タグ:ヘヴンヒル蒸留所

IMG_20180622_153000_869
エライジャクレイグ18年3DSC_0182
IMG_20180702_145040

Elijah Craig Single Barrel Aged 18 Years 90 Proof
BARRELED ON 2-23-90
BARREL NO. 3755
バーボンの父と称されるエライジャ・クレイグ牧師の名を冠したヘヴンヒルのプレミアムバーボン。12年物とは比較にならないほど複雑な芳香を持っています。様々なドライフルーツのアロマや味わいと、渋味を含んだオークの風味、それをアルコール度数45度でボトリングするバランス感覚は大変面白味があります。ピーチやパイナップルも出てきましたが、キャラメル感はそれほどでもなく、オーバーオークな感じもしません。いわゆるパンチやキックを求める人には向かない、長熟ならではの香味をきくバーボン。日本には殆ど輸入されていない21年や23年も本国ではリリースされており大変人気があります(と言うか18年も最近は日本に入ってこない)。
本ボトルは90年に蒸留されたもので、いわゆる旧ヘヴンヒルのジュース。現行と比較したことはないので味の違いは分かりません。
Rating:87/100

_20180621_200505

Georgia Moon Corn Whiskey 80 Proof
フルーツ・ジャーに入ったコーンウィスキー、ジョージアムーン。英語では密造酒のことをムーンシャインと言い、密造酒の造り手をムーンシャイナーと言います。違法な蒸留は夜陰に乗じて月明かりのもとに行われるところから由来している言葉です。このジョージアムーンはちゃんとした蒸留所で違法行為でも何でもなく造られたお酒ですが、そういうイメージを上手く活用したパッケージとなっています。ネーミングといい、瓶に使われるジャーといい、ペーパーバッグ的質感のラベルといい、密造酒文化へのオマージュとも言えそうな独特のカッコ良さ。ラベルには「Less than 30 days old(30日未満の熟成)」と書かれていますが、これはおそらく未熟成の意ではないかと思います。たかが30日以内に樽の出し入れをしてたら手間ですし、中途半端な中古樽が出来てしまいますから。

さて、現在ではヘヴンヒル蒸留所で造られているジョージアムーン、そのオリジンや来歴をネットで調べてみたのですが詳しい情報が見つかりませんでした。けれども、ジョージアムーン(ジョージアの月光)という名前と、年式の古いボトル(70年代あたり?)のラベルに記載された所在地から判断するに、ジョージア州オーバニーで蒸留されていたのではないでしょうか。おそらくそこに、現在でもラベルに書かれているジョンソン・ディスティリング社があったものと推測します(追記あり)。そしてそれより年式の新しい物(おそらく70年代終わり頃から80年代)には、ケンタッキー州オーエンズボロの記載が見られ始めます。もしかするとメロウコーンを造っていたメドレー蒸留所にジョージアムーンのブランド権が移行してるのではないかと勘繰りました。そして80年代後半から90年代前半のバーボン業界を取り巻く買収劇の中で、メドレー蒸留所は閉鎖となり、どういう経緯か分かりませんが、90年代中頃にメロウコーンとジョージアムーンが一緒にヘヴンヒルのブランドになったのではないか、これが私のたいして根拠のない推理です。まあ、話し半分に聞いておいて下さい(ここら辺の事情に詳しい方はコメントから御教示頂けると幸いです)。

で、お味の方はと言いますと、30日以下の熟成なので……お世辞にも美味しいとは言えません。ストレートで飲むには、本当に酔うだけのためと言った感じです。しかも自家製カクテルのベースとしても少々荒削り過ぎる嫌いがあり、純度の高いウォッカのほうが素人には遥かに使いやすい。けれども、その荒々しさこそムーンシャインの真骨頂ですよね。本ボトルは推定06年ボトリング。
Rating:68/100

追記:どうやらジョンソン・ディスティラリーはヴァイキング・ディスティラリーという事業名を持っていたようです。自らアラバマ州で初めての合法的蒸留所と名乗っていました。ジョージアムーンのオリジナルはここで間違いないと思います。他にも海外のオークションでジョージアムーンと同じジャーに入ったバスタブ・ジンも見かけました(ヴァイキング・ディスティラリー名義)。また、ジョージアムーンで4年熟成100プルーフの画像も見かけました。こちらはマサチューセッツ州ボストンとオーエンズボロの記載があるやつです。そちらだったら、きっとメロウコーンに近い味わいだったろうなと想像しました。

2018-09-11-08-30-07

Mellow Corn BOTTLED IN BOND 100 Proof
コーンウィスキーの代表的な銘柄メロウコーン。コーンウィスキーらしい癖がハッキリと感じられるハイプルーフ、しかも安いとあって、アメリカではかなり人気があります。昔はメドレー蒸留所のブランドでしたが、現在ではヘヴンヒル蒸留所のブランドになっており、ラベルにその名残が見られます。こちらはボトルドインボンド規格ですから、おそらく熟成年数は最低限の4年でしょう。またコーンウィスキーの規定から、熟成樽は古樽もしくはチャーしてない新樽になります。そのためか、バーボンに比べ円やかさに欠ける嫌いがあるし、深みや奥行のある芳香もないし、コーンウィスキー臭さも残ってますが、100プルーフ(50度)あるので満足度は高いです。
Rating:79/100

さて、問題はここからです。ラベルに注目してください。ボトルドインボンド規格のスピリッツには、蒸留した施設のDSPナンバーと、ボトリングした施設のDSPナンバーも記載せねばなりません。ラベルから読み取れるのは、蒸留はDSP-KY-354、ボトリングはDSP-KY-31です。「354」はブラウン・フォーマンが所有するアーリータイムズを作っているプラントを表し、「31」はヘヴンヒル所有のバーズタウンにあるボトリング工場を表します。ヘヴンヒルの蒸留施設は元々バーズタウンにあったのですが、96年の大火災により蒸留施設は全焼し、現在はボトリング工場と熟成庫のみとなっています。そして99年にルイヴィルのバーンハイム蒸留所を購入して蒸留を再開し、現在に至るのですが、この蒸留所がなかった期間はブラウン・フォーマンやジムビームが蒸留を代行していたと言います。
で、このボトルは推定2013年ボトリングと思われます(瓶底判定)。熟成期間の4年を引くと蒸留は2009年。はて? とっくに自社蒸留に切り替わっている頃なのではないでしょうか? 残り物のラベルを使用している可能性もなくはないと思いますが、だとしたら余りにも残り過ぎな気がします。いや、第一厳格なボトルドインボンド規格を謳いながら、残り物など使っていたら駄目でしょう。

ここからは私の推理なので話し半分に聞いて(読んで)下さい。ヘヴンヒルからリリースされているライウィスキーにリッテンハウス ライ ボトルドインボンドという銘柄があります。ボトルドインボンド規格ということもあり大変人気のあるブランドです。有名な話なのですが、火災後このリッテンハウスライはブラウン=フォーマンが契約蒸留をしていました。ボトルドインボンド規格ですからラベルに「DSP-KY-354」の記載があり、ある年のものから「DSP-KY-1」(バーンハイム蒸留所の番号)に変わりました。調べてみると、どうやらその契約が2008年までだったようなのです。ごく単純に計算して、2008年蒸留に熟成期間の4年をプラスすると2012年となり、このメロウコーンのボトリング2013年との誤差が一年のみになります。一年の誤差ならなんとでもなる差です。あまり語られることのないメローコーンの裏話だけに、情報が少なくて混乱しましたが、おそらくメロウコーンも2008年までブラウン・フォーマンが契約蒸留していたのではないでしょうか? だとしたらラベルの謎も合点がいくのですが…。ここら辺の事情に詳しい方がいらっしゃいましたら、是非とも情報提供をお願いしたいです。

↑このページのトップヘ