タグ:IWハーパー

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I.W. HARPER 101 PROOF Gold Label
80年代後期のものかなと予想します。90年代に販売されていたグレーラベルのハーパー101の前身かと。もしかすると90年代初頭までは流通していたかも知れません。昔のバーボンの本を見てみると、スタンダードな86プルーフのゴールドメダルより熟成年数の平均値が少し長そうな記述が見られますが、あまり当てにならない情報に感じます。味は平凡と言えば平凡でした。クセのないスタンダードな旨さと言ったらいいでしょうか。これはグレーラベルを飲んだ時にも思ったことですが、特別な感じがしないのです。勿論ハイプルーフならではの満足感はありますが。
Rating:85/100

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I.W. HARPER GOLD MEDAL
こちらはラベルの腐食が進みすぎて年代の識別が困難です。60年代ぐらいですかね? もしかしたら50年代? 何プルーフなのかもよく判りません。ボトルド・イン・ボンドとは表記されていないように見えるので86プルーフでしょうか。ですが、液体の色はかなり濃いです。マスターに聴けば良かったものの、この頃には酔っぱらっていたせいか、聴きそびれました。感想は、円やかな酒質にクレームブリュレもしくはプリンの風味。これが86プルーフだったとすると、低プルーフの割りに風味の点で101プルーフに負けない豊かさがあったように思います。
Rating:85.5/100

追記:記事投稿後にバーボン・バーGのマスターより情報提供頂きました。上の腐食の進んだハーパーとほぼ同時期とみられるボトルドインボンド版の綺麗な状態の前後ラベル写真を拝見出来たのです。それは全く同一のラベルデザインに見えました。 そしてそれは53年蒸留、58年ボトリングだそうで、そうなると上に述べた推定年代は概ね間違ってなかったようです。この場を借りて改めてお礼を言わせて頂きます。ここまで劣化したラベルを一目見ただけでそれと判る慧眼、恐れ入ります、ありがとうございました。
また、コメントにも素敵なバーボンマニア様からのアドバイスがありましたのでご参照下さい。ご協力感謝です。

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I.W.ハーパーは歴史のあるブランドであり、日本ではジムビームやフォアローゼスに並ぶ有名な銘柄ですが、本国アメリカでは20年近く販売されていませんでした。長らくブランドを所有していたシェンリー社が87年にギネス(ユナイテッド・ディスティラーズ)に買収され、90年代半ばにはハーパーを輸出用のブランドにするという戦略がとられたのです。それには日本も少なからず関与しています。当時の日本では、ハーパーと言えばバーボンの代名詞と言っても過言ではないほど人気があり、そのため正規のルートを通さず現地で安く買ったハーパーを日本で高値で売るというグレーマーケットが存在してしまった。その問題を解決する方法が、アメリカ国内でのハーパーの販売を停止し、輸出専用のブランドとすることでした。それが現在ブランドを所有するディアジオによって、アメリカのバーボンブームに後押しされるかたちで2015年に復活を果たしたのです。
日本でお馴染みとなるゴールドメダルと12年のラインナップではなく、グレーのラベルのNAS(No Age Statement)と15年熟成(限定生産)の二本立てです。最近になって日本でも並行輸入でちらほら見かけ初めました。正規販売では従来どおりの物が流通しているようです。ではテイスティングに移りましょう。

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推定2014年ボトリング。キャラメル、ブラウンシュガー、ココナッツオイル、やや接着剤。円やかというよりはライトな酒質。余韻は軽くビターチョコ。フルーティさとスパイシーさのあまりないタイプ。それなりに旨いのだが、正直言って軽いし、特別なフィーリングも感じない。ボトルの華やかさに中身が負けている印象。
Rating:83/100

Thoughts:アメリカ流通の物と日本流通の物を熟成年数の違いやラベルの違いのみと考えると、おそらく蒸留はニューバーンハイム、エイジングは元スティツェル=ウェラーのレンガ造りの熟成庫、ボトリングがディアジオ所有のどこかの施設とみるのが順当だと思います(但し、蒸留所は非公開)。問題はマッシュビルなのですが、私の飲んだ感覚としては、どうも昔の80%を越えるコーン多めのマッシュビルではないような気がします。私にはヘヴンヒルのスタンダード・バーボン・マッシュビルに近い味わいに感じました。とあるバーボンに詳しい方は、ハーパー12年をフォアローゼスで蒸留した可能性が高い、と自身のウェブサイトの記事に書いていました。それはディアジオがフォアローゼスと契約蒸留を結んでいることからの予想ではあるのですが、味もフォアローゼスの特徴と同じ風味プロファイルに感じると言うのです。その方の書く他の記事を読む限り、かなり確かな舌を持っているように思えるので、もし彼の舌も信んじて尚且つ自分の舌も信んじるなら一つの可能性として、ハーパー12年の中身のジュースは年代によって大幅に入れ替わっている、というのも考えられます。飲んだことのある皆さんのご意見を伺いたいところですね。

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H

Hazmat─ハズマット
「hazardous material」の略語で危険物の意。バーボンオタクの間では140プルーフ(70度)以上のウィスキーのことを指す。飛行機に持ち込んではいけない。バーボンではジョージTスタッグやエライジャクレイグバレルプルーフなどの一部がそれに当たる。

Heads─ヘッズ
ダブラーまたはサンパーから出て来る蒸留液(ハイ・ワイン)の最初の部分。このスピリットは不純物が多く、再蒸留のためにスティルに送り返される。

HH
「Heaven Hill」の略。ヘヴンヒル蒸留所、ま
たはその名を冠したバーボン。昔は長期熟成を含む色々な熟成年数のものがあったが、近年ではヴァリエーションは少なく、同社のメインブランドはエヴァン・ウィリアムスとエライジャ・クレイグに絞られた感がある。ヘヴンヒル・セレクトストック(Heaven Hill Select Stock)は「HHSS」と略す。 
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High Rye Mash Bill─ハイライマッシュビル
バーボンのマッシュビルで、ライ麦の配合率が多いものを指す用語。明確な規定がある訳ではないが、概ねライ麦が10%ならロウ、15%ならミドル、18%以上ならハイと思っておいていいだろう。

High Wines─ハイワイン
第二蒸留(ダブラーやサンパー)によって生成されるスピリット。

Highball─ハイボール
バーボンなどを炭酸水で割った飲料。

Honey Barrel─ハニーバレル
熟成において特に出来の良い樽(及び中身)のこと。シュガーバレルとも言う。

Horizontal Tasting─ホリゾンタルテイスティング
水平方向に選び出されたボトル群による試飲方法。テイスティングを行う際に選抜する銘柄を、例えば同じ価格帯に属するが、異なる蒸留所の物を各一本づつ揃えるようなやり方のこと。例……ジムビームブラック、メーカーズマーク、フォアローゼスブラック、ワイルドターキー、ジャックダニエルズ等。或いは価格帯は違っても、熟成年数のみを共通項にして、異なる蒸留所の物(またはブランド)を選ぶとかも考えられる。例……エライジャクレイグ12年、エヴァンウィリアムス12年、ワイルドターキー12年、ウェラー12年、ヴァンウィンクル12年ロットB、ジムビームシグネイチャークラフト12年など。または蒸留所は同じでも原料の違いに焦点を合わせて、スタンダード・バーボン・マッシュビル、ウィーテッド、ライウィスキー、コーンウィスキー、ウィートウィスキーを各一本づつ揃えるとか。例……エヴァンウィリアムス、ラーセニー、リッテンハウスライ、メロウコーン、バーンハイムオリジナル等。要するに垂直方向でなければ何でもあり。

HW
「High West」の略。2007年、ユタ州パークシティに設立されたクラフトディスティラリー、またそのウイスキーに付けられた名前。禁酒法解禁以来、ユタで最初の蒸留所。多くのマイクロディスティラリーと同じく、設立当初はソーシングウィスキーを使用して自らのウィスキーを造ったが、他の多くのマイクロディスティラリーと違い、供給源を明らかにする姿勢は消費者から好感を得た。他所から得た原酒(MGPやバートン、フォアローゼス等)を使うにせよ、自家蒸留酒を使うにせよ、そのブレンド技術には定評がある。またアメリカンプレイリーやキャプファイヤー、ランデブーライにダブルライなど独創的な世界観を体現するラベルデザインやネーミングセンスはブランディングの巧みさも物語っているだろう。
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Hybrid Still─ハイブリッドスティル
ポットスティルとコラムスティルのどちらでも実行できる現代的なスティルデザイン。ポットの上方にそのままフルートのような見た目のコラムが付いたものや、ポットの横に小さめのコラムが設置されたもの等がある。クラフトディスティラリーのような比較的小規模な蒸留所でよく使われ、ウィスキー以外にウォッカやジン等も作る場合に利便性が高いのだとか。


I

In the Wild─インザワイルド
酒屋の棚にレアなボトルが小売価格もしくはそれに近い価格で発見されたり、またはそうして買えた時の状況を指すスラング。野生の状態、つまり小賢しい人間の手がかかってない状態を譬えているものと思われる。
例「OMG I can’t believe I found a PVW20 "in the wild."」。

Infinity Bottle─インフィニティボトル
フラクショナル・ボトル、ソレラ・ボトル、リヴィング・ボトルとも言われ、現在飲んでいるバーボン(やウィスキー)が残り僅かになった段階で、何かしら飲み終えた空き瓶や用意したデカンター等にそれを移し、また何度もそれを繰り返し、永久になくならない自家製ブレンドを造ること。そして追加する度に変化する風味プロファイルを自ら楽しみ、家族や友人に提供して共に楽しむウィスキーオタクの娯楽。
方法論としては、ウィスキーのカテゴリーを同一にする場合と、カテゴリーを越境する場合とがある。前者はバーボンならバーボンのみをブレンドし、後者はスコッチにバーボンとジャパニーズをブレンドするようなことを指す。概ね前者の方が風味の統一感を取りやすく無難に仕上がる。

IWH
「I. W. Harper」の略。大変歴史のあるブランドで、1879年にアイザックとバーナードのバーンハイム兄弟によって立ち上げられた。ブランド名は兄のIssac Wolfeの頭文字から。アイザックはユダヤ系ドイツ人である自分の本当のラストネームを使用することを躊躇い、代わりに安全なアングロサクソン風のHarperを用いたと言われる。兄弟は退職時に会社を売却し、禁酒法解禁後の1937年からはシェンリーの傘下となり、長らくトップセリングバーボンの座にあった。その後1987年には、今日ディアジオとして知られる巨大酒類企業を形成するギネス(ユナイテッド・ディスティラーズ社)に買収され、グレーマーケットの問題から90年代半ばには輸出専用の製品となり、約20年間に渡ってアメリカでは販売を停止されていたが、2015年久方ぶりに本国復帰を果たした。
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アイザック・ウォルフ・バーンハイム氏


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JB
「Jim Beam」の略。世界一売れてるケンタッキーストレートバーボンウィスキー。
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ビーム家7世代

JD
「Jack Daniels」の略。世界一有名なテネシーウィスキー。
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ジャスパー・ニュートン・ダニエル氏

Jigger─ジガー
1.5オンス(約45ml)の容量。またカクテル用の計量器。

JPS
「Jefferson’s Presidential Select」の略。キャッスルブランズが販売するジェファーソンズバーボンの中でも長期熟成酒を使用したより上位のシリーズ。初期リリースのものにはスティツェル=ウェラーの原酒が使われた17年や18年物があり有名。蒸留された蒸留所が非公開の25年や30年といった超長期熟成古酒のリリースもある。
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I.W. HARPER BICENTENNIAL EDITION  Aged 130 Months 86 Proof
1976年はアメリカの建国200年(バイセンテニアル)記念の年。バーボン界でも各社から記念ボトルやデカンターが色々発売されました。こちらはそのハーパー版。バーボン好きには堪らないデザインでインテリアにもいいですね。130ヶ月熟成ということなので、10年10ヶ月熟成となります。バーボンにしては比較的長熟の部類に入ると思いますが、なぜ200ヶ月熟成にしなかったのでしょうか? そのほうがバイセンテニアルにかけてビシッと決まったと思うのですが(笑)。当時においてさえ、そこまでの長期熟成原酒はなかったのですかね。それとも、そうすると高価になり過ぎるのか…。まあ、それは措いて、これは発売年代からして旧バーンハイム蒸留所産、現行のハーパーとは別物と思っていいでしょう。
開封直後からオールドボトルらしい濃密なキャラメル~ココナッツ系のアロマが香り立つ。味わいに思ったほどのドライフルーツ感はないが、43度にしては香りも味も濃厚に感じるし、余韻も長め。古いバーボンの醍醐味が詰まってます。この年代のオールドボトルとしてはセカンダリーマーケットで比較的安く購入できるのでかなりオススメです。
Rating:87/100

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