った引用文はいわゆる「原文ママ」なので、ちょっと誤解を与えかねない表現になっています。解る人には解るかもしれませんが、「上段の8~9段」と云うのは「上層階の8~9階」という意味です。ジムビームのラックハウスは九階建てで、一つのフロアーに樽を三段積みが基本だからです。上段の8~9段」と表現されると、何だか一階建ての熟成庫にバレルが九段積み重なってるようなイメージがしませんか? そのため個人的には使いたくない表現なのですが、引用なのでそのままにしてます。

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テンプルトン・ライは日本でも酒販店やバーで取り扱う店が多く、ライウィスキーの中では比較的有名なブランドかと思います。ラベルに使われている写真は禁酒法下のスピークイージーでの一葉でしょうか? とても雰囲気あるラベルでカッコいいですよね。
伝説によればテンプルトン・ライは、元々はアイオワ州キャロル郡の小さな町テンプルトン(人口は2010年の国勢調査で362人だった)の農家の人々が収入を補う方法として禁酒法期間中に造られ、それが高品質であったことから「ザ・グッド・スタッフ」と知られるようになり、シカゴ、オマハ、カンザスシティのスピークイージーで人気があったと伝えられています。しかも、あの伝説的ギャングスター アル・カポーンのお気に入りであったと言われ、晩年アルカトラズ刑務所に投獄されたカポーンは刑務所の中にあの手この手でテンプルトンを持ち込ませ、独房(AZ-85)からはボトルが発見されているのだとか。まあ、この手の話はマーケティング上のバックストーリーなので、正直どこまで本当か判りません。

現代のテンプルトン・ライは、2001年頃(または02年とか05年という説もあった)、アイオワンのスコット・ブッシュがテンプルトンの復活を思い付き、禁酒法時代のレシピを知る人を探して、メリルとキースのカーコフ親子とパートナーシップを組み、テンプルトン・ライ・スピリッツLLCを立ち上げたのが始まりで、2006年に初めての製品が市場にリリースされました。アイオワ州以外での流通は2007年8月に開始され、2013年には全国的に流通するようになったと言います。日本語でテンプルトン・ライを検索すると、古い記事で2008年の日付が見られ、かなり早い時期から日本にも輸入されていたのが伺えます。

さて、トップ画像の物、つまり今回のレヴュー対象は、現行製品とは若干異なる旧いラベルの物です。このラベルの変更には、単なるリニューアルではない困った理由があります。テンプルトン・ライは2014年にラベルの虚偽表示に対する集団訴訟の対象としてシカゴの法律事務所から訴えられ、仕方なくラベル表記の変更をすることになったのです。おそらく訴えられていなければラベルはそのままだったのではないでしょうか。2015年には集団訴訟和解案に基づき、2006年以来製品を購入した顧客への払い戻しをするとも発表されました(*)。なぜこんなことになったかと言うと、テンプルトン・ライは発売当初から実際には違うにも拘わらず、禁酒法時代のレシピを再現してアイオワ州で少量生産されているかの如き体裁をとり、消費者のミスリーディングを誘発しかねないマーケティングを行っていたからです。そしてそれはラベルの表記にも端的に現れていました。
実際のテンプルトン・ライは、インディアナ州ローレンスバーグにある元シーグラムの大型蒸留所(現MGP)で蒸留され熟成されたバレル(95%ライ/5%バーリーのライウィスキー)を購入し、それをアイオワ州へと運んだ後、ケンタッキー州ルイヴィルにあるクラレンドン・フレイヴァーズ社のアルコール・フレイヴァリング・フォーミュレーションを添加してからボトリングして販売されています。訴えた人の主張は意訳して言えば「こっちはアイオワ州の手作りのウィスキーと思って買ってんだ、違うなら金返せ!」ということでしょう。そしてその根拠としてラベルの虚偽表示を突いた、と。
ウィスキー業界に精通してる人なら周知のように、創業したてのクラフト蒸留所は熟成されたウィスキーを持たないため、アンエイジドで売れるウォッカやジンやムーンシャインなどを生産し販売する一方で、大手の蒸留所から熟成したウィスキーを仕入れ、それを独自のブランド名のもとに販売したりします。また創業時には蒸留器を所有せず、すなわち自ら蒸留を行わず、お金を稼いでから蒸留所を建設し、自社蒸留を開始するNDP(非蒸留業者)の存在もあります。こうしたNDPの中にはウェブサイト上に蒸留器の写真を掲載し、恰かも現実に蒸留してるかのように見せかけるところもあったりしました。テンプルトン・ライ・スピリッツもご多分に漏れず、こうしたNDPの一つでした。他所から原酒を調達し、オリジナルのラベルを貼りつけてボトリングするウィスキーのことを「ソースド・ウィスキー」とか「ソーシング・ウィスキー」と言いますが、これ自体は悪いことではありません。テンプルトン・ライが問題だったのは、ウィスキーのソースを意図的に難読化し、ラベルの真実性を歪めてしまったことです。アメリカの連邦規則ではラベルには真実を書かねばなりません。ラベルの変更点は主に3つです。
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先ずバックラベルに「インディアナ州で蒸留」という言葉が追加されました。ウィスキーが当該ブランドの場所とは異なる州で蒸留された場合、蒸留された州をラベルに記載しなければならないという規定があるからです。そして「SMALL BATCH」が「THE GOOD STUFF」に。スモールバッチというのは、厳密に言わなければ少量生産のことと思っていい用語です。MGPは大きな蒸留施設ですから、当然少量生産ではないのでこれを変更しました。あと「PROHIBITION ERA RECIPE」が熟成年数表記へ。プロヒビション・エラ・レシピと言うのは「禁酒法時代のレシピ」の意です。これはテンプルトン・ライ・スピリッツの共同設立者メリルの父でありキースの祖父であるアルフォンス・カーコフのレシピを指します。そのレシピは公にはされていませんが、おそらく砂糖黍90%/ライ麦10%のような典型的なムーンシャインのレシピであった可能性が高いとされ(**)、ライウィスキーではありませんでした。つまり禁酒法時代のレシピとは違うのでこれも変更したのです。バックラベルの文言も段階的に変化しており、「produced from~」から「based on~」になり、最終的には「Kerkhoff」の名前も出てきました。
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「~から造ってる」と言い切っていたのが「~に基づいて」とやんわりした表現になっていますが、基づいてすらいないのでは?という疑問もなくはありません。有り体に言えば、MGPの95%ライウィスキーが買い付け易い材料だったからソースとしただけで、禁酒法時代のレシピとは何の関係もないでしょう。テンプルトン・ライには、ライウィスキー人気が爆発的成長を見せる前に先鞭をつけた先見の明はあったにしても、少々誇大宣伝が過ぎてしまった感があります。
とは言え、悪い話ばかりでもありません。2018年夏には、ついに蒸留所が完成し稼働し始めました。アイオワ産のテンプルトン・ライは計算上2022年あたりにリリースされると予想されます。テンプルトン・ライ・スピリッツの会長ヴァーン・アンダーウッド氏によると、従来のMGPウィスキーを出来るだけ複製するつもりだ、とのことです。どのようなものが出来上がるか楽しみですね。

さて、ラベルの件は現在では手直しされていますし、誇張表現はアメリカンウィスキー業界の宿痾とも言え、遠く日本に住む我々にはアメリカの消費者保護問題に深く立ち入る必要性はあまりないでしょう。まあ、そういうこともあったということです。寧ろウィスキー飲みにとって興味をそそられるのは、ラベルよりも中身、先に少し触れたフレイヴァリング製剤の添加の方です。アメリカの有名なウィスキー・レヴュワーは、フレイヴァーの添加(とキース・カーコフの顧客へのメッセージビデオの釈明)に怒り、彼のウェブサイトのレーティング史上初の00点をテンプルトン・ライに付けています。
もう一度だけ、ラベルをよく見て下さい。どこにも「ストレート」の文字がないでしょう。テンプルトン・ライはストレート・ライウィスキーではありません。TTBの規定では、ストレートを名乗るためにはフレイヴァーを加えてはならないからです。また容積の2.5%を越えるフレイヴァーを加えてしまってはライウィスキーすら名乗れなくなります。そして最も重要なのが、加えられるフレイヴァーはそのクラスまたはタイプの構成必須要素でなければならないという規定なのですが、ここまでくると素人に判断できるレヴェルを越えています。判ることは、もしテンプルトン・ライが規定を遵守しているのならば、必須成分をもつ香料を2.5%以内含んだライウィスキーである、と言うことだけです。
上に挙げたレヴュワーは、これではどの香味成分がMGP由来のものかケミカル・フレイヴァー由来のものか分からないという主旨のことを述べていますが、確かにその通りです。そもそもMGPの95%ライウィスキーはそれ自体で豊かなアロマとフレイヴァーを持っています。果たしてフレイヴァリング製剤を添加する必要があったのかどうか? テンプルトン側の公表している理由としては、創業者の先祖によって造られた禁酒法時代のオリジナル・レシピの風味プロファイルに近づけるため、だと言いますが…。とにかく飲んでみましょう。

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TEMPLETON RYE 80 Proof
BATCH:4
BARREL:239
BOTTLE:167
BOTTLED IN 02-11-2011
ライチ、バタースコッチ、ミント、トーストした木、洋梨のシャーベット、香草、ライスパイス、青リンゴ、若草、パセリ、漢方薬。40度にしては物凄く香りが強く、45度以上の物やもう少し熟成を経た物と同等かそれ以上。口の中では仄かな甘味と爽やかさ、苦味とスパイスが同居する。中身が残り三分の一くらいになってから、かなり余韻に苦味が目立つようになったが、ビターチョコ系の苦味ではなく、香草やスパイス系の苦味。飲んでも旨いが、香りがハイライトといった印象。
Rating:87(85.5)/100

Thought:私が初めてテンプルトン・ライを飲んだ時は衝撃を受けました。それまで飲んできたライ麦率51%程度と見られるライウィスキー(ジムビーム・ライやワイルドターキー・ライ等)とはまるで比べ物にならないフルーティさと香草の風味を感じたからです。こんな美味しいウィスキーがあったのか、と感動すら覚えました。以来MGP95ライのファンとなり、同じソースではあっても違うブランドのライウィスキーをいくつか飲みました。しかし、確かに同系統の風味を感じるものの、なぜかそこまでの感動はありませんでした。味であれ何であれ「初体験の衝撃」は脳裏に深く刻まれ、忘れ難く、時に誇大化するものです。また「慣れ」は脳への刺激を緩慢化するものでしょう。それがため、感動がなくなってしまったのかなと思っていたのですが、今回改めてテンプルトン・ライを飲んでみたところ、他のMGP95ライと較べて、やはり圧倒的に強いアロマ(ライチとバタースコッチ)を持っていると感じました。特にそれはテイスティング・グラスではなくボトルの口から直接匂いを嗅いだ時に顕著です(テイスティング・グラスだと他の香味成分を拾い易いようで、トースティなウッドと穀物感の方が前面に出ます)。もしかするとこの強いアロマの要因こそがフレイヴァリング製剤にあるのではないでしょうか? 実を言うと、テンプルトン・ライと並行して同じくMGP95ライであるブレット・ライとジョージディッケル・ライも比較のため開封して試飲していたのですが、テンプルトン・ライは80プルーフというロウワー・プルーフにしては強すぎるアロマが少し奇妙に感じなくもありませんでした。これは思ったより添加フレイヴァーが効いているような気がします。飲んだことのある皆さんのご意見を伺いたいところですね。
なお、上のレーティングで括弧をした点数は、フレイヴァーが入っていない状態を仮定した想像上の得点です。

Value:テンプルトン・ライの日本での販売価格は概ね4000~5000円です(追記あり)。他のMGP95%ライをソースとしたブランドに較べ、80プルーフであることを考慮すると、やや割高感は否めませんが一飲する価値は十二分にあると思います。もし安さを優先事項とするならブレット・ライという選択がベストでしょう。なによりブレットは流通量が多い=入手しやすいというメリットがあります。


*レシートがなくても一瓶につき3ドル、一人6本分まで。レシートがある場合は倍の6ドルが払い戻されたとか。

**2006年にテンプルトン・ライ・スピリッツがTTBに最初のラベル承認証明書を申請した折り、その1つは「Templeton Rye Kerkhoff Recipe」と呼ばれるものだったと言います。それは他の分類の対象とならない製品を包括する「特殊蒸留スピリット」に分類され、ラベルには「ケイン90%ライ10%から蒸留されたスピリッツ」と書かれていたそうな。これはホワイト・ラムのようなニュートラル・スピリッツとフレイヴァーに寄与するライ麦の蒸留物を少し混ぜたものと予想され、その製品がこれまでに製造されたのか判りませんが、唯一記録に残っているカーコフ・レシピがこれだそうです。

追記:現在販売されている現行の「テンプルトン・ライ4年」はもっと値下がって買い求めやすくなっています。このレヴューがNASであったこともあり、記事を修正せず追記にしました。


とある酒屋で半額に値下がっている古いノブクリークを発見したので即座に購入。ブランド紹介はこちらの過去投稿をご参照ください。

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KNOB CREEK 9 Years 100 Proof
推定2001年ボトリング。如何にも美味しそうな赤みがかったブラウン色。焦げ樽、ややひねた酸っぱい香り、ヴァニラ、ナツメグ、焼き過ぎて焦げたトウモロコシ、ジンジャーエール、赤ワイン、タバコ、新聞紙。甘い香りは控えめの焦樽フルーツ系アロマ。ナッティなテイストはあまり感じられない。開けたての味わいはドライだったし、余韻の苦みが強かったが、残り3分の2ぐらいになってからはチェリー系のフルーティさと甘味が増し、酸っぱい香りも減じて劇的に美味しくなった。最終的にはやや酸味に寄っているもののバランスが整った頗る上等なバーボンという印象。2010年代の物より全然美味しく感じる。「酸化の神様ありがとう」の一本なのか? 90年代やそれに近いノブクリークは質が高かったのか?
Rating:88/100


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現在バートン蒸留所の主力製品となっているのが「1792(セヴンティーンナインティトゥー)スモールバッチ」。その名前の数字は、ヴァージニア州からケンタッキー地区が独立して合衆国15番目の州となった年を指し、それに敬意を表して名付けられました。ミドルクラスのクラフトバーボンとかプレミアムバーボンと言われる価格帯で、ノブクリークやウッドフォード・リザーヴ、イーグルレア等の競合製品です。日本には一般流通していませんが、上位互換の「Bottled in Bond」や「Full Proof」、「Single Barrel」や「Port Finish」、マッシュ違いの「Sweet Wheat」や「High Rye」等がネックの色違いで販売されています(継続的なリリースか不明、もしかしたら限定版なのかも)。

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1792スモールバッチはそもそも2002年の発売当初「リッジウッド・リザーヴ(Ridgewood Reserve 1792)」という名称でした。ところが「ウッドフォード・リザーヴ(Woodford Reserve)」に名前とボトルの雰囲気が似ていたため、消費者の混乱を招くとの主張から商標権侵害であると2003年10月にブラウン=フォーマン社から訴えられてしまいます。バートン社も負けじとウッドフォード・リザーヴは偽装されたオールドフォレスター(*)であり、それは虚偽表示に当たるのではないかと主張し闘いましたが、米地方裁判所のジェニファー・コフマン判事は2004年に商標権侵害を認める判決を下し、バートンに対してリッジウッド・リザーヴの差止め命令を出しました。これによりバートン社は速やかに裁定に従い製品名を「リッジモント・リザーヴ(1792 Ridgemont Reserve)」に変更します。このリッジウッドとリッジモントには、ラベルに「Small Batch Aged 8 years」と記載されていましたが、2013年12月にエイジ・ステイトメントは削除されました。そして2015年に「1792 Small Batch」へのブランド更新に伴い再パッケージ化され、ボトルのネックに巻かれていた布切れがワインレッドの紙になり、コルクキャップが金ぴかになり、ロゴデザインのマイナーチェンジが施されます。
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もともとは、バートン蒸留所の誇る29の熟成庫のうち、崖の上に建ち空気循環が良好で陽当たりの良い伝説的な「Warehouse Z(ウェアハウス・ズィー)」で熟成された樽からのみ造られ、ラベルにもそう記載されていたのですが、NASとなった時なのか「1792スモールバッチ」となった時なのか判りませんが、とにかく現在では「Warehouse Z」の文字はありません。おそらく、需要の高まりで一つの倉庫だけでは賄えなくなり、他の倉庫からも出来の良い原酒を選んで造るようになったのだと思います。8年熟成でなくなったのも多分同じ理由で、例えば6年熟成原酒も混ぜるようになったとかそういうことではないでしょうか。いずれにせよレシピは同じで、コーン75%/ライ15%/モルテッドバーリー10%のハイ・ライ・バーボン(**)です。

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さて、そこで今回は発売時期の異なる二つの1792を飲み較べしてみようという訳でして。目視での色の違いは殆どないように感じますが、強いて言うと微妙にリッジモントの方が濃いかな。

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1792 Ridgemont Reserve 8 Years 93.7 Proof
年式不明、推定2010年前後。リムーバー、カラメライズドシュガー、チャードオーク、オレンジピール、焼きトウモロコシ、濃く淹れた紅茶、ビスケット、ビターチョコ。口当たりは滑らか。こちらのほうが甘い。余韻は香ばしい焦樽と豊かな穀物。ハイライマッシュの割にはフルーツ感があまりなく、取り立ててスパイシーとも思えない。と言うより、あまりにリムーバー様の香りが濃密過ぎて他の香りが取りづらいように感じるし、余韻にもリムーバーが出るのだが、焦がしたオークの香り高さと相俟って悪くない、いや、むしろそれが旨い。
Rating:86.5/100

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1972 SMALL BATCH NAS 93.7 Proof
年式不明、推定2017年? 焦げ樽、ヴァニラアイスのシナモンパウダーがけ、焼きトウモロコシ、ホワイトペッパー、シンナー、メロン味のラムネ菓子、チョコバナナ、ココアウエハース。こちらも溶剤臭はあるが、リッジモントに較べると薄く、ヴァニラとスパイス中心のアロマ。口当たりは中庸、とろりともせず、ゆる過ぎず、スムーズ。飲み口は仄かな甘みがありつつスパイシー。余韻はスパイスと豊かな穀物。こちらのほうがアルコール刺激が強め。フルーツ感はあまり感じない。
Rating:86/100

Verdict:続けて飲むとかなりの違いを感じます。それでいて両者に共通する穀物のアンダートーンもあり、口当たりもほぼ同じですが、リッジモントのほうがよりディープかつリッチな味わいをもち、甘く香り付けしたリムーバーそっくりの風味が個人的にはツボだったので、勝ちと判定しました。けれど、1792スモールバッチがだいぶ劣るかと言うとそうでもなく、モロな溶剤系の臭いが苦手で、スパイシーヴァニラ系が好きな方はこちらを選ぶかも知れません。現に海外の有名なレビュワーでリッジモントを随分と低く採点している方もいました。どちらにしても、同蒸留所のエントリークラスバーボンであるケンタッキージェントルマンやケンタッキータヴァーンとは、余韻の穀物感が似ている程度で、もはや別物と言っていいほど旨いです。


*ウッドフォード・リザーブとオールド・フォレスターはマッシュビル(コーン72%/ライ18%/モルテッドバーリー10%)とイーストを共有するとされます。初期のウッドフォード・リザーヴは、ラブロー&グラハム蒸留所(現ウッドフォード・リザーヴ蒸留所)が稼働したばかりで、原酒の熟成には6年ほど熟成期間が必要なため、2003年5月まではルイヴィル(DSP-KY-354)で蒸留して熟成した選び抜かれた原酒をヴァーセイルス(DSP-KY-52)まで運び、更にエイジングさせたものをボトリングして販売していました。後には両方の原酒をブレンドしたものに変更されています。

**同シリーズの「High Rye」はもっとライ麦率が高いレシピです。ハイ・ライは法的定義のない用語なので、スタンダードな1792でもハイ・ライと言っても問題ありません。当時のマスターディスティラーであるケン・ピアースも自らハイ・ライだと語っていました。

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KNOB CREEK RYE 100 Proof
ジムビームのスモールバッチコレクションの一つノブクリークのライウィスキーです。2012年から発売されました。熟成年数の表記はなく「patiently aged(辛抱強く熟成された)」と書かれ、ネットで調べてみると、おそらく4~5年ではないかと言ってる人もいれば、5~9年のブレンドと言ってる人もいました。私の飲んでみた感想としては4~5年よりはもう少し熟成感があるようにも感じましたが、こればかりはビームから公表されていないので正確なところは判りません。
マッシュビルに関しても公にはされてないと思うのですが、上の「5~9年」と同じ情報源によるとライ麦55%・トウモロコシ35%・大麦麦芽10%だとビームアンバサダーが語っていたそうです。本当かどうか判りませんが、なんとなくジムビームのライウィスキーは51~59%のライ麦率かなという予測はありますので、現実的な数値ではありますね。皆さんはどう思うでしょうか?   では、テイスティングに行きます。

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アロマは土埃っぽいややアーシーな香り。アップルパイのシナモンがけ。カスタードプリン。口当たりは比較的軽やか。ごくりと飲み込むとナツメグとホワイトペッパーが一気に喉から口蓋に広がって、さーっと引き上がった後にはミントの気配が感じられます。余韻はショート~ミディアム。焦げたオーク香がスモーキーさを忍ばせて終了。個人的にはノブクリークバーボンより好きです。
Rating:86/100

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KNOB CREEK Small Batch 9 Years 100 Proof
ジムビームのスモールバッチコレクションの一つノブクリーク(現在では9年表記はなくなりました)。ビーム家6代目ブッカー・ノーが禁酒法以前の力強いバーボンへの回帰を目指して造り上げ、特徴的なボトルデザインと相俟って、92年の発売以来人気があります。その特徴的なデザインは禁酒法時代にルーツがあり、ブーツの中に酒を隠しやすいフラスクを模したレクタンギュラーボトル、またそれを新聞紙で包んで隠していたという故事に倣ったラベルデザイン、どちらも秀逸というしかありません。
あと、ノブクリークという名前の由来について、ケンタッキー州にある小川の名前であり、偉大なる大統領エイブラハム・リンカーンが幼少期を過ごした土地にちなむと説明されることが殆どですが、大昔にナショナル・ディスティラーズのブランドで「ノブクリーク」という名前のバーボンがあったという指摘があります。確かに他のスモールバッチラインナップの名前は、ブッカーズ、ベイカーズ、ベイゼル・ヘイデンズとどれも人名であり、ノブクリークだけ仲間外れな感じはします。まあ、余談ですが…。 
さて、お味の方はというと、アロマはキャラメルとオークが中心で、フレイヴァーにはナッティかつトースティなテイストがあります。個人的にはフルーティーさはブッカーズのほうがあるような気がしました。またジムビームのバーボンの中で最も樽の焦げた味がするように感じます。それをややスモーキーと言うのでしょう。これは好きな味です。ただし、私にはどうしてもジムビームのバーボンには、もう一つ何かが足りなく感じます。それを奥行きとか深みとかコクと言ってもいいですし、濁りと言ってもいい。とは言え、スモールバッチではない通常のジムビームラインと比較すれば遥かに香り高いのは間違いありません。本ボトルは推定2009年ボトリング。
Rating:85/100

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