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スタッグ・ジュニアはバッファロー・トレース蒸溜所で造られるバレル・プルーフのバーボンです。同蒸溜所の誇るアンティーク・コレクション(BTAC)の筆頭ジョージTスタッグの弟分として2013年の秋から導入されました。その名前はセントルイスのウィスキー・セールスマンからバーボン・バロンへと伸し上がったジョージ・トーマス・スタッグにちなんでいます。年少を表す「JR」は、BTACの兄貴分が15~19年熟成のレンジに対して、約半分のエイジングであるところから付けられました。余りにも人気があって殆どの人の口に入らないBTACスタッグの代りに、より若い製品をリリースすることで、消費者へ親しみ易い価格帯のボトルを提供するバッファロー・トレースなりの方策だったのでしょう。その強力なフレイヴァー・プロファイルによってバーボン愛好家に評価されるバレル・プルーフのボトルは現在各社より発売されており、大手メーカーで言うとスペック的にヘヴンヒルのエライジャクレイグ・バレル・プルーフやジムビームのブッカーズなどが市場でのスタッグJRの直接的な競合相手となります。

スタッグ・ジュニアとジョージTスタッグの公にされている唯一の違いはバレルの中で過ごした時間です。スタッグJRはNASですが、現在のバッファロー・トレースの公式ウェブサイトでは10年近い熟成期間としています。2013年にリリースされた最初のバッチは8年と9年物のバーボンのヴァッティングとの説がありました。その他のネット情報では、常に8年以上とするもの、5〜9年または7〜9年熟成を示唆するものもありました。兎に角、どうやら2桁の熟成年数になることはないようです。熟成年数以外の特徴は、ジョージTスタッグと同様にアンカット(希釈なし)、アンフィルタードとされ、バレルからそのままのバーボンの豊かで複雑なフレイヴァーを楽しむことが出来る仕様。フィルタリングされていないと言うことは、ノンチルフィルタードであることも含みます(おそらくバレルの木屑などのゴミ取りはしてると思われる)。バッファロー・トレース蒸溜所のマスター・ディスティラーであるハーレン・ウィートリーはその味わいを「リッチでスウィートなチョコレートとブラウン・シュガーの風味が大胆なライ・スパイシネスと完璧なバランスで混ざり合う。果てしなく続くフィニッシュはチェリーやクローヴとスモーキネスのヒントを漂わせる」と表現していました。マッシュビルは、ジョージTスタッグは勿論、同蒸溜所の名を冠したバッファロートレース・バーボン、イーグル・レア、EHテイラー等と同じロウ・ライ(推定ライ10%未満)のBTマッシュビル#1となっています。

スタッグJRは最初の発売以来、毎年2バッチをリリースして来ました。一回のバッチングに幾つのバレルを使うかは明かされていませんが、スモールバッチで間違いないでしょう。スタッグJRはバレル・プルーフが故、バッチ毎に異なるプルーフでボトリングされ、大体120台後半〜130台前半のプルーフ・ポイントを示します(これはバレル・セレクションの厳しさの結果か?)。バッチには特有の個性があり、その味わいは多少変動するので、海外のバーボン系ウェブサイトではバッチ別にスタッグJRのレヴューが存在し、各々のスコアが場合によっては大幅に異なる可能性があります。なのでスタッグJRのボトル内の味について知りたい時は、バッチを特定してそのバッチのレヴューを探して下さい。プルーフの細かい数値からバッチを識別することになるので、以下にバッチ情報をリストしておきます。スタッグ・ジュニアの名称はバッチ17までで、それ以降は名前から「JR」がなくなることになりました。この変更は2022年のバッチが18に達し、ジュニアが小僧から一人前の大人に成長したという冗談のような嘘みたいな理由だそうです(アメリカでは州によって異るものの、概ね18歳で成人)。ちなみにこの発表は、BTACにジョージTスタッグのリリースがなかった2021年にされました。個人的には「JR」が付いたネーミングは、ずんぐりしたボトルと相俟って何となく可愛らしい感じがして好きだったんですがね…。


STAGG JR
Batch 1(Fall, 2013)ー134.4 Proof
Batch 2(Spring, 2014)ー128.7 Proof
Batch 3(Fall, 2014)ー132.1 Proof
Batch 4(Spring, 2015)ー132.2 Proof
Batch 5(Fall, 2015)ー129.7 Proof
Batch 6(Spring, 2016)ー132.5 Proof
Batch 7(Fall, 2016)ー130.0 Proof
Batch 8(Spring, 2017)ー129.5 Proof
Batch 9(Fall, 2017)ー131.9 Proof
Batch 10(Spring, 2018)ー126.4 Proof
Batch 11(Winter, 2018)ー127.9 Proof
Batch 12(Summer, 2019)ー132.3 Proof
Batch 13(Fall, 2019)ー128.4 Proof
Batch 14(Spring, 2020)ー130.2 Proof
Batch 15(Winter, 2020)ー131.1 Proof
Batch 16(Summer, 2021)ー130.9 Proof
Batch 17(Winter, 2021)ー128.7 Proof

STAGG
Batch 18(Winter, 2022)ー1XX.X proof


スタッグ・ジュニアが初めて発売された時、多くのレヴュアーがアルコール・フォワード過ぎるという印象を持ちました。初期の幾つかのバッチのレヴューでは、ホットでバランスを欠いていると考えられ、スタッグJRをジョージTスタッグの失敗版と見倣す人までいました。バッファロー・トレースは迅速に改善に取り組み、後続バッチのフレイヴァーと全体的なプロファイルを調整したようです。バーボンの専門家や愛好家の多くはバッチ4以降、このバーボンが遥かにバランスを取り始めたことに気付き、スタッグJRを出来の良いバレルプルーフであると考えるように変わったとか。以来スタッグJRは、多くの人の欲しい物リストに載り、兄貴分のジョージTスタッグの派生物ではない独自の人生を歩んで来ました。現時点でスタッグ・ジュニアはかなり人気があります。買いたくても買うことの出来ないパピー・ヴァン・ウィンクルに代わってヴァリュー・プライスのウィーテッド・バーボンだったウェラー・ブランドが入手困難になったように、スタッグJRは高価なバッファロー・トレース製バーボンの次善の策として急速に広まりました。そもそもがスタッグJRは年に2回だけの限定生産のためデフォルトでやや希少な製品でしたが、バッファロー・トレース蒸溜所のプレミアム製品全般の人気高騰によって同蒸溜所で製造される多くの製品と同様に今では割り当て配給になっているようで…。これは殆どのバーボン・ドリンカーが年中利用できないことを意味します。そうしたバーボンは殆どの店舗で値上げされます。多くの酒類小売店は利益率を大きく上げるチャンスとばかりにスタッグJRをかなりの高値で販売するようになりました。MSRPが概ね50〜60ドルのボトルが90〜100ドル、評価の高いバッチや古いバッチだと110〜130ドル近くとなり、更に最近では250~300ドル(或いはもっと)の価格を付けるショップもあるようです。本来、名前の由来であるBTACのジョージTスタッグよりは遥かに安く入手もし易かったスタッグJRも、現在では高過ぎる値付けの物を除いてほぼ実店舗で流通しておらず、400%の値上げで販売しようと目論む日本で言うところの転売ヤーみたいなトレーダーによって買い占められるのが一般的だと聞きます。一時は日本でも容易に買えたスタッグJRですが、この状況では並行輸入で入って来ることもないのでしょうね…。では、貴重になってしまったバーボンをゆっくりと飲んでみます。

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STAGG JR 132.5 Proof (Batch 6)
2016年春ボトリング。色はややオレンジがかったディープアンバー。ダークチョコレート、スモーク、プラリネ、出汁、接着剤、ブラックベリー、コーン、タバコ、塩。甘くナッティな香り。とてもオイリーな口当たり。パレートは意外とダークフルーツより明るめのフルーツ感が強め(柑橘)。余韻は長くバタリーで重厚、ビターチョコとナッツからのとんがりコーンで終わる。
Rating:89/100

Thought:開封直後はサイレントなアロマでしたが、暫くすると甘いお菓子の香りがして来ました。流石に130プルーフを超えるので、アルコールによる鼻での刺激も舌での辛味も感じます。数滴の加水をしたほうが刺激を弱めて甘さやフルーツ感を引き出せますが、あまり加水しすぎると折角のバレルプルーフが持つ強烈さとオイリーさを台無しにするので、手加減することをオススメします。あと、バレルプルーフにしてはスパイス感が弱めなのは意外で、寧ろ樽の香ばしさやお菓子ぽさとフルーティさの方を強く感じるバランスに思いました。液量が半分を過ぎた頃から、ほんの少しアーシーな雰囲気も出ましたが、飽くまでほんの少しです。ブログなんて始めるとは思ってない頃に飲んだが故に写真を撮っておらずバッチ不明のスタッグJRの記憶と較べて、何となく若そうな印象のバッチでした。色々なバッチを飲み比べたことのある方は是非コメントより感想をお寄せ下さい。

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(画像提供K氏)

ウィレット・ファミリー・エステート・シングルバレルのバーボンとライのリリースは、アメリカン・ウィスキー市場で最もカルト的な人気があり、「ユニコーン」と呼ばれるウィスキーの代名詞的存在です。パピー・ヴァン・ウィンクルやバッファロー・トレース・アンティーク・コレクションと同じか、或いはマニア筋にはそれ以上に評価されています。WFEはプライヴェート・バレル・セレクション・プログラムのラベルであるため、それぞれのストアや様々なウィスキー・ソサエティのピック、輸出のみのオファリング、チャリティー・ボトル、蒸溜所のギフト・ショップでのリリース等がありますが、当該のコミュニティに属しているか小売業者または個人とのコネがないと、法外な価格を支払わずにボトルを購入することは難しいです。一部のスモールバッチのWFEを除いて、シングル・バレルに関しては常に需要が供給を遥かに上回っており、今後もその傾向は続くと予想されます。
当のアメリカ、また世界的にそのような状況の中、日本でも一部の輸入業者や酒販店のストアピックが入荷され即完売となる現状に於いて、日本で最も数多くのウィレット・ファミリー・エステートが飲める場所と言えば、ウィレット蒸溜所と親交のある豊橋のバーボン・バー、ゲモーを措いて他にありません。ゲモーと言えばウィレット、ウィレットと言えばゲモーなのです。
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(画像提供K氏)

今回取り上げるのはお店の25周年を記念している「GEMOR 2021」です。ゲモーさんセレクトのWFEと言えば、名高いのは以前20周年記念の時にリリースした「C70A」でした。そちらはバーンハイム・ウィーターの20年熟成でしたが、こちらのバレル・ナンバー「2103」はウィレット蒸溜所の代表銘柄オールド・バーズタウンのシリーズで使用されるハイ・コーン・バーボン・マッシュビル(79%コーン、7%ライ、14%モルテッドバーリー)を使った自社蒸溜原酒となっています。バレル・エントリーは125プルーフだそう(「19xx-21xx(125p)」)。
WFEは導入された当初、全て調達されたバレルからボトリングされていました。1980〜90年代のアメリカン・ウィスキー低迷期には、オープン・マーケットへの需要は殆どなく、ハイ・クオリティなウィスキーが安く手に入りました。それらを購入するNDPは競争相手があまりいないので、基本的にどんな年数のバレルでも選ぶことが出来たと言います。このブランドの初期の評価を伝説的なものにした要因は、そうした優れたバレル(特に長熟の)を惜しげもなくバレルプルーフ、アンチルフィルタードにてボトリングしたことにあったでしょう。バーンハイム蒸溜所のウィーテッド・バーボンはそのうちの一つだった訳です。2012年からウィレット蒸溜所は再び蒸溜を再開し、彼らのオリジナル蒸溜液で満たされたバレルは熟成を続け、今日ではそれらを使った様々なレシピの4〜8年熟成のWFEシングルバレルが市場に出回って来ました。
この大変貴重なWFEを飲めるのは、例によってバーボン仲間のK氏よりサンプルを提供頂けたお陰。画像提供も含めてこの場でお礼申し上げます。こちらからは大したお返しも出来ないにも拘らず、本当にいつもありがとうございます、感謝の極みです! では、飲んだ感想を少しばかり。

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(画像提供K氏)
WILLETT FAMILY ESTATE BOTTLED SINGLE BARREL BOURBON "GEMOR 2021" 25th ANNIVERSARY 8 Years 122.6 Proof
GEMOR 零号樽
Barrel No. 2103
2021年ボトリング。ややオレンジがかったアンバー。グレープ、マヌカハニー、スイートグレイン、蜂蜜レモン、柑橘、木質の酸、ローストコーン、バターを塗ったトーストしたパン。バレルプルーフにしては刺激が少なく滑らかな口当たり。味わいはフレッシュフルーツ。余韻は豊かな穀物とビターチョコ。

オールド・バーズタウンのスタンダードやボトルド・イン・ボンド、エステート・ボトルドと同系統の頗るフルーティなアロマや味わいを感じました。それらと較べてプルーフィングや熟成年数の違いから、こちらの方がもっとダークな味わいかと予想していたのですが、むしろ溌剌としたブライトな樽感が印象的でした。おそらく開封からさほど時間が経ってない状態での試飲なので、今後もう少しフレイヴァーに変化はありそうな気はしますね。
Rating:89/100

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1986年の発売から長い間、12年熟成のエイジ・ステートメントを誇らしげに掲げて来たエライジャクレイグ(*)は、2016年1月下旬の出荷からNASヴァージョンに切り替えられました。このヴァージョンは8〜12年熟成のバーボンのブレンドとされています。なので、もし現在のエライジャクレイグに年数表記するならば8年ということになるでしょう。ボトリング・プルーフはオリジナルと同様の94プルーフですが、この頃にバッチサイズを100バレルから200バレルに増やしたとされています。ラベルとボトルデザインも同年末か翌年くらいに刷新され、棚スペースを意識した従来より背が高くのっぺりとした薄いボトルになりました。昔の物もスモールバッチでしたが、ボトルの前面にその記載があるので通称エライジャクレイグ・スモールバッチNASと呼ばれています。レシピは78%コーン、10%ライ、12%モルテッドバーリーのヘヴンヒル・スタンダード・バーボン・マッシュビル。チャーリング・レヴェルも同蒸留所のスタンダードな#3だと思います。

60〜70年代にウォッカの「攻勢」や飲酒傾向の急速なライト化を経て、80〜90年代のアメリカ市場でのバーボン需要は底辺に沈んでいましたが、2000年代には徐々に復調の兆しを見せ、2010年代になると高需要を迎えるに至りました。エライジャクレイグの12年のステートメントを削除し、バッチングに使用されるバレルの数を増やしたのは、バーボン及びアメリカンウィスキーの人気の急上昇と需要に対する供給不足が理由とされています。当時その他のバーボンも同じ問題に直面していました。こうした場合、販売会社が取る選択肢は二つあります。現状を維持するか、中身を変えるか、です。ウェラー12年のようにエイジ・ステートメントを維持したブランドは、供給量の低下に伴って店頭で見つけるのが難しくなり価格も上昇しました。ジムビーム・ブラック8年やリッジモント・リザーヴ8年などのブランドは、熟成年数表記を失う代わりに入手し易さと価格を維持し、名前やラベルのリニューアルを果たしました。エライジャクレイグの中核製品は後者の方法を選択し、従来より若い原酒をブレンドするようになった訳です。おかげでアメリカ中どこでも買い求め易く、20ドル台か、いっても30ドルのプライス・レンジを維持しています。そしてこれはグローバル・マーケットでも同じでした。

それまで市場で最も価値のあるバーボンの一つと見做されていたエライジャクレイグ12年のNAS化は、バーボンファンにとっては中々ショッキングな出来事だったと思います。NASヴァージョンが初めて世に出た時の熱烈なエライジャクレイグ・ファンの反応は、どうしても否定的なものが多い印象でした。以下に少し紹介してみましょう(どれも基本的には直訳ですが、省略と意味が通じやすいように多少の改訂を加えています)。

「NASは最悪だ!! いいとこ15ドルの価値しかない。」

「おそらく史上最も過大評価されているバーボン。もしフルに12年熟成させるつもりがないなら、ABVを少し下げることを考えるべき。」

「ヘヴンヒルが量のために質を犠牲にすることに失望した。私は確信している。全てのクレイグ・バーボンの愛飲者は、12年のスタンダードを待つことを厭わないだろう。」

「味や香り、口当たりなどの複雑さはあまりありません。また、熟成されていないテキーラか何かを思い出させます。シンプルに緑っぽい草のような香り…これはもっと長く熟成させるべき、或いは熟成させることができると思います。」

「良いバーボンですが、12年ヴァージョンの近くにはいない、残念だ。多くの蒸留所がこのように質より量へ妥協する方向に進んでいるのを見るのは本当に嫌です。これをもう一度購入するかどうかはわかりません。」

「私もEC12の最初の味を知っていて、大好きでした。新しいブレンドですぐに味の変化に気づき、まだ好きですが、以前のような美味しさはありません。」

「もう一度買わないでしょう。悪くはないけど、良くもない。」

「私にとってエライジャクレイグ12は、旧ヘヴンヒル蒸留所の焼失と、当時のバーンハイム蒸留所で蒸留されたウィスキーへの切り替えから立ち直ることはできませんでした。昔のヴァージョンを知っている人たちは、かつての高品質なバーボンの最後の死を嘆くことになるでしょう。」

「香りはまずまずでしたが、味は全くの不味さでした。甘くないし、ヴァニラもオークもない。目立つものはなく、記憶に残るものもない…二度と買わないでしょう、もっと良い選択肢がたくさんあります。」

「昔のEC12は特別でした。最近NASを飲みましたが、正直言ってかなり不味いと思いました。私が驚いたのは、新しいECの味が昔のバーボンとは全く違っていたことでした。それでもヘヴンヒルには好感を持っています。エヴァンウィリアムスと同じくらい良いものをこんなに安く売ることは、私の心を掴んで離さないでしょう。」

一方で擁護する声も聞こえ(見られ)ました。

「私がこのウィスキーをまあまあと判断した時から数週間経ち、ロックで試してみると、より美味しくいただけました。再度購入する価値があります。12年物とほぼ同じくらい良いです。ほぼ。」

「NASはゴージャスで、リッチで、フレイヴァーフルで、十分に複雑なバーボンです。荒々しさはありますが、これは熟練の技術で造られたシッピングに値するバーボンです。今まで飲んだ中で最高のものではないが、とても良い。私の評価は87点。私のボトルはセールで19.99ドルでした(30ドルは払わないけど)。」

「エンジェルズ・エンヴィを想い起させる新しいエライジャクレイグ・スモールバッチを手に入れました。私は嬉しい驚きを感じています…とても良いバーボンです。」

「新しいNASスモールバッチのボトルを手に入れました。新しい日常飲酒にもってこいだと思います。私はラッセルズ・リザーヴ10年よりも好きです。それほど良いものです。12年がどうであれ、この新バージョンは良いです。」

「問題は改訂されたブランドをオリジナルと比較していることです。このようなことは他のウィスキー・ブランドでも昔から行われてきました。オールド・オーヴァーホルト、オールド・クロウ、リッテンハウス・ライ、オールド・テイラー、アーリータイムズ等はどれもオリジナルとは似ても似つかないものとなっています。現在のECSmBが非常に良いバーボンであることに変わりありません。以前がどうであったかは問題ではなく、現在のバージョンは素晴らしい香り、フレイヴァー、そしてフィニッシュを持っています。今でも素晴らしいヘヴンヒル・ブランドです。昔のことに拘るのはやめましょう。」

「私はエヴァンウィリアムス・ブラックラベルを毎日飲むのが好きなので、エライジャクレイグ・スモールバッチNASには肯定的な見方をしています。ECNASは基本的にEWブラックをプレミアム化したものだと思います(8年から12年のストックをミックスしているというのが本当なら)。」

「NASへの変更は、個人的にはそこまで悪いとは思っていません。というのも、私は古すぎるバーボンはバランスが悪いと思っていて、異なる年数の樽をブレンドすることで、より複雑で調和のとれた味わいになると考えているからです。」

…と、まあこういう具合なのですが、流石に12年よりNASのほうが美味しいと断言する意見はかなり少数派。世界の主要なバーボン・レヴュアーは概ね12年のほうが美味しいのを認めつつNASも悪くないというスタンスの中、NASのほうが美味しいとする意見を明確にしているのはバーボン・パディ氏くらいでしょうか。彼はちょうどエライジャクレイグ12年のボトルも開けていたので、どちらが優れているかを判断するため、ちょっとしたブラインド・サイド・バイ・サイドの比較試飲を行い、その結果、NASスモールバッチの方を気に入ったと言います。

「12年の方がパレートでよりクリーミーで、コーン駆動のバタースコッチ、複雑なダークチョコレート、微かにスパイシーな焦がしたオークが感じられた。NASスモールバッチはよりスパイシーかつフルーティな存在感が現れ、トーストしたオーク、みずみずしいチェリー、若々しいバタースコッチのプロファイルを持ち、そのフレイヴァーをよりよく運んで来ました。結果として、私は実際に12年よりもNASスモールバッチを寧ろ好んだのです。それは、ほぼ一次元的なオールド・オークで駆動した12年物に比べ、風味や力強さの面でより多くのものを持っていました。このように比較してみると、なぜ私が12年物の大ファンではなかったか、その理由を思い出すことが出来ます。それは、時に特定のバッチに見られるヘヴィ・チャード・オークの存在が不快であり、全体的な楽しみを損なうと感じていたからです。二つのうち古い方が明らかに勝つだろうと思っていた私は、この結果には驚きました。私にとっては、熟成年数が必ずしも良い製品を示す指標ではないことを証明しています。寧ろより良い味の製品を作るためのブレンドが、ここでのリアルな勝利要因なのです。」

私は長熟バーボンをあまり好まない傾向にあるので、この意見はよく分かります。もしかすると私も彼と同じ意見になるのではないかと、当の記事を読んで急にNASのエライジャクレイグが気になり出しました(バーボン・パディ氏の投稿は2020年に書かれているので比較的最近のものです)。前から飲まなくちゃなと思っていたエライジャクレイグ・スモールバッチNASなのですが、これまで私は購入して来なかったのです。その理由はボトルにあります。上で引用したコメンテイターの或る方は「正直なところ、エイジ・ステートメントがなくなったことよりも、ボトルの形状が変更されたことに失望しています。ボトルの中のウィスキーがボトルそのものよりも重要であることは明らかですが、私は特定のボトルやラベルのプレゼンテーションが好きなのです。新しいボトルのデザインは私にとって非常に残念なものです」とも書いていました。これに関して私は全く同意します。バーボンの味わいは、マーケティング担当者が大袈裟に語るほどヴァラエティに富んではいません。異なる蒸留所の製品であってさえ、ボトリング・プルーフや熟成年数が同じだと似ているのに、同じ蒸留所産の物なら尚更似たような風味を持っているものです。バーボンのそうした在り方に於いて、一言で言えばブランディング、バックストーリーやボトルデザインは、非常に重要な要素となります。昔日のエライジャクレイグの重厚で他の何とも似ていないボトルは、私にとって味以上に重要でした。それ故、ボトルデザインがリニューアルされた時に買う気を失ってしまったのです。しかし、これだけ流通量の多いバーボンを無視し続けているのも良くないですから、これを機会に買ってみた、と。では、さっそく私も実飲してみましょう。

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ELIJAH CRAIG Small Batch NAS 94 Proof
ボトリング年不明、購入は2020年なので、おそらく2020年もしくは2019年あたりにボトリングと推測。プリンのカラメルソース、焦げ樽、接着剤、キャラメル、若いプラム、シナモン少々、コーン、たまごボーロ、チェリーコーク、石鹸。香りは甘いお菓子やスパイス香と僅かに古い木を思わせるトーンも。口当たりは水っぽく、味わいは甘酸っぱいフルーティさとグレイン。余韻は仄かな甘みとウッディなスパイスがありつつも、基本的にはドライであっさりしている。パレートがハイライト。
Rating:84/100

Thought:先ず飲んだ第一印象は「あれ、エライジャってこんなグレイン・フォワードだったっけ?」でした。このNASは8年〜12年のブレンドとされ、平均すると約11年という説を見かけたのですが、本当かは判りません。個人的にはもう少し若そうな印象を持ちました。でも飲みなれると悪くないと言うか、美味しく感じて来ました。開封から二ヶ月経過した頃から(しばらく放っておいた)パレートに甘酸っぱいフルーティさが出て来て好みの傾向のバーボンになりました。穀物感、フルーツ、オーキーなヴァニラ、ほんのりスパイシーとバランスがとれています。開封から三ヶ月を過ぎた頃には、もう少し長熟感のようなものが前面に出るようになり、なるほど確かに高齢バーボンが混ぜられているのだなあと感じ取れました。しかし、余韻だけは最初から最後までパッとしないと言うか、どこか平坦な印象のままでした。

実は私もこのNASと手持ちの12年のストックを同時に開封し飲み較べしていました(12年のレヴューはまたの機会に)。両者の色はそれほどは変わりませんが、12年の方が僅かに赤みが強いブラウンでしょうか。個人的には、やはり香りも味わいも余韻も12年の方が複雑で深みは感じられました。但し、その分ビター感やハーブ香や少し渋みもあって、一長一短かなとも思いました。単純な甘さやグレイニーなバランスのウィスキーを求めるならNASかも。時として重々しくオークが出過ぎる12年より、NASは多くの人の好みに合っている可能性すらあります。どちらかに軍配を上げなければならないのなら私は12年を選びますが、NASを選ぶ人がいても反対意見はありません。まあ分かるな、といったところです。多少の荒々しさと心地よい熱量がバーボンの魅力と思うならNASを、穏やかで深みのあるオーク・フレイヴァーを味わいたいなら12年を、オススメしておきます。

おそらくNASを問題にするのは昔の味わいを知っている人だけです。2016〜18年くらいの切り替えが行われた直後と比べると、現在では店頭で12年表記のあるエライジャクレイグを見かけることはまずないと思われ、12年を入手するならオークション等のセカンダリー・マーケットに頼る必要があります。よほどのマニアでない限り、一般の飲酒家は何も気にせず近所のお店でNASを購入すれば良いでしょう。また、たとえエライジャクレイグの熱烈なファンであっても、NASを12年に代わるものと見るのではなく、単にエヴァンウィリアムス・ブラックラベルの上位グレードと見做せば、それほど腹も立たないのではないでしょうか。

Value:NASの日本での小売価格は2000円代後半から3000円代前半が相場のようです。同社のエヴァンウイリアムス・ブラックラベルが1500〜2000円とすると、プライス・レンジが上昇しただけの価値はあると思います。ただ…ここ日本では、印象的な赤いラベルのエヴァンウィリアムス12年が比較的安価(3500円くらい)に入手可能です。同じ蒸留所、同じマッシュビル、似たような熟成年数で造られながらハイアープルーファーであるEW12年は、エライジャクレイグNASは言うに及ばずEC12年よりも、少なくとも私の好みでは、リッチなフレイヴァーを有する上位互換です。そうなると、エライジャクレイグNASを最高値で購入したり、オークションでプレミアムのついた近年物のEC12年を落札するのは、得策とは言い難いものがありますね。


さて、エライジャクレイグのNAS、12年と並行してバレルプルーフも試飲しましたので最後におまけで。日本ではあまり流通していないバレルプルーフも飲めたのは、例によってバーボン仲間のK氏のお力添えによるもの。バーボンを通じた繋がりに感謝です!

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(画像提供K氏)

エライジャクレイグ・バレルプルーフは2013年から発売され、年に限定3回のリリースです。各ボトリング・プルーフはバッチ毎に異なり、概ね120をオーヴァーし、稀に140まで到達することもあります。2017年のボトルの再設計に伴いラベルのリニューアルが行われ、バッチ番号が書かれるようになりました。「A117」のような具合です。ABCはリリースの順番を示し、次の数字がリリース月、最後の2桁の数字が年を表します。なので、バッチ「A117」は、2017年の最初のリリースで1月に発売されたと判ります。以下に各リリースをリスティングしておきましょう。

Mar 2013 / 134.2 Proof
Jul 2013  / 137 Proof
Sep 2013 / 133.2 Proof
Mar 2014 / 132.4 Proof
May 2014 / 134.8 Proof
Sep 2014 / 140.2 Proof
Feb 2015 / 128 Proof
May 2015 / 139.8 Proof
Sep 2015 / 135.6 Proof
Jan 2016 / 138.8 Proof
May 2016 / 139.4 Proof
Sep 2016 / 136 Proof
A117(Jan 2017) / 127 Proof
B517(May 2017) / 124.2 Proof
C917(Sep 2017) / 131 Proof
A118(Jan 2018) / 130.6 Proof
B518(May 2018) / 133.4 Proof
C917(Sep 2018) / 131.4 Proof
A119(Jan 2019) / 135.2 Proof
B519(May 2019) / 122.2 Proof
C919(Sep 2019) / 136.8 Proof
A120(Jan 2020) / 136.6 Proof
B520(May 2020) / 127.2 Proof
C920(Sep 2020) / 132.8 Proof
A121(Jan 2021) / 123.6 Proof
B521(May 2021) / 118.2 Proof
C921(Sep 2021) / 120.2 Proof
A122(Jan 2022) / 120.8 Proof
B522(May 2022) / 121 Proof
C922(Sep 2022) / 124.8 Proof

ちなみにバレルプルーフのヴァージョンは12年のエイジ・ステートメントを保持しています。そしてノンチルフィルタードの仕様。では、最後に飲んだ感想を少しだけ。

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(画像提供K氏)
ELIJAH CRAIG BARREL PROOF Small Batch 12 Years 124.2 Proof
BATCH № B517
2017年ボトリング。木炭、タルト、スイートオーク、微かなチェリー、ビターチョコ、ハラペーニョ。アロマは流石に度数が強いのでツンとした刺激臭が強いものの、香ばしい焦がした樽香を主体として甘い香りも。口当たりは僅かにオイルぽいが、バレルプルーフに期待するよりサラッとしている。味わいはガツンとスパイシー。余韻はやや早めにひけて、穀物とスパイス・ノートが残る。

香りも味も余韻も加水したほうが甘く感じられましたが、それでもドライかつビターで、全体的に刺激強め。それでも12年の長熟ながらオーヴァーオークになってないのは良かったです。ただ、正直言うと、些か複雑さと深みに欠けるのも否めず、これでは現行ボトルを否定してオールドボトルを求める人がいるのも頷けるかな、とは思いました…。比較的開栓から日が浅い段階での試飲なので、もしかするともう少し伸びる可能性はあるのかも知れませんね。
Rating:85/100


*アメリカ人は「アライジャクレイグ」に近い発音をします。

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(画像提供K氏)

現在、絶大な人気を誇るブランドとなったブレットは、次第にそのラインナップを拡張して来ました。スタンダードなバーボンから始まり、2011年からはライ・ウィスキー、2013年からは10年熟成のバーボン、2016年からはバレル・ストレングス、2019年からはシングルバレル・バーボン、また同年には12年熟成のライ、そして2020年にはブレンダーズ・セレクトがリリースされると言った具合です。
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今回取り上げるバレル・ストレングスは、当初はディアジオ所有であるルイヴィルのスティッツェル=ウェラー蒸留所のギフト・ショップやケンタッキー州のみでの販売でしたが、その後徐々に全国的に販路を拡げて行きました。ネット上で流布している情報では、同社の他の製品と同様、ハイ・ライ・マッシュビル(コーン68%、ライ28%、モルテッドバーリー4%)を使用しているとされていますが、レシピに関しては後述します。他のスペックは、NAS(5〜8年熟成のバーボンのブレンド)、無加水、ノンチルフィルタード。スティッツェル=ウェラーの倉庫で熟成、そこの施設でのボトリングとされています。小売価格は概ね750mlのボトルで50ドル前後。バレル・ストレングスはこれまでに幾つかのバッチがリリースされており、それぞれのプルーフは120プルーフ(60%ABV)前後となっています。ネットで調べられる範囲で見つかったのには以下のようなバッチがありました。

バッチ#なし、59.5%ABV(119.0プルーフ)
バッチ#なし、59.6%ABV(119.2プルーフ)
バッチ#2、62.7%ABV(125.4プルーフ)
バッチ#3、61.7%ABV(123.4プルーフ)
バッチ#4、61.7%ABV(123.4プルーフ)
バッチ#5、62.7%ABV(125.4 プルーフ)
バッチ#6、58.3%ABV(116.6プルーフ)

基本的にブレットは販売しているウィスキーの原産地を開示していません。ブレット・フロンティア・ウィスキーの歴史は調達と契約蒸留の歴史であり、ソースが分かっている物とそうでない物がありますが、バレル・ストレングスは分からない方に属します。一応、念の為にここらでブレットの来歴をお浚いしつつ、原酒の変遷を見て行きましょう。これは以前投稿したブレット10年のレヴューで纏めたブランドの歴史を補足するものです。

ブレット・ブランドの創設者トーマス・E・ブレット・ジュニアことトム・ブレットは、ルイヴィルで生まれ育ちました。小学校は聖フランセズ・オブ・ローマ学校、高校はトリニティ・ハイスクールに通いました。いつの時代か明確ではありませんが、本人によればバーンハイム蒸留所で働いていた(バイト?)と言います。トムは1966年にケンタッキー大学を卒業した時、「第二次世界大戦の退役軍人で、非常に真面目な人」だった父親に将来マスターディスティラーになりたいと告げました。しかし父親は「いや、お前はそうじゃない、軍隊に入るんだ」と答えました。それまで「パッとしない学生」だったトムは、「軍隊は君を成熟させる」と世に言われるように、実際そこへ入ってみるとその通りになったようです。また彼の父親は「お前は弁護士になれ」とも伝えていました。今では若くとも、もっと自由に職業を選べる時代ではありますが、トムは「私の世代では父親の言うことを聞いていた」と語っています。
トムはベトナムでの兵役中、LSAT(※エルサット=「Law School Admission Test」の略。法学を専門とするロースクールに入学する際に受ける入学試験)を受験し、一回目の受験で好成績を収めました。1969年に海兵隊を名誉除隊すると、ルイヴィル大学のブランダイス・スクール・オブ・ローに入学し、その後ワシントンDCのジョージタウン大学に進学、そしてレキシントンで法律事務所を開設するまで米国財務省に勤務したそうです。しかし、法律の実務経験を積む中でもトムのバーボンを造りたいという想いは途切れることがありませんでした。最終的にスピリッツ・ビジネスの開始を決めた時には、例の父も「それはお前と銀行家との間の問題だ」と言ったとか。

1987年、ブレット・ディスティリング・カンパニーを設立することにより、トム・ブレットは蒸留酒業界へと足を踏み入れます。古い家族のレシピによるウィスキーを復活させるのが念願でした。それは1830〜1860年にかけてルイヴィルのタヴァーン店主だったという曾々祖父のオーガスタス・ブレットが造っていたとされるライ麦が高い比率を占めるウィスキーを指しています。彼は1860年頃、フラットボートに樽を一杯に載せ、ケンタッキーからニューオリンズへとオハイオ・リヴァーを下り売却に向かう輸送中、行方不明となり帰っては来ませんでした。それでもオーガスタスが造ったウィスキーのレシピはトムに伝わっていました、と。これが今日マーケティングで広く使用される創業当初の物語です。しかし、オリジナルのブレットは今のブレットとは大きく異なり、そもそも家族の歴史を殊更持ち出してはおらず、代わりに別のケンタッキーの遺産である競走馬をフィーチャーしていました。その最初のブランドは1989年に「サラブレッド・ケンタッキー・バーボン(NAS、86プルーフ)」として市場に送り出されます。このラベルはバーボンによくありがちなデザインで、ボトルにしても他のブランドにも採用される伝統的なものでした。おそらく数年(89〜92年?)しか流通しておらず、販売量も少なかったと思います。当時のアメリカ国内のバーボン需要を考慮すると、日本市場での販売を主目的としていた可能性もあるでしょう。
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ブランドは1992年に「サラブレッド」から「ブレット」に変更されました。トムの娘のホリス・B・ワース(*)によると、自分がアイディアを出したと主張しています。「彼(トム)はウィスキーを調達していたので、もう少し目印になるものを付けたいと望んでいました。そこで私は『ブレット』という名前を付けるべきだと言いました。なぜ私達(家族)にちなんで名付けないの?」と。しかし、トム自身からは全く異なる説明がなされており、彼は1992年に日本貿易振興機構の後援で日本を訪れた時、ブランド名について考え直し始めたと言います。「私はサラブレッド(バーボン)と一緒にそこに行きましたが、彼らから受けたアドヴァイスは、それがあまりにも地味過ぎ、あまりにも一般的過ぎ、高級感が足りていない、ということでした」。そこで彼はアメリカへ戻ると、当時メリディアン・コミュニケーションズにいたフラン・テイラーのもとに相談しに行きます。トムは彼女とそのデザイナーに、より良いパッケージを考え出し、彼が既に用意していたボトルに合わせてラベルをデザインするよう依頼しました。この打合せ時にフランからバーボンの名前をサラブレッドからブレットに変更する提案を受けたそうです。 フランは、「私が最初にそれを言いました。相手の気持ちを傷つけるのではないかとヒヤヒヤしましたが、ブレットは素晴らしい名前だったので、なぜブレットにしないのでしょう?って」と述べています。「そして、私が彼に会う度に大勢の人と一緒にいるような時には、私をブレット・バーボンに名前を変えるよう説得した人物だと紹介してくれます」とも。

そのブレット家の名を冠したオリジナルのバーボンは、1995年に初めてリリースされたと見られています。90プルーフのスタンダードな物と、100プルーフで「サラブレッド」の文字と馬のスケッチがラベルに含まれたより上位の物の二種類がありました(上掲画像参照)。これらはエルマーTリーやウェラー・センテニアルによって有名になったスクワット・ボトルに入っていました。日本にはブレット・サラブレッドの方のみが輸入されていたと思われます。ここまでのブレットの原酒はフランクフォートのエンシェント・エイジ蒸留所(現バッファロー・トレース蒸留所)が契約蒸留しているとされ、ボトリングも同所でされているでしょう。トムによると、当時の蒸留所施設内に彼のオフィスがあったそうなので、業務提携というのかベンチャー企業というのか、そういうビジネス形態だったようです。ただ、この頃のブレットを飲んだアメリカの或る方は、ダスティ・オールド・チャーター7年を想い起こさせ、おそらく同じバーボンだろうと言っていました。もしそれが正しいのであれば、樽買いの可能性もあるのかも知れません。エンシェント・エイジ蒸留所とオールド・チャーターを造っていたルイヴィルのバーンハイム蒸留所は長い間親会社がシェンリーという共通項があり一種の親戚関係のような間柄でしたから、在庫の共有のようなことをしていた可能性も考えられるのではないかと…。飲んだことのある皆さんはどう思われましたか? コメントよりお知らせ頂けると助かります。まあ、それは偖て措き話は続きます。

ブレット・バーボンがリリースされて間もなく、トム・ブレットは当時世界最大のスピリッツ会社の一つであったシーグラムからアプローチを受けます。聞くところによると、シーグラムは西部開拓時代をモチーフにしたバーボンをリリースすることを望んでおり、そのためのブランドを模索していたらしい。当初は、西部劇と言えば銃ですから弾丸を意味する「Bullet Bourbon」という名称を予定していたものの、弾薬や銃器を連想させる酒類を販売することは広報上よろしくないと判断し取り止めます。次にケンタッキー州ブリット郡にちなんで「Bullitt Bourbon」はどうかと考えていました。そこへひょっこりと現れたのが「bulleit Bourbon」で、シーグラムは小さなブランドであるブレットの存在を知ると、単純に確立された商標を購入する方が楽だと考えたと云うのです。大企業シーグラムと優秀なビジネスマンのトム、両者の思惑が一致したのでしょうか、1997年にブレット・ディスティリング・カンパニーはシーグラムに買収されました。シーグラムはトムをコンサルタントとして雇い、ブランドの顔となるアンバサダーとしての契約もオファーしたようです。ブレットというブランドにとってトムは常に重要な存在でした。彼はレシピについては生産者と、ブランドのメッセージ性や外観については広告代理店やデザイン会社と協力し、マーケティングおよびパッケージングを完成されたものにして行きます。

現在のブレット・ブランドの目覚ましい成果は、トムは勿論、後のディアジオの力が大きく与っているかも知れませんが、バーボン市場での立ち上げとポジショニングはシーグラムに関連した人々によるものでした。トムが自身の会社をシーグラムに売却した翌年、新しい親会社はブランドのニュー・コンセプトを開発するプロジェクトに着手することを決定します。シーグラムに雇われた元DDB(ドイル・デイン・バーンバック)の共同アート・ディレクターであったジャック・マリウッチとボブ・マッコールはトムと協議を繰り返しました。そこで出てきたのがトムの祖先の物語であり、それをトム自身の物語とフロンティア・ウィスキーのコンセプトに重ね合わせるという手法でした。祖先というのは前出のオーガスタス・ブレットのことです。その起源の物語はバーボンのテーマである「フロンティア・ウィスキー」をアピールするためのマーケティング上の言葉の綾、おそらくはフィクションでしょう。19世紀にブレット・バーボンが市場に出回っていたかどうかは、彼らには関係のないことでした。トムの提案は、このブランドの起源がオーガスタス・ブレットにあること、そしてブランドの信頼性が高ければこのブランドは勝者になれること、この二点です。シーグラムの上層部はそれに全面的に同意しました。バーボンは昔から「伝統」が強調されて来た商品です。そのためマーケターにはブランドのレシピが大昔に遡ると主張することで関連性と信頼性を示したいという誘惑が常にあります。多くの殆どの消費者は、ブランドの歴史や背景にはあまり関心がなく、細かいことは気にしません。耳触りの良い興味を惹くようなストーリーがちょっと聴ければ十分なのです。そこでマーケターは物語を誇張したり改竄したりと知恵を絞る訳ですが、あまりやり過ぎはよくありません。特に実在の人物についてそれをやる場合はリスクを伴います。後に、第三者による系図の調査により、オーガスタスの経歴に関する主張は、マーケティングのプロが作り出したホラ話であることがほぼ証明されました(**)。まあ、それは措いて、話は現在も維持されている新生ブレットのボトル・デザインに移ります。

シーグラムはボトルのための第一候補となるデザイナーを探す網を世界中に張っていました。ドイツでもブラジルでも、世界のあらゆる場所で探したそうです。そして最終的に、デザイナーにはオレゴン州ポートランドのサンドストロム・パートナーズのスティーヴ・サンドストロムが選ばれました。サンドストロムはジャック・マリウッチから連絡を受け、彼とそのパートナーのボブ・マッコールがフロンティア・ウイスキーを中心に考え出したコンセプトについて話されたと言います。彼らはトムの名前、彼の物語、家族の起源の物語、それら全てがフロンティア・ウィスキーのコンセプトにとてもよく合っていると思っていました。サンドストロムの仕事は、パッケージにそのストーリーを反映し、実現させることでした。彼はまた、コンサルティング業務に携わっていたトム・ブレットとも会います。サンドストロムはケンタッキーに赴くと、トムは彼をウィスキー博物館と幾つかの蒸留所を連れ回ってバーボンについて教えてくれたそう。しかし、現在生産されているブレット・バーボンの高度な様式美を誇るボトル・デザインの主なインスピレーションとなったのは、オレゴン州の骨董品店で見つけた古いボトルでした。サンドストロムはその「クレイジーで奇妙な楕円形の物」を見て、エンボス加工を施して下の方にラベルを貼ろうと思い付きました。これは本当に一風変わって見えるだろうな、と。 また、彼は当初ボトルの色をダーク・オリーヴ・グリーンにすることを想定していました。その方がユニークなオレンジ色のラベルが映えると考えたからでした。しかし、シーグラムは消費者がウィスキーの色を確認できるように考慮して透明なガラスを使用することにします。こうして、ボブ・マッコールが中心となって考えられたフロンティア・ウイスキーのコンセプトは、オールド・ウェストの薬屋やスネイク・オイル・セールスマンが薬を売るために使っていたアポセカリー・ボトルを模した形状に「ブレット・バーボン」と「フロンティア・ウィスキー」の文字をエンボス加工したボトル、わざと斜めに貼られたラベル等によって完璧に体現され、パッケージは完成しました。
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見た目を一新したブレット・バーボンは1999年にアメリカ市場に導入されました。2000年にはオーストラリア、イギリス、ドイツに導入されたそうです。中身に関しては、おそらくエンシェント・エイジ蒸留所で生産されていたバレルがなくなった後、当時シーグラムの所有していたローレンスバーグのフォアローゼズ蒸留所の原酒に切り替えらました。

それまで順調に帝国を築いて来たシーグラムも、90年代に手を染めていたエンターテイメント事業の収益が上がらず、メディア事業の拡大を進めていたフランスの企業ヴィヴェンディと合併、2000年12月、シーグラムの事業は終わりを迎えます。酒類部門の資産はイギリスのディアジオとフランスのペルノ・リカールによって分けられ、2001年にディアジオはブレットを含む有名なブランドを買収し、シーグラムからトム・ブレットのコンサルティング契約とロイヤリティ契約を継続して更新しました。 また、彼らはフォアローゼズ蒸留所との契約も延長し、ブレット・バーボンの供給元として存続させます。
オールド・ウェストなスタイルのボトルを採用していたためか、HBOで2004年3月21日から2006年8月27日にかけて放送された1870年代のデッドウッドを舞台とした人気シリーズ、その名も『デッドウッド』という西部劇TVドラマのエピソードにブレットは登場し(他にもベイゼル・ヘイデンズやオールド・ウェラー・アンティークが使われた)、知名度を高めて販売を促進したと言います。ディアジオもシーグラムに倣い、ブレットを家族経営の会社に見せるための多大な努力をして来ました。架空の起源の物語を相変わらず使用し、もしかするとより上手く誇張したかも知れません。優秀なビジネスマンのトムはアンバサダーとして精力的に各地を宣伝して回りました。バーテンダーから高い支持を得たブランドは今日、著しい成長をみせ、世界で四番目に大きいバーボン・ブランドになったとされています。

では最後にもう一度、原酒の話を。フォアローゼズ蒸留所は10年以上ブレットのソースであり続けました。ディアジオは他のブランドのために複数の蒸留所から原酒を購入していましたが、ブレット・バーボンには2013年末までフォアローゼズ蒸留所が唯一の供給元だったと推定されています(2014年3月で終了という説もあった)。フォアローゼズ蒸留所は低迷期にNDP(非蒸留業者)に相当量のバーボンを供給していたと見られ、ディアジオは最大の顧客だったのかも知れません。しかし、キリンが2002年にフォアローゼズを買収してからは自社のバーボン人気が徐々に成長し、ブレットも需要が高まったため供給が難しくなった、それがディアジオとの契約を更新しなかった理由でしょう。おそらくラベルにローレンスバーグの記載のある物は、原酒がフォアローゼズ産100%で間違いないと思います。
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現在のブレット・バーボンを誰が造っているのかは公開されていません。ブレット10年だと、熟成年数を考慮すれば単純計算で2023年まではフォアローゼズ産の確率は高い。問題はスタンダードなボトルやシングル・バレル、そして今回レヴューするバレル・ストレングスです。ディアジオはブラウン=フォーマンと長年に渡り蒸留契約を結んでいるとか、またバートンやジムビームもディアジオにバーボンを供給していると噂されています。一説にはジムビームだと言う人もいれば、一説にはジムビーム、バートン、フォアローゼズのミックスだと推測する人もいます。そこへ今後は2017年シェルビー・カウンティに設立した新しい蒸留所の原酒も加わって来るのかも知れません。何の目的か今のところよく分かりませんが、ディアジオは更にマリオン郡レバノンにもファシリティを建てています。
では、そろそろバーボンを注いでみましょう。日本では一般流通していないブレット・バレルストレングスを試飲できるのは、バーボン仲間のK氏からサンプルを提供してもらったおかげ。画像提供も含め、この場を借りてお礼を言わせてもらいます。今回もありがとうございました。バーボン繋がりに乾杯!

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BULLEIT BOURBON BARREL STRENGTH 119.2 Proof
推定2016年ボトリング。バレルプルーフにしては薄めの色合い。香ばしい穀物、ライスパイス、木質の酸、クッキー、白胡椒、ドライオーク、生姜、弱い柑橘類、うっすらナッツ。グレイニー&スパイシーなアロマ。口当たりはバレルプルーフに期待するオイリーさには欠け、僅かなとろみくらい。飲み口は暴れる系、液体を飲み込んだ直後もガツンと強烈。余韻はライの穀物感と木材のドライネスで、さっぱり切れ上がる。
Rating:84.5/100

Thought:かなりライ・ウィスキー寄りのバーボンという印象。まあ、それ自体はいいとしても、どうもフルーツ・フレイヴァーが弱くスパイシーな傾向に偏っていて、私の好みではありませんでした。もしかすると、もう少し時間を経過させるとアルコール感が減少してフレイヴァーを取りやすくなるのかも知れません。一応その代わりに一滴だけ水を垂らしてみたのですが、フレイヴァーに変化は感じられませんでした。本当に5〜8年も熟成してるの?と言うぐらいメロウさにも欠け、以前飲んだブレット10年の方が断然香りも味わいも芳醇です。他のバッチの海外のレヴューを読むと、これよりもう少し美味しそうに思えたのですが、このバッチは比較的低評価が多いように見えました。中には「私はこれに非常に失望しました。風味、深み、味が不足していました。これが持っていたのはハイプルーフの熱だけでした。同じ量のアルコール含有量でおそらくもっと味が良いものをより安く買うことが出来ます。これにお金を無駄にしないで下さい」と酷評されている方がいまして、私も概ね同意です。
偖て、このバレル・ストレングス、原酒はどこ産なんだ?という件ですが、推定2016年ボトリングというのか正しいのであればフォアローゼズの可能性は高いでしょう。これと同じ物と見られるバレル・ストレングスを飲んだアメリカの或る方は、その人の「味覚では間違いなくフォアローゼズ」と言っていました。ただ、個人的には私がこれまで飲んで来た旧来のフォアローゼズ産のブレットに想い描く味とは完全に別物という感想でした。まあ、私の味覚は当てにはなりませんけれども…。もしフォアローゼズならば、最もスパイシーとされるOBSKとか? そんな味わいに思います。或いは誰かが言うように他蒸留所とのミックスなのでしょうか? 少なくとも2020年の情報では、フォアローゼズはディアジオ向けの蒸留は行っていないものの、自社の施設でディアジオのバレルを熟成させていることを認めています。それはバレルではなくタンカーでブレットに送られるそうです。タンカーで送られるということは、バレルから投棄された原酒が混ざっているため、シングルバレルでないことを意味します。ならばそれはブレンド用ということになり、バレル・ストレングスにもフォアローゼズ原酒をブレンドすることは出来るでしょう。

ところで、気になるのはブレットのマッシュビルと言うかレシピ。そのヒントになるのが2019年に新しくブレット・バーボンに仲間入りしたシングルバレル(104プルーフ、希望小売価格60ドル)です。シングルバレルを購入しようとするリカー・ストアのオウナーはブレットの施設に行くか郵送でサンプルを受け取るか選べるそうです。ブレット施設へ行った方によると、10の異なるレシピから選ぶことが出来ると言われたらしい。え? まるでフォアローゼズやん? バレルのヘッドがヤスリがけされているためDSPナンバー(中身のバーボンが蒸留された場所)は確認できなかったとのこと。ブレットのスタッフは、どの樽にどのレシピが入っているかは特定できないけれど、中身の熟成年数は教えてくれるそうです。更にスタッフはバレル内の液体は「あなたが思っているようなものではない」と繰り返したと言います。これはフォアローゼズではないという意味でしょう。
実はブレットのシングル・バレル・ピックは、名称が違うだけで中身はフォアローゼズ・シングル・バレル・ピックと大体同じなのではないか?という疑いがバーボン愛好家の間で持たれていました。長らくフォアローゼズ蒸留所がブレットに供給していたのが知られ、尚且つ10のレシピがあると聞けば、そりゃあそう思いたくもなります。なるほど、そもそもフォアローゼズはブレットに10レシピ全てを提供しているのか、と。実際、ウィスキー・ニートのクリストファー・ハートはフォアローゼズ蒸留所を訪れた時にディアジオの略号「DG」とマークされたOBSVレシピのバレルの写真を撮っています(推定2018年末撮影)。そこで彼は真実を知るために、ブレットのバレル・プログラムの責任者メリッサ・リフト、同社のPR担当アリソン・フライシャー、そして、ディアジオのブランドを率いるグローバル・ブランド・ディレクターのエド・ベロらに話を聞きました。すると彼らはブレット・シングルバレルのセレクションは、パッケージの違うフォアローゼズ・シングルバレルのボトルでないことを断言しました。すぐ上にも書いたように、フォアローゼズの原酒はブレットへはタンカーで送られます。タンカーで出荷されたバーボンを再度バレリングするのはコストが掛かるし、それは「シングルバレル」とは呼べません。シングルバレル・プログラムの液体は全てバレルで到着し、その後、現地(おそらくスティッツェル=ウェラーの倉庫)で熟成されていると言います。原酒を供給している4つの蒸留所については明言を避けたものの、フォアローゼズでないことだけは強調していたそうです。また、フォアローゼズのレシピに関する質問に対しては、具体的に幾つとは言えないが、インディアナ産のライを除いて、我々は一つの蒸留所から調達している訳ではなく、常に複数の蒸留所から調達しブレンドしている、と述べています。エドによれば、彼が2014年頃にブランドに参加した時から既にこの方法でそれを行っていたらしい。そして、個人的に最も興味をそそられたのがマッシュビルです。ブレットのロウ・ライ・マッシュビルは75%コーン、21%ライ、4%モルテッドバーリー。ハイ・ライ・マッシュビルは60%コーン、36%ライ、4%モルテッドバーリーだそうです。対してフォアローゼズの「E」マッシュビルは75%コーン、20%ライ、5%モルテッドバーリー、「B」マッシュビルは60%コーン、35%ライ、5%モルテッドバーリーです。ライとモルトが1%だけ異なり、イーストもフォアローゼズとは別だと言っています。これは私の憶測ですが、この「1%」だけの違いは、従来品と同じようなフレイヴァー・プロファイルをクリエイトするために、基本的にフォアローゼズをコピーしようとしているからだと思います。それを別の蒸留所に依頼して造ってもらっていれば、イーストが違うのは当然なのでマッシュビルを微調整したのではないかと。まあ、それはいいとして、じゃあ従来からよく知られたあのマッシュビルは何なの?という疑問が生まれます。
ブレット・バーボンを検索した時にヒットするどのウェブサイトでも、大概ブレットのマッシュビルはコーン68%、ライ28%、モルテッドバーリー4%と書かれています。これはブレット側から公表された数値でしょう。私はこれを見て、フォアローゼズがそのマッシュビルでイーストはV、K、O、Q、Fのどれかを使い契約蒸留しているのだろうと思っていました。そして、フォアローゼズとの契約が終わった後は、別の蒸留所がそのマッシュビルで蒸留をしているのだろうと思っていました。ところがブレットはロウ・ライとハイ・ライを造り分けていると言います。そこで、その両マッシュビルのコーンとライのそれぞれを足して2で割ってみると、コーンは67.5、ライは28.5となり、概ね公表されたマッシュビルと近い数値が出ます。おそらく、ブレットがこれまで明かしていたマッシュビルはロウ・ライとハイ・ライを混ぜた大体の平均値だったのではないでしょうか? 従来のフォアローゼズ産の「E」と「B」のマッシュビルのライを足して2で割ると27.5です。これも28に近い数値ですからね。しかし、そうなるとモルテッドバーリーが4%の謎が残ります。
ブレットがフォアローゼズから原酒の供給を受けていた時も、彼らは4%モルテッドバーリーのマッシュ ビルと公表していました。フォアローゼズの10レシピはどれも5%のモルテッドバーリーを使用しています。そこで考えられる可能性は、フォアローゼズと他の蒸留所のジュースをブレンドした結果モルテッドバーリーが4%に下がったという事実を反映していたか、或いはフォアローゼズが自らの10レシピ以外にブレットのためだけにわざわざ1%違うレシピでウィスキーを製造していたかのどちらかでしょう。後者に関しては、先に触れたフォアローゼズの施設にあったというディアジオ向けのDG OBSVバレルの件からすると、おそらくフォアローゼズは単に自らのレシピで蒸留した原酒を供給していたように思えます。信頼できるか判りませんが、2013年頃にブレットはフォアローゼズ・イエローラベルと同じジュース/バレルだとフォアローゼズの関係者から聞いた、と言っている人がいました。イエローラベルは10レシピ全てを使います。うーん、どうでしょうね、あり得なくはないような気もしますが…。前者に関しては、フォアローゼズの5%のモルテッドバーリーの配合率を下げるためにはより低いモルテッドバーリー率の原酒が必要となります。当時からフォアローゼズ以外の原酒をブレンドしていたというのなら、それが公開されていない以上、もはや謎と言う他ありません。もしかすると我々はデタラメな情報に踊らされていた可能性だってあります。皆さんはブレットのマッシュビルについてどう思われますか? どしどしコメントお寄せ下さい。また、最新情報をお持ちの方もコメントして頂けると助かります。


*トム・ブレットの最初の結婚相手ステファニーとの唯一の娘であるホリス・B・ワースは、家族とのいざこざもあって2018年にアン・ホリスター・ブレットから合法的に名前を変更しています。ワースは2006〜2016年までの十年間、ディアジオに雇われブレットのブランド・アンバサダーとして働いていました。彼女はLGBTQコミュニティのオープン・メンバーであり、12年の間パートナーだったシェールと結婚しています。ワースは2017年頃から父親とその現在の妻ベッツィー・ブレットにキャリアを台無しにされたとソーシャル・メディアで非難し始め、また元雇用主であるディアジオには同性愛嫌悪のために解雇されたとしてその企業文化を攻撃しました。2018年1月頃、ディアジオとは和解が成立し、ワースは和解の一環として120万ドルの支払いを受け取ったと報告しました。しかし、2019年8月からは更に深刻な、子供の頃に性的虐待を受けていたという主張までし出します。「幼い頃から、私は身体を触られ、不適切に愛され、自分の意思に反して裸で写真を撮り、私とのコミュニケーションには露骨な性的表現が使われ、年齢に相応しくない性的メディアをいくつかの形で見せられました」と。当然の如くトムは断固として否定していますが、流石に性的虐待の話まで出た時には、取り敢えずトムはブランドの顔から退きました。その後どうなったかはよく分かりません。この一連のスキャンダルは、個人的にはワガママ娘のカネ目当ての行動に見えてしょうがないのですが、実の父娘同士の葛藤が何かしらあるのでしょうし、我々第三者には事の真相は知る由もなく、真実は藪の中です。たとえ何かしらの解決がなされたとしても、当人らの心に深い傷が残る出来事だったのだけは確かでしょう。

**オーガスタス・ブレットについては、時代も時代なので、情報源によって経歴の年号やエピソードに多少の違いがあります。個人的な印象としては、親族の間で語り継がれるような一家の礎を築いた人物と言うか、立身出世物語のヒーロー的な人物だったのではないかという気がしています。幾つかの情報を纏めると、オーガスタスは大体以下のような人生を送ったようです。
Augustus Boilliat(本人かその子孫か判りませんが、どこかの段階で「Bulleit」姓に改名された)は1805年もしくは1806年に生まれました。1836年(或いは1841年とも)、25歳か30歳くらいの時に、フランスからアメリカへやって来てニューオリンズに上陸し、その後ケンタッキー州ルイヴィルに短期滞在、それからインディアナ州ハリソン郡へ移りました。そこでベルギー生まれでレインズヴィルから来たMary Julia Duliuと1841年8月29日(4月29日とも)に結婚。オーガスタスが35歳、メリーは21歳でした。同じ年、彼はアメリカに帰化したそうです。二人はドッグウッド近くのバック・クリークの農場に住み着き、9人の子供を儲けました(或いは5人の息子と少なくとも2人の娘とも)。オーガスタスとメリーは国勢調査記録に現れ、それによると1850年に彼の職業は「製粉業者」、1860年には「農夫」となっているそうです。そして、バック・クリークの自宅で長年暮らした後、隣人のアイザック・メルトンと一緒にフラットボートを作り、幾つかの農産物を積んでオハイオ川からミシシッピ川を下ってニューオリンズまで出掛け、積み荷の農産物を売った後オーガスタスは消息不明となったらしい。それは何らかの凶行に遭ったからではないかとされ、1860年、54歳頃のことと見られます。
どうでしょう? ブレット・フロンティア・ウィスキーの起源の物語と殆ど同じですね。違う点はルイヴィルが殆ど出てこない点です。このオーガスタスは、フランスからアメリカへ来てから短い移行期間に立ち寄っただけでルイヴィルに住んだことはなく、ルイヴィルで蒸留したことも、ルイヴィルで居酒屋を経営したこともありません。このブレット家はインディアナ州ハリソン郡に根を張った一族でした。もう一つの違いはウィスキーの話が出てこない点です。オーガスタスが製粉業者や農夫だったということは、少なくとも小さなスティルを持っていた可能性は指摘されています。確かに、製粉業者も農夫も穀物で報酬を得ていた訳ですから、余った穀物を腐らないウィスキーに蒸留して販売していてもおかしくはありません。ただ、トム・ブレットとは別のオーガスタスの玄孫の方は「私の祖母は秘密のバーボン・レシピなど何も言っていませんでしたよ」と言っています。その方の知る家族の伝承によると、オーガスタスはかつて居酒屋を経営していた可能性もあるし、製材業も行っていた可能性もあるが、どちらも失敗に終わっただろう、とのこと。
また、インディアナ州コリドン出身のローラ・メイ・ブレット(オーガスタスの玄孫)を曾祖母にもつ方も同じような話をしています。彼女は子供の頃にオーガスタスの話を聞いて育ったそうで、家族の歴史によると、オーガスタスはインディアナ州のレインズヴィルで酒場を経営していたが失敗に終わり、バック・クリークにある農場に移って製材所を建てて成功し、当時としては多額の現金収入を得たと言います。彼はフラットボートを作り、オハイオ川やミシシッピ川で商品や生産物を販売していたが、そんな中、ルイジアナ州ニューオーリンズに向かったオーガスタスは消息不明となった、と。
更には、アミエル・L・ブレット(オーガスタスとメリーの三男で当時はインディアナ州南部とケンタッキー州北部で有名な鍛冶屋だった)の曾孫という方は、1998年、母と妹を連れてコリドンを訪れ、コリドン・カーネギー公立図書館の系図室で一日中過ごし、ブレット家に関する豊富な情報を得たと言います。その多くはブレット家のメンバーによるオーラル・ヒストリーとして提供されており、1965年にブランチ・ブレット・クリストリー(オーガスタスの孫娘とされる)のアカウントでは、オーガスタス・ブレットの生涯と1860年メンフィスへのフラットボートによる交易の途中に起きたイリノイ州メトロポリス周辺での失踪にまつわる一族の伝承の強固なヴァージョンが語られていたそう。彼はそこで土地を手に入れたが、商品と土地のために殺されたと言われており、おそらく後にその両方を手に入れた男に殺されたのだろう、と。この方は数年後にメトロポリスを訪れ、カウンティ・クラークのオフィスでマサック郡の土地記録を調べたところ、1860年12月に記された「Augustus Boilleat」への40エーカーの証書の公式記録を見つけたそうです。そしてこの方も、自分の祖先はブレットのタヴァーンやウィスキーのレシピについては何もメンションしていませんでしたと言っています。1998年にコリドンを訪れた際に紹介されたコリドン・タウンの歴史家によると、ブレット家は肥料の販売員や鍛冶屋や馬車製造業者だったと言われたとか。
トム・ブレットは2013年のインタヴューでは、レシピはオーガスタスから祖父のフランシス・エイム・ブレットに受け継がれたと語っていたので、私もここで語られているブレット家を家系図のサイトで調べてみたのですがフランシスを見つけられませんでした。勿論、家系図サイトが必ずしも正しいとは限りませんし、また上のような個人的に行われた系図調査は大きな証拠がない場合や多くの飛躍や推測が含まれている可能性があるので、話半分で聞く必要もあります。それに、流石にトムが自分の祖先の名前をでっち上げるまではしないと思います。そもそもオーガスタス・ブレットという同姓同名の人物が何人かいるのかも知れません。ただ、それにしては余りにもエピソードが似すぎていますよね。少なくとも多少盛っているのは間違いないかと…。その祖先伝来のレシピについても、私の記憶では、昔はライが3分の2とコーンが3分の1のウィスキーとされていたのが、数年前からライが3分の1のウィスキーに変更されているような気がしています。ここらあたりにも、何ともいかがわしいマーケティングの臭いが感じられるでしょう。

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テンプルトン・ライ・バレル・ストレングスは2018年から導入された年次リリースの数量限定製品です。テンプルトン・ライというブランド自体と諸々のエピソードについては、以前に投稿したスモールバッチNAS6年のレヴューで紹介してますので、そちらを参照して下さい。
創業当初NDPであったテンプルトン・ライ・スピリッツ社は2017年に自らの蒸留所を着工し、2018年から稼働し始めたようで、100%アイオワ産のウィスキーは2022年に発売されると想定されています。従って現在流通しているテンプルトン・ライの製品は、全てインディアナ州ローレンスバーグのMGPで蒸留および熟成された95%ライと5%バーリーモルトのウィスキーがソース。ブレンドとボトリングのみがアイオワのテンプルトンの施設で行われている訳です。
バレル・ストレングスは毎年限られた数のバレルが蒸留所マネージャーのレスター・ブラウンを筆頭としたチームによって選ばれます。これはシングルバレルではなく、エイジ・ステイトメントもないため、おそらく熟成年数や成熟度が異なる優良と見做されたバレルが選ばれ、その後それらをヴァッティングし、一つのバッチを形成するのでしょう。同社の4年や6年と違い、バレル・ストレングスには「ストレート」表記がありますので、フレイヴァー製剤の添加はありません。ラベルの承認を行うTTBを欺いているのでない限りは…。また、バレル・ストレングスはフレイヴァー成分をボトルに残すことを期待されるノンチルフィルタード(非冷却濾過)。流石にバレルプルーフならばフレイヴァーを添加する必要はないという判断ですかね。ちなみに、これまでリリースされたバレル・ストレングスは、2018年版が114.4プルーフ、2019年版が115.8プルーフ、2020年版が113.1プルーフでボトリングされています。

テンプルトン・ライ批判の急先鋒と言えるウィスキー・インフルエンサーのジョシュ・ピータースは、2018年にバレル・ストレングスが初めてリリースされた時には「テンプルトン・バレルストレングス・ストレート・ライウィスキーを購入しない5つの理由」という記事を自身のブログに投稿しています。彼は以前からテンプルトン社の現代ウィスキー市場に於けるあらゆる反則技や不誠実な姿勢に嫌悪感を露わにしていましたが、ストレート・ウィスキーであるバレル・ストレングスが出ても怒りは収まらなかったようで…。彼の主張をざっくり纏めると、バレル・ストレングスがストレート規格であったとしても、そのプレス・リリースではどこにもMGPのソースド・ウィスキーであるとは言及されておらず、アルフォンス・カーコフ・レシピの起源物語をまだ言い続けている、だったら同じくMGPの95/5ライ・マッシュのジェームズ・E.ペッパー1776ライのバレルプルーフの方が安く購入できるので自分ならそっちを買う、そうすれば同じ経験をしながら欺瞞的なテンプルトンではない透明性のある会社をサポートすることが出来る、と。私も情報は透明に越したことはないと思っていますし、テンプルトン・ライの行き過ぎたマーケティングにはガッカリするものの、それでもテンプルトン製品を買っています。これはジョシュに賛同しないと言うより、単に日本で比較的買い易いMGP95ライをソースとしたウィスキーがテンプルトン・ライだから、それだけ。MGPの95%ライ好きなんです(笑)。

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TEMPLETON RYE BARREL STRENGTH 115.8 Proof
Limited Bottling 2019
ピクルス、ライスパイス、プラム、青いバナナ、キャラメル、石鹸、塩、ゴーヤ、スイカ、甘いナッツ、弱い蜂蜜。基本的にスパイシーなアロマだが、フルーツとお菓子のような甘い香りもしっかりある。軽やかなのにバタリーな口当たり。味わいはフレッシュな野菜やハーブを思わせる緑感とグレイン。余韻は口当たりや度数の割にあっさり切れ上がるものの、トーストされたオークの甘みとハービーな苦味とライ麦由来のスパイシーさのアンサンブルが心地良い。
Rating:87.5/100

Thought:前回まで開けていたテンプルトン・ライ6年と比べると、バレルプルーフであることとノンチルフィルタードの効果でしょうか、フレイヴァーの強さは桁違いでした。フレイヴァー・プロファイルは概ね同じに感じますが、6年では感じ取れなかった細やかなニュアンスや変化も取得しやすいように思います。選択されたバレルの熟成年数の平均はどうなんだろう、4〜6年くらいはありそうな熟成感という印象。飲んだことある皆さんはどう思われましたか? コメントよりどしどし感想お寄せ下さい。

Value:2020年版のテンプルトン・ライ・バレル・ストレングスは、アメリカでの希望小売価格が約60ドルのようです。日本でこの2019年版が流通していた頃の小売価格は大体5500円程度でした。過剰なプレミアム(割増金)が付けられていなければ、どこかで見つけたら即買っていいと思います。日本ではMGP95ライをソースとしたバレルプルーフのウィスキーがそこまで豊富に流通している訳ではないからです。ただし、他メーカーがボトリングしたMGP95ライのソーシング・ウィスキーでも、バレルプルーフであれば同じくらい美味しいのは確定的であり、尚且もう少し安い可能性はあるので、よほどテンプルトン・ライのブランド・イメージが気に入ってるのでなければ、ジョシュ・ピータースが言うように、そちらを購入するのも手でしょう。

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「バレル・バーボン」はバレル・クラフト・スピリッツ(BCS)が連続番号のバッチで定期的にリリースするバーボン・ラインの製品です。ここで言うバレルは「BARRELL」と表記し、樽の「Barrel」より一個「L」が多いのに注意して下さい。2013年にケンタッキー州ルイヴィルで設立されたBCSは、独自のエイジド・ウィスキーやラムのインディペンデント・ブレンダー兼ボトラーであり、その卓越したブレンド技術で知られています。彼らの目標は様々な蒸留方法や熟成環境にあった樽を探求してセレクト及びブレンドし、カスク・ストレングスでのボトリングで製品化すること。全てのバッチはそれぞれフレイヴァー・プロファイルが異なるよう意図され、どれもが限定リリースとして生産されます。BCSは高品質の樽を豊富にストックしているため、素材のニュアンスを最大限に引き出した特別なブレンドを作ることが出来、自由なアプローチでのブレンディングと各ウィスキーをカスク・ストレングスで提供する強い拘りこそが製品全体の基盤となっているのです。彼らの製品は現在全米46州で販売され、ウィスキー誌での評判もよく、あのフレッド・ミニックによって2018年のベスト・アメリカンウィスキーにも選ばれた他、数々のコンペティションでの受賞歴もあります。

バレル・クラフト・スピリッツの創業者ジョー・ベアトリスは、そのキャリアを常に新しいアイディアに基づいて築いて来ました。元マーケティングとテクノロジーの起業家でニューヨーカーであったジョーは、1990年代に最初の会社ブルー・ディンゴ・ディジタルを設立し、企業がインターネットを使った開設やブランド化や自らのプロダクトを成長させる支援をしていました。BCSを立ち上げるまで創業者の経歴に「ウィスキー」の文字はなかったのです。それでも「私はいつもウィスキーが大好きだったし、ホーム・ブリュワーだったんだ」と彼は言います。ジョーはマーケティングとテクノロジーの業界で20年を過ごした後、或る時、初めて樽から直接ウィスキーを味わうという経験をすると、真のスピリッツの魔法を見ました。それは変革の経験となりました。そうして2013年、彼はバーボンの中心地とも言えるケンタッキー州ルイヴィルでバレル・クラフト・スピリッツを創業します。ジョーは素晴らしい味覚を持つ熟練のウィスキー愛好家でしたが、なにぶんブラウン・スピリッツの経験値はありません。彼は自分がウィスキー・ビジネスについてあまり知らないことを知っていました。しかし、自分の職歴から「知っていたことを応用して、製品のポジショニングやマーケティングの方法、独自のフレームワークを作ることが出来た」とも言います。
ジョーは蒸留所を建てるのではなく別の道を歩みました。同社は自分達のジュースを蒸留する代わりに、定評ある生産者から優れたバーボンやライやラムの樽を調達してブレンドし、それを可能な限り透明性の高い方法で販売したのです。彼らの会社には、怪しげな曽祖父の秘密のレシピや違法な密造酒の歴史もありません。そのアプローチはアメリカでは比較的ユニークでしたが、世界を見るとそうではなく、スコットランドの老舗インディペンデント・ボトラーはジョーにとって大きなインスピレーションでした。

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ジョーはBCSの製造プロセスの全てのステップに深く関わり、チーフ・ウィスキー・サイエンティストの肩書をもつトリップ・スティムソンと共に、米国だけでなく世界中の65の異なるサプライヤーから調達した優れたスピリッツを選び、新しい製品を作り上げています。そのため、あまり馴染みのない場所からも樽は供給され、例としてはバレル・ライ・バッチ003ではアメリカのインディアナ州とテネシー州、カナダ、ポーランドという3ヶ国のライウィスキーのブレンドだったりします。また、ウィスキー・カテゴリーの製品では複数の珍しいフィニッシュ(後熟)を施したりします。同社の最も人気のある「ダヴテイル」などは、厳密にはウィスキーと認められません。ラベル表記を取り仕切るTTBは、ダヴテイルを特定のクラス・タイプのウィスキーに完全には適合しないと判断したのです。そこでラベルには「バレル・ダヴテイル」と銘打たれ、その下に小さく「ウィスキー・フィニッシュト・イン・ラム、ポート、アンド・ダン・ヴィンヤーズ・カベルネ・バレルズ」と長ったらしく書かれています。他にも15年以上熟成されたストレート・バーボン・ウィスキーの特別ブレンドであるウルトラ・プレミアムな「バレル・クラフト・スピリッツ・ライン」やインフィニティ・ボトルから着想を得た「インフィニット・バレル・プロジェクト」や「プライヴェート・リリース」もあり、BCSはとにかく注目を集め続けています。ちなみに全てのブレンドはルイヴィルの古いデータ・ファシリティで行われ、かつてのサーヴァー・ルームがボトリングに使用されているため、温度や湿度に厳格な管理が可能なのだとか。

先述のマスターブレンダーでもあるトリップ・スティムソンはテネシー州チャタヌーガ出身で、2004年にテネシー工科大学で生化学と分子生物学の学位を取得した後、ブラウン=フォーマン社の研究開発科学者として採用されました。彼はそこで経験を積み9年間働いた後、自分のコンサルティング会社を設立し、新しい蒸留所の設計や建設、効率的な運営に必要な技術的専門知識を提供していました。ケンタッキー・アーティザン蒸留所の設計と建設を手伝い、後にマスターディスティラーとして雇用され、そこでジョーと出会います。そして2017年1月にBCSに入社し、製品開発とオペレーション監督の責務を担っています。その他のスタッフでは、2016年5月にナショナル・ディレクターとして入社したウィル・シュラギスや、2019年にBCSに参加したシングルバレル・プログラム・マネジャー&アシスタント・ブレンダーのニック・クリスチャンセンなども活躍。

さて、今回私が飲んだのはバレル・バーボンのバッチ008。上に述べたようにBCSのリリースは非常に透明なので、サプライヤーへの守秘義務を除いて中身のジュースに関してはかなり明らかです。バッチ008のスペックは同社のウェブサイトに拠れば、ストレート・バーボン規格、マッシュビルは70%コーン / 25%ライ / 5%モルテッドバーリー、テネシー州で蒸留されアメリカン・ホワイト・オークの樽で9.5年間熟成、エイジングはテネシー州とケンタッキー州、ケンタッキー州にてクラフトされ132.84プルーフのカスク・ストレングスでボトリング、ノンチルフィルタードです。リリースは2016年7月、MSRPは90ドルでした。マッシュビルからするとジャックダニエル蒸留所でもジョージディッケル蒸留所でもないと思われますが、一応蒸留所は非公開となっています。海外のレヴュワーでプリチャーズ蒸留所ではないか?と言っている方がいましたが証拠はありません。
このバッチは今のところバレル・バーボンがこれまでにリリースした中で最も高いプルーフです。最終的なプルーフはヴァットに投棄された全部の樽の平均ですから、他のバッチのプルーフと比較して平均値が高いこのバッチには、ハズマット(140プルーフ)の樽があったのではないかと推測するマニアもいます。ところでバッチ008にはバッチ08Bというセカンド・リリースがあり、そちらは半年長く熟成された10年熟成でボトリング・プルーフが128.3に下がっています。同一番号が割り振られているということは、同一の樽に由来したバッチなのでしょうけれど、僅か半年の熟成でこれほどプルーフダウンとは…。まあ、それは措いて最後に飲んだ感想を少々。

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BARRELL BOURBON BATCH 008 132.8 Proof
BOTTLE# 2076
AGE : 9yrs
ハイプルーフゆえの強いアルコールも感じますが、フルーティーな香りをコアにヴァニラや焦がしたオークが広がるアロマ。味わいはかなりフルーティな印象で、ドライフルーツよりはフルーツキャンディもしくはトロピカルフルーツ。ここら辺はマッシュビルのライ麦が高い影響でしょうか。個人的に好きな傾向のバーボンです。本当はエライジャ・クレイグ・バレルプルーフやスタッグJr.のようなヘヴィー級ハイ・プルーファーと飲み比べたかったのですが、お酒に弱い私には断念せざるを得ませんでした。
Rating:87.5/100

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ジムビームのスモールバッチ・コレクションのうち筆頭とも言えるブッカーズ。その名の由来となっているのはビーム家第六世代マスターディスティラーであるフレデリック・ブッカー・ノー2世、通称ブッカー・ノーです(*)。
ブッカーは1929年12月に生まれました。ジム・ビームことジェイムス・ボーリガード・ビームの孫に当たります。母親であるジムの娘マーガレットがノー家へ嫁いでいるのでビーム姓を名乗っていません。蒸留一家の家系に生まれた常か、10代の頃から蒸留所周辺の手伝いをしていたようです。恵まれた体躯の持ち主だったブッカーはフットボールをやっていて、後にアラバマ大学で勇名を馳せるカレッジ・フットボール界の伝説的名コーチ、ベア・ブライアントがケンタッキー大学で指導していた頃の彼のチームに所属していました。しかしやがてチームを辞め、大学も中退してしまい、アンクル・ジェリー(ジムの息子ジェレマイアのこと)やカズンのカール(ジムの弟の息子)らの心配を引き起こします。彼らはブッカーが蒸留所の家族との繋がりを損なわないことを望んでいたのです。チームや大学を辞めた理由については定かではありませんが、ブッカーはワイルドな男だったので若き人生を楽しみたかったのかも知れません。
ブッカーは子供の頃から有名な祖父ジムと親密だったそうで、ジムもアンクル・ジェリーも彼のポテンシャルを認めていました。また、家族がブッカーの処遇にまごついている間に、ウィレット蒸留所のトンプソン・ウィレット氏もブッカーを狙って(スカウト?)いたなんて話もあったようです。もしブッカーがウィレット蒸留所に行っていたとしたら、ブッカー・ノーがプロデュースするノアーズミル発売!、息子のフレッド・ノーがウィレット蒸留所のマスターディスティラーを継ぐ!、なんていう歴史の書き換えが行われていたかも…と妄想するのはバーボンマニアの密やかな楽しみでもあるでしょう。しかし、歴史はそうはなりませんでした。
ブッカーの母は、息子へもっと巧くファミリービジネスの魅力を紹介するよう、アンクル・ジェリーに持ち掛けたようです。それが効を奏した分かりませんが、1950年頃にアシスタント・ディスティラーとして家業に入り、おそらく名ディスティラーだったカールに蒸留業の一から十を叩き込まれたものと想像します。ブッカーは主にケンタッキー州ボストンのジムビーム蒸留所でバーボンの製造と熟成を管理し、後に隣接するクレアモントでもそうしました。ジムビームはブリット郡クレアモントとネルソン郡ボストンに蒸留所を持ちますが(**)、そのボストンの蒸留所は五代目当主のジェレマイアが操業を停止していた古いチャーチル・ダウンズ蒸留所を買い取り、数百万ドルを投資して最先端の施設へと転換、1954年に2番目の蒸留所として開設し、通称ボストン・プラントと呼ばれていました。ブッカーはそこを長らく監督していたので、今ではジムビーム蒸留所ブッカー・ノー・プラントと命名されています。
ブッカーは1965年にマスターディスティラーに選ばれました。1960年代及び70年代、ジンや特にウォッカのような「ホワイトスピリッツ」の躍進に悩まされてきたバーボン業界にあっても、ジムビーム自体は当時から世界で最も売れ行きの良いバーボンでした。ブッカー一人の力でもなかったのでしょうが、彼が1992年に「名誉マスターディスティラー」として実務から引退するまでの在任中、ジムビーム・バーボンの生産量は12倍に増えたと言います。引退した後も会社のアンバサダーとして働き続け、ビームのバーボンを宣伝するため世界を旅したり、バーボン・テイスティング会ではホストとして家族の物語や歴史を織り混ぜた会話で観客を楽しませました。1995年に会社はジムビームのラベルに、ブッカーに先行していた5人のビーム・ディスティラー、ジェイコブ、デイヴッド、デイビッドM、ジム、Tジェレマイアの肖像画のスケッチと並べて彼を加えます。そしてブッカーは2001年にバーボンの殿堂入りを果たし、2004年に亡くなりました。
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ブッカーは愛すべきキャラクターとカリズマを備え、ロックスターのように扱われた初めてのマスターディスティラーでした。今日、伝説として扱われる彼の功績は、蒸留技師としてよりも、むしろ自身の名を冠した「ブッカーズ」と「スモールバッチ・バーボン」を広めたことに帰着するでしょう。その役割は現在、息子のフレッド・ノーがビーム家七代目マスターディスティラーとなって継承しています。

伝説の語り部やマーケティング部門の天才的なライターは、時に余りにもフィクショナルな言辞を誇示します。それ故、ブッカーズ誕生秘話の真相もどこまで本当かよく分かりません。一説には、ブッカーズはブッカーがシングルモルト・スコッチに匹敵するバーボンを製造するよう頼まれたのが契機となったと言います。定説では、ブッカーが時々蒸留所の倉庫から特別に選んだバレルを瓶詰めし、親しい友人や家族へのホリデーギフトとしたり、ビーム家主催のバーベキューパーティーで振る舞われたそのバーボンはやがて評判を呼び、インスピレーションとなってビームが量産を開始した時、ブッカーズは誕生したと言います。ビーム社が公式に発表しているところによれば1988年のことでした。僅かな違いですが、87年としているサイトも多いです。初め高品質のバーボンが売れるかどうかについて疑問の声は内部からもあったそう。その希望小売価格は約40ドルとも50ドルとも言われ、当時のバーボンとしては破格の値段でした。しかし、それは杞憂に終わり、ブッカーズはカルト的な人気を得、今でもビーム・バーボンの最高峰として君臨しています。

ブッカーズの品質は何千何万もの樽の中から「ハニーバレル」と呼ばれるものを見つけることによって達成されます。気温の変動や倉庫内のバレルを置く位置により、バーボンは様々な品質で熟成し、風味は一定しません。業界で育ったブッカーは最高の樽を探す方法を知っていました。
かつて一部の蒸留所のラックハウス作業員は「ミュールス」と呼ばれるプラスチック製のチューブを自分の作業着の前面に付けて持ち歩き、熟成したバレルから直接ウィスキーの味見をするために使用したそうです。 彼らはおおむね立派な体格(太ってた?)をしており、味見をするとき彼らの出っ張った腹は樽の側面を擦り、埃を取り除いてバレルを輝かせました。「バレルがより明るいと、ウィスキーはより甘い」なんて格言?を言う人もいたそうな。
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ブッカーは見習いの作業員をラックハウスへわざと送り込んでおいて、後から悠々とシャイニーバレルを見つけ出したのでしょう。そして自らの名前を付けることになるバーボンの最初の準備が出来た時、シャイニーバレルがあった場所に新しい樽を置いた、と。そこは大抵の場合、温度と湿度と日当たりがちょうど良いラックハウスの中央部分に当たりました。具体的に言うと、ジムビームの熟成倉庫は主に9階建てですが、上層階でも下層階でもない真ん中の4~6階のことです。これがブッカー自身がしばしば「センターカット」という用語を使った理由でした。ジムビームではラックハウスの中層階こそが「スイートスポット」であり「ハニーバレル」を産出する場所だという訳です。

以上のような特別な樽を一つ選ぶだけではブッカーズにはなりません。ブッカーズはシングルバレルではなくスモールバッチですから、選ばれた樽はサンプリングされて、バランスを見ながらブレンドし、一つのバッチを形成します。このプロセスをバッチングといい、バーボンの味をクリエイトする重要な要素。現在のブッカーズもバッチングに使用される樽は殆どが中層階から来ています(少しだけ2階や8階等別のフロアの樽が選ばれることもある)。バッチ・サイズは概ね350~360樽とされます。また、ブッカーズの熟成年数は常に6~8年であり、ラベル記載の熟成年数はバッチの中で最も若い原酒の物です。ラベルと言えば、あのブッカーズの象徴的な筆記体によるデザインは、自分のバーボンのストーリーを説明したブッカー・ノー本人の手書きのメモを複製したものだそう。

そして更にブッカーズをブッカーズたらしめる特徴が、アンカットとアンフィルタード。つまり水で希釈せず濾過もしないことです。加水調整しないため、アルコール度数はそのバッチ毎に異なり、およそ120~130プルーフの間を行き来する所謂バレルプルーフ・バーボンで、フィルタリングに関してはゴミ(炭化したバレルの木屑)取りレヴェルの濾過はしていると思いますが、大々的なフィルターはかけていないでしょう。ブッカー本人の台詞で言えば「バレルからストレートに、かつてのバーボンがそうだったように」。

さて、今回レヴューするブッカーズなのですが、購入した時からバッチナンバーを示すシールが欠損していました。初めから付いてなかったのか、取れちゃったのかよく判りませんが、ともかくブッカーズと言えばバッチナンバーは欠かせません。それがあるから有り難みが増し、マニア心を擽るというもの。そこで、せっかくなのでテイスティングの前にブッカーズのバッチナンバーの読み方を、この機会に紹介しておきましょう。

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ブッカーズのバッチのコードには大きく分けて3タイプあります。
発売開始から94年途中までは「バッチ」と書かれてなく「ロット」と書かれ、例を挙げると「C-B-16-79」や「B-K-28-84」のようなコーディングです。最初のアルファベットは蒸留プラントの別を表し、クレアモントの「C」かボストンの「B」です。二番目のアルファベットは月を表し、A=1月、B=2月と読み替えます。次の数字は1から31までの蒸留日、最後の数字は蒸留年に対応しています。
続いて、94年途中からフォーマットに若干の変更がなされました。例としては「C87-B-19」や「B95-C-31」のような感じです。以前と同様の方法論に従いますが、順序が違います。先頭のアルファベットは蒸留プラントの区別、そこからハイフンがなく蒸留年が来て、月を示すアルファベット、日にちの順です。
そして2014年になると、従来方式と単純化されたバッチナンバーが混在し始めます。「C07-A-12」と「2014-07」のような例です。前者は従来通りですが、後者は蒸留年ではなくバッチングされた年とリリース番号です。この混在はおそらく過渡期だからでしょう。2015年になるとアメリカ国内仕様のバッチナンバーの書かれたタグは大幅にリニューアルされたからです。2015年からのものはバッチ番号を単純化した以外に、各バッチにブッカーと関連する何かを表すシンボルと名前が付けられるようになりました。犬とか椅子とか魚とか肉とか色々なものです。ご丁寧にそれらに付随するストーリーもあります。これらは限定リリースや特別リリースではありませんが、ファンからしたら親しみやすく見ていて楽しい新機能です。

それでは、海外のバーボンマニアが作成してくれているデータをベースに、バッチの仕様を以下に纏めておきます。ブッカーズはかなりの年月継続して発売されてますし、特定の業者向けのボトリングもあり、または輸出国でその仕様も異なるかも知れず、全てを網羅するのは難易度が高いです。また私自身はコレクターでもマニアでもありません。それゆえ不完全だと思うので、ここに挙げられていないバッチをご存知の方はコメントよりお知らせ頂けると助かります。表記は左から順に、バッチ番号、名称があるものはその名称、括弧は蒸留年に熟成年数を足したことで得られる推定バッチング時期≒ボトリング時期≒リリース時期(後年の「2015-01」のような番号には付けていません)、熟成年数、プルーフ、特記事項です。また、不確定要素には「?」を付しました。


【Booker's Batches ~Work-in-Progress~】

C-B-16-79 (Feb. 1986?) / 7YEARS OLD / 120.9 PROOF / Brown Wax / Individually Numbered
C-B-16-79 (Feb. 1987?) / 8YEARS OLD / 121.4 PROOF
C-E-19-81 (May 1988) / 7YEARS OLD / 121.6 PROOF / Brown Wax
C-B-04-82 "Booker Noe's" (Feb. 1989) / 7YEARS OLD / 125.2 PROOF / Brown Wax 
C-C-16-82 "Booker Noe's" (Mar. 1989) / 7YEARS OLD / 126.0 PROOF / Brown Wax
C-I-27-82 "Booker Noe's" (Sep. 1989) / 7YEARS OLD / 125.3 PROOF
C-K-03-82 (Nov. 1989) / 7YEARS OLD / 124.2 PROOF
B-H-01-83 "Booker Noe's" (Aug. 1991) / 8YEARS OLD / 124.6 PROOF / Brown Wax
B-H-01-83 "PRIVATE STOCK" (Aug. 1991) / 8YEARS OLD / 125.4 PROOF / For Japanese Market
C-E-15-84 (Dec. 1990) / 6YRS 7MO / 124.6 PROOF
C-E-15-84 "Booker Noe's" (???. 1991) / 6YRS ?MO / 125.2 PROOF / For Japanese Connoisseur
C-E-15-84 (Oct. 1991) / 7YRS 5MO / 124.6 PROOF / Brown Wax
B-K-28-84 "Booker Noe's" (Jan. 1993) / 8YRS 2MO / 124.6 PROOF / Brown Wax
B-K-28-84 (Jan. 1993) / 8YRS 2MO / 124.6 PROOF
C-J-06-86 "Booker Noe's" (Oct. 1993) / 7YEARS OLD / 124.9 PROOF / Brown Wax
B-C-19-87 "Booker Noe's" (Apr. 1994) / 7YRS 1MO / 126.5 PROOF
C87-B-19 "PRIVATE STOCK" (Feb. 1994?) / 7YEARS OLD / 126.5 PROOF / For Japanese Market
C87-B-19 (May 1994) / 7YRS 3MO / 126.5 PROOF
C87-D-14 (Dec. 1994) / 7YRS 8MO / 126.1 PROOF / Japan Export?
C87-D-21 (Apr. 1995) / 8YEARS OLD / 125.3 PROOF
C-E-15-89 (May 1996) / 7YEARS OLD / 124.6 PROOF / Mimi
C88-J-17 (Oct. 1996) / 8YEARS OLD / 125.5 PROOF / Booker's Club 3 Sticker on Top
C89-E-26 (Mar. 1997) / 7YRS 10MO / 125.6 PROOF
C89-L-13 (May 1996) / 6YRS 5MO / 126.6 PROOF
C90-B-8 "10th Anniversary" (Feb. 1998) /  8YRS / 126.3 PROOF / Gold Wax
C90-D-11 (Aug. 1997) / 7YRS 4MO / 126.5 PROOF
C90-E-11 (Sep. 1997) / 7YRS 4MO / 126.5 PROOF / Booker's Club 3 Sticker on Top
C90-E-14 (Feb. 1998) / 7YRS 9MO / 126.7 PROOF
C90-K-28 (Sep. 1998) / 7YRS 10MO / 126.3 PROOF
C91-L-20 (May 1999) / 7YRS 5MO / 126.6 PROOF
C92-I-15 (Dec. 1999) / 7YRS 3MO / 126.5 PROOF
C92-K-05 (Aug. 2000) / 7YRS 9MO / 125.4 PROOF
B93-L-16 (Jan. 2001) / 7YRS 1MO / 126.3 PROOF
B94-E-13 (Jun. 2001) / 7YRS 1MO / 126.0 PROOF
B94-E-13 (Jan. 2002) / 7YRS 8MO / 126.4 PROOF
B95-C-31 (Jun. 2002) / 7YRS 3MO / 126.6 PROOF
B95-C-31 (Dec. 2002) / 7YRS 9MO / 126.7 PROOF
B95-C-31 (Mar. 2003) / 8YRS 0MO / 126.7 PROOF / Japan Export?
B95-C-31 (Aug. 2003) / 8YRS 5MO / 126.8 PROOF
B95-C-31 (Dec. 2003) / 8YRS 9MO / 126 PROOF
B96-C-15 "Booker Noe 1929-2004" (Jun. 2004) / 8YRS 3MO / 125.3 PROOF / Commemorative Label, Release Size : 3000
B96-L-23 (Nov. 2004) / 7YRS 11MO / 126.8 PROOF
C97-A-31 (Mar. 2005) / 8YRS 2MO / 126.6 PROOF
C97-B-07 (Aug. 2005) / 8YRS 6MO / 126.9 PROOF
C99-B-22 (Jan. 2006) / 6YRS 11MO / 124.7 PROOF
C00-A-20 (May 2006) / 6YRS 4MO / 124 PROOF
C00-A-20 (Aug. 2006) / 6YRS 7MO / 127 PROOF
C00-A-20 (Oct. 2006) / 6YRS 9MO / 127 PROOF
C00-K-15 (Jun. 2007) / 6YRS 7MO / 126.4 PROOF
C01-A-18 (Aug. 2007) / 6YRS 7MO / 124.9 PROOF
C01-A-18 (Jan. 2008) / 7YRS 0MO / 125.7 PROOF
C01-A-18 (Apr. 2008) / 7YRS 3MO / 125.4 PROOF
C01-A-18 (Apr. 2008) / 7YRS 3MO / 125.7 PROOF
C01-K-07 (Sep. 2008) / 6YRS 10MO / 126 PROOF
C02-A-18 (Dec. 2008) / 6YRS 11MO / 126.9 PROOF
C02-A-18 (Mar. 2009) / 7YRS 2MO / 130.1 PROOF
"FRED NOE SELECT FOR SEIJO ISHII" NO. 1 / 6YRS 10MO / 125.0 PROOF / Release Size : 1000, Special Box
"FRED NOE SELECT FOR SEIJO ISHII" NO. 2 / 6YRS 10MO / 122.0 PROOF / Release Size : 700, Special Box
"FRED NOE SELECT FOR SEIJO ISHII" NO. 3 /6YRS 10MO / 122.0 PROOF / Release Size : 300, Special Box
C02-I-24 (Sep. 2009) / 7YRS 0MO / 128.4 PROOF
C03-A-29 (Jan. 2010) / 7YRS 0MO / 127.9 PROOF
C03-A-29 (May 2010) / 7YRS 4MO / 128.6 PROOF / Japan Export?
C03-I-16 (Sep. 2010) / 7YRS 0MO  / 127.4 PROOF
C03-I-17 (Jan. 2011) / 7YRS 4MO / 128.0 PROOF
C04-A-28 (May 2011) / 7YRS 4MO / 129.1 PROOF
C04-A-28 (Aug. 2011) / 7YRS 7MO / 128.6 PROOF
C04-J-19 (Nov. 2011) / 7YRS 1MO / 129.2 PROOF
C05-A-12 (Feb. 2012) / 7YRS 1MO / 130 PROOF
C05-A-12 (Jun. 2012) / 7YRS 5MO / 128.5 PROOF
C06-B-15 (Mar. 2013) / 7YRS 1MO / 127.1 PROOF
C06-B-15 (Mar. 2013) / 7YRS 1MO / 128.9 PROOF
C06-B-15 (May 2013) / 7YRS 3MO / 127.1 PROOF
C06-K-08 (Nov. 2012) / 6YR 0MO / 130.4 PROOF
C06-K-08 (Jan. 2013) / 6YR 2MO / 128.5 PROOF / Kentucky Derby Festival 2013
2013-06 / 7YRS 6MO / 125.9 PROOF / Roundtable Selection
2013-07 / 7YRS 0MO / 128.0 PROOF
2014-01 "25th Anniversary Edition" / 10YRS 3MO / 130.8 PROOF / Gold Wax
2014-02 / 7YRS 0MO / 126.8 PROOF / Japan Export
C07-A-12 (Jan. 2014) / 7YRS 0MO / 130.6 PROOF
C07-B-7 (Apr. 2014) / 7YRS 2MO / 130.8 PROOF / Roundtable Selection
C2014-05 / 7YRS 5MO / 127.9 PROOF
2014-06 / 7YRS 2MO 14DAYS / 127.7 PROOF / Roundtable Selection
2014-07 / 7YRS 7MO 13DAYS / 128.9 PROOF
2015-01 "Big Man, Small Batch" / 7YRS 2MO 16DAYS / 128.7 PROOF
2015-02 "Dot's Batch" / 7YRS 0MO 18DAYS / 127.9 PROOF
2015-03 “The Center Cut” / 7YRS 2MO 28DAYS / 127.2 PROOF / Roundtable Selection
2015-04 "Oven Buster Batch" / 6YRS 5MO 20DAYS / 127.0 PROOF / Roundtable Selection
2015-05 "Maw Maw's Batch" / 6YRS 7MO 3DAYS / 128 PROOF
2015-05 (No Batch Name) / 6YRS 7MO / 128.0 PROOF / Export
2015-06 "Noe Secret" / 6YRS 8MO 7DAYS / 128.1 PROOF / Roundtable Selection
2016-01 "Booker's Bluegrass" / 6YRS 11MO  0DAYS / 127.9 PROOF
2016-01E (No Batch Name) / 6YRS 1MO / 127.7 PROOF / Export
2016-02 "Annis' Answer" / 6YRS 2MO 1DAYS / 126.7 PROOF
2016-LE "Big Time Batch" Booker's Rye / 13YRS 1MO 12DAYS / 136.2 PROOF / Green Wax and Label
2016-03 “Toogie's Invitation” / 6YRS 4MO 4DAYS / 129.0 PROOF / Roundtable Selection
2016-04 “Bluegill Creek” / 6YRS 5MO 28DAYS / 128 PROOF
2016-05 “Off Your Rocker” / 6YRS 7MO 23DAYS / 129.7 PROOF
2016-06 “Noe Hard Times” / 6YRS 10MO 1DAYS / 127.8 PROOF
2017-01 “Tommy’s Batch” / 6YRS 4MO 6DAYS / 128.5 PROOF / Roundtable Selection
2017-01E (No Batch Name) / 6YRS 1MO 0DAYS / 125.4 PROOF / Export
2017-02 "Blue Knights Batch" / 6YRS 3MO 3DAYS / 127.4 PROOF
2017-03 “Front Porch Batch” / 6YRS 5MO 25DAYS / 125.9 PROOF
2017-04 “Sip Awhile” / 6YRS 8MO 14DAYS / 128.1 PROOF
2018-01 “Kathleen's Batch” / 6YRS 3MO 14DAYS / 127.4 PROOF / Roundtable Selection
2018-01E (No Batch Name) / 6YRS 3MO / 127.4 PROOF / Export
2018-02 “Backyard BBQ” / 6YRS 2MO 10DAYS / 128.8 PROOF
2018-03 “Kentucky Chew” / 6YRS 4MO 12DAYS / 126.7 PROOF
2018-04 “Kitchen Table” / 6YRS 8MO 7DAYS / 128.0 PROOF
"30th Anniversary Limited Edition" / 30% 16 Year and 70% 9 Year / 125.8 PROOF / Silver Wax
2019-01 "Teresa's Batch" / 6YRS 3MO 1DAYS / 125.9 PROOF
2019-01E (No Batch Name) / 6YRS 3MO / 125.9 PROOF / Export
2019-02 "Shiny Barrel Batch" / 6YRS 5MO 1DAYS / 124.0 PROOF
2019-03 "Booker's Country Ham" / 6YRS 4MO 2DAYS / 124.7 PROOF
2019-04 "Beaten Biscuits" / 6YRS 6MO 19DAYS / 126.1 PROOF
2020-01 "Granny's Batch"  / 6YRS 4MO 21DAYS / 126.4 PROOF
2020-01E (No Batch Name) / 6YRS 4MO / 126.4 PROOF / Export
2020-02 "Boston Batch" / 6YRS 3MO 10DAYS / 126.5 PROOF
2020-03 "Pigskin Batch" / 6YRS 7MO 7DAYS / 127.3 PROOF
2021-01 "Donohoe's Batch" / 6YRS 11MO 4DAYS / 125.3 PROOF
2021-01E (No Batch Name) / 6YRS 11MO / 125.3 PROOF / Export
2021-02 "Tagalong Batch" / 6YRS 5MO 0DAYS / 127.9 PROOF
2021-03 "Bardstown Batch" / 6YRS 7MO 7DAYS / 127.3 PROOF
2021-04 "Noe Strangers Batch" / 6YRS 6MO 12DAYS / 124.4 PROOF
2022-01 "Ronnie's Batch" / 6YRS 11MO 22DAYS / 124.3 PROOF
2022-01E (No Batch Name) / 6YRS 11MO / 124.3 PROOF / Export
2022-02 "The Lumberyard Batch" / 7YRS 1MO 7DAYS / 124.8 PROOF
2022-03 "Kentucky Tea Batch" / 7YRS 4MO 14DAYS / 126.5 PROOF
2022-04 "Pinkie's Batch" / 6YRS 10MO 10DAYS / 122.4 PROOF
SINGLE BARREL "Second Chance Batch" / 7yrs 6mo 17days / 123.6 PROOF / WAREHOUSE D / FLOOR 4 / Blue Label, Blue Wax, For Medicinal Whiskey Charity


少し補足しておくと、後半の方で特記事項に出てくるラウンドテーブル・セレクションというのは、円卓会議を意味する言葉です。基本的にブッカーズ・バーボンは、蒸留所で働く選ばれた人々にテイスティングしてもらい意見を伺うらしいのですが、このラウンドテーブルとしてリリースされているブッカーズは、蒸留所の関係者ではないけれどバーボンを愛するライターや著名人、所謂インフルエンサーにブッカーズのバッチ選択を手伝ってもらったものを指します。大体3つのサンプルの中からどれがブッカーズに相応しいか投票形式で決めて行くのだとか。
また、前半の方に「ブッカー・ノーズ」と名付けられたブッカーズがあります。これは聞くところによると、日本のバーボンマニアの間で「ブッカーズ/ブッカー・ノーズ問題」と呼ばれているようで、つまりはこの二つの違いは何なんだ?と云うことなのですが、日本の或る高名なウィスキーブロガーの方は他方はシングルカスク(シングルバレル)なのではないかと想像してみたり、なかなか尽きないホットなトピックみたいです。なので私もここで自分の想像を披瀝してみたいと思います。
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先ず、最初の発売時はブッカー・ノーズで、ある時からブッカーズに名称変更された、というなら話は簡単だったのですが、これは確実に違います。上のリストの始めの三つは「Booker's」だからです。次に、ブッカーズが初期の段階では国内仕様をブッカーズ、日本輸出仕様をブッカー・ノーズにしていた、これはその可能性もあるし、そうでもなさそうな気もするし、明確に判らないので取りあえず放置。続いて、一方の質が高い説、例えばブッカーズはスモールバッチでブッカー・ノーズはシングルバレルとか、他方は熟成年数が長いとか、蒸留時点で造り分けてるなど中身に明瞭なスペックの違いがあると考える説は、個人的には賛同できません。おそらくブッカーズにはシングルバレルはなく、ブッカー・ノーズも含めて常にスモールバッチだったのではないかと思います。明確な根拠がある訳ではないのですが、ブッカー・ノーはシングルバレル・バーボンのファンではなかったと聞きます。シングルバレルはその性質上、一貫性がなく、当該のブランドにシングルバレルに相応しいベスト・バレルを使用してしまうと、ブランド全体のフレイヴァー・プロファイルが弱くなることを彼は知っていました。それがスモールバッチのコンセプトに拘った所以でしょう。それに、既に84年の時点でブラントンズというシングルバレル・バーボンが発売されているのですから、もしシングルバレルのブッカーズを造ったのだったら、あれほど似たようなラベルにせず、もっと高級感を演出するとか、或いはその事をもっと押し出したのではないでしょうか?  ロット「79」までの物が極端に小さい規模のスモールバッチだった、というなら理解は出来るのですが…。また、私には当時の価格が分からないのでこれまた憶測ですが、ブッカーズとブッカー・ノーズに品質の区別があったのなら販売価格は大いに違ったのではないでしょうか? 誰か知ってる方はいらっしゃいませんか?
じゃあ一体ブッカーズとブッカー・ノーズは何が違うんだと問われたら、両者は保証される品質に違いはなく、単なるラベルのヴァリエーションに過ぎないのではないか、というのが私の意見です。仮に、初期のブッカーズとブッカー・ノーズを全部取り揃えて飲み比べをし、その結果、例えば全てのブッカー・ノーズが全てのブッカーズより美味しく感じたとしても、やはりそれらは同じものと見做せると思います。何故なら、そもそもブッカーズはバッチ毎に味の変動があるとされるバーボンですし、少なくともラベルや公表されている情報から判断するに、ブッカー・ノーズはブッカーズの定義(ブッカーズたる条件的なスペック)を満たしているからです。何よりブッカーズとブッカー・ノーズですよ? これ日本語にしたら「ブッカーの」と「ブッカー・ノーの」ですから、どちらも指し示すものが一緒じゃないですか。極端な差があったら消費者は混乱してしまいます。それに、多分海外のバーボンマニアはこの名称の違いをそれほど気にしてないような気がします。ボトルのラベルはブッカーズでありながら、紙箱にはブッカー・ノーズと書かれているパターンの販売もよくありましたが、この件に関してツッコミを入れてる海外の方を見たことがないのです。
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箱に関しては上の画像のように、ブッカーズ・トゥルーバレル・バーボンとかブッカー・ノーズ・スペシャルバレル・バーボン等と書かれており、初期ラベル同様一定の文句で統一されていません。これはどう考えても両者が認識として同じもの、同じ事柄の別表現なのを暗示しているように思えてならないのです。おそらく二種類の名称が生まれた原因はブッカー自身にあったのではないか、と私は勘繰っています。ブッカーズ誕生の場面を思いっきり妄想してみましょう。


伝説によれば、ブッカーは親しい友人や家族や蒸留所で働く人々に、特別に選んだ樽から出来たバーボンを振る舞ったと云う…

ゴクゴク

A氏「いやぁ、旨めえなぁ、このバーボン」

B氏「ほんとだ、こいつぁ旨めぇ、こりゃ明日ブッカーさんにお礼を言わなきゃだな」

翌日

A氏「なぁ、ブッカーさんよ、昨日くれたあのバーボン、すげぇ旨かったよ、ありがとうな。ありゃいったいなんてバーボンなんだい?」

B氏「そうだそうだ、俺もそれが聞きてぇ、これからも飲みてえんだよ」

ブッカー氏「名前なんてねぇよ、…そうだなぁ、強いて言うなら、俺んだ」

A氏「ブッカーズってわけかい?」

B氏「へへぇ、そいつはいいや、カッコいいじゃねーか」

と、まあこんな感じの会話があったとかなかったとか…



私の推測では、ブッカーにとっては「ブッカーズ」でも「ブッカー・ノーズ」でも、どっちでもよかったし、それらは同じ意味だった。しかし、消費者もしくはブランディングやデザインに携わる担当者には違った。「ブッカーズ」の方が断然クールな響きだった。それ故「ブッカー・ノーズ」はいつしか淘汰され、「ブッカーズ」が生き残った。或いはブッカー本人が「ブッカーズ」の方を気に入ったのかも知れない。

…えー、はい、空想話はこれくらいにして、そろそろテイスティングへ…。

先に述べたように、今回飲んだブッカーズにはバッチナンバーのシールがありません。なので熟成年数も不明、インポーターのシールも見当たらないので度数すら分からないのです。が、瓶底に辛うじて15という数字が読み取れるので、おそらく2015年のエクスポートではないかと思われます。木箱が以前のナチュラル・カラーの物から、ロッキンチェアに座るブッカーがプリントされた濃い茶色の物に代わったのも2015年だし、私の購入した時期も考え合わせると、多分間違いないかと。

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Booker's ? Proof
Batch No. ?
推定2015年ボトリング、6年7カ月熟成、128プルーフ。糖蜜とハーブ、シナモンアップルパイ、線香、僅かなカラメル、きな粉。どこか植物を思わせるアロマと木香。オイリーな口当たり。パレートはオレンジ(後にメロンに変化)を感じる。アルコール感は穏やか。余韻はややウッディなビター感が始めに来て、それが消えるとビーム・バーボンに共通するフルーツが微かに揺蕩う。ナッティさはあまり感じない。香りがハイライト。
Rating:88/100

Thought:先日まで飲んでいたノブクリークのシングルバレルとは全然キャラクターが違う仕上がりなのは流石でした。また、このブッカーズの前に飲んだブッカーズ(2012年のバッチ)が凡庸だったのに比べると、特別なフィーリングは感じました。うんうん、ブッカーズはこうでなくっちゃね、と。但し、加水し過ぎたりロックで飲むと酷く平凡なのは気になりました。加水して60度くらいに下げるなら、端からノブクリーク・シングルバレルを飲んだ方が美味しいと思います。

Value:一昔前までブッカーズは日本では5000円程度で買えていました。アメリカでも安いと40ドル~大体50ドル程度で買えていたようです。しかし、2016年になるとビームはブッカーズの価格を約二倍にする計画を立てました。ビーム広報が出した2016年暮れのアナウンスによれば、「希少性と高品質、そして生産基準を犠牲にすることなく供給を維持する必要」から価格を引き上げることにした、と言うのです。と同時に年間6〜7バッチから4バッチに減産し、バッチサイズは従来通り約350バレルのままです。それは利用可能なボトルの数が約3分の1に縮小することを意味します。これにより日本への割り当ても少なくなり、例の「終売騒動」に繋がったのでしょう。今後はどうなるか判りませんが、値上げは時間をかけて段階的に実行されるようで、今のところアメリカ国内では約70~75ドル程度、日本でも希望小売価格はその程度の値段付けとなっています。
現在の産業全体のバーボン高需要からすれば、確かにビーム広報の言葉も本当ではあるでしょう。しかし、穿った見方をすると、NDPのややもするといかがわしいバーボンがブッカーズの2倍の希望小売価格だったり、他のスーパー・プレミアム・クラス・バーボンがその価格帯で販売されている状況に、ビームの上層部はイライラしていたのではないでしょうか。言うなれば、ヴァン・ウィンクルやバッファロートレース・アンティーク・コレクションのような存在にブッカーズをするべきと考えたのではないかと。2016年発売のブッカーズ・ライが300ドルでも即座に売り切れたという事実が彼らにアイデアを与えた可能性があると、バーボン・ライターからも示唆されています。
当たり前の話、どんな企業も停滞より成長を望みます。熟成期間を経なければ販売できないウィスキービジネスにとって、急な需要増は対応に苦慮する危機であると同時にチャンスでもあり、賢明なプレイヤーなら、価格を上昇させて需要を少し抑えながらも利益を増やすことでしょう。できれば、更なる需要の成長と顧客のロイヤルティを損なわずに。それは理解できるにしても小売価格を2倍はクレイジーです…。
日本の状況を見て下さい。2019年バッチが7月に発売されると、おそらく適正価格で販売する店舗や通販サイトからは瞬く間に消えたと思われます。しかし、どうも転売ヤーなる「職業」があるらしく、オークションにはそれなりに豊富なタマ数で出品はされています。落札相場は概ね10000~12000円程度で、図らずもビームの希望通りの金額と言っていいでしょう。また、メーカー希望小売価格より強気の価格設定をする店舗も、概ね10000円程度での販売価格のようです。仮に定価が7500円とするならば、手に入りにくい物への対価としては、まあ妥当な落札価格や販売価格なのかも知れません。しかし、味や品質面から言ったらノブクリーク・シングルバレルが5000円の時、ブッカーズを倍額で買う価値があるかと問われたら、個人的には「No」ですね。私なら迷わずノブクリーク・シングルバレルを2本買います。もちろんフレイヴァー・プロファイルは違いますし、ブッカーズの方が美味しいかも知れません。いや、美味しい。それに、有り難みもある。しかし、それでも5000円VS10000円は検討に値するエコノミクスです(***)。


*日本語ではブッカー・ノーの「Noe」を「ノォ」または「ノウ」あるいは「ノエ」と表記する習慣が見られます。実際の発音は「イエス、ノー」の「No」と同じなのですが、おそらく女優のユマ・サーマンの実際の発音が「ウマ・サーマン」に近いのに、日本語で「馬」を連想させるため「ユマ」と表記するようになったのと同じ発想で、拒否の「No」を連想させないような配慮からそう表記しているのだと思われます。しかし、当ブログでは「ノー」を採用しています。これでも特に問題ないと思うので。

**他にもビームはフランクフォートにナショナル・ディスティラーズから引き継いだ元々オールドグランダッドを造っていた蒸留所を所有していますが、ここでは現在蒸留は行われていません(熟成庫とボトリング施設はあります)。またクレアモント・プラントとボストン・プラントのDSPナンバーは同じ230です。施設が違うのに同じ番号なのは、おそらくDSPナンバーは施設や土地に付けられるのではなく蒸留器に付けられる番号だからだと思います。そこから察するに、クレアモントとボストンは、規模は違ったとしてもほぼ同じ生産設備を備えている、つまり蒸留される物は同じものだと仮定されているでしょう。それでも多少の造り分けはされているようで、一説にはボストンでは殆どがジムビーム・ホワイトラベルになる物を生産し、その他のブランドの原酒はクレアモントでの生産だと言われています。ちなみにボストンにはボトリング施設はなく、そのせいかジムビーム系バーボンのラベルには大概クレアモント(もしくはフランクフォート)の記載しかありません。

***私を含む大概の消費者は、価格は品質に等しいと信じる「価格の心理学」に囚われがちです。そのことは忘れずにいたいもの。

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レアブリードは90年代初頭に発売され始めました。80年代後半にジムビームから発売されたブッカー・ノーのバレルプルーフ・バーボン「ブッカーズ」に対する、ワイルドターキーのジミー・ラッセルによる「回答」だったと言われています。ブランド紹介は過去投稿のW-T-01-99とWT-03RBのレビュー時にやってますのでそちらを参照下さい。今回は2014~16年発売の112.8プルーフと2016年から発売の116.8プルーフの飲み較べです。

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116.8の方が当然濃いわけですが、目視ではそれほどの差を感じません。

WILD TURKEY RARE BREED 112.8 Proof
穀物臭、ヴァニラ、ペッパー、コーン、焦げたトーストブレッド、ピーカン、グレープフルーツ、タバコ、メロン。柑橘類の爽やかさとスパイシーなアロマ。すっきりした口当たり。口の中ではスパイシーな風味というよりアルコールのピリピリ感が強め。舌先で転がせば仄かな甘味も感じるものの、ナッツの香りと酸味とスパイスで攻める感じ。余韻はドライ。
Rating:86.25/100

WILD TURKEY RARE BREED 116.8 Proof
推定2017年ボトリング。ロットLL/FH。マロンの甘露煮、香ばしい樽香、タバコ、甘いコーヒーミルク、塩コショウ、僅かなラヴェンダー。今までのレアブリードと一線を画す甘いアロマ。パレートもやや甘め。まったりした口当たり。アルコールの尖りとソーピーな雰囲気も。余韻にピーナツバターと微かに薬品ぽいノート。
Rating:86.75/100

Verdict:香り、口当たり、余韻ともに自分の好みだった116.8を勝ちと判定しました。海外のターキーマニアの評判も116.8のほうが圧倒的に高く、112.8は他のバッチと較べても低評価です。確かに開封直後は私もそう思っていたのですが、時間の経過とともに112.8の味わいに伸びが出て、結果としてはそれほど差はつきませんでした。

Thought:実を言うと、過去にレビューしたWT01-99とWT03RBを飲み干さずに取って置き、四本の年代別(バッチ別)レアブリードをサイド・バイ・サイドで飲み較べる、ちょっとしたヴァーティカル・テイスティングをやっていました。
2019-03-28-18-03-08
販売年数の長かったWT03RBをレアブリードの基本的な味わいと仮定してみます。そうするとWT01-99は、90年代までのワイルドターキーに感じやすかったアーシーなノートが余韻にほんの僅かに感じられ、WT03RBよりも複雑と言えるでしょう。ですが、それはあくまで続けざまに飲んだから気づいただけで、私ごときの味覚では別の機会に飲んだらどちらか判らない気がします。それに較べると今回の二本は、ベーシックなレアブリードから少々逸脱している印象を受けました。112.8はシトラスとスパイシーさが美味しく感じやすい反面、ウッディなドライネスも強く、何というか味を色で例えると「黄色い」と感じます。116.8は度数が上がっている影響も大きいとは思いますが、そもそもバレルセレクトの基準が違うのではないかと思うほど劇的な変化が感じられ、実はここからが本当のエディ・ラッセルのレアブリードなのでは、と勘ぐりたくなります。ワイルドターキー蒸留所は旧来のブールヴァード蒸留所から2011年に新しい蒸留施設へと転換しました。116.8の風味プロファイルが従来のレアブリードと違うのは、おそらく新しい蒸留施設の6年原酒を多く含むからとも推測されます。もしかすると日本限定の8年101も、単純計算で2019年のロットから劇的に味が変わる可能性もあるのかも知れませんね。
ところで、私の飲んだ116.8はロット番号の頭の英字がLL/FHの物です。それゆえ推定2017年ボトリングとしておいたのですが、どうやら2018年のLL/GHのロットには、もう少し熟成年数の古いバレルが多く混和されているとされ、海外のターキーマニアの評価が高いようです。日本にも輸入されてるのならそのうち飲んでみたいものです。

それともうひとつ、前から気になっていることがあります。112.8のラベルは2014~16年とされ比較的短期間で終了な訳ですが、このデザインは本来2011~2015年のセピア・トーンの横向きターキーと一致するラベルデザインですよね? 下に8年101とレアブリードのそれぞれ対応する画像を挙げてみましょう。
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年数はアメリカの情報を基にしています。日本で流通が始まるのは大概半年から一年遅れです。ましてやワイルドターキーほどの人気ブランドだと流通量も多いため、旧ラベルの在庫がハケるのに時間もかかり、8年101の「2011~2015」とレアブリードの「99~2013」のラベルがほぼ同時流通していた気がします。なのに近年のモノクロ チラ見ターキー8年101の「2015~」とレアブリードの「2016~」は早々に切り替わった印象があり、そこでなんだかレアブリードの「2014~16」ラベルが過渡期の物のように錯覚してしまっていました。それを初めて見たとき「えっ、今さらラベルチェンジ?」と思いましたし、モノクロが出たときは「えっ、もう変わるの?」と思いました。それもこれもレアブリードの「2014~16」ラベルのリリースされるタイミングが遅いせいじゃないですか。これは一体なぜなのでしょうか? いや、WT03RBだけが十年近く販売されていたのがそもそも謎で、そのせいで「2014~16」ラベルが押し出されてるような気もしますけど…。一説には「怠惰」と言われますが、事情をご存じの方はコメント頂けると助かります。


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ワイルドターキー レアブリードは、6年と8年と12年熟成の原酒をブレンドし、加水なしでボトリングした所謂バレルプルーフバーボンとして知られています。そのためバッチごとにボトリングの度数に僅かな変動があります。日本ではお馴染みの8年101より格上、12年や13年といった長期熟成物よりは格下という位置付けの製品で、91年の発売以来長いこと継続して販売されており、バレルプルーフの製品としては比較的安価なのが人気の秘訣でしょうか。
昔は輸出用ラベルの「1855リザーヴ」というのもありましたが、これはレアブリードと概ね同じと見做していい物です。おそらく、ファースト・ロット以外はプルーフを共有するので、中身は同一のバッチングに由来すると思われます。或るバーボンマニアの方がレアブリードのリストを作成していたので、それを基に以下に纏めさせて頂きましょう。左から順に生産年、ラベル名、バッチナンバー、プルーフです。

1991 / Rare Breed / W-T-01-91 / 109.6
1991 / Rare Breed / W-T-02-91 / 110
1992 / 1855 Reserve / W-T-10-92 / 110.0
1993 / Rare Breed / W-T-01-93 / 110.8
1993 / Rare Breed / W-T-02-93 / unknown
1993 / Rare Breed / W-T-03-93 / 111.4
1994 / Rare Breed / W-T-01-94 / 112.2
1994 / 1855 Reserve / W-T-01-94 / 112.2
1994 / Rare Breed / W-T-02-94 / 109.6
1994 / 1855 Reserve / W-T-02-94 / 109.6
1995 / Rare Breed / W-T-01-95 / 109
1995 / 1855 Reserve / W-T-01-95 / 109
1995 / Rare Breed / W-T-02-95 / 109
1996 / Rare Breed / W-T-01-96 / 108.8
1996 / 1855 Reserve / W-T-01-96 / 108.8
1997 / Rare Breed / W-T-01-97 / 108.6
1999 / Rare Breed / W-T-01-99 / 108.4
2003 / Rare Breed / WT-03RB / 108.2
2015 / Rare Breed / ーーーー / 112.8
2017 / Rare Breed / ーーーー / 116.8

ラベルの変遷はざっくり下のような感じになります。
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少し言葉で補足しておくと、リストや画像で判る通り「1855リザーヴ」は96年で廃止となりレアブリードに一本化されました。そして2015年リリースの物(金ピカの筒に入ったやつ)からはバッチナンバーがなくなり今に至ります。これらはバッチナンバーで呼ぶわけにいかないので「112.8は○○だね、116.8は□□だよ」のようにプルーフの数値でその個体を指します。また、よく判らないのがWT01-99の生産期間でして、海外のレヴューやボトルの紹介を見ると2004年ボトリングとされる物が散見されるのです。私の理解ではWT03RBの「03」は2003年のことだと思っていたのですが、もしWT01-99が2004年まで生産されていたとすると、WT03RBは2005年から発売なのかも知れません。一応、上のリストではWT03RBは2003年ということにしておきましたが、誰かここら辺の事情をご存知の方はコメントからご教示頂けると助かります(※追記あり)。
それはさて措き、レアブリードのバッチの中でも取り分け異質なのがWT03RBです。このバッチだけが2014年春に終了となるまで約10年に渡って流通していました。そのため、とんでもない量のバッチングされたバーボンを巨大なステンレスタンクか何かに保管していたのではないか、との疑いがあったのですが、マスターディスティラー エディ・ラッセルの息子ブルース氏によるとそうではないとのことです。ワイルドターキー蒸留所は比較的ロウ・プルーフのバレル・エントリー・プルーフで知られていますが、このWT03RBが発売されていた期間中、二回ほどより高いエントリー・プルーフへと変更されています。それは2004年にそれまでの107プルーフから110プルーフとなり、続いて2006年には115プルーフとなりました。この変更は風味プロファイルに変化を生じさせるでしょう。そのためWT03RBは生産年ロットによって原酒の配合比率を少し変えることで風味を一定にしているとブルース氏は語っています。例えば、或るロットは他のロットより8年の比率が多い等。そしてそれを、おそらく少量の加水で108.2プルーフぴったりに調整したのだと思われます(※規則上、少量の加水をしてもバレルプルーフを名乗ることが出来ます)。外国のターキーマニアでWT03RBの生産年ロット違いを飲み較べした方によると、風味に若干の違いはあるものの概ね似た同等レべルの物になっているようです。マスターディスティラー以下テイスターやブレンダーの驚異の仕事と言わざるを得ませんね。

さて、今回はWT03RBとWT01-99の飲み較べをしたいと思います。目視での色の違いは感じられません。
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WILD TURKEY Rare Breed 108.2 Proof
BATCH No. WT-03RB
推定2011年ボトリング。並行輸入品。香ばしい樽香、ヴァニラ、バターポップコーン、ナツメグ、微かなチェリー、塩、ビオフェルミン。こちらのほうがとろりとした口当たりで、やや甘い。口の中ではペッパースパイスが踊る。余韻はターキーらしい焦げたウッディネス。
Rating:86.5/100

WILD TURKEY Rare Breed 108.4 Proof
BATCH No. W-T-01-99
推定2001年? ロット番号はL0261031。正規輸入品。シナモンの入った焼き菓子、ペッパー、マロン、ピスタチオ、蜂蜜、オレンジ、バター、コーンチップス、強いて言うと焼いたパイナップル。こちらのほうがさっぱりした口当たりで、やや酸味がある。口中と余韻に豊かなスパイス。
Rating:86.75/100

Verdict:続けて飲めば明らかな違いは感じるものの、どちらもレアブリードだなあという味に収まっていると思います。実は海外のバーボンマニアの評価はWT01-99の方が圧倒的に高いのですが、個人的にはそこまで大差はない印象でした。流石にWT03RBもジミー・ラッセルがフェイヴァリットと言うだけあって負けてるとは思えません。確かに、どうしてもどちらかを選ぶのなら、アロマが若干強く、テクスチャーは軽いもののフルーツ感とスパイス感に勝るWT01-99の方に軍配を上げます。

Thought:バレルプルーフにしてはやや深みに欠ける味わいに感じました。私の嗅覚と味覚ごときではアーシーなフィーリングやカビっぽさ、また香水のようなフローラルや赤い果実感といった「美味しいターキー」の諸要素もあまり感じ取ることが出来ません。8年101と比較すれば、断然ナッティな香ばしさが強く、オイリーなマウスフィールもあります。けれどバレルプルーフだから風味が複雑かと言うと期待するほどでもなく、出来の良い時期の8年101には負けている気が…。なによりパレートとフィニッシュがドライ過ぎる嫌いがあり、なんとなく6年熟成原酒の割合が多いのではないかと想像します。それに12年熟成原酒の比率はだいぶ低いのではないでしょうか? 例えば20%以下とか、もっと? 或いは価格から考えて、シングルバレルやヴェリースモールバッチ(*)に選ばれなかった樽から造られているとすれば、シュガーバレルの混和率が低いのも当然なのかも知れません。飲んだことのある皆さんの意見を伺いたいですね。

Value:上で否定的と取られかねない言いっぷりをしてしまいましたが、私はターキー好きであり、お薦めなのかお薦めじゃないのかで言ったら、そりゃお薦めです。レアブリードはバレルプルーフバーボンの中でも入手のしやすさと安さでは一番ですから(**)。ただし、今回飲んだバッチは少し古いものです。それほど希少性はなくとも現行製品のようにどこでも売ってる訳ではありません。定価(と言うのか希望小売価格と言うのか)と同程度であれば二次流通市場で購入する価値はあると思いますが、付加価値を支払うほどではないというのが私の意見です。

追記:その後に得た情報では、やはりWT01-99は2004年まで発売されていたようです。そしてWT03RBは2004年から発売され、一年間だけコルクの周りがブラック・ラップで、そのあとクリア・ラップに変更されています。
また、私の表と画像では112.8を2015年、116.8を2017年としていますが、アメリカではそれぞれ2014年と2016年とされていました。


*ワイルドターキーの通常品は1500樽前後のバッチング、スモールバッチは150~200樽、ヴェリースモールバッチは20~30樽程度との情報がありました。おそらくレアブリードはスモールバッチではないかと思われます。

**すみません、オールドグランダッド114があるのを忘れて書いてます。

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Maker's Mark CASK STRENGTH 111.4 Proof
BATCH NO. 15-03
メーカーズマークのカスクストレングスは2014年秋から蒸留所のみで375ml瓶が販売され、2015年春から販路を拡大していった製品です。カスクストレングスというのは、バーボン用語でより一般的なバレルプルーフと同じで、加水調整せず樽から出したままのアルコール強度という意味です。そのためバッチ毎にだいたい54〜57度の違いが出ます。バレルプルーフでありながら55度前後の低いアルコール度数なのは、他の多くの蒸留所のバレル・エントリー・プルーフ(樽入れ時の度数)が125なのに対し、メーカーズマークは110というかなり低めのエントリープルーフのため。それと、バッチごとに度数が違うからといっても、この製品はシングルバレルではなく、19樽のスモールバッチと言われています。またレシピ(70%コーン、16%ウィート、14%バーリー)と熟成年数(約6年)もスタンダードなメーカーズと同じだそうです。では、レヴューいきましょう。

キャラメル、焦がした木、ヨーグルト、干し柿、バナナ、あんずジャム。パレートはスパイスとチェリー、渋柿。余韻はややバタリー。当然ながらスタンダードなメーカーズと較べると全てが強く美味しい。強力な甘味よりもしっとりとした甘味に、酸味と苦味がバランスよく合わさる。きっとメーカーズマークがもつ本質が味わいやすいと思うが、反面、人によっては度数が高いぶん辛口にも感じるかも知れない。一、二滴の水を加えるとアルコールが弱まって甘味を感じやすくなる。正直言うと、開けたては美味しくなく、バレルプルーフでなくてもいいかなという印象をもった。なんなら45〜50度のほうがバランスがいいのでは?と思ったほどだったが、半分ほどに減ってからは、やや酸味が強くなったものの柿系のフルーティーさが増して美味しくなった。
Rating:87/100

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