






(画像提供MILWAUKEE'S CLUB様)
先日、久々にバーボン遠征に行ってきました。今回お邪魔したのは、バーボン・マニアには言わずと知れた埼玉県は川口の名店ミルウォーキーズ・クラブさん。バーボン600種を含む1000種類を超えるウィスキーを取り扱うその品揃えは圧巻で、バーボンに関しては関東随一と昔から目されています。実際に目にしてみると、80年代後半から90年代初頭に日本へ輸入され、現在ではユニコーンとされるバーボンの品揃えは特に凄まじいです。また、お店オリジナルのメモリアル・ボトルや蒸溜所とコラボしたスペシャル・ボトル、独自にピックされたシングルバレルのボトル等も、当然ながら豊富にあり、それらを目当てに伺うお客さんも多いようです。しかし、このお店の魅力は、希少なバーボンが飲めるだけに留まらず、オウナーの白井慎一さんその人にもあるでしょう。白井さんは、リード・ミテンビューラーの名著『Bourbon Empire : The Past and Future of America's Whiskey(バーボン帝国─アメリカのウィスキーの過去と未来)』を翻訳した我々にお馴染みの日本版『バーボンの歴史』(原書房)の監訳[※出版翻訳や学術論文などで、監修の役割で全体を査読し、内容や翻訳に間違いがないかを最終的にチェックすること]を担当し、これまた我々にはお馴染みの『ザ・ベスト・バーボン』と『バーボン最新カタログ』(共に永岡書店)に関わっていたり、ウィスキーのコンペティションの審査員を務めたり、ウィスキー雑誌に執筆したりと、日本に於けるバーボン業界の重鎮です。現地の蒸溜所を訪れた際のエピソードや業界の裏話を交えたトークはここに通う楽しみの一つとなっており、売り上げも白井さんが店にいるかいないかで大きく変わるのだとか。貴重なバーボンを求めて海外のマニアが訪れることも多く、MILWAUKEE'S CLUBから始まって、FIVEさん、GEMORさん、ANKIさん、ROGIN'S TAVERNさん等を巡る日本バーボン・バー・ツアーをする強者もいると聞き及びます。
マスターの白井さんは、ご実家が代々飲食店を経営しており、甘味処しらゆり(耳で聴いたので表記は不明)は有名だったそう。お父さんは洋食屋を営み、自身もフレンチの修行へ出ていました。それまで安酒ばかり飲んでいたところにフォアローゼズを飲んで衝撃を受けバーボンに開眼したと言うマスターは、琥珀の世界とアメリカへの憧れを一気に強くし、2階のレストランの上にバー「ビア&バーボン・ミルウォーキーズクラブ」を1990年に開店。店名はアメリカのビール「オールド・ミルウォーキー」から。もしバーボンから店名を取るなら「テンガロンハット」になってただろうね、そうなると西部劇のサルーンみたいな雰囲気の店にしなくちゃならなかった、とマスターは笑っていました。今年で34年目を迎える老舗のミルウォーキーズ・クラブさんですが、現在では川口駅東口の再開発により2023年春にオープンした「樹モールプラザ」の2Fへ移転して営業しています。モールの中の一店舗ということもあってか、店内は比較的明るめで、素人が入りにくい雰囲気はありません。上掲の画像のようにテラス席もあったりします。整然と並んだウィスキーの数々は、図書館を意識した陳列らしく、銘柄が見やすいのも特筆すべき点。レアなバーボンのオールド・ボトルが最大の魅力ではありますが、アメリカンだけでなくスコッチやジャパニーズ・ウィスキーの品揃えもなかなかの粒揃いなので、決してバーボン・マニア専門の敷居が高いバーではないですから、ウィスキーに興味を持ちたての方でも、近隣遠方問わず是非立ち寄ってみて下さい。
あと、これはかなり個人的な感想ですが、チェイサー用の水がかなり大きめのグラスで提供されるのはとても有り難かったです。私はお酒に弱いので、出先のバーで飲む時は大量の水を必要とし、チェイサー用グラスが空になる度に店員さんを呼ばなければなりません。だからグラスが大きいと呼ぶ回数が減って助かるのです。なんなら途中からは大きめのウォーター・ピッチャーを用意してくれたので、自分で好きな時に水を注げるようになりました。これは凄く嬉しい気遣いでした。勿論、水がなくなったり少なくなるとマスター及び店員さんが先に気付いて注いでくれることも多いですが、その場合、こちらとしては何度も注がせてしまって申し訳なく感じるので、やはり自分で勝手に注げるのは気が楽なものです。ちなみに、当ブログのタイトルが「バーボン、ストレート、ノーチェイサー」であるところから、これをお酒の注文方法や飲み方のことと勘違いして、私のことをチェイサーも飲まずにバーボンをストレートでガブ飲みするとんでもない酒豪のようにイメージする方が偶にいるのですが、このタイトルは単に私の敬愛するバーボン作家チャールズ・カウダリーの名著「Bourbon, Straight」と、ユニークなジャズ・ピアニストであるセロニアス・モンクの名曲「Straight, No Chaser」を、響きが良いかなと思い合体させて名付けただけであって、私自身はバーではチェイサーに水は必須です。まあ、自宅では殆どの場合、1回にショットグラス1杯しか飲まないので、確かにチェイサーを飲んではいませんから、全く酒の飲み方を表していないとは言い切れませんけれども…。
〒332-0017
埼玉県川口市栄町3丁目13-1
樹モールプラザ2F
区画209
営業時間 17:00-23:30
定休日 : 火曜日
Tel : 048-253-0280(営業時間内)
Website
https://milwaukees.net/
https://www.facebook.com/groups/milwaukeesclub/?ref=share
https://www.instagram.com/whiskey_milwaukees_club?igsh=YXNwN2xqZGoxbTNu