2018-09-11-08-30-07

MELLOW CORN BOTTLED IN BOND 100 Proof
コーン・ウィスキーの代表的な銘柄メロウコーン。コーン・ウィスキーらしい癖がハッキリと感じられるハイ・プルーフ、しかも安いとあって、アメリカではかなり人気があります。昔はメドリー蒸溜所のブランドでしたが、現在ではヘヴンヒル蒸溜所のブランドになっており、ラベルにその名残が見られます。こちらはボトルド・イン・ボンド規格ですから、おそらく熟成年数は最低限の4年でしょう。またコーン・ウィスキーの規定から、熟成樽は古樽もしくはチャーしてない新樽になります。そのためか、バーボンに比べ円やかさに欠ける嫌いがあるし、深みや奥行のある芳香もないし、コーン・ウィスキー臭さも残ってますが、100プルーフあるので満足度は高いです。
Rating:79/100


さて、問題はここからです。ラベルに注目してください。ボトルド・イン・ボンド規格のスピリッツには、蒸溜した施設のDSPナンバーと、ボトリングした施設のDSPナンバーも記載せねばなりません。ラベルから読み取れるのは、蒸溜はDSP-KY-354、ボトリングはDSP-KY-31です。「354」はブラウン=フォーマンが所有するアーリータイムズを作っているプラントを表し、「31」はヘヴンヒル所有のバーズタウンにあるボトリング施設を表します。ヘヴンヒルの蒸溜施設は元々バーズタウンにあったのですが、96年の大火災により全焼し、現在はボトリング施設と熟成庫のみとなっています。そして99年にルイヴィルのバーンハイム蒸溜所を購入して蒸溜を再開し現在に至るのですが、この蒸溜所がなかった期間はブラウン=フォーマンやジムビームが蒸溜を代行していました。
で、このボトルは推定2013年ボトリングと思われます(瓶底判定)。熟成期間の4年を引くと蒸留は2009年。はて? とっくに自社蒸溜に切り替わっている頃なのではないでしょうか? 残り物のラベルを使用している可能性もなくはないと思いますが、だとしたら余りにも残り過ぎな気がします。いや、第一厳格なボトルドインボンド規格を謳いながら、残り物など使っていたら駄目でしょう。

ここからは私の推理なので話し半分に聞いて(読んで)下さい。ヘヴンヒルからリリースされているライウィスキーにリッテンハウス・ライ・ボトルド・イン・ボンドという銘柄があります。安くて旨いライ・ウィスキーということもあり大変人気のあるブランドです。有名な話なのですが、火災後このリッテンハウス・ライはブラウン=フォーマンが契約蒸溜をしていました。ボトルド・イン・ボンド規格ですからラベルに「DSP-KY-354」の記載があり、或る年のものから「DSP-KY-1(バーンハイム蒸溜所の番号)」に変わりました。調べてみると、どうやらその契約が2008年までだったようなのです。ごく単純に計算して、2008年蒸溜に熟成期間の4年をプラスすると2012年となり、このメロウコーンのボトリング2013年との誤差が一年のみになります。一年の誤差ならなんとでもなる差です。あまり語られることのないメロウコーンの裏話だけに、情報が少なくて混乱しましたが、おそらくメロウコーンも2008年までブラウン・フォーマンが契約蒸溜していたのではないでしょうか? だとしたらラベルの謎も合点がいくのですが…。ここら辺の事情に詳しい方がいらっしゃいましたら、是非とも情報提供をお願いしたいです。