バーボン、ストレート、ノーチェイサー

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タグ:ベリーオールドバートン

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ヴェリー・オールド・バートンは、バーボン生産の中心地バーズタウンで1879年の創業以来、最も長く操業を続けているバートン1792蒸溜所で造られています。そのヴァリエーションは80プルーフ、86プルーフ、90プルーフ、100プルーフと豊富ながら、全国展開のブランドではありません。そのせいなのか、日本での流通量が多くないのが残念なところ。ヴェリー・オールド・バートンは、嘗てはケンタッキー州と近隣の幾つかの州(KY、IN、OH、IL、WI、MI、TN)でのみ販売され、ジムビームやジャックダニエルズと真っ向から競合し、価格競争力に優れたバーボンとしてケンタッキー州では常に高い評判を得ていました。現在では主に中西部、東部、中南部の23の州で販売されているらしいです。
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奇妙なことに、現在バートン1792蒸溜所を所有するサゼラック・カンパニーの公式ウェブサイトの「OUR BRANDS」の欄にヴェリー・オールド・バートンは何故か載っておらず、不当な扱いを受けているようにも見えます。 同蒸溜所の主力製品は今は「1792スモール・バッチ」となっていますが、当初はヴェリー・オールド・バートンが主要なプレミアム・ブランドでした。昔の8年熟成のヴェリー・オールド・バートンは70〜80年代に掛けて最も高く評価されたケンタッキー・ストレート・バーボンの一つとされています。2000年頃までは基本的に8年熟成の製品だったようですが、その後、バーボンの売上増加と蒸溜所の所有者変更により、熟成年数は6年に引き下げられ、更にその後NASになりました。ところで、我々のような現代の消費者の感覚からすると、ヴェリー・オールド・バートンはその名前に反して、それほど長熟ではありませんよね。「ヴェリー・オールド」と聞くと、20年熟成とかを思い浮かべそうですし、そこまでではないにしろ少なくとも12年以上は熟成してそうなイメージがします。しかし、昔はそうではありませんでした。蒸溜所が連邦物品税を支払う前にウィスキーを熟成できる期間(保税期間)は1958年まで8年間だったため、当時は8年物で「ヴェリー・オールド」と呼ばれることが多く、このブランドがそれほど長熟でもないのにそう名前にあるのはその名残です。

ヴェリー・オールド・バートンは通常20ドル未満、プルーフが低い物はそれよりも更に安い価格で販売されています。それ故、20ドル以下のバーボン・ベスト10のようなオススメ記事によく顔を出していました。取り分け人気があったのは部分的に白色が使われたラベルの6年物のボトルド・イン・ボンドで、高品質でありながら手頃な価格は、長きに渡りコストパフォーマンスに優れたバーボンとして愛されて来ました。しかし、上でも述べたように以前はボトルに熟成年数を示す「6 years old」の記載がありましたが、2013年末頃?、サゼラックはネック・ラベルにあった「6 years old」から「years」と「old」を削除し、数字の「6」だけを残しました。サゼラックはバッファロー・トレース蒸溜所が製造するオールド・チャーターのラベルでも、同じように以前はあった8年熟成表記を単なる「8」という数字のみにしたりしました。熟成バレルの在庫が逼迫したことで、ラベルからエイジ・ステイトメントを削除するのは理解できます。しかし、熟成年数を変更したにも拘らず、恰もその年数を示すかのような数字をラベルに残した行為は、多くのバーボン愛好家が納得しないものでした。彼らからは、卑劣で陰険で極悪非道、間違いなく恥ずべきことだと謗られたり、不誠実でくだらないマーケティングと断罪されたり、または天才的なマーケティング手腕だと皮肉られる始末でした。暫くの間ラベルは「6」のままでしたが、軈て消えます。同社はVOBのラベルが「6」に切り替わった時点では平均してまだ6年熟成と主張していました。切り替え当初はそうだったのかも知れませんが、おそらく直に熟成年数は4〜6年のブレンドに移行したと思われます。それから数年後、ラベルから「Bottled in Bond」の表記がなくなり、代わりに「Crafted」と書かれるようになりました。巷の噂では、2018年の6月に1940年代に建てられたバートンの倉庫#30が崩壊したため異なる蒸溜シーズンのヴェリー・オールド・バートンを混ぜることを余儀なくされた、と言われています。
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偖て、今回飲むのは6年熟成でもなく、ボトルド・イン・ボンドでもない100プルーフのヴェリー・オールド・バートンです。私が気に入っていたバートン原酒を使ったコストコのカークランド・シグネチャーが、どうやら一回限りのコラボだったようで定番化されず、そのせいで常備酒とは出来ませんでした。そこで代替品となるのは、似たスペックをもつこのVOBしかありません。同じバートン産でありながら、二つのブランドにどれほどの違いがあるのかも興味深く、購入してみた次第。さっそく注いでみましょう。ちなみにVOBのマッシュビルについては75%コーン、15%ライ、10%モルテッドバーリーとされています。

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Very Old Barton 100 Proof
推定23年ボトリング(瓶底)。オレンジがかったブラウン。薄いキャラメル、若いプラム、トーストした木材、ピーカンナッツ、微かなカレーのスパイス、アニス、汗→整髪料。芳しい樽香に僅かにフローラルの混じった接着剤様のアロマ。口当たりはほんの少しとろっとしている。味わいはバートンらしいストーンフルーツが感じられるがやや弱い。余韻は短めながら香ばしい穀物とココナッツが漂う。
Rating:81/100

Thought:グレインとナッツ類に振れた香味バランスのバーボンという印象。軽いヴァニラ系統の甘み、ウッディなスパイス感、穀物の旨味、適度なパンチは飲み応え十分です。総合的に、驚くほど美味しくはないものの悪くはありません。しかし、正直言うと100プルーフに期待されるリッチなフレイヴァーは欠けているように感じました。バートン原酒を使用したコストコのカークランド・シグネチャーと較べると、特にフルーツ・フレイヴァーが弱く、自分の好みとしてはプルーフの低いスモールバッチよりもこちらは劣っています。KLSmBは開封から半年以上経った時に風味が物凄く伸びたので、このVOBも開封してから少しづつ飲んでスピリッツが開くのを待っていたのですが、半年経っても殆ど変化が見られませんでした。私はKLSmBの「スモールバッチ」はただのマーケティング用語ではないかと疑っていたのですが、これだけ差があるのなら本当に厳選されたバレル・セレクトがなされていたのかもと思い直したほどです。もしくは、コストコはカスタム・オーダーでマッシュビルのライ麦比率をやや増やして違いを作り出していたのかも知れない。VOBはライが15%とされている一方、バートン版カークランドはライが18%と推定されていることが多いので。飲んだことのある皆さんはどう思われましたか? コメントよりご意見ご感想どしどしお寄せ下さい。

Value:アメリカでの価格は地域によって大きく異なるようですが、基本的にヴェリー・オールド・バートンはアンダー20ドルの世界の戦士です。今の日本では3000円台後半〜4000円近い価格となっており、私も昔の感覚からすると高いなと思いつつもその金額で買いました。そもそも特別な日のためのバーボンではないのは言うまでもありませんが、日本で購入すると安価なデイリー・バーボンとも言い難い価格になるのが痛いところです。勿論、私とて物事が昔と同じようには行かないことは理解しています。最近では1792スモールバッチが4000円から6000円近い価格となっていることを考えると、適正な価格なのかも知れません。しかし、ここ日本で3500〜4000円となると、それより安い価格でメーカーズマークもワイルドターキーも買えてしまいます。個人的にはそれらの方がこのVOB100プルーフより上質なバーボンと感じます。もしこれがアメリカの小売価格に準じた2500円くらいならアリなのですが…。返す返すもコストコのバートン原酒を使用したカークランド・シグネチャーが買えなくなったのは残念です。

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「安酒を敬いたまえ」シリーズ第六弾、今回はバートン編です。

Barton 1792 Distillery◆バートン1792蒸留所
バートンのスタンダードなバーボン・マッシュビルはコーン/ライ/バーリーがそれぞれ、75%/15%/10%と言われています。チャーリングレベルは# 3〜3.5とされ、バレルエントリープルーフは125です。親会社はバッファロートレースと同じサゼラック。
※バートンのバーボンは本企画の他のバーボンより明らかに日本での販路が狭いです。そのため私もケンタッキータヴァーンは通販で買わざるを得ませんでした。たまたま近くの酒屋に置いてあればいいのですが、そうでないと入手しづらいかも知れません。

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Kentucky Gentleman 80 Proof
980〜1300円程度
ケンタッキージェントルマンは日本では比較的有名な銘柄です。しかし現在アメリカ本国では、バーボン51%グレインスピリット49%のブレンデッドウィスキーとして販売されています。おそらく輸出用製品のみストレート規格のバーボンとなっているようです。昔は4年熟成がスタンダードで、43度でボトリングしたものや、ボトルドインボンド規格の物、または8年熟成などのヴァリエーションがあったのですが、現行製品は3年熟成で80プルーフのエントリークラスしかありません。
薄いヴァニラ香、ウッディ、ピーナッツ、ポップコーン、ビール、はちみつ、強いて言うと桃。香り味ともに未成熟感が強い。開封からしばらくするとフルーティーな香りも開くものの、口中の味わいや余韻は如何にもグレインウイスキー然としている。更に時間が経過すると、もう少し味わいは濃厚になり、なかなかイケる味に。安さが魅力の一本とは言え侮れない。ただ、もう少し甘い香りが欲しいところ。
Rating:76/100

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Kentucky Tavern 80 Proof
1200〜1500円
ケンタッキータヴァーンはそもそもグレンモア蒸留所の銘酒で歴史あるブランドですが、現在ではバートンが製造する3年熟成のエントリークラスバーボンとなっています。日本の輸入代理店の資料、そしてそれを参照したと思われる酒販店の商品説明、また一部海外サイトのレビューでは4年熟成と説明されている場合があるのですが、当ボトルのネックラベルに「少なくとも36ヶ月熟成」の記載があり、これが書かれているものは概ね3年熟成と見なしてよいでしょう。
さて、飲んで見たのですが…、これケンタッキージェントルマンと同じものではないですかね? 私には殆ど同じ風味プロファイルに感じます。いや、バッチ違い、個々の酸化状況の違いはあるかと思いますが、仮に二本を試飲し、次にどちらかをブラインドで提供するテイスティングをやったら、私にはどっちか当てる自信がありません。皆さんの意見を伺いたいですね。
Rating:76/100

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VERY OLD BARTON 80 Proof
1300〜1500円
ヴェリーオールドバートンには、6年熟成の物や、86プルーフやら90プルーフ、またボトルドインボンドなど、様々なヴァリエーションがあります。アメリカ本国ではケンタッキー州のみか、南部限定の製品かも知れません。こちらはラインナップ中最低の3年熟成80プルーフです(ネックラベルに「少なくとも36ヶ月熟成」の記載があります)。スペック的には上のKGやKTと同じですが…、飲んでみましょう。
うーん、アロマもフレイヴァーもだいたい同じような気がします。強いて言うと、口に含んだときの透明度がこちらの方があり、やや円やかなような気も。とは言え、余韻はほぼ一緒だし、単なるバッチ違い程度の差のようにも思えるし、よくわかりません。まさかフィルタリングの違いがあるのでしょうか? ともかく、上の二つほどは酷似してないものの、点数に差が出るほどの味の違いや個性は感じられないです。ただ、ラベルは一番カッコいい。
Rating:76/100


追記:その後、ザッカリア・ハリスというバートン産と目される最安値のバーボンのレヴューを投稿しました。この企画時に入手していれば、ここで取り上げていたので追記のかたちでお知らせ致します。
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