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「安酒を敬いたまえ」シリーズ第五弾、今回はフォアローゼズ蒸留所編です。

Four Roses Distillery◆フォアローゼス蒸留所
フォアローゼズのマッシュビルに関しては過去投稿のFRシングルバレルにて紹介してるのでこちらをご参照下さい。チャーリングレベルは# 3.5 、バレルエントリープルーフは120とされています。

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Four Roses Yellow Label 80 Proof
1300〜1500円
イエローラベルは2つのマッシュビルと5つのイーストから造られる10種類の原酒のブレンドと言われますが、厳密には、フローラルアロマをもつQイーストで造られた原酒(OESQ, OBSQ)は、既にイエローラベルの風味プロファイルが実現している場合、どちらか一方あるいは両方とも、バッチによっては使用されないことがあるそうです。つまりイエローラベルはバッチ毎に8〜10種のブレンドの何れかな訳ですが、マスターディスティラーのお墨付きで安定した味わいになっているのでしょう。熟成年数は4〜12年で平均5年半との情報がありました。
さて、2017年4月からイエローラベルは、イエローというより薄茶に近い色のラベルになってしまい、尚且つアクセントになっていた緑色のラインもブラウンに変更されました。個人的にはこのカラーリングが好みではなく、見た目で買うことを敬遠していたのですが、当企画のため仕方なく購入しました。
ところがです、これめっちゃくちゃ旨いですね。もしかすると90年代や2000年代よりレベル上がってませんか? まあバッチ違いの個体差なのかも知れませんが、私がこれまで飲んできたイエローラベルに較べて、ブラックラベルのアロマに近づいたと思いました。また、最も甘く感じたイエローラベルでもあります。しかも開封直後から旨い。そういえば色も濃い気がする。まさかブレンドされてる原酒の熟成年数が少し上がったのでしょうか? マスターディスティラーの交替だけではちょっと説明できないほど美味しくなってるように思います(*)。余韻の洋梨感やフローラルノートなどは従来のイエローラベルを凌駕しているではありませんか。もっとも、流石にブラックと較べると安ウィスキーらしい穀物感も少なからずありますし、厚みのある芳香とも言えません。とは言えブラックとは価格が倍近く違うので、これは文句ではなく、財布と相談したうえ好みの選択をすればよいだけ。お買得の一本です。
Rating:83/100

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参考までに旧ボトルのイエローラベルにも言及しておきます。現行と同じボトル形状でラベルが黄色く、現マスターディスティラーのブレント・エリオット(2015年から)のサインがない物は、比較的短命で2014〜2017年流通のようです。私はこの時からボトルデザインが好みでなく、購入を見送っていましたので、実は飲んだことがありません。もしかしたらキリンやジム・ラトリッジの尽力でこの頃からレベルが上がっていたのかも知れませんね。そのうち探して飲んでみようと思います。
そしてその前が画像左の物で、上記のリニューアル時のキリンのインフォメーションによると、12年ぶりのリニューアルと書かれていたので、計算上2002〜2014年流通の物となります。これは80点でした。
更にその前のラベルの物は画像右のやつで、今の目から見ると華やかさに欠ける、いい意味でひなびた印象のデザインが私の好みです。おそらく90年代半ばから2000年代初頭流通の物になるでしょうか。こちらは過去投稿があります。これも同じく80点。つまり私の中ではイエローラベルは常に80点の安定したエントリークラスバーボンだったのです。それだけに新ラベルの試飲に驚いたのでした。


*もしくは勘繰ってみると、マスターディスティラーの好みが反映されている可能性もあるかも知れません。前任のジム・ラトリッジはドライな傾向を好み、現任のブレント・エリオットはスイートな傾向を好む、という具合に。まあ、憶測ですが。