
今回は2023年末頃にリリースされたバッファロートレースのシングル・バレルを取り上げます。こちらは愛知県豊橋のプレミアム・バーボン専門バーである 「GEMOR」のマスターが選んだバレルをボトリングしたもの。同時期に八丁堀の「Ken's bar」さんのピックもありました。他にも幾つかの酒販店によるピックもあり、日本でもバッファロー・トレース蒸溜所のシングルバレル・プログラムのものが購入し易い状況になって、我々消費者としては選択肢が増えると共にバレルごとの味比べが楽しみになりましたね。
比較対象としてスタンダードなバッファロートレースの小瓶(プラスティック)を買い求めてみました。一応、標準的なバッファロートレース・バーボンに就いて軽くおさらいしておくと、このブランドは1999年に市場に導入され、正確な数値をバッファロー・トレース蒸溜所は公開していませんが、ライ麦の含有量が少ない#1マッシュビルから造られています(ライ10%以下と推測され、一説にはコーン75%、ライ10%、モルテッドバーリー15%ではないかと推定される)。このマッシュビルはジョージTスタッグ、イーグルレア、EHテイラー等と同じです。熟成年数は通常は約8~10年とされ、または7~9年との推察や一般的には6~8年程度との説もありました。法的要件により少なくともは4年以上なのは間違いありません。バレルは温度変化の大きい複数の様々な倉庫の中層階で熟成されているそうです。個別に選択されたシングルバレルを除き、スタンダードなバッファロートレースのバッチ・サイズは約40バレルとのこと。これは殆どスモーバッチと呼んでいいサイズですね。バッファロートレース・バーボンは、アルコール度数は低めで際立った個性的もないものの、辛すぎたり若すぎたりすることなく適度な熟成感を醸し、低価格帯のバーボンでありながら安っぽい味わいではなく主力製品に相応しい、と評されています。
偖て、スタンダードな製品は複数のバレルをブレンドすることで纏まりのある一貫したフレイヴァー・プロファイルを生み出します。蒸溜所のテイスターやマスター・ディスティラーはそうした一貫性を実現するために常に努力を続ける訳ですが、シングルバレルは一貫性を問われません。シングルバレル・プログラムでは、おそらくは伝統的なプロファイルに当て嵌まらないものや、テイスターによって特別と判断されたものが選ばれていると想定されます。これらのバレルが小売業者やバーのマスターに提示され、彼らは様々なバレルの中からお気に入りを選ぶ、と。一般的には、標準的な製品よりもシングルバレルの方が美味しいと思ってもよい筈です。しかし、標準的な製品が謂わば均整のとれたフレイヴァーであるのに対して、シングルバレルは何かが尖っていることもあり、人の好みによっては却って標準的な製品よりも劣ると判断される可能性はあるでしょう。では、それらを踏まえた上で、さっそく注ぐ時間です。
このGEMORピックのバレルは、聞いたところでは9年熟成だそうです。熟成場所などの詳細は私には分かりません。

Buffalo Trace Single Barel 90 Proof
BARREL #057
SELECT by GEMOR
推定2023年ボトリング。ヴァニラウエハース、トースティな木材、ベーキングスパイス、シリアル、苺。ペイストリーな甘い香り。ややとろみのある口当たり。口中では力強いスパイシーさが。余韻は薄っすらシナモニーなウッドノート。
Rating:85→86.5/100

Buffalo Trace 90 Proof(Miniature bottle)
ボトリング年不明、購入は2024年。キャラメルも感じるが、主にフルーティな香り立ち。飲んで感じるフルーツは強いて言うとマンゴー。余韻に少し感じられる土っぽさは、意外と長熟バレルも含まれてるのかも、と思わせる。
Rating:84〜85/100
Thought:通常のバッファロートレースより、GEMORピックのボトルは全体的に勁い印象を受けました。ボトリングの度数よりもう少し上の度数に感じるテクスチャーとフレイヴァーなのです。香り、口中、余韻に渡ってスタンダードな物より甘みも樽の香ばしさも強かったですね。あと、幾分かブライトな樽感に思いました。時間の経過とともに、香りに苺、味わいにオレンジジャムとアプリコットジャムの中間のようなフルーティさが出て来て美味しかったです。レーティングの矢印はそのことを指しています。スタンダードな物はかなり久々に飲んだのですが、クオリティが著しく下がった印象はなく、相変わらず完成度が高いと思いました。汎ゆるバーボン・フレイヴァーのバランスが良く、初心者に最もオススメ出来る銘柄かも知れない。流石に今回のようにシングルバレルのピックと較べてしまうと、全体的にフレイヴァーが弱く物足りなさを感じてしまいましたが…。購入したのが50mlのボトルで、半分に分けて2回しか飲んでないため、レーティングには幅を持たせました。
アメイジングな樽を選んだゲモーのマスター、これを私のもとまで発送してくれたバーボン仲間のK氏、どうもありがとうございました!





































































